森のかけら | 大五木材


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20091128 坂の上の雲満を持して遂に『坂の上の雲』の放送が始まりました。主人公の秋山兄弟、正岡子規の生誕の地である松山市としては、意気込みが違います。松山では1年以上前から大々的にPR活動をしていて、最近は街中の至る所に『坂雲』のポスターがたくさんはためいています。今後3年に渡り放送されるビッグプロジェクトだけに、『坂雲』関連商品もたくさん売り出されています。あまり過熱すると、祭りの後のギャップが心配ですが、全国から注目を浴び街が活気付くのはいい事です。この盛り上がりを冷めた視線でクールに見る方もいらっしゃいますが、あまりに冷淡で刹那的なスタンスでは楽しみがありませんぞ。明治維新に彼らを突き動かしたのも、能天気なほどの無邪気な楽観主義だったのです。熱なきところに勢いもありません!これを機に松山に観光に来られる方も増えるやもしれません。郷土のためにも少しは関心を持って、微力ながら松山をPRしたいものだと思います。

 

20091130 坂の上の雲2私の生まれ故郷は松山市ではなく、もう少し南の西予市野村町という所ですが、大学以来松山に移り住み、もう松山で暮らした年月の方が長くなりました。秋山兄弟や子規は東京に憧れ、やがて旅立っていきましたが、野村育ちで親元から離れて暮らした事のなかった私にとっては、当時の松山でも充分都会でした。彼らのような上昇志向を持ち合わせていなかった私は、それから東京に行こうなどとは夢にも思ってはいませんでした。松山ですらも、親戚知人もいないこの町で果たして本当に馴染めるのだろうかと不安でした。しかし、次男である私には地元で仕事をしていく根はないような気持ちでいましたので、漠然と松山で骨を埋めるのだな感覚はありました。田舎では滅多に聞く事の無かった救急車のサイレンと電車の音に動揺しながらも布団にくるまり、眠った20数年前を懐かしく思い出しました。距離的にはそれほど離れてもはいないのですが、両親を亡くして『故郷は遠くにありて思うもの』を強く実感させられます。

昨日は久し振りに家族5人で揃ってテレビを観ました。第1回という事で1時間半のスペシャルだったので、下の双子は途中でダウンしましたが、楽しく観させていただきました。生粋の松山人ではないので、当時の時代考証やら言葉遣いがどこまで合っているのかは分かりませんでしたが、それほど違和感もなく全体的にとても丁寧に作られていて印象を受けました。やっつけ仕事のような軽薄なテレビドラマが多い中、さすがはNHK、本気モードできちんとした仕事をされています。小説との相違点は、媒体が違うのですから当然ですし、あら捜しをしながら観ても面白くもありません。それよりもディティールにまでしっかり気を配る事で、画面から空気感のような物が生まれ、ごく自然に舞台の設定にのめり込んでいけます。CM抜きに、こうして長編のドラマを一気に魅せられると、まるで1本の映画を劇場で観たが如き満足感が得られます!

20091130 坂の上の雲4また、第1回だけでも、秋山兄弟の父を伊東四朗(当代きってのコメディアン!現役最高の喜劇俳優ですぞ!)、子規の母に原田美枝子、英語教師・高橋是清役に西田〔火天の城〕敏行などが脇を固める安定感のある配役なので物語が嘘っぽくなく、安心して観ていられます。チャラチャラした番宣狙いの若手が出てないのもいいです。みんなが本気で取り組んでいる時、空気の読めない人間ほど目障りなものはありません。全体がピシッと締まった素晴らしいドラマになりそうな第1話でした。天皇と呼ばれた映画監督・黒澤明氏は、完璧主義者として知られ、決して映画の中では登場する事のないタンスの引き出しの中にまで、きちんと時代考証に合ったものを入れておけと指示を出されたという事です。それは、無闇に完璧を求めたのではなく、カメラにこそ映りはしなくとも、その中にすら本物が入っているという本気具合から生まれる役者の張り詰めた『緊張感』や『空気感』のような物を収めようとされたのではないのかと思います。それは決して張りぼてなどではなく、薄っぺらいベニヤでもない『本物』が存在するという安心感です。

