森のかけら | 大五木材


当ブログに記載の商品の料金、デザインは掲載当時のものであり、
予告無く変更になる場合がございます。
現在の商品に関しまして、お電話、又はオンラインショップをご覧ください。

本日も『アユース』の話ですが、かつて虫に食害されて痛い目にあった経験。もう随分前の話ですが、県内の某ホテルに大手専門メーカーで作られたアユース製のモールディングを大量に納品させていただいたことがあります。アユースは前述したように幅広で反りやねじれの少ない均質で軽軟な材が比較的安価で手に入ることから、リブ(波型)やクラウンなどの特殊で緻密な細工が求められる室内装飾部材の世界では非常に重宝される木材なのです。また塗装のノリも申し分なく、理想的な素材のひとつなのです。

ただ問題は虫に食われやすい、というか立木の段階で卵を産み付けられているケースがあって、加工過程の加圧や熱でもへこたれない根性ある虫がいて、そいつらが残っていると、もう後は大量増殖した彼ら一族に内部からサクサクと、文字通り首の皮一枚まで食い尽くされていくというホラー映画のような事態に陥るのです。私が経験したのがまさにそれ、施工後数年経った頃、連絡があり、どうやら虫が出たらしいので来てほしいと。虫って、もう数年も経っているのに・・・と怪訝な気持ちで現場に向かいました。

ホテルの宴会場の天井や壁面に取り作られたリブやらクラウンやら様々な形状のアユース製のモールディングは美しいものでした。納品時にも施工作業を見ていましたが、大きなモールディングも鋸で簡単に切断できて、天井付近まで軽く持ち上げている様子を見ると、なんと施工性のよい素材なんだろうと惚れ惚れしていたものです、数年後再びその現場に来るまでは・・・。室内に入ってもすぐにはその異常に気が付きませんでした。どこに虫が?!という感じだったのですが、壁際の足元を見ると・・・

そこには赤い絨毯の上に、まるでグリム童話のヘンゼルとグレーテルが、帰り道に迷わないようにパン屑を道に置いたように、白い粉が壁伝いに点々と・・・。当時はそんな事を考える余裕もありませんでしたが、とにかくその白い粉がアユースのものであることは間違いなさそうなので、それがどこから来ているものなのかを探さねばなりません。しかしそれが目の届く壁や腰板の範囲にはなくて、穿孔跡が一切見つからないのです。もしや、宴会場の高い高い天井の壁際に張り巡らされたあのモールディングからなのか?!




オンラインショップ お問い合わせ

Archive

Calendar

2017年3月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
Scroll Up