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『クリエーターズクラブ愛媛(CCE)』の定例会でお話をさせていただいた後は、私の強いリクエストで懇親会を開いていただきました。講演会+懇親会はセットは必須条件。講演させていただいて懇親会がないなんて、折角注いでもらったお酒を味わいもせずにこぼしてしまうようなもの!折角のご縁で知り合ったお方と、酒も酌み交わせずに分かれてしまうなんて何とモッタイナイ!今生の盃一杯で偶然の出会いが必然に変わろうとするのに、それを拒む不届き者になるべからず!
という高邁な理念のもと、デザイン関係の皆様15人と材木屋1人の懇親会がスタート。まわりを見渡せば私が最高齢!・・・複雑な心境でもありますが、それが現実。まあそれにしても正岡昇会長㊧(株式会社シンプル代表取締役)をはじめ、皆さんなんて気持ちのよい素敵なメンバーなことでしょうか!つい数時間前に知り合ったばかりとは思えない親近感で急速接近!相手の心を読み解く事がお仕事の皆さん、さすがです。モノづくりの前にひとづくり、徹底実践されてます。
折角クリエーターの皆様方との交流ですからただ酒を酌み交わすだけではモッタイナイ。皆さんに昼間の話を聴いていただいたうえで、木全般に対するキャッチコピーを考えて下さいとの課題を出して、この場で書き出していただきました。さすがに私も鬼ではないので、ひとりずつ声に出して発表していただくなんて事はやめようと、紙を回して書いてもらっていたのですが、フリーランスライターの四之宮裕二さんは血が騒ぎその場でご自分のコピーを発表して下さいました。
タレントのおすぎ口調で魂のメッセージに感動!おすぎ(杉)を持ってくるあたりに四之宮さんの並々ならぬ決意を感じました。あえてその内容には触れませんが、皆さんコピーの権利はその場で放棄して下さいましたので、折りをみて使わせていただくかもしれません。更に飽きっぽい材木屋を退屈させないために、正岡会長が会員ひとりひとりから木に関する質問コーナーを設けていただき、飲むのも食べるのも忘れてここぞとばかり喋くりまくり、懇親会を独り堪能!
盛りあがった結果、2次会、3次会となだれ込み、久々に翌日喉が痛くなるほど熱く喋らせていただきました。若さに羨ましさや妬みはありませんし、私は若い頃よりも今の方が楽しいと思っているのですが、CCEの皆さんの熱意と創造のパワーには圧倒されました。このエネルギーと『木材』がつながらないなんてあまりにモッタイナイ!デザインの洗礼を受けない木材業界に未来はないが、逆を言えばそこにこそ木の新しい出口がある。恐らく次は講師とは違う立場でお世話になりたいです!CCEに乾杯!
6月の中旬の話なので今更なのですが、愛媛の新進気鋭の若手デザイナーの皆さんで作る『クリエーターズクラブ愛媛(CCE)』という会があるのですが、そこから定例会で木の話をしてもらえないかというありがたいお誘いを受けました。CCE会では定期的に会合を開いていて、デザインに関する方を外部から招いてお話を聴いているのだそうですが、前回の講師が『猛獣使いの行政マン』として名高い我らの藤田雅彦氏。その藤田さんからご紹介、お断りする理由は見当たりません。
また、自宅のすぐ近くにCCEのメンバーである佐竹篤史さんが住んでいらしている事もあって、こんな私(が好き勝手にやらしてもらっても)でよろしければという条件で、なぜに小さな材木屋がデザイナーの皆様の前でデザインについてお話をするなどという無謀をするようになったのかという経緯を、『材木屋の異常な愛情 ~また材木屋はいかにして恐れを捨てデザイナーとつき合うようになったか?~』というタイトルでおよそ2時間好き放題喋らせていただきました。
20数名の方が参加していただき、弊社の狭いショールームで肩を寄せ合いながら話を聴いていただきました。事前に講師案内や内容を告知していただいたうえでの参加という事ですので、嘘でも少しは木の事にも興味があるという人の集まりなわけですから私にとっては完全ホーム。しかもデザインという言葉ってどうにでも拡大解釈できる魔法の調味料ですし、共通言語をお持ちの感度のいい方々ですから、言葉の裏側や含みまで読み取ってくれるはず、という安心感があります!
