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私が大五木材の代表取締役に就任した4年前に会社の敷地の一角に植えた『栃』も少し大きくなって今年も青々とした葉をつけています。栃の語源は、その実や葉が百も千もつくほど多い事から『十千』と書いて『と・ち』と呼び、十(10)x千(1000)=万(10,000)から木編に万と書いて『栃』と表わすようになったのですが〔詳しくは『今日のかけら・栃』をご覧下さい〕、年々その葉の数も増えてきているような気がします。決して用材として植えたわけではありませんが今日はそんな栃の話。 |
大きいものであれああるほど、長年手元に置いてその素性も履歴も分かったものでなければ心配です。人との出会いも一期一会ならば木との出会いも同様です。ご縁があって弊社に来られたのですから、極力自分で語れることの出来る手持ちの材をつなげたいのです。どうしても適材がなければ仕入れねばなりませんが、なるべくならば「人と在庫」のご縁もおつなぎしたいものです。この数ヶ月間大きな1枚板のご注文が相次いでます。 |
半月もの間、出雲・松江地方にとどまっている間(あくまでブログ時間、実際は一泊二日ですが・・・)に現実世界ではいろいろな事がありました。弊社にいろいろな方がお見えになっていろいろな企画が決まり、幾つかの新商品も生まれました。中でも『北信越・大阪連合かけらチーム』の皆さんが遠方よりはるばるご来店いただいたのは嬉しい事でした。ちょうど瀬戸内の方で皆さん共通のお仕事があったとかで、わざわざ四国まで足を運んでいただきました。高速を使っても車でおよそ7時間強かかるとか・・・。それだけの時間と労力をかけて本当にありがたい事です。
もっとも遠くからお越しいただいたのが石川県金沢市の㈱ムラモトの村本喜義 社長㊨。【石川のかけら屋】さんです。日本木材青壮年団体協議会のOBにして石川の木材業界のドン!羊毛断熱材ウールブレスや無垢材を中心とした自然素材を扱われ、モデルハウス「流季の家」では、木のある暮らしを実践提唱されています。わが『夢のかけら』も多数お邪魔させていただきました。在庫されている無垢材の数も半端ではありません。いまどき市場で豪快な「おとな買い」を披露いただける貴重な親分。今回初のご来店。
写真中央が、福井県あわら市のエンドウ建材店の圓道忠雄さん。お二人が小さいんじゃないですよ、手前の方が身長190㎝もあるんです!圓道さんも【福井のかけら屋さん】です。2年前に、さまざまな無垢材のフローリングを展示したショールーム『圓木屋/えんぎや』をオープン。健康のためなら死んでもいいというスポーツマン。一応「建材屋」の看板を背負われてはいますが、無垢材に厚い情熱を注がれ思いを語る熱い材木屋さんです。全国の産地に通いネットワーク拡大中!
そして【大阪のかけら巨人】ことコボット㈱の田中畷士さん。全国に30数箇所ある【かけらの仲間】の中でも最大のかけら道啓蒙の功労者、大きいのは体だけではありません!家を地震などから守る補強金物「コボット」を販売される会社でありますが、もうひとつの顔は全国各地の生産者と工務店をつなる木材こーディネーター。まあその人脈と圧倒的な行動力にはいつも驚くばかり。今回もこの旅のほとんどをひとりで運転したとか・・・。初めて出会ってからもう10数年の歳月が流れました。
今回は、そのまま泊まらずに金沢まで帰られる(!到着は深夜・・・)という強行軍でしたので、あまり深くお話が出来なかったのですが、北信越では広葉樹の利用もまだまだ一般的ではないという事で、村本さんや圓道さん達の動きはかなり注目を集められています。現状に不満を言ったり、評論家のように分析されるだけの方が多い中、理念を実践される『北信越・大阪連合かけらチーム』の皆さんには本当に頭が下がります。必要なのは評論ではなく実践!思いが通じる仲間がいるということは素晴らしい!次は是非、金沢の地でお会いしましょう~!
