森のかけら | 大五木材


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20100831 お気に入りの材の探し方①少し前にこのブログでご紹介したワンズ㈱のH様邸のカウンターなどの木材を納品させていただきました。H様邸では、床材にワイトオークどたくさんの木材をご使用いただいているのですが、現在現場は床がしっかり養生してあるので後日改めて撮影し、紹介させていただこうと思っています。さて、現場施工前に弊社で加工+塗装が仕上がった物の幾つかをご紹介します。最近こういう形で棚材やカウンター材、ワンポイントの柱、家具材などをお求めに来られる方が急増しています。多少はこのブログも貢献してくれているのでしょうか、そうだと嬉しいのですが。さて、まずはトイレに使われる【樟:クスノキ】の耳付板ですが、予想通りいい感じに仕上げていただきました。あまりに空が青かったので、空に向かって立ち上がる樟の雄姿を1枚!

 

20100831 お気に入りの材の探し方②耳を活かした仕様で、樟の耳の触感は滑らかで気持ち言いのですが、今回は水廻り(トイレ)に使うということで、プレポリマー塗装を施します。含浸性の塗料なので一般的なポリウレタンよりも更に耐水性が高いのですが、それを塗っては乾かし塗っては乾かし繰り返して固めます。樟の魅力のひとつである香りが楽しめなくなるのは残念なのですが、後々の事を考えると止むを得ません。木を使う場合、最終的な仕上げや塗装まで考えておかないと折角の材がその魅力を発揮できない事になります。

20100831 お気に入りの材の探し方③続いて、1階の棚に使われるブラック・チェリーです。こちらはご要望幅が500㎜近いので、幅剥ぎした物をセレクト。丁度適寸のモノがありましたので、まずは全面サンダーで磨き直して綺麗にします。#120→#180と順々に目を細かくしていきます。木粉を拭き取って、こちらは触感を活かす塗装という事でアトリエ・ベル植物性オイルを塗装していきます。H様には材をセレクトした後で、裏面に塗装して仕上がり具合を確認してもらっています。オイル塗装は塗る事よりも拭き取る事に注意を払わねばなりません。

20100831 お気に入りの材の探し方④しっかり余分なオイルを拭き取ると、材が濡れ色になって一層輝きが増します。弊社の在庫品はほとんどが荒材・無塗装状態なので、頑張って想像力を働かせていただけねばなりません。杢目や質感の「進化」は、完成まで隠しておいてサプライズとして楽しんでいただきたいのですが、色合いについては壁材や調度品とのバランスもあるので、その場で端を磨いて試し塗りをして塗装後の仕上がりを確認していただいています。しかし部分で見るのとは大違い。塗装がしっかり浸み込み深みが出て木ました。

 

20100831 お気に入りの材の探し方⑤20100831 お気に入りの材の探し方⑥左がサンダーで磨いた状態。まだ何も塗装していません。

右が植物性オイルを塗って完成した状態。

同じ材とは思えないほどの変貌ぶり!

 

 

長い物や大きな物でなければ、ご要望に応えられるような材が比較的お手頃な価格でたくさんあるので、設計士と監督が了解してもらえれば、廉価で思い通りの材が入手出来る事もあるのです。是非実際に倉庫で眠れる宝をお探し下さい!気に入ったお宝を見つけようと思えば、自らの足で倉庫を歩き、たくさんの板や材を見ることに尽きます。そして隠し事なくお互いをさらし、理解する事だと思うのです。さすれば、きっとお気に入りの材が廉価で自ら近づいてきます、きっと!




20100830 緑の聖地・牧野植物園① 滑床渓谷(きっと)楽し過ぎたであろう我が家の子供達の夏休みもいよいよ終わりが近づいて参りました。楽しい事にもいつか必ず終わりが来るのだという事を知らねばなりません。今年の夏はプール、田舎の川、プール、滑床渓谷、田舎の川、プールとひたすらプールと田舎の川で交互に水遊びを満喫し、すっかり黒く日焼けしました。お陰ですっかり泳ぎも上達しました。昨年は水不足の影響であまりプールが使えなかったので残念でしたが、今年はもう充分でしょう。楽しく遊ぶ我が子たちの姿を見ると、長女は来年から中学生になり、下の双子の来年は4年生になり、部活やクラブなどが始まるとそうも無邪気に遊べなくなると思うと可哀想でもあります。自分が小学生の頃はただただひたすら、暗くなるまで毎日毎日遊んでばかりおりましたので。元気でいてくれれば充分です。

