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さて、島根ワインの方もしっかり堪能させていただきました。さすがに無料で試飲だけして手ぶらで帰るなんて野暮な事はしませんので、少し甘めのこちらのワインをご購入させていただきました。今まではたがひたすら飲んで終わりだったワインですが、最近はラベルやパッケージなどが気になります。美味しければ黙っていても売れる、というのは本物を極めたごく一部のモノに言える事。如何に商品に魅力があろうとも、魅せる努力をしなければ身の回り周辺までしか繋がっていかない事を痛感しています。
ついつい調子に乗って試飲を重ねてしまい、集合時間に少し遅れて出雲大社へ。出雲大社は今回で3回目でしたが、今回は平成の大遷都による工事中ということでいつもより人が少ないような感じでした。愛媛、美作、出雲の3会団の総勢20名ほどで出雲大社参拝です。境内には立派な『クロマツ』がたくさん植えられています。海岸の防風林などに植えられることから海辺のイメージがあるクロマツですが、白砂青松と称えられる美しい日本の原風景も過去のものになりつつあります。
コンクリートで固められる前の昔の日本の海岸線には、こういうクロマツがずらりと居並んでいたのでしょう。DNAの中にその記憶が眠っているのかもしれませんが、松の木の堂々たる姿を見るとなぜか静粛な気持ちになります。このあたりは、大山の吹き下ろしで風が激しく舞うらしく、樹形がうねっています。長年の風雪に耐えたであろうその姿に自らの人生を重ね合わせて考える方も多いことでしょう。ところどころに痛みの激しい木があり、コンクリートなどで部分的に補強がされていたり、丸太で支えているものもあり、痛々しくもありましたが、それでも生き抜こうとする健気な姿がまた日本人の心を打つのかもしれません。正月の門松に使われたり、めでたき事の象徴とされるマツですが、ここ出雲大社で見るマツは、いろいろ苦労はあってもそれでも歯を食いしばって生きていこうという忍耐や人生訓を体現しているようにも感じられるのです。
その威風堂々とした姿はそこにあるだけで歴史の重みを感じさせます。ものの記録によると、この松並木は今から400年前に松江藩主であった堀尾忠氏の夫人・長松院が千本の松を寄進されたということです。そのうちの33本は今でも現存しているというから、樹齢400年の松もこの参道沿いに聳(そび)え立っているということです。その長命ぶりも、松がめでたき事の象徴とされる由縁でしょう。当地の隣は「松江市」です。さぞ立派な松が隆盛を極めたことでしょう。全国各地に松の名を冠した地名は多くありますが、それだけかつては松が多く自生していたことの証しでもあります。わが町・松山市もそこに由来していましが、残念ながら建築用材になりうる松は少なく、その供給先は瀬戸内海を挟んだこちらの中国地方に求めています。かつて在ったものが無くなり記憶の中で語られるようになるのは寂しい事ではありますが、だからこそしっかり語り継がねばならないのだと思います。
今週末の土日に島根県出雲市で、愛媛木材青年協議会と美作木材青年協議会と出雲木材青年協議会の3会団による合同例会が開催されました。島根観光キャラクターの『しまねっこ』も温かく出迎えてくれました。今から5、6年前に愛媛と美作会団による合同の例会が開催されたのがそもそもの始まりでした。最初、愛媛から美作を訪問して、活気ある会員の皆さんの最新工場を見学させていただきました。両会団が所属する中四国地区協議会では、年に4、5回の日程で地区持ち回りの役員会を開催しています。今までにいろいろ出向を経験させていただいたので、お陰で中四国の全ての県に何度も何度もお邪魔させていただきました。役員会ではオブザーバーも歓迎しているのですが、どうしても参加者に偏りが出来るので、それを解消すべく、一般会員同士が研鑽と交流を計る場として、愛媛と美作の合同例会が企画されてのです。
