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現在、住宅市場に流通している木製品の多くは『乾燥材』で、その多くは乾燥機で人工的に乾かせた『KD材(キルンドライの略)』と呼ばれるものです。用途や樹種にもよりますが、含水率20~25%前後まで乾かして、施工後の材の収縮や狂い、暴れ、割れなどを極力抑えようという目的でそうされています。フローリングやパネリングなど直接手足に接するような内装材になると更に厳しく温度管理、品質管理され商品が作りあげられています
それが現在の住宅用木材のごくごく一般的な品質だとされていますが、私が業界に入った四半世紀前には、KD材という言葉すら聞いた事が無くて(乾燥材という言葉はあったものの)、いわゆる『生材(なまざい)』も沢山流通していました。それがそのまま現場に行くというよりも、工務店さんや大工さんの倉庫や作業場に納品させてもらった後、そこで乾くまで保管されて、しっかり乾燥してから使われたりしていました。家が出来上がる時間も今よりは随分長かったものです。
乾燥材の乾燥コストを嫌って、自分で時間をかけて乾かせるだけの経済的・時間的余裕もあったんだと思います。昨今のように、今朝電話した乾燥材の商品がどうしても昼までに現場にないと間に合わない~!というような慌しい状況でもありませんでしたし、注文される大工さんも、日頃から製材や材木屋に出入りして様子を見たり聞いたりしているわけですから、そのあたりの状況は十分理解されたうえで、考えてからご注文をいただいていました。
今、製材所に行って材の生産過程をご覧になっている現場監督がどれぐらいいるでしょうか。特に若い方の中には、伐採現場も製材現場も一度も見たことが無いという人も珍しくありません。といって、製材現場ぐらい知っておけというのは木材業界側の怠慢であり驕りでもあります。一方的にそれぞれの都合や事情を押し付けたところで喧嘩になるばかり。お互いがもう少しだけ『木』というキーワードを通じて、互いの事情やら都合を理解したいものです。
若い設計士さん、大工さんの中にも、伐採現場や製材現場を見たい、知りたいという熱心な方はいらして、弊社の倉庫にもよく足を運ばれる方もいます。サウナのような蒸し暑い倉庫の中で汗まみれになって木を見られる姿を見ていると、そんな人にはきっと材木の神様が微笑まれるのだろうと感じるのです。『五感で楽しめる、感じれる木材』を使う人、広める人が、五感も使わずに木を扱おうなんて思ってはバチが当たります。さあ、今日も楽しい汗をかきましょう~!
最近、個人・企業からだけでなく、学校や団体・行政関係の方から【森のかけら】のご注文をいただく機会が増えています。何か特別に新しい仕掛けをしたわけでもないので、たまたまそういう傾向が続いているのだと思いますが、全然離れた地域で同時期に一般的ではない方々(通常弊社のような会社とは関わりがありそうにもないようなところという意です、あくまでも)から同じようなご注文をいただいたりすると、何だか不思議な因縁を感じたりするのです。
思うに、こういう商品にもバイオリズムのようなものがあって、実は奥の奥の方ではまったく意図していないような因果や、『見えざる力』が働いていたりするのかもしれないと真剣に考える事があります。実際には、後から聴いてみれば共通の紹介者が居たとか、子会社や関連団体が実は取引やつながりがあったとか、物理的に説明できたりするような事がほとんどだったりするのですが、それでも私は見えざる因果を信じるようにしています。
ロマンを求める商品には、やはり神秘的なロマンのようなものも必要なのです。ある木材関係の方が、「240種もの同じスペック(仕様)の木があって、判別などできるわけが無い」と、その樹種確定の信憑性を疑わうよな事を仰られた事がありました。もし、樹種名の無い240種のかけらをいきなり目の前に置かれたとしたら、私とてそれら全てを正確に識別する事は不可能です。木材の識別には、木目や木柄、色合い、質感、重さ、匂いなど多くの基準となる要素があります。
また地域性という事もありますので、四国であればこういう木は自生していないとか、流通していないとか、ある程度類推しながら樹種を絞り込んでいく事も出来ますが、わずか35mm角の小さなサイズで一切の情報無しで並べて識別せよと言われて100点満点取れる材木屋はまずいないと思われます。メジャーな木ですら、赤味や白太など部位によっても印象は大きく変わりますし、個体差は当然あるので辞典に出てくるような基準点は参考にならない事もしばしば。
では、適当に名前を付けているのかというと、そういうわけではなく、識別の比較的やりやすい荒材段階で材を特定し、特徴の似ていないような材を少量ずつままとめて加工し、加工後に仕分けして樹種を確定させているだけの事。入口と出口さえしっかり確認・管理しておけば何も難しい作業ではありません。何事も結果だけを求める方は、その過程に思考をめぐらせる事はせず、出来ない理由をあげつらいます。『小さな出来る事』を日々積み重ねよう~!
