森のかけら | 大五木材


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20111031 1昨日APECの事に触れようと思ってすっかり脱線してしまいました。繰り返しになりますが、昨年【森のかけら】を展示していただいた横浜のAPECから早や1年。あれ以来、県外や官公庁などからの問い合わせも数多くいただくようになりました。商品は何も変ってはいませんが、『APEC出展』というのは錦の御旗のような効果があるのでしょうか。以前であればそういう事にも反発を覚えたものですが、歳を重ね少しは大人になり、そのあたりはうまく「活用」させていただく狡猾さも少しは身につきました

 

20111031 2自分の語りが届く範囲でモノが売れる事に喜びを感じたり満足する時期もありましたが、それはすなわち「外に向かう事」に臆病だったという事。商品単体でどこまでその意が伝わるか、というのが私にとって最大の命題でありましたが、累積で500セット購入していただいた「木のファン」がいたという現実が私の背中を押してくれました。案ずるより産むが易しの言葉通り、私の心配は杞憂に終わりました。詳しい説明などなくとも、見る人が見れば感ずるものはあるのだと。

 

20111031 3横浜のAPEC開催後しばらくして、記録用のDVDが送られてきました。出展商品を網羅したDVDですが、観直してみると改めて、ただ35mm角の木片を集めただけの【森のかけら】が、日本の最新技術の粋を集めた綺羅星の如きこの中において、如何に個性的(!?)商品であったか思い知らされました。別に己を卑下しているわけではありません。よくぞこの商品をこの場に取り上げていただいたものだと勇気付けられるのです。そして、私たちが扱う自然素材「木」に対する歴史的な追い風も強く感じるのです。

 

20111031 4こうすればもっと広い年齢層、広い市場で売れるとアドバイスをいただく事は数知れず。分からない人には分かってもらわなくともいい、そういう考え方ではこの先販売は伸びないと指摘も受けます。それは1つの真実で、「売れる商品づくり」のセオリーなのかもしれません。でも、それは誰のためのゴール?世間一般で流通する数多の商品のゴールは、「たくさん売って儲かる」事です。【森のかけら】だって、それを求めていないわけではありません。「たくさん売る」というゴールの奥に、マニアやコレクターがいるという考え方が普通なのかもしれませんが、私はマニアやコレクターという針の穴のようなゴールを狙い、その結果「そういう人がたくさん集まればいい」と考えています。その考えは間違っていると断ずる人がいますが、本来モノ作りの目指すゴールの形も大きさも自由だったはず。    明日に続く・・・




20111030 1巷では「平成の黒船」などど、今『TPP』の事で大騒ぎになっています。交渉のテーブルにつくかどうかを、今月ハワイで開催予定ののAPECで表明するという事で注目を集めていますが、早いものであれからもう1年が経過しようとしているんですね~。昨年の今頃は雲の上のAPECが目の前に現われて大慌てしたものですが・・・感無量。さて、TPPが木材業界にメリットがあるかどうかという事とは別に(マーケットが小さすぎて話題にすらされませんが・・・)、私個人としては「反対」です。

20111030 2これが全世界を対象としたものであればその意義も大きく異なるでしょうが、「環太平洋」などという如何にもワールドワイドなネーミングが曲者。環太平洋経済連携協定と言いながらも実質的にはアメリカ、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリ、オーストラリア、ペルー、マレーシア、ベトナムの9カ国の参加に過ぎず、アメリカが日本のマーケットを狙っているのがミエミエ。沈黙は金という時代もありましたが、こうやってそれぞれの立場から主張をする事によって、業界の国際的な立ち位置が透けて見えてきます。

20111030 3しかしそれも行き過ぎると、我が身の利権や、言い分ばかりを主張する我田引水な物言いに変ってきて、各業界ごとのただのアジテーションにしか聞こえなくなってしまいます。しかし自分の立場を明確にしないと抽象的過ぎて真意が伝わりづらくなるから、この主義主張をどう伝えるかは難しいところだと思います。弊社のような流通業の立場としては、より安価に材が入ってくれば結果として商売としてはプラスに作用するかもしれませんが、目先の利益には換金出来ないものがあります。