毎度のことながらついつい調子に乗って本題からかなり脱線もしながらお話をさせていただいたので、私自身は大いに楽しめたのですが、参加された皆さんが楽しめたかどうかは?ですが、こういう考えを持った材木屋もいるという事だけご理解いただければと思います。私が一方的に喋る構成でしたので、参加者の方の『材木屋を見る視点』についてはお聞きできませんでしたが、木はデザイナ-にとっても『使える、使い甲斐のある素材』だという事だけは間違いないようです。
思いがけない大長編となった広葉樹の聖地巡礼シリーズも遂に最終回。旅の土産に秋田名物『いぶりがっこ』を購入。説明するまでもありませんが、『いぶりがっこ』とは秋田の内陸地方南部に伝わる伝統的な漬物で、大根などを燻製にして米糠と塩で漬け込んだものです。山間部では降雪の時期が早く、屋外で野菜を干すことが出来なかったことから、室内で吊るすようになり、昔はどこの家にもあった囲炉裏の熱と曇りで燻され独特の風味がついたものが始まりだとされています。
雪が多い秋田の保存食として伝わってきたのですが、最近では囲炉裏のある家も少なくなり、専用の燻製機を使って漬物メーカーが作っているそうです。今回大根と人参のいぶりがっこを購入しました。今までにも何度か食べたことがあったのですが、その背景を知って意識してから味わってみると、燻製の香りが口中に広がります。恐らくその昔過程で作られていた当時は、囲炉裏にくべられる木の種類や火加減でそれぞれの家庭ごとに個性ある味わいのいぶりがっこがあったのでしょう。
当時から薪には豊富な森の広葉樹が使われたのでしょうか。燻製いえば、最近ではアウトドアでも気軽に使える鉄製の燻製鍋も低価格で販売されています。前に一度友人が室内で試したことがあったのですが、換気が悪かったので煙がこもって涙が出て大変でした。その燻製に使うスモークチップによって風味が変わってくるため、どの木を使うかという事も大切で、サクラ、ヒッコリー、クルミ、ビーチ(ブナ)、アルダーあたりが定番。その5種を集めた『スモークウッドの5かけら』もあります。
燻った煙で美味しくなるのは食べ物だけではありません。食する美味しさではありませんが、燻す(サーモ処理)ことで飛躍的に材の耐朽性を高め、 腐食に強くねじれや狂いの発生しにくい木材に変える技術が、薬剤を一切使わずに水蒸気の熱で高熱処理した『燻製高熱処理木材』です。業界では樹種の前にサーモをつけて、例えば『サーモアッシュ』などと呼ばれています。弊社ではこのたび燻製処理したイエローポプラ、『サーモポプラ』の原板を仕入しました。
弊社の月刊通信『適材適所』の4月号(NO.191)でも取り上げましたが、材の表面は燻製処理のお陰でブラック・ウォールナットかと見まがうほどにこげ茶に変色していて、燻した時の独特の匂いがあります。これを削ったりカットしても中身も同じ色合い。説明がなければこれがまさかイエローポプラだとは誰も分からない変身ぶりです。サーモ処理は加工したフローリングなどに施される事が多いのですが、弊社の場合は原板なので様々な用途での対応が可能となっています(右は天井板)。
広葉樹の出口の広さについては以前もご紹介しましたが、これだけ豊かな森林背景を持つ秋田の地には、その木材を使った多くの工芸品もあります。中でも有名なのがサクラの皮を使用した『樺細工(桜皮細工) 』です。角館の樺細工は、俸禄だけでは暮らしていけなかった下級武士の手内職として生まれたもので、天明の頃、凶作、飢饉が続き、元手のかからない山の桜の樹皮を剥いで作り始めたのが起源とされています。それが現在では年間数十億にも及ぶ基幹産業に成長。
折角角館まで来ているので、田鉃産業さんから車で数分のところにある武家屋敷にも立ち寄ってみました。武家屋敷通りには、樺細工などの工芸品を扱う店が軒を連ねていました。角館の桜は、青森の弘前公園、岩手の北上展勝地と並んで『みちのく三大桜の名所』のひとつと呼ばれる名所ですが、およそ400本もある枝垂れ桜が、4月中旬から5月上旬の開花期には、われ先にと美を競うよう咲き誇るのです。立派な桜のうち162本は国の天然記念物に指定されています。