 

20100830 緑の聖地・牧野植物園②今年の夏は猛暑で、さすがの材木屋一家も山に行くよりは涼を求め水辺にたくさん行きましたので、ここはバランスを取っておく意味でも、夏休みの〆に森関係に行く事にしました。通年であれば、野村の大野ヶ原のブナの原生林に行くのですが、今年は少し趣向を変え、高知市五大山の『高知県立牧野植物園』にしました。ここに家族で来るのは2回目、私は個人的には4回目ですが何度来ても飽きる事がありません。来る度に関心させられたり、勉強になることばかりです。今夏二度目の高知県。

20100830 緑の聖地・牧野植物園③実はその日に高知市内で、いつもお世話になっているコッコ・サン』であるイベントが開催されるというので(これについては後日詳しくアップします!)、午後からそちらのワークショップに参加する予定で、午前から昼過ぎまでをこちらに来ていたのです。小学生の子供が何度も来て楽しいですか?と思われるかもしれませんが、子供というのは親が楽しめば自分も楽しむものです。うつの子供達は充分に楽しんでおりました。一緒に暮らしているとだんだん親の趣味や嗜好に似てくるものなのでしょうか。まあそれ以上に親が楽しんでおりましたが!

20100830 緑の聖地・牧野植物園④私は【森のかけら】やこのブログのための木の画像が撮りたかったのと、実際に木を見て確認したい事が幾つかあったのですが、入園するなりテンションが高まります!以前は一眼レフカメラ持参で、ズボンのポケットが張り裂けそうなくらいフィルムを押し込んで来ましたが、撮影数にも限りがありました。そこで今回はデジカメで撮りまくる覚悟で来ました。ところがあまりに無我夢中でシャッターを押しまくり。気がつけば途中でなんとバッテリーの残量ライトが点滅するというアクシデントに!その時点で撮影数がなんと600枚超え

20100830 緑の聖地・牧野植物園⑤木や葉をを撮るだけでなく、前後してネームプレートや説明書きなども撮り込んでおきますので、必然的に枚数も増えてしまうのです。朝、充電して満タンになっていてはずなのに、使いすぎでしょうね。バッテリーが減った頃がちょうど温室の前あたり。うわ~、これが楽しみだったのに仕方がない。換えのバッテリーがないので、必要なモノに絞って効率よく撮るしかないか・・・と思っていた矢先、息子が温帯の面白植物に「お父さん、あれ凄い、これ凄い!」と激しく反応!うずうず、もどかしい・・・ええ~い、もう我慢ならん!先を気にせず取りまくれ~!

20100830 緑の聖地・牧野植物園⑥ほどなく撃沈・・・だって美味しい被写体が多すぎます!自分でもまさかこれほどの枚数を撮る事になろうとは。この牧野植物園は植物園といってもその敷地は広大で、ほとんどが室外ですから歩いているだけでも汗をかきますが、必死にカメラアングルを探りながら撮影し、遅れを取り戻すべく走るの繰り返しで、私の上着がすっかり汗でビショビショ。普段は汗と汗で体にへばりつくシャツが大の苦手な私ですが、それが全く苦にならないのですから、好奇心とは偉大なり。初めて来たときは恥ずかしながら、同じ木とは言ってもジャンルが違うと関心も薄かったのですが、【森のかけら】を作り始めてから急速に関心が高まりました。人は必要に迫られた時、本当に学ぼうと思うし、本当に勉強とはこういう事なんだと思います。あ~何時間居ても飽きない、ここは私にとって緑の聖地!子供達よ、ディズニーランドより楽しくないかい?父は楽しいぞ!