20091130 坂の上の雲3ベニヤのテーブルで食べても、無垢のしっかりした1枚板のテーブルで食べてもたいして味なんて変わらないという方もいます。正直本当にそうかもしれません。数倍いや、数十倍もする値段の差ほどの味の開きはないでしょう。それでも多くの方が、無垢を所望されます。それは、そこに『本物』があるという安心感に包まれたいから、『本物』を手に入れたという満足感に浸りたいから、なのではないかと思うのです。真剣に悩んで高い買い物をしたという『真面目』な気持ちに向き合いたいときもあると思うのです。そこに自分自身の喜びを見出されるのだと思うのです。久し振りに、『真剣さ』が伝わるドラマを観ました。この真剣さ、見習わねばと思います。ドラマの今後にも期待します!




091128_1303~0001昨日の続きですが、昼食後には佐野さんの計らいで愛媛木材青年協議会にも少し時間をいただきました。私はいつもの『木の漢字の話&クイズ』をさせていただきました。その後で、当会の会長であるツインズパパ・渡部康彦会長から愛媛木青協の説明と子供達にメッセージ、更に会場に久万高原町から「桧の梢」を運んできた井部健太郎君から、久万高原町の桧と杉のお話です。数年前の愛媛木青協であれば、こういう機会をいただいても、誰が喋るの?みたいな戸惑いがあったと思いますが、この2,3年で木材関係外との接触が急速に進み、『喋れる会員』が増えました。木の嫌いな人などいないのだから黙っていても分かる、では通用しません。いかに『自分の言葉』を持っているかが大事になると思います。

091128_1600~0001さすがにデザイナー集団です。あちこちに『デザインされた物』が溢れています。愛媛木材青年協議会などでくいうイベントをした場合は、使い終わったカレンダーの裏側に白紙にマジックで殴り書きのような状態になってしまいますが、えらい違いです!まあ、比べる事自体大変失礼な話でしょうが・・・。50歳、60歳、時には100歳以上の数トンもあるような原木などの相手にしていると、即物的な物にばかり目を奪われがちで、形として捉えにくいデザインという部分が見えていなかったというのは職業柄、仕方ないことだったかもしれません。しかし、こうして共にイベントをさせていただく事でデザインの大切さにも開眼させられました。逆にいろいろな形での木材の提供も可能になりますので、無関係の世界であったような『デザインと木材』の距離がどんどん縮まれば嬉しいです。

 

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今回、参加者には木の名札が配られました。弊社で作っている『桂のストラップ』をご購入いただきました。植物性油で両面塗装していますが、よく乾燥しているので油性マジックで綺麗に書けます。それぞれ自分で名前を書いて、首からぶら下げていただきました。以前にも紹介しましたが、『』の赤身は全体に均質でムラがなく、彫刻などには最適な材です。もともとレーザー彫刻用に製作したのですが、軽軟なので首から下げても違和感がありません。この使い方でも結構使えそうです。イベントなどの時には喜ばれそうです。森や木、エコに関するイベントの際に是非いかがでしょうか。『桂』に限らず、時間さえみていただければ他の樹種で少量も製作できます。例えばイベントのテーマにちなんだものとか。 

 

091128_1549~0001さて、午後の作業開始です。ここに小さなクリエーター達がいます。黙々と作業に集中して、作品を仕上げていきます。こういうイベントに子供だけで参加するような意識の子供達ですから、そもそも『ものづくり』が好きなのでしょう。完成したキャラクター達には名前を付けて、1階の『桧のツリー』に吊っていきます。健太郎君が子供達にも語っていましたが、この桧は20数年生の木の梢ですが、普通この部分は用途がなく山でカットされてしまうところです。こうして華やかな舞台で、子供達の笑顔に囲まれる梢たちは幸せです。

20091128 おおきいツリー ちいさいツリーおおきいツリー ちいさいツリー』という絵本があります。どういう話かというと・・・『ウィロビーさんのお屋敷に届いたのはとんでもなく大きなクリスマスツリー。てっぺんがつかえるので、ちょきん。その切れはしが次つぎといろんな動物の手にわたり、最後には…。』愛らしい画も大好きで、この季節になるといつも子供達に読んでやりますが、本来『無駄な木』など世の中にないという事です。このイベント自体は小さな試みかもしれませんが、これに参加した子供達の胸には『あの時に作ったあのクリスマスツリー』の思い出は深く刻まれたのではないでしょうか。こういうイベントをデザイナーさんの集団と一緒に出来た事も大きな収穫です。ただ木を挽いたり売るだけではなく、木の職人として家を建てる以外の一般の方にも接するアプローチの手段がいろいろ見えてきました。カコアの皆さん、参加してくれた子供達、ありがとうございました!