★石川県の皆さん、【森のかけら】の実物は、㈱ムラモトさんの「流季の家」でご覧いただけます。 ★福井県の皆さん、【森のかけら】の実物は、エンドウ建材さんの「圓木屋」でご覧いただけます。 ★大阪府の皆さん、【森のかけら】の実物は、コボット㈱さんのオフィスでご覧いただけます。
※現品を見てご検討されたい方はお近くの『森のかけら屋の仲間』(↑)のお店にご注文下さい!
竹やぶの奥にあったのは天空へとつながりそうな木製の長い長い階段!どうやらそれは『桧』で出来ているらしいのですが、なぜその先の案内板も無い天空へ伸びているのか謎です。もはっ!?もしや、我々大一・五コンビが見たたたら製鉄の精錬所の亡骸がこの先にあるのでは?!皿を食らわば毒まで、この先に何も無いのならばわざわざこんな立派な階段を作るはずがないではないか!まるで徳川埋蔵金伝説を追うクルーの気分で、我々は桧の軋みを靴下に天空へと駆け上がるのでした。
階段のコンディションからして相当昔からあったようにも見受けられません。最上階から見下ろすと竹やぶの中に何とも異様な光景・・・。階段を上りきった先には何もなく、急な傾斜を上へといざなう道のようなものがあるばかり。これはもしかして・・・徳川埋蔵金番組にありがちな『そして謎はさらに深まった!』的はオチ(結局何も無かった)かいう疑心も生まれかかりましたが、もうここまで来て引き返すわけにもいきません。我々が『天空へ続く階段』と名付けた桧の階段の我々に道を示してくれているではないか!
しかしこういうロケーションだとやはり木製階段は桧ですね~。表面には緑の苔をまとっていましたが、腐食とかはしていません。雨ざらしですから施工直後は何らの塗装を施していたのかもしれません。ウッドデッキを施工される時によく尋ねられるのが「どれぐらいもちますか?」の言葉。弊社では現在、無塗装でも高い耐久性を誇るアイアンウッド(マニルカラやイペ等)をお勧めしていますが、それとてあくまで「天然素材・木」ですから、人間ごときが完璧なコントロールなど出来ようはずもありません。
気になる方は耐用年数ばかりを重視して、結局非木材(アルミや金属など)を選択される方もいらっしゃいます。安くはないお金を出すわけですから長くもつにこした事はないのですが、この地にひっそりと佇む桧の苔むした階段を見ていると「朽ちる」事も悪くないと思えてきます。荒れた竹やぶになり、わずかにそこにかつての栄華の名残を伝える階段の素材としては、桧がもっとも適しているように思えます。強度や価格以外の、そこにあることの存在意義や使命感など思うところがあります。
結局「天空の階段」の先の先は、膝が震えるほども急傾斜の山道が続いていて、直線だと2,300mぐらい(体感距離は1キロ!)だと思うのですが、そこにも施設の跡は何も無い「無人の野」でした。清水精錬所からはトロッコで搬送していたという事で、かつてはここで「インディ・ジョンーンズ」の世界が繰り広げられていたのでしょうか。廃墟フェチとかではありませんが、つわものどもの夢の跡に思いを馳せ、朽ちる美学に心を揺らしながら出雲・松江の旅は幕を閉じるのです。
ついに出雲・松江紀行が始まって月の半分を超えてしまいました・・・。地元の話題が山のように溜まっている中で、さすがにもうそろそろ家路にくべきなのですが、どうしても石見銀山の最後に触れておきたい所があるので、あと2回お付き合い下さい。実際にも「龍源寺間歩」を観たら戻るつもりが、電気自転車があまりにスイスイ快適なものですから、もう1ケ所寄ってみようと向かったのがこちらの「清水谷製錬所跡」です。「製麺所」ならぬ「製錬所」という言葉に惹かれ何気に向かったのですが・・・
メインの通りから脇に入って少し行くとそこが製錬所跡でした。跡地とありなしたから覚悟はしていましたが、何か少しは建物でも残っているのかと思ったら、石積みだけが残る本当の跡地でした。銀山で採掘された銀を製錬していたという事で、勝手に『もののけ姫』の「たたら製鉄」のような妄想を膨らませ過ぎていました。明治19年に本格的な銀の採掘開発が行われ明治27年に現在の貨幣価値にして数十億円もの近代的製錬所が建設されました。しかしその1年半後にこの施設はあっけなく閉鎖となるのです。