最近の弊社の倉庫の中、この数年見た事もないほどに(?!)整理されています。スタッフは皆、整理好きでこまめに掃除もしてもらうのですが、あれこれ奥から引っ張り出しては広げ探してほったらかしにしてしまう私が諸悪の根源。綺麗に片付けてもらっていても、無垢材の打ち合わせがあって材を広げてお客さんに見てもらったりすると、すぐに倉庫は荒れていきます・・・見てもらうために表に出す時は威勢もいいのですが、片付けになると勢いも急降下・・・
材を見ていただく時は、こちらとしても「見せる楽しみ、語る喜び」もあって、重たい材もなんのその!という気分なのですが、最終的に採用されずに、誰にも見られることなく再び倉庫の奥へとしまう作業はどうしてもテンションも下がってしまいます。それで、ついつい倉庫の入り口付近に重ねて放置しておいたりすると、木が木を呼んで、気がつくと大変な事になっていたりするのです。皮肉なもので、いま必要な材は、いまもっとも取りにくい所にある!というのが材木屋の定説。
こう見えても台帳だけは細かに管理しているのです。ただ問題は、台帳にあるはずの材がどこに紛れ込んでいるのかを探し出せるかという事。まあ、ものは考えようで、そうやって材を探すために材に触れる機会が多い方が、材のコンディション(乾燥度合いや反りやねじれなど)を確認する事が出来るとも言えます。いえいえ、決して強がりでも何でもありません!加工機のある倉庫に保管している材は、木粉がうず高く積み上がり、材を移動すると木粉の雪が降ります。
倉庫の奥から陽のあたる場所に出した時に、写真を撮ればいいのですが、4mを超えるような材はなかなか写真にも納まらず、結局最後は実物確認になります。それに、倉庫の奥の奥の方から、難儀をしながら引っ張り出すという『わざわざ感』を感じた方が、より真剣に販売意欲が増しますし、何だか箔もつくような気がして、ある種のセレモニー的な高揚感もあったりするのです。効率なんて言葉では量れないものが材木屋の倉庫にはまだまだあったりするのです!