091128_1108~0001本日は、いつもお世話になっている佐野勝久さん(エスデザインスタジオの所属されているART NPO『QACOA(カコア)さんの主催されるイベント【キャラ森の不思議なクリスマス】に、共催の『愛媛木材青年協議会』の一会員としてお手伝いさせていただきました。このイベントは、愛媛県森林環境保全基金補助事業で、タイトル通り、商店街のど真ん中に『本物?の森』を出現させようという物です。そう聞いてもイメージが湧かないと思いますが、久万高原町から本物の桧の梢(約3m強)を数十本運んで来て、アートステーション『おいでんか』に立てて森を作ります。私は本日のみの参加&お手伝いでしたが、既に昨日のうちに佐野さん達スタッフの方々が、森を作られていました。お忙しい中、ご苦労様です。

091128_1123~0001そこへ、商店街のお店から各自が1軒を選び、そこの店のキャラクターを考えて描き、クリスマスツリーのオーナメントさながらにツリーに飾り付けをしていきます。対象は小学生で30名強の参加で、会場は大盛況!佐野さんはじめカコアのスタッフの皆さんは、こういうイベントの運営には慣れていらっしいます。カコア理事長徳永高志さんとは以前から面識があったのですが、田中教夫さんや藤岡直樹さんとは初めてお会いしました。皆さん、学校の講師などもこなされるつわもののデザイナーさんだけあって物腰が柔らかく、子供とのコミュニュケーションも抜群です。

091128_1113~0001佐野先生の教え子でもある松山デザイン専門学校の生徒さん達とも久し振りの再会でしたが、今日は子供の指導係として、いつもとは画逆の立場でお手伝いです。わずか2回の縁ですが、小さな子ども相手に真面目に教える姿を見ていると愛おしい気持ちになります。最初デザイン学校で初対面した時は、正直無気力感に驚きも覚えましたが、よく話してみると彼らなりに夢を持ち頑張っています。昔の子供よりも大人しいというよりは、図々しくないといえるかもしれません。昔の自分はその当時どうだったか、大人にとって小憎らしい坊主だったかもしれません。あるいはやる気のない無口で何を考えているか分からない子供だったかもしれません。それに比べれば、彼らはきちんと挨拶も出来るし、伝わりにくいだけでやる気も秘めています。少しばかり表現方法がうまく出来ないからといって、安直に評価した自分が恥ずかしい・・・。来月もう一度、佐野さんがデザイン学校に呼んでいただけるようなので、しっかり彼らのやる気を見極めさせていただこうと思います!

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イベントの方は、4班に分かれて商店街の中から自分で1軒の御店を選びに出かけました。久し振りに銀天街を歩きましたが、衣料品、雑貨、携帯電話のショップなど同じような形態の店が増えている印象でしたが、子供達はその中からそれぞれに『自分の1軒』を見つけ出していました。ほとんど同じ店がなかったのを見て、子供の感性の豊かさに改めて感心しました。まずは、画用紙にスケッチをして、細部はそれぞれが持参したデジカメで撮影して開場に戻ります。そこで、シナ合板に清書します。それを糸鋸などで形を整え、着色して仕上げます。その板に穴を開け完成となります。左の画は、『帽子をかぶったピラニア』ですが、お店は『帽子屋さん』です。何かを写したわけではなく、帽子からのイマジネーションです、素晴らしい創造力です、お見事!   この話長くなりそうなので明日に続きます。




先日、愛媛県でも初の裁判員裁判が行われたようで話題となっているようです。テレビの前で第三者的立場で裁判のニュースを観ている分には、気楽に好き勝手な事も言えるし、冷めた判断も出来ますが、いざ自分が法廷に出るとなるととても冷静ではいられない気がします。確かに昨今の被害者軽視の判決あるいは、加害者の人権への過剰反応には怒りを覚えますが、最後の決断をするジャッジマンとしての責任と覚悟は、想像以上に過酷で重いものだと想像するのです。その代償としてプロの裁判官には、それなりの社会的地位が与えられるのでしょうが、『厳しい仕事』だと思います。小心者の私としては、そういう立場になった時には、ネズミ並みに心拍数が上昇しそうです。この仕事、血管がそうとう太くないともたないような気がしてなりません。

