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先日収めさせていただいたのが、『ヒッコリー』のダイニングテーブル。長さ2400mm、幅950mm、高さ710mmというかなり大きなサイズです。ヒッコリーは数あるクルミ科の中でも最強最重量を誇る、『もっとも硬くて重たいクルミ』です。オニグルミやブラック・ウォールナットで、クルミを認識している方にとっては、これもクルミの仲間なんですと説明しても違和感を感じるほどに見た目の印象と触り心地が違うというのが、ヒッコリーの最大の特徴です。 |
ということは、ありえない話ではありますが万が一このタイタンオオウスバカミキリ(もうその名前からしてレア感が漂うのですが)に目をつけられていまうと、高額で貴重なゼブラウッドであろうが、黒檀やチークであろうが、眼前でバリバリと喰われていくのをガンジーのように無抵抗でなされるがまま見守るしかないのか~!?いや、もし宿主がワシントン条約附属書Ⅰのリストに掲載されている絶滅の危険に瀕している『ブラジリアンローズウッド』だったらどうなのか?!
妄想は広がるのですが、それよりもなによりも成虫でこの大きさという事は、幼虫でもかなりの巨躯を誇っていらっしゃるのでしょうから、駆除いや強制退去していただくことなど到底無理!下手すると口から何か恐ろしい異物を吐きかけられる恐れすらありそうですので、もう宿主がローズ様でも諦めるしかありません。それはさておき話を現実世界に戻しますと、先日資材置き場を廻っていると不思議な光景に遭遇しました。そこには『エノキ』の板材を置いているのですが、
虫穴の開いた1本のエノキに黒いハチらしき昆虫が引っ付いてもがいていました。最初、キリの中に産み付けられた幼虫が成虫になって穴から出ようとしているのだがお尻のあたりが引っかかって出られないのかと思っていたのですが、よくよく見るとそうでもなさそう。昆虫の生態には詳しくないので実際のところはよく分からないのですが、珍しい光景だったのでしばらくの間観察していると、どうやら開いていたエノキの穴の中にメスのハチが卵を産み付けているのではないかと?!
近づいてよく見ると、お尻が引っかかっているようではありませんが、私がすぐ傍まで近づいても一向に逃げる気配がありません。じっと観察すると、ハチがプルプルと痙攣するかのような震えを繰り返しています。その後も数分の間その状況は続きました。その後、電話が鳴ってその場を離れ、少しして戻ってみるともうそこにはハチの姿はありませんでした。穴は意外に深くて先が曲がっていたので中の確認は出来ませんでした。放置しておけばいずれそのエノキは餌となるかもしれません。
それでもさすがに今目の前で産まれたばかりの(勝手に私が妄想しているだけで、産卵でもなんでもないのかもしれないのですが・・・)生命を奪う事は憚(はばか)られ、その1本のエノキは今まで殺生してしまった多くの虫たちへの懺悔と鎮魂の意味を込めて、彼ら幼虫への捧げものとしてそのままにしておくことにしました(あくまでも産卵したという妄想で)。小さな木材屋の小さな敷地の中で世界各地から不本意ながら集まってきたであろう虫たちの小さな命の営みは続くのであります。
弊社の木材置き場には、世界各地の耳付き板が置いてあるのですが、その多くが天然可能であるため、仕事が終わって静かになった時に資材置き場を歩いていると、「カリカリカリ・・・」という木を削る小さな音が聞こえてきます。耳を澄まして音のする方に近づくと、人気を察したのか音は止まります。しかし少し離れるとまた音が・・・。中には近づこうが、木を触ろうが気にもかけず無心で木を削る剛の虫もいたりします!木は決して人間だけのものではありませんが・・・
さすがに目の前で大切な木材が虫喰いになっていくのを許すほどに人間が出来てはおりません。そういう場合は、申し訳ないのですが強制退去していただくことになります。音が大きい場合は、かなり活動が盛んになっている事が多く、樹皮が文字通り首の皮一枚状態になっていて、少し触るだけでボロボロに崩れ落ちる事もあります。木と樹皮の間あたりの軟らかい部分が好物ですが、そこを食すと材の方にも進行して、穿孔跡が無数にありそこには・・・ウスバカミキリの幼虫が!