昨日の続き・・・すっかり皮も取れて耳が綺麗に露出しました。それらを丁寧に1枚ずつ桟を切って並べて乾かせます。それほど大きな丸太ではありませんでしたが、うまく製材していただいたので予想以上に大きな板も幾つか取れました。幅が150㎜未満の狭い板は、乾燥後に小割りして【森のかけら】や【円い森】に使う予定です。幅の広い物は、カウンターや幅 剥ぎにして家具などに使えそうです。当然節も出ていますが、やはり愛媛県産の榧とう出自がこの木の売りですから、そういう方向に目を向けられている方に勧めさせていただきます。

乾燥をより進めるためにも両小口を再度カットします。小口には乾燥させ始めた時の日付も書き込みます。この後は風通しの良い日陰でひたすら日を重ねていくのです。挽き立ちで水分も多く含んでいるので、画面では白っぽく映っていますが、乾燥して水分が抜けてくるともう少し黄色くなります。小口を見てもらえれば幅が300㎜ぐらいでも結構年輪が詰まっているのが分かると思います。榧は成長が遅く、耐陰性の強い木でかなり暗い場所でも育つので、小さな木でも目が詰まっている物が多いです。

さて、この榧の代表的な用途といえば『将棋盤』や『碁盤』が思い浮かぶと思いますが、水にもよく耐えるので風呂桶などにも使われる事があります。木目が緻密であるという事と適度な弾性があるという事から将棋盤に好まれるのですが、特に将棋盤においては『天地柾といって上下に柾目が出ている物は最高級品とされますが、上下に柾目が出るという事は直径が1m級の原木が必要という事になりますので、素材としても相当に貴重で、取れたとしたら将棋盤1台で数百万の価値があるとも言われます。

また榧の葉は対生で先端が鋭く尖っているのが特徴で、葉を握るとかなり痛いです。似た名前で【イヌガヤ】という木がりますが、カヤがイチイ科カヤ属であるのに対して、イヌガヤはイヌガヤ科イヌガヤ属で、こちらは葉を握っても痛くありません。どちらも古くから山村では庭先に植えられたりして、実から油を採る油料(ゆりょう)植物ですが、主にカヤは食用油イヌガヤは灯油に用いられたようです。またカヤの実は灰汁に1週間ほど漬けて、炒って食べる事も出来ます。

榧の名前の語源については、『和名抄』という古い書物で、の感じを当て、和名を万葉仮名で加倍(かへ)と書き表されていて、この古名のカヤに転じたものであるとされています。そのカへも、古い時代の朝鮮語から転訛したということですが、カヤの油が重要視されそれが日本に伝わった事に由来しているとか、かつてこの葉を燻(いぶ)して、蚊を追い払う『蚊遣(や)り』に使われた事に因(ちな)んでいるなど諸説あるようです。弊社に材を観に来られた方には『バニラの甘い香り』と紹介していますが、その葉は蚊を追い払う効果もあるのですから、匂いの良し悪しも紙一重蚊もしれません。




今日のかけら・#032【カヤ/榧】イチイ科カヤ属・針葉樹・宮崎産

ご縁があって最近原木市場に出掛ける事が多いのですが、原木の出荷が少ないようで、製材業者の方もかなり苦心されているようです。相変わらず、山の事情と末端の家造りの現場との乖離を感じます。ところで、松山周辺の原木市場に出材されるのはほとんどがで、あとが並ぶぐらいで、広葉樹の原木が出る事は滅多にありません。テーブルなどに使える大きな広葉樹がない事もありますし、広葉樹を専門に扱う製材工場がないこともあって、小さな広葉樹丸太のほとんどはチップに回されます。山の木も需要があってこそ伐採されます。買ってもらう見込みがなければ山からは出て来ないの当然の理です。小さな広葉樹にも充分利用価値があるのですが、どれだけの量をどれだけ安定した価格で購入できるかという事でしょう。

そんな隙間だらけの土場の片隅に私の興味を 引く木が並んでいました。カヤ(榧)クワ(桑)の原木です。決して大きな原木ではありませんが、愛媛県からの出材がこれほど明確な材を放っておく手はありません。桑の木についてはまた改めてアップしますが、まずはカヤについて。原木市場から丸太を仕入れるためには、保証金を積んで原木市場の買い方にならなければなりません。その後、市日に1本ずつ入札して最高入札者が落札して、初めてその丸太を手に入れることが出来るのです。

弊社は製材工場ではないので、いつもお世話になっている製材工場さんにお願いして丸太を購入していただきました。その後すぐに市場からもって帰ってもらい、45㎜の厚さの耳付でにタイコ挽いてもらいました。弊社にやって来た挽き立ての新鮮な榧からは、いい香りが漂ってきます。榧はバニラのような甘い香がするのが特徴です。木から甘い匂いがするよと、子供たちを呼んで匂いを嗅がせます。挽き立てですから、ここまで鼻を近づけなくともぷう~んと香りますが、カメラを意識してモデルしてくれてます。