20091127 12人の怒れる男 自分がその責を負うのはご遠慮したいと言いながらも、裁判そのものへの興味は尽きません。といっても生身の裁判はあまりにも重く、またドロドロした人間関係が生臭過ぎて私の性には合いません。やはり裁判は、映画か舞台で楽しむべきものです!裁判の映画の最高傑作といえばこれしかないでしょう、職人シドニー・ルメット監督の傑作『十二人の怒れる男』(1957)。初めてこの映画を観たのは、高校1年生のNHK名作映画劇場でした。当時は深夜に、字幕で昔の名作をよく放送していました。『地上より永遠に』とか『わが谷は緑なりき』、『大いなる幻影』なども名作もこの当時に観ましたが、今でも鮮明に覚えています。最近は、こういうCATVや専門のチャンネルが出来たのでそちらで放送されているのでしょうが、家族が揃って古い名画を観るというのもいいものです。映画と一緒に、横にいた母の面影まで思い出されます。感受性豊かな頃に観た映画は永遠に記憶に刻み込まれます。

 

20091127 12ANGRY_1この『十二人の怒れる男』は、アメリカで一人の少年の罪を裁く、選ばれた名もなき12人の陪審員の男達のドラマです。もともとはテレビドラマでしたが、のちに映画化されました。この脚本を書いたレジナルド・ローズが実際に倍審員に選ばれた事をきっかけに書いたというシナリオは、非の打ち所のない素晴らしい出来栄えで密室劇のお手本です!上映時間96分と決して長くはない映画なのですが、臨場感抜群で一瞬たりとも退屈する事はありません。12人の登場人物も感情豊かにきっちり細部まで描きこまれ、不必要なキャラクターが誰ひとりいません。昨今の裁判映画によくありがちな『終盤の大どんでん返し!』とか『驚愕のラスト!』などの、繰り返し観るに耐えない『こけおどしのような脚本』とは、一線を画するプロの仕事がここにあります。突然鳴り響く音楽もなく、ただ淡々と進みながらも、底辺にはヘンリー・フォンダの熱い魂の訴えが流れています。観終わってから、そのほとんどを裁判所の1室で撮ってあったと気が付くほど、カメラアングルも凝っていて退屈させません。うだるような真夏の設定が、出演者のワイシャツが汗ばんでいく様子からリアルに伝わってきます。

20091127 12人の優しい日本人当時がアメリカの古きよき時代なのかどうかは知りませんが、人間が猜疑心の塊になる前の、まだ良心とかを信じようとしていた時代の話だと思います。観始めた時と観終わった時で、出演者の表情が全く違って観えます。恐らく順撮りではないかと思うのですが、恐ろしいほどに感情移入してしまう映画です。練りに練ったシナリオ、奇をてらわずに正攻法で正面から展開される語り口、男達が徐々に目覚めていく人間性と正義感、ヘンリー・フォンダの毅然とした演技と姿勢のよさ!もうどれをとっても素晴らしい!これこそ私の生涯のベスト10の1本、何10回観ても決して飽きる事がありません!若き日の三谷幸喜さんが、後に日本で上演されたこの芝居を観て感動し、『12人の優しい日本人』のシナリオを書かれたのは有名な話です。この、『12人の優しい日本人』も面白いお芝居です!こちらは、『12人の怒れる男』とは逆設定ですが、悲劇の中の喜劇が面白すぎです!この舞台についてはとても長くなるので、また改めて。

20091127 Gavel②裁判で木に関係する物といえば・・・「静粛に!」のあの木槌でしょ!しかし残念ながら日本の裁判所では使われていません。英語ではgavel(ガベル)と呼ばれますが、素材まではっきり明示した物は不明ですが、映画などで聞くあの甲高い音から推測するに、恐らく『樫の類ではなかろうかと思いますが・・・。日本で実用的に使われる木槌のほとんどは、樫材です。樫は強靭で粘りのある木なので、鉋などの磨耗にもよく耐えます。 『十二人の怒れる男』でも、『12人の優しい日本人』でも、残念ながら木槌の出番はありませんが、何でも木の物には目が行ってしまいます。騒然とした法廷に響き渡る木槌の音色は神聖で、厳粛な気持ちにさせられます。これも木の成せる業か?