リアル動物が苦手な私ですが、その中でも幼虫類は特にNG!大の大人が情けないと言われようとも苦手なものは苦手。それでもさすがに大切な商売道具を見殺しには出来ません。嫌々ながら(もうそれが虫などとは思うなと脳に指令を送りつつ)強制退去を執行せねばなりません。まあ虫たちには何の罪もないのですが、もうこればかりは産み付けられた所が運が悪かったと諦めてもらうしかありません。こちらにも養わなければならない家族がおりますので・・・殺生御免。
中にはすでに成虫に成長した虫もいたりするのですが、うちで見かけるウスバカミキリはどんなに大きくてもせいぜい体長20~30mmですが、世界には恐るべきカミキリムシがいます。先日たまたまネットで見つけたのですが、南米の熱帯雨林地帯に生息する『タイタンオオウスバカミキリ』は、世界最大のカミキリムシで体長はなんと150〜200mmにも及ぶとか!個体数が圧倒的に少なく、その生態は未解明な点も多く個体数の激減から、絶滅危惧種に指定されているとか!!!
さて、そんな挽き落としの楽しみのひとつがこちら。今回挽いてもらったクスノキは、相当に根元が張っていた原木でしたので、根元の辺りでこういう形の挽き落としが出てきます。普通ならばチップか焼却炉行きとされる落ち材なのでしょうが、私には『お宝』にしか見えません。特にクスノキの節あり材は、風雨に揺れる枝が折れるまい、折れるまいと苦難に耐えた証しが、縮み杢となって現われるのですが、そこが私にすればその木の『森での履歴書』のように思えて愛おしいのです。 |
ある日の昼下がり、ある地方の町に独りの男がやって来た。東京から電車でやって来たスーツ姿のひとりの男は、もうすぐ10月だとは思えないほどの強い日差しに思わずワイシャツの襟元を緩めた。駅を出ると、待ち構えていたタクシーに無造作に乗り込んだ。「お客さん、どこまで?」見知らぬ土地にて、男は手にしていた行先の地図描かれている目的地の名前を告げた。すると、どうやらその店の名前だけで通じたらしく、タクシードライバーはアクセルを踏んでハンドルを切った。
男はちょっと驚いた。地方の町とはいってもそこそこ人口もいると聞いている。そんな町で、これから自分が伺おうとしている所は、名前を出すだけで分かるほど有名な店なのだという事に。車窓から見える景色にも秋の気配が伺える。これからきっと何度かこの地を訪れる事になるだろう。きっとその時には、今日の事を懐かしく思い起こすのだろうと深い感傷に浸っていると、タクシードライバーの声が男を現実世界に引き戻したのだった・・・「お客さんも取材かい?」
男は行先以外の言葉を口にはしていなかった。そして男がそこに向かう目的も取材などではなかった。にも関わらずタクシードライバーは男の容貌と、駅から来たという経路、この町に不慣れという事などから推察して、東京から取材に来たのだと思ったのだろう。男はその質問をやんわりと否定しながらも決して悪い気はしていなかった。そうか、私がこれから向かう先は、そんなに沢山の取材が県外から来るようなところなのだと思うと、自然と笑みがこぼれてしまうのだった。
やがて、タクシーはしばらく走った後、河に面した小さな白い建物の前で止まった。ひと時だけでもいい気分にさせてくれたタクシードライバーに軽くお礼を言うと、男は店の扉のノブに手をかけた。その扉越しに、中の会話が漏れてきた。東京、ギフト、おとな、デザイン、寺、マイル、ギョウセイ、ヨンケイ、フミフミ、罠、金・・・断片的に聞こえてくる、何のつながりも無さそうに点在していた言葉が、男が扉を開けた瞬間に繋がり、意味を持ち、一本の線となって男に突き刺さった!
そう、そこは大洲で知らない者はいない『Sa-Rah』!そこに集まりしは『おとなの部活動』の9歳児の頃の思いを抱き続ける怪しきおとなたち。本日は、おとなの事情でフルメンバーとはいかなかったものの、東京から香川経由でNTTデータの村瀬君を迎えて相変わらずの盛り上り。無駄な話がほとんどと・・・いやいや、素敵な発想はゆとりある心の中からしか生まれませんから。今日も名言・金言が店内を飛び交い、おとなたちは楽しく迷走中!『女が動けば、男も動く!』(千秋談)
※画像は、かの名作『タクシードライバー』のもので本文とは何ら関係も深い意味も貶める意図もございません・・・
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