鉱石の品質が予想よりも悪かった事と、製錬技術が未熟だった事が原因だったそうです。今やつわものどもが夢のあと・・・苔の生えた名残の石積みと満開の桜、夜ではありませんが「荒城の月」のような風情があります。しんみりと感傷に浸っていると、一緒に行っていた大一ガスの岩田君が、更に上へとつながら道を発見。おお、それは是非とも行かねばなるまいっ!大五木材と大一ガスの数字コンビは無謀にも急な山の傾斜を駆け上ったのです。
高台から眺めると、泰然とした石積みと崩れかかった煉瓦の取り合わせが一層かつての栄華ともののあはれを痛切に感じます。形あるものいつかは終わりがくる。永遠に盛隆を極める産業などないのだと、この光景が語りかけてきます。だからこそやはり形ではなく人の心に残るようなものづくりを貫かねばならないと思うのです。さて、製錬所跡の最上部まで来たのですが、更にその上の竹やぶの中に天空へと続く階段のようなものが!既に手元のパンフレットにはこの先の案内がありません。この道、いずこへ・・・!
クロモジの名前の由来は、樹皮上の黒色の斑点を文字になぞらえたものだという説が有力。またクロモジの古名である「黒木」(見た目通り)が転化してクロモジになったとも言われていますが、いずれにしても万葉集にもその名が登場するぐらいですから、古くから日本人には馴染みのあった木という事です。その実用例の最たるものは、皮付きの高級爪楊枝や箸でしょう。手間隙のかかる作業でしょうが、その芳香を愉しむ先人たちの粋な心意気が垣間見える素敵な『出口』だと思います。
お茶屋さんなどで和菓子にクロモジの楊枝が添えられたりしているとちょっと得した気分になったりします。北海道以外の全域でその分布が見られ、各地で爪楊枝などに利用されていますが、あまり直径が大きくなると芳香が弱くなるとかで、萌芽後3年目ぐらいのモノが適材だとか。愛媛県のある地域では、嫁取りのスミ籠をクロモジで作った天秤棒で担ぐと縁起がよいとされていて、実際に利用されていて記録もあるそうです。この中村屋さんではクロモジを7年間も干して乾燥させられていました。
そのままでは何の匂いもしませんが、それを木槌で砕くと途端に芳ばしい香りが鼻腔を刺激します。それを色とりどりの可愛い巾着に入れて販売されていましたが、素材のままのものもありました。手が伸びかけたのですが、爪楊枝や箸の他にも、小枝や葉を水蒸気蒸留して香油を採取し、香水や化粧品、石鹸の香料となるなど末端まで『出口』は完璧で、新しい出口がひらめかなかったので、今回は(勇気を出して)思いとどまりました・・・。
日本人との付き合いも長く、その用途も生活に密着しているクロモジはエピソードも多く『語れる木』のひとつなのですが、それゆえに用途も徹底的に開発されているようです。クロモジに限らず強い芳香を持つクスノキ科の木は、材そのものよりも香りをうまく利用してきた歴史があります。東京・日本橋には創業300年を誇る日本で唯一の楊枝専門店もあるようです『株式会社さるや』さん。小さな小さな爪楊枝ですがその歴史は長く、奥深いものがありそうです。小枝とはいえ材料の確保も大変でしょう。
どの用途にでも思うのですが、最初にその用途に気がついた人は素晴らしいと思います。たまたま偶然という事もあるのでしょyが、きっと多くは日頃の観察の積み重ねではなかったのではないでしょうか。注意深く観察することで新しい出口も見えてくるのだと。自分で蒸留とかまで出来れば、本当の端材の端材まで無駄なく活用できて、更なる『モッタイナイ道』が開拓出来ると思うのですが、さすがに自分でそこまでは・・・嗚呼、香りの『出口の入口』とうまくつながらないものかしら・・。
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