当時から中四国でもっとも元気とやる気のある美作木青協さんの精神を学ぼうと、バスを1台借り切って、1日で5~6カ所もの製材所を巡る強行軍でしたが、その後の懇親会も異常なほどに盛り上がり、翌年は美作木青協さんが愛媛を訪れていただき、その後は相互に訪問するという恒例行事となりました。そこへ新たに、熱心な会運営をされている出雲会団さんも加わり、今年初めての3会団による共同例会となったのです。中四国地区長の安東さん(銘建工業)㊧も参加していただき盛大な例会となりました。
実に内容の濃い2日間となりましたので、数回に分けて内容をアップさせていただきます。通常の役員会は、会議室でテーブルを囲んで粛々と会議が進行されるのですが、今回はもっとラフに肩の力を抜いてそれぞれの会員が膝を交えて語り合うのが趣旨です。集合場所は『出雲大社』でしたが、我々愛媛チームが肩の力を抜くために、会に先行して向かった先が『島根ワイナリー』です。島根は言わずと知れたぶどう栽培とワイン生産の産地です。瀟洒な建物はそれだけでも目を引きます。
開店2400万人の来場者を迎えましたとの垂れ幕がかかっておりましたが、昭和61年のオープン以来25年目にして累積来場者数2400万人を突破したという事です。何事も日々の積み重ねが大切ですね。以前でしたら、ここを訪れるのはワインの無料試飲だけが目的でしたが、【森のかけら】販売開始以後、職種は違ってもたくさんの人を魅了する商売からは、何かヒントを得ようとする気持ちで伺うようになりました。このコルクのウェルカム・プレートだって木とは無関係ではありません。ヒントは至る所にあります。
当日工場はお休みでしたが、『森の出口』を見る事が出来ました。工場内にはたくさんのワイン樽が置いてありました。詳しい説明がなかったのでよく分かりませんでしたが、樽の小口の刻印から、どうやらフランスのオーク(楢)を使われているようでした。質問コーナーがあれば詳しくお聞きしたかったのですが残念。最近よくウィスキー樽やワイン樽を見かけるようになったのですが、そういう所にも関心が向いているからでしょうか。興味があるのは、その中身ばかりではありません。
外には巨大な樽のオブジェがありました。こちらは紫外線で退色が激しく樹種の特定は困難でしたが、きっちり柾目で木取りされていました。南洋材っぽい質感でした。ウィスキー樽に使われるホワイトオークは重硬な木で、古くなった樽を削り直してフローリングに再利用されたりもしていますが、最近弊社でもホワイトオークが人気です。造作材やテーブルなどに使わせていただいていますが、ワイルドな質感と重厚な雰囲気が好まれています。樽を見たら、次はその中身が気になります!
伐採された『ソヨゴ』の丸太を短くカットしてもらい、たっぷりと分けていただきました。【森のかけら240】を最終的に決定する時に、日本の木を120種に絞り込む作業をしなければならないのですが、さすがに日本の木で120種類ともなると建築や家具で使う有用材だけでは数が足りません。一般的な用材として流通していない樹種は、「あれば」安く手に入る訳ですが、縁がなければ入手するのも容易な事ではありません。立ち木としてよく見かける木でも、それが材になって手元に来るかという事はまったくの別問題。
揃うようでもいろいろな条件がうまく揃わなければ縁遠い事も多いのです。このソヨゴにしても、森で見かける事はあっても手に入るとは思っていませんでした。木である事と、材である事は大きな違いなのです。いずれどこかで入手出来るかもしれませんが、解説書を製本化して印刷するにあたって、樹種の取捨選択をしなければなりません。その時点では入手の見込みの薄かった樹種は泣く泣く省きました。それは辛い決断でしたがやむを得ません。そのひとつにこのソヨゴもありました。木工クラフトなどにいろいろな端材をカットして、加工してネットで販売されている会社も多いのですが、珍しい樹種を扱っているショップでも、多くて40、50種類あたり。実際に、国産の木を(特定のサイズで)120種類集めようとすると、木は身近でも、材はそれほど身近ではない事に改めて気づかされました。