 

20111030 4昔より木のモノは日本人の暮らしと深く関わってきて、箸やお椀、まな板などの食生活から住居や家具、下駄、洗濯板、器、櫛、舟や棺や楽器などなど身のまわりの日常生活を支えてきました。それはすなわち「木の文化」でもあります。それぞれの木の特徴を鋭く観察して適材適所に活かしてきた、世界的にも類を見ない再生可能な素晴らしい文化だと思います。それが、利便性や価格競争の流れの中で、アルミやプラスティック、金属等々に取って代わられました。

 

20111030 5昔ながらの日本の伝統的なものづくりのそれぞれの背景にあった「それがそれでなければならない意味」や物語が消失しつつあります。一度失った文化を再生させるのは相当に難しく、ただ素材を元に戻せばどうにかなるという話ではありません。かつてこの国で誰もが抱いていたであろう木に対する漠然とした共通認識は、「エコ」とう言葉に摺りかえられて引き継がれてきているように思われがちですが、実は似て非なるものだと思っています。表層だけを捉えるのでなく、その背景にあるものが伝わらなければ、ただ言葉に酔っているに過ぎません。

20111030 6それでも日本人の精神性の底辺にある「木に対する異常な愛情」が希望の光です。小さな言葉やメッセージがわずかでも誰かのスイッチを押せればと思います。個人レベルのささやかな事ですが、文化という土壌あってこその木です。幹の大きさや美しさに目を奪われがちですが、根が伸びるための土づくりから始めねばなりません。アメリカの木もオーストラリアの木も大好きですが、互いの国の文化や暮らしを守り継承するという前提がなければ、安ければなんでもいいという潮流に飲み込まれかねません。国際的という言葉に弱い日本人は、なんとなく雰囲気で世界の流れなら「YES」でいいんじゃないのという事になりかねませんが、木に限らず連綿と受け継がれてきた文化を、目先の金とバーターするような選択をしてはいけないと思います。【森のかけら】で世界に羽ばたくという夢はTPPが無くても出来ます(やります!)。

 

20111030 7ワガリー・マータイさんの『モッタイナイ』で改めて気づかされた方も多いと思いますが、資源の少ない日本で限られた資源を無駄なく出来る限り大切に使おう当いう「モッタイナイ文化」こそは世界に誇れる日本人の智慧です。APECの事を書くつもりが横道に逸れました。しかし、自分の知識をひけらかし相手をどうでもこうでも論破しようとする高圧的な物言いは大嫌いですが、それぞれの人が自分なりの意見を言い合えるいい機会でもあります。正しい正しくないというより、日本人としての立ち位置が試されている選択だと思います。元寇や黒船来航、島国日本は時代時代で諸外国から大きな選択をせまられてきました。時にはそれが戦争に発展したり、国の在り方そのものを大きく左右もしてきました。タイムリミットは近づいています。遂に日本でも世論が国を動かす時がきたのかもしれません。この曇天の上に何が見えるのか・・・




我が家のすぐ傍に公園があるのですが、そこに小ぶりな『クヌギ(櫟』の木が幾つか植えられていて、この時期になると足元にどんぐりをたくさん落とします。松山で生まれ育ったとはいえ、よく田舎に帰省しては山や川で遊んでいる息子や娘達は、こういう「遊び道具」にも敏感です。周辺の公園にまで遠征をして、どんぐりの収集数を友達と競っています。先日も我が家の座敷に大量のどんぐりが!よく見ると容器に分けられているどんぐりに何かの法則性が・・・?!