生憎もうすっかり桜の季節は終わっていましたが、むしろそのお陰で桜の立派な幹や枝ぶりはよく観察出来ました。武家屋敷通りにはサクラ以外にもカエデやナラなどの木々も植えてありましたが、通りは青々とした新鮮な緑に包まれて風情のある情景です。日本の美しき木造文化の伝統と矜持が今に継承され、映画『たそがれ清兵衛』のロケもされたのも納得の趣きがあり、時代劇の中にタイムスリップしたような感覚に襲われます。
全国各地の産地に行っても、ほとんどが駅と工場の往復で、観光名所などに行く暇もないのですが、今回は少しだけ時間がありましたので町並みを駆け足で散策(それでも30分程度ですが)。樺細工の茶筒を購入しようと思ったのですが、欲しかったサイズが想像以上に高額であったため懐具合と相談して心のカメラに留める事にして、もうひとつの手軽な角館のイタヤカエデのイタヤ細工『左馬』を購入。伝統工芸の歴史を応援するためにはそれなりの対価を払う覚悟も必要・・・
ちなみに秋田は戦国末期に、佐竹義宣が徳川家康によって国替えを命じられ、常盤国から秋田へ移住して初代の秋田藩主になった歴史があるのですが、町中に佐竹家の家紋『五本骨扇に月丸』が掲げてありました。義宣は、豊臣政権時には家康や前田利家らた並び六大将と呼ばれ、後に家康が『今の世にまれに見る律義者』と詠んだほどの名将ですが、『森のしるし・器材文様家紋』で佐竹家の家紋を作る際に資料調べをしていたこともあって、秋田が随分身近に感じられました。ご縁の種にどこにもある。
凄まじいばかりの田鉃産業さんの広葉樹の在庫の中で、弊社が少し前にお世話になったのが『山桜』です。木童さんと共同で、乱尺の90㎜、120㎜、150㎜幅のそれぞれの山桜の無垢のフローリング『みちのおく山桜』を作られています。その中のから120㎜幅のものを分けていただきました。ひと口に120㎜幅といっても当然芯が入っていては使い物になりませんから、芯を外した部分で120㎜や150㎜が取れる材となると、そこそこの大きさが必要になります。
それでフローリングを作るわけですから、10枚や20枚といった話ではなく、乱尺換算でも10数坪だけでも数百枚単位となるわけです。安定してそれだけのサイズの板が取れる山桜の良質な原木が必要になります。しかも老木の桜になると中が腐って大きな洞が出来ていたり、虫に被害を受けている事も多く、たまたまスポットで運よく材が入った時だけ作りますというレベルではなく、山桜でこれぐらいのサイズのフローリングを安定的に生産されている会社を私は他に知りません。
今回お使いいただいた現場については、まだ施工中ですので床の養生が外れてから、現場写真でも撮れた時に改めてご紹介させていただきますが、材本来の木味を活かす植物性オイルで仕上げている事もあって美しい仕上がりです!しばらくは赤身と白身のコントラストが強いですが、経年変化でいい具合に馴染んできてより深みのある表情を楽しめることになると思います。これだけの山桜が安定して出材される秋田の森林資源に恐れ入るのと、それを作り出す田鉃産業さんの情熱に脱帽。
その山桜だけでなく、クリやホオ、ミズキ、オニグルミ、ブナ、カエデ、アサダなどの東北産の広葉樹フローリングも揃っていて実に魅力的です。ただし田鉃産業さんでは、たっぷりと時間をかけて天然乾燥させて最後に人工乾燥させるので、タイミングによっては納期に時間がかかる場合もあります。それも広葉樹を使う上での礼儀作法。年輪に刻まれた数十年の時間を思えば、数か月待つことぐらい・・・東北の豊饒の森で育った広葉樹商品にはそれぐらいの価値は充分にあります。
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