ああ、もしもあの時このソヨゴがあれば、ソヨゴも【森のかけら240】の中に入っていたのですが・・・残念!以前に別の丸太を大量に分けてもらったのですが、あまりの多さに加工が追いつかず、しばらく放置していました。木は丸太の状態で置いておくと痛みが早く、樹皮に虫の幼虫がいれば、材も穿孔されますし、腐朽菌に侵されたり、放射状に大きな割れが走ったりして、折角の素材を無駄にしてしまった経験があります。そこで今回は持って帰ってすぐに加工することにしました。綺麗な美白の削り節です。
たっぷり水分を含んでいるのでこの状態だとどの木もとても瑞々しくフレッシュです。これが乾燥すると、水分が抜けてビックリするぐらい色が変わる木もあります。植物図鑑などに掲載されているのは、葉や実、樹皮ばかりで、製材直後の材面の色合いや乾燥後の色合いの変化などは見受けられません。建築家向けの、世界の有用木材の材面を掲載した図鑑もありますが、それも樹種に限りがあります。材になると個体差が出過てしまうので、材の表情を選択するのも難しいかもしれません。
乾燥後の収縮を考慮して、45㎜角ぐらいの大きさに製材します。この状態で桟積みして半年ぐらい天然乾燥させます。芯をはずして小割りしていますが、乾燥中にねじれや反り、割れなどが発生するので、全部が全部【森のかけら】になれる訳ではありません。ひとつでも多くの【森のかけら】が取れる事を祈って、ここから先はひたすら「待つ」ばかり。ただ、ソヨゴを新たにリストに加えるつもりではありません。リストに無い日本の木を少しずつ集めて、『日本の森の多様性を知る36(仮称)』の新商品を作ろうと考えているのです!果たして揃うか?!
普通の平地で作業しているように見えるかもしれませんが、この奥は急斜面になっていてそのすぐ下には池があります。傾斜地にへばりつくように木々が生えています。弊社は製材所ではありませんので、大きな原木を仕入れして製材しているわけでもありません。ましてや立ち木を伐採したりする事もないので、今回も遠巻きに眺めるばかりですが、伐採作業はそれだけでも値打ちがあります。マルカーノ・郁生君は馴れた手つきで次々に伐採した丸太を短くカットしていきます。
何の木でも伐採直後の丸太は、短くても恐ろしく重たいものです。特に薪ストーブに使うようなクヌギやカシ、ナラなどの堅木になると、大人が両手で抱えられるサイズでも想像を絶するような重量になります。足元もおぼつかない所からそれを抱きかかえて車両に積み込む作業だけでもかなりのハードワークなのです。この急斜面にへばりつくように生えている木の中に、幾つか分けていただける木があります。そのうちの1本がこちらの木、結構な大きさの『ソヨゴ』です。ソヨゴは、モチノキ科モチノキ属の常緑樹で、その変わった名前の由来は、その葉が風にそよいでサヤサヤと音を立てるという意味の「戦(そよ)ぐ」が語源だとされています。以前に愛媛大学の樹木博士講座で実際の木を見て教えていただきましたが、これほど大きなソヨゴは初めて見ました。とても立派な木です。
ソヨゴを漢字で書くと、「戦」とか「冬青」、「具柄冬青」と現われます。「戦」は随分物騒なイメージですが、前述の「風が戦(そよ)ぐ」に由来しています。葉縁が波状になっているので余計に風にそよぐようです。冬でも葉が青々と茂っている植物を『冬青』と表現しますので、ソヨゴだけでなく、他の常緑樹でも当てはまるのですが、ソヨゴの葉の革質で逞しい様子がそう呼ばせたのかもしれません。他にもモチノキやナナメノキ、ネズミモチなどモチノキ科の仲間の木たちも『冬青』の異名で呼ばれる事があります。また、材質は緻密で堅く、櫛(くし)や算盤珠(そろばんだま)、などの細工物や工具、手斧(ちょうな)の柄などに使われることから、「具柄冬青」とも現わされるようです。まさに名は体を現わす通り。モチノキ同様、樹皮から鳥もちが採れます。
私は立ち木はさっぱりで、この木を見て『ソヨゴ』だとは判別出来ませんでしたが。大成君の知り合いの造園屋さんから教えていただきました。やはり餅は餅屋です!小口の断面を触ると、ちょっと粘り気があってトウネズミモチのような触感でした。さすがは鳥もちを採る木ならではです。伐採直後はどの木もたっぷりと水分を含んでいるので、瑞々しい色合いをしていますが乾燥するとその色合いもかなり変わってきます。大木の傍の小ぶりなソヨゴを分けていただきました。更に明日へ・・・!