どうやら、どんぐりの帽子(正式には殻斗(かくと)と言います)を被っているものいないもの、虫穴のあるもの、などなど大きさや形、特徴で選別を行ってるようです。このコレクター魂、DNA恐るべし!近所の子供も巻き込んで、彼らはこのどんぐりにお絵かきをしたり人形に変身させて遊んでいます。昔の子供の普通の遊びでしたが、今の子どもたちは決められた遊び方に慣れてしまい、オリジナルの遊びを創造しにくいのでしょう。どんぐりに戸惑う子供もいるようです。街に住んでいると、どんぐりに出会うことも「普通」ではありません。どこかの山から運ばれてきてアスファルトの上に転がるどんぐりは哀愁を誘います。やはりどんぐりは、落ち葉の中から少しだけ顔を覗かせていて、落ち葉を掻き分け集めるものです。公園や街路樹は、街の中のささやかな「森」を体感できる場所なのかもしれません。

父親からケチ根性と好奇心とコレクター魂もしっかり受け継いだ娘や息子達は、しっかり「どんぐり遊び」を堪能。更に彼らは、すべてのどんぐりを遊びに使わずに、幾つかは置いといて、それらをビニールに入れて、何と元の公園に埋めに行きました!「何のために?!」と訊くと、普通に埋めてしまうと芽が出てしまうので、ビニールに入れて埋めておいて、遊びたくなったらまた掘り起こすのだと・・・お前達はリスかっ!と思わず突っ込みたくなりました。なんと微笑ましい~というか無邪気というか・・・。

そのうちの幾つかのどんぐりは、ビニールから出して直接土に埋めたとか。「なんで?」と訊くと、「いいの、いいの。」・・・リスは集めたどんぐりを土に埋めて冬に備えるのだが、すべてのどんぐりを見つけれらず、幾つかはそのまま土の中の残してします。それは忘れたのではなく、また森のめぐみを与えてもらうための「森とのお約束」・・・『ヒッコリーのきのみ』などの絵本をよく読んで聞かせたせいでしょうか、彼らなりの「公園のクヌギとのお約束」を果たしたつもりなのかもしれません。




20111028 1日々いろいろなお客さんがいらして、テーブルやキャビネットやカウンターなどに使う樹種選びを楽しんでいただいております。以前はこういう事は、高額なテーブルや座卓の場合の『特別な人の特別な体験』でしたが、いまや気軽に、出窓の小さな飾り棚の材料ひとつでもご覧いただく『普通の人の普通の体験』になりつつあります。まあ、弊社にいらっしゃる方は、『普通』というよりは、少し『個性的』な方が多いので、世間一般の『普通』・・・ではないかもしれませんが。

 

20111028 2それでもこの10年で施主さんとの距離は随分縮んだと感じています。以前は専ら、設計士さんや工務店さんが施主さんを連れて来ていただくというスタイルでしたが、イベントなどの出展や異業種の交流も増え、直接お話させていただく機会がかなり増えました。それも、国内外の多様な樹種を取り扱っている材木店であるからこその特権です。入社して10年が過ぎた頃に、どういう方向の店にすべきか、自分なりに考えた事がありました。国産材専門店という道も、県産材専門店という選択だって出来ました。

 

20111028 3その時はっきりと方向性を打ち出したわけではありませんでしたが、自分の気持ちの中に「折角材木屋になったのだからいろいろな国のいろいろな木を見てみたい」という欲望はありました。その思いが、市場で珍しい木につい手を出してしまうという行為に走らせ、気がつけば倉庫には世界中の木が数10種類にも・・・。そうなると自然にそういうものを求める方が集まって来るようになり、いつの間にかそういう店のカラーが出来上がっていました。【森のかけら】がその勢いに輪を掛けたのは間違いありません。

 

20111028 4そういう社風だったからこそ【森のかけら】が生まれてきたとも言えます。【森のかけら】が世に出て以降、その240種からどれでもフローリングやテーブルの材を選べるんですか?という質問をよく受けるようになりましたが、残念ながら全ての材が建築や家具に適した特徴を備えているわけではありませんし、サイズや価格の問題もあります。むしろそうだからこそ、森の中には多様な木が存在する事の証明でもあると思うのです。木は決して建築材になるだけに生まれてきたわけではありません。『木選び』を通じて、そういうお話もさせていただいております。多種多様な材を扱う店という選択をしたからこそ、今こうして日々ブログを書けるようになったのだと思います。身近なところには多様な木が使われてます。切り口が多いほどに、それらとの木との関わりの多くなります。選ばれた木がどうなったかの「結果」の写真も相当に貯まりましたので、少しずつ「結果」についても触れさせていただきます。