今年の6月上旬松山市北梅本町に、ハーブと輸入・オリジナル雑貨を扱う店『Roco(ロコ)』さんがオープンしました。お店を運営されているのは、デザイン・印刷関連事業などを幅広く手掛けられる『㈲クリエイティブ・ユニット』さん。デザイン・印刷関係の会社がハーブや雑貨のお店を運営されるだけでも変わっているのに、こちらの会社が手掛けられる仕事は実に多彩で多岐にわたります。そのうちの1つが、四国のがんばる企業を紹介する情報ポータルサイト『S‐ttoko』(しっとこ)。
どういうサイトかというと、愛媛県を中心に四国の頑張る企業、特色ある企業を、クリエイティブ・ユニットのスタッフの方が訪問し、経営者の思いやメッセージを発信するというものですが、企業が書いた文章をただ掲載するのではなく、スタッフの方が聞き取りをしながら、一緒になって消費者に訴えていくべきポイントを探ってくれるというものです。しかもこれが掲載料無料というのですから企業にとってはありがたいばかりの話。仕事の一環でもあるホームページの作成や印刷関係の仕事への展開という思惑も当然あるでしょうが、それ以上にあるのは地元企業と共に生きようという決意。
店舗の隣の敷地には、さまざまなハーブが植えられていて、いずれはここで採取されたハーブを使ったハーブティーなどの販売やハーブを使った寄せ植え作りなども検討されていらっしゃるようです。生憎、木と同じ植物ではあってもハーブに対しての知識がほとんど無いために、その魅力の断片しか理解できていませんが、いろいろな種類の物が集まるというのは、それだけでなんだか心が騒ぎます。店内には、このハーブにまつわるアロマや入浴剤、キャンドルなど東欧の雑貨などが沢山揃っています。
その一角に【森のかけら】をはじめとする弊社の商品も置いていただいています。現在、東北から九州まで全国で20数箇所の企業の皆さんが、【森のかけら】を扱っていただいておりますが、県内においては弊社の事務所以外で実物絵を展示販売してもらってているのは、松山市三番町にある愛媛県森林組合連合会内にある(林業会館1F))『えひめ森林物語』さんだけでした。『Roco(ロコ)』さんでは、がっつり専門スペースを取っていただき大量の商品を展示していただいております。
木製のマグネット『森のしるし』についても、従来の『家紋シリーズ』から『すて木なキッチン』や『アニマルシリーズ』のラインナップまで並べていただいております。やはり木製品は1個1個の表情が違いますので、実際に手にして表情を確認できるスペースが増える事はありがたいです。さらにものづくりの理念までご理解・共有できるところと手を組めるというのは尚更ありがたい事。軟らかい発想で新たな事業に取り組まれる㈲クリエイティブ・ユニット』さんの益々のご活躍を祈念しております(新嘉彦社長㊧・新英輔取締役㊨)。
先日このブログでご紹介させていただいた焼き鳥屋『黒てんぐ』さんに、改めて「客」としてお邪魔させていただきました。最近少し商業店舗に関わらせていただく仕事が少なくなっていたので、こうして完成後にそのお店で飲食させていただくのも久し振りのこと。こうして完成後に、気の置けない仲間たちと美味しい酒を飲めば、納品、加工時のいろいろな苦労も、酒の肴の思い出話として盛り上がります。オープン直後にも関わらず店内はお客さんで溢れ大繁盛!さすがは人気店。
こちらの店舗は全て椅子席となっているので、店内中央にあるカウンター席に陣取り、客としての立場から、自慢の焼き鳥と無垢材の質感を味合わせていただくことに。今回収めさせていただいたブビンガの1枚板のカウンターは、弊社では荒割りまでの段階を担当させていただきましたので、表面のなぐり加工は別の方がされました。少し浅いなぐりの程よい凹凸が掌に心地よく、いつものブビンガの堅牢な冷たい触感とはひと味もふた味も違って感じられます。
材木屋としてついつい『素材感』とか『素材の持ち味』という事に固執してしまい、奇をてらった加工や複雑な細工を敬遠してしまいがちなのですが、こうして素材本来の持ち味を活かしつつ、まったく違う味付けをして仕上がった実例を見ると、料理人たる設計士さんのセンスや持っておられるレシピの奥深さに圧倒されるのです。何かのCMではありませんが、「何も足さない、何も引かない」という素材へのアプローチもそれはそれでひとつの見識でありますが、そこに執着し過ぎると料理の幅がなくなります。
こういう現場に触れると、嗚呼自分は今まで充分に素材を活かしてこれなかったなあと、材にも施主さんにも申し訳ない気持ちになるのですが、しかしそれも未熟な私がその時その時で発揮できた精一杯のパフォーマンス。それもご縁とあきらめていただいて、いただくしかございません。ここまでいけば完成という事がない生き物相手の商売であります。さまざまな木を手にして日々新たな発見と感動の毎日。ひと様をご満足させる以前に、まだまだ己が木の素晴らしさ楽しさに酔いしれている毎日でございます・・・。
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