薪ストーブのお店・サンシン暖炉の大成郁生君とは、愛媛木材青年協議会の先輩・後輩という関係だけでなく、酒飲み仲間でもあり、【森のかけら】代理店さんでもあり、恐らく一生付き合っていく大切な友人であります。大成君はバイタリティに溢れ、各種イベントは勿論の事、資格の習得にも熱心で次々と新たな事業展開にも着手しています。最初に出会った時も、その前向きな姿勢に感銘を受けましたが、仕事やプライベートで付き合うようになっても持ち前の行動力と真面目で気さくな人柄でドンドンネットワークを広げていっており、将来がますます嘱望される人物です。さて、ここでいきなり話が変わりますが昔、阪急ブレーブス(現在のオリックスの前身)に、マルカーノというベネズエラ出身の二塁手がいました。打点王にも輝いたシュアなバッティングと俊足強肩で堅実な守備、そしてまじめな人柄で、山田久志、福本豊、加藤秀司らと共に阪急の黄金時代を築きました。
特に華麗な守備は有名で、名ショート・大橋譲と組んだ鉄壁の二遊間は、当時パ・リーグNO.1の誉も高く、実際にマルカーノはその後ゴールデングラブ賞に4度輝きました(外国人最多記録)。当時自ら入団交渉に乗り出した智将・上田利治監督をして、「向こう10年、阪急のセカンドはマルカーノでもつ」と言わしめせたほど素晴らしいプレーヤーでした。残念ながら、阪急での実働は7年で、その後ヤクルトに移籍し、1990年に肺がんのため39歳の若さで亡くなったのは残念でした。 それにしても当時の阪急ブレーブスは強かったですね~。しかも同じ関西圏の球団でありながらも、南海ホークスとは全く雰囲気が全く違う、洗練された大人の常勝軍団のように感じられたものです。
さて、話が長くなりましたが、なぜに突然マルカーノだったかというと、大成君を愛媛木青協に勧誘したのが私で、入会後の彼の八面六臂の活躍は目を見張るものがあり、今後永らく愛媛木青協の屋台骨を支えていく人材です。そんな彼に、「向こう10年、愛媛木青協は大成でもつ!」という言い回しを使いたかった・・・だけの話なのです。それほど彼が稀有な人物であると言いたかったのです。という事で長い前口上となってしまいましたが、その大成君から先日電話をいただきました。
サンシンさんでは、薪ストーブだけではなくそこで使われる薪も販売されています。そのため薪用にクヌギやカシなどの広葉樹の伐採も手掛けられています。ちなみに薪の販売は、薪ストーブをご購入いただいた方へのサービス的な意味合いもあるとの事ですので、他社で薪ストーブを購入した方はご遠慮下さいとの事。ご自分で薪割りされる方はお分かりでしょうが、薪を用意するのも結構な労働作業なのです。薪ストーブ本体だけ売って、薪は自分で探して下さいとうところもあるようですが、こういうアフターの面も薪ストーブ購入の際の判断基準にされた方が良いと思います。先日もブログで触れましたが、世の中お金で解決できる事ばかりではありません。伐採現場に立ち合わせていただきましたが、その作業は危険も伴う重労働です。大切なお客さんのためにという思いで黙々と仕事に精を出すマルカーノ・郁生君。
広葉樹であれば何でもいいというわけではなく、火持ちの良いクヌギやカシなどが理想だそうですが、いつもそうタイミング良く適材が巡ってくるわけではありません。今回も伐採予定地一帯には、広葉樹に混ざって針葉樹もあります。広葉樹も全ての木を薪にするわけではありません。そういう時には声を掛けて欲しいとお願いしているので、今回も義理堅く声を掛けてくれました。私が到着した時には、今回の主役であるカシ(樫)は既に横倒しにされていました。これから短くカットしていくところです。
また長くなりそうなので、明日に続けます!
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