20111027 1愛媛すごいもの博2011』で、まだ後3日はいけるネタはあるのですが、あまりしつこくなるのでそろそろ離れます。最近なにやらあるひとつの事象に出会うと、それが次々とリンクしてきたり、ある人や団体、企業につながっていったりして怖いぐらいなのですが、そういう見えざるゾーンというか輪の中にはまってしまったのかもしれません。実は弊社のブースの通りを挟んだ前で、『東北応援物産展&パネル展示』ブースがあり、ユネスコの皆さんだったと思うのですが、南三陸の被災現場の写真をパネル展示されていました。 

20111027 3不思議なご縁で、今大学生のインターンシップ活動に関わらせていただいているのですが、弊社に来てくれている学生たちが、陸前高田の被災地に行っていろいろお手伝いをしてきたメンバーなのです。中でも骨のありそうなちょっと変った(いい意味で!?)メンバーが集結。それで『すごいもの博』の初日に、愛媛大学で『インターンシップの報告会』が開催され、被災地からも数名の方が来松されていました。その夜に懇親会があるというので私も参加させていただきました。

 

20111027 2私は被災地に行ったわけでもなく当事者でも無いのですが、『チーム大五』の学生達が、来松された陸前高田の皆さんに何か記念になるモノを渡したいという事で、『木言葉書』にメッセージを書いてお渡しする事になりました。本当は、陸前高田の木を使って作れらたらよかったのですが、乾燥や木の特性やらあって何の木でもすぐに簡単に加工できるというわけではないので、今回は断念して既存のモノを使わせていただきました。報告会の様子がちょうど夕方のTVニュースで放送されていて、『チーム大五』の友野大地君が映っておりました。

 

20111027 5被災以前ですが、岩手には何度も訪れた事があり岩手の森が育てた『南部栗』や『南部あか松』には相当お世話になりました。個人的にもかなり思いれもありまして、何か出来る事があればお手伝いさせていただきたいという気持ちがありました。実際に現場を見ると聴くでは大違いなのでしょうけれども、それでも当事者から直接現地の様子をお聴きするのは初めてでしたので、生々しい現地の状況を教えられました。今回来松されたメンバーの中に、ちょうど陸前高田の製材所の方もいらしていろいろとお話をさせていただきました。まだ30数歳のお若い方でしたので、いけないとは思いつつも説教爺の事のようになってしまい反省ですが、魅力のある岩手の木のもっと友好な活用方法(森の出口)について熱く語り合わせていただきました。灯台下暗し、地元の魅力は地元では案外分かりにくいものです。

 

20111027 4先日も岩手に材料を発注させていただいたのですが、まだまだ川上からの流通が未回復で、予定通りの生産計画が進まないようです。その事情も十分理解しつつも、待った無しの現場で納期の板挟みに合いますが、そこをうまく調整するダム機能こそが、本来の材木店の役割であったはず。今こそ原点帰りで、その機能性を生かすときだと思っています。在庫を持たざる事こそが経営のロジックだと仰る先生方にはご理解できないでしょうが、「在庫を持つ」事がこれから本当に価値と意味を持つ時代になって来たと感じています。

20111027 6今回の弊社のインターンシップの取り組みでは、被災地を対象とした活動ではありませんが、奇しくも「岩手」という場所が学生達と私をつなげる扉となりました。『森の出口』を探す航海の途中、新しい出口の扉可も知れません。ヒントやチャンスはいつも目の前を高速で駆け抜けて行きます。それを掴むも掴まぬも自分次第。学生諸君の若い力を借りて、真新しい帆を揚げてみようと思います。いずこの港に寄港することになるのか?まだ少し船内には余裕がありますので、もう少し荷を積んでおきましょうか。




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