自分が一生のうちに裁判員になる確率がどれだけの物かは分かりませんが、選ばれた方はせめてこの映画『十二人の怒れる男』と舞台『12人の優しい日本人』ぐらいは観てから裁判に臨んで欲しいと思うのです。それぞれ対極的に、人を裁くという事の意味の重さに背筋がピンとなります。




091125_1640~0001ようやく朝晩が本格的に寒くなってきたかと思えば、日中急に温かくなってたり、最近季節感がどんどん分からなくなってきてます。それに合わせて、紅葉も遅くなっているようです。このままだと紅葉の本格的なシーズンは冬になって、季語も12月に変えなければなどど、いらぬ心配をせねばならないような・・・。数年前の改修工事の際に材料を納品させていただいた道後の常信寺さんでも、中庭の紅葉が鮮やかでした。かの時は、玄関付近の工事だったので奥の間に入れていただいたのは初めてでしたが、絵画のような素晴らしい景色に圧倒されました。

091125_1633~0001以前の工事では、『アカマツや『土佐栂』などの床材などを使っていただきました。久し振りにお邪魔すると、どちらも鈍い光沢が出て更に深みが生まれ、しっかりと常信時での時間を刻んでいました。『アカマツ』は、【信州カラ松の鬼】こと㈲ナチュラルウッド南波健一社長が作り出される渾身の床材で、使うほどに飴色になります。南波さんのアカマツの特徴は、しっかりした大胆な赤身と大柄な節とのコントラストです。在中にたっぷりと脂分を含んでいるために、時が経つほどに脂分が全体に行き渡り、飴色のような照りを生み出します。『土佐栂』は、踏みしめられるほどに冬目が締まって更に緻密な杢目が際立ちます。画像(左)のように少し黄身色に変化し、落ち着いたシックな雰囲気になっていました。素朴で柔らかみのある『アカマツ』に比べて、凛とした孤高の美しさが魅力です。お手入れが行き届いていて、大切に使っていただいているのが一目瞭然。ありがたい事です。

091125_1637~0001また、その後の改修工事でもご用命をいただき、トイレの造作にも木材をふんだんに取り入れていただきました。数年も前の工事なのに、まるでつい最近仕上がったように隅々までお掃除が行き届いていて、感心させられました。ここの床材も『土佐栂』ですが、本来『土佐栂』のフローリングは、素材そのものが貴重であるため、鰹の1本釣りのように節のあるなしに関わらず、きちんと仕上がったものは同梱されています。節も無節も合わせて使っていただく事で、洞や腐りなどの多い栂の原木を有意義に製品化できるのです。一般的には、それを混在させて貼られるのですが、ここでは節の大きな部分を水周りの足元に使われています。節の多い材は芯に近く、辺材に比べて赤身が多く耐湿性が高い事と、目の届きやすい客室に木目の密な無節材を意匠的に配置するという狙いです。それもあまり極端に配すると嫌味が出ますので、ほどよいバランスが大切だと思います。

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トイレの手洗いのカウンターには、岩手県産の『』の耳付板を使っていただきました。ご覧の通り、砥部焼の大振りの鉢を置かれる事が決まっていたので、陶磁との組み合わせで空間の雰囲気を損なわない物、また水周りに使用することから耐水性のある物という事で『栗』をお勧めしました。『』は素朴で落ち着いた雰囲気を醸し出し、自己主張の少ない控え目な木です。耳付材でありながら、極端な凹凸も少なく使い勝手も良いというのが何だか泣かせます。水には比較的強い木ですが、化粧で見せる場合は、材中にタンニンを含んでいるため鉄分に触れると赤茶に変色しますし、生地のままだと水にでも薄茶に変色しますので、しっかり塗装する必要はあります。それにしても、改めて砥部焼きの鉢が配された姿を見ると、木と陶磁との相性の良さには惚れ惚れします。やはり自然素材同士、気(木)が合います!




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