丸太を割っただけなので、これから乾かして使えるようになるのは早くても1年先です。榧の香りを損ないたくないので、人工乾燥ではなく天然乾燥を選らんだので道は長いですが、その分手元で長い間楽しめるという事です。さてきちんと乾かして在庫管理するためにはしなければならない事が幾つかあります。まず皮を剥くのですが、手で簡単に外せる物もあれば、ノミで叩かなければ取れないような物もありますが、皮がついたままでは虫の害を受けやすくなったり乾燥の妨げになります。




 ★今日のかけら・#061 【神代楢/ジンダイナラ】 ブナ科コナラ・広樹・北海道産

 神代楢

お茶会・7

創作茶寮・西村』 の奥様の点てていただいたお茶をいただいた後は、皆さん個別に個人練習に移られます。私のような初心者にも分かりやすいように、一連の所作が写真入りで事細かに解説された点法』という作法書の入門のようなモノがありましたが、最後まで行うと実に90近くもの所作があります!これを体で丸暗記(?)して実際にお茶を点てるのですが、目が眩みそうです・・・。やってみれば意外と簡単ですよ、と優しく誘われたのですが、決して簡単ではないと思います。こういうものって、ただ形を覚えるだけでなく、その所作の意味から理解しないと身につかないのでしょうね、きっと。 いくら勉強会といってもその落ち着いた設(しつら)えだけで妙に緊張してしまいます。最近の住宅では畳の間を設けないところが多いようですが、私はやはり畳みの間が落ち着きます。

お茶会・9

 この『西村』さんには、お茶をご披露していただいた席とは別に、離れの個室のようなテーブル席があるのですが、そこのテーブルを数年前に納品させていただきました。いつもお洒落なデザインの住宅・店舗を手掛けられる『飛鷹プランニング』の飛鷹社長にお声を掛けていただき、【神代楢】の1枚板を採用していただきました。この【神代楢】は、直接北海道の旭川に行った時に買い付けたうちの1枚です。久し振りの再会です。大切にお使いいただいているようで、ほとんど傷もついておりませんでした。カメラで写すと、照明が反射して実際の色合いが分かりにくいのですが、漆黒ではない茶褐色系の複雑な色が溶け込んでいます。向かい合わせで座ってこのサイズですから、決して大きくはありませんが、とんでもなく重たいです!数千年の重みがビッシリと詰まった重さです。

お茶会・10

 雰囲気を出して撮りたかったのでちょっと画面が暗いのですが、しっとりと落ち着いた色合いで、堂々とした力強さもあります。部分的にクラック(割れ)が発生しましたが、しっかり『契り』を入れております。地中深くで悠久の時を過ごした埋木(どまいぼく)、土木工事などで掘り起こされ地上に現れるのですが、数千年ぶりに大気に触れるのですから、乾いていく過程での収縮変形は避けられません。また、丁寧に乾燥させても予期せぬクラックが発生したりと、人間の叡智の及ばない聖域の木は、簡単に料理される事を拒むかのように暴れます。まるで人をあざ笑うかのように、刻一刻と「変化」していくのですが、それはもしかしたら私達の知らない擬態に「進化」しているのかもしれません。何でもかんでも人減の思い通りに出来ると思ったら大間違い。

お茶会・11

あまりに長い期間土に眠っていたという事で、神の代(みよ)という畏れ多い冠が付けられていますが、本来は土埋木の中でも特に木目や色合いの美しい物に対して称される名前です。よほどうまく条件が兼ね揃わなければ土に埋まっている間に劣化腐食するのがほとんどで、そういう意味ではとても貴重なものなのです。この時に仕入れた【神代楢】の連れ合いがまだ幾らか残っていて、かなり倉庫で眠っていますが、それでも少しずつ収縮していると思われます。お茶の品格に負けない歴史の証人に対抗する大きな板が、カウンターテーブルに鎮座ましましていました。ビンガ長い1枚板が迫力満点!『創作茶寮・西村』さん、お料理が美味しいのは当然ながら、自然素材を多用した設(しつら)えをご覧になるだけでも充分に価値があります。




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