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少し前のブログで触れましたが、12月11日に松山市内の愛媛県松山市男女共同参画推進センター・コムズにて、『COMS白熱教室2015』のゲストスピーカーをさせていただきます。『カワリモノ~多様性の時代に~』というテーマで選んでいただいたという事は、カワリモノと認めていただけたという証だと思っていますので偏屈材木屋としては光栄至極。一応段取りというか打ち合わせらしきことは話したものの、カワリモノなんだからまともにいく筈がないと、言い訳不要なのが役得。
白熱教室といえば、私が連想するのはこういうイメージなのですが、間違っているのだろうか?まあ、そんな事は気にもしていないので好き勝手にやるのですが、こういうカワリモノの話でも聴いてみたいと思う人が増えてきたという事は、世はまさに多様性の時代なんだろうと思います。この仕事に就いた当時、この辺りではヒノキが王道で、広葉樹といってもせいぜいケヤキかサクラ程度。一部の商業店舗などでは外材広葉樹なども使ってはいたのでしょうが、別世界の感覚でした。
こういうものって、そういうルートがあったとしてもそれをきちんと語れる『ひと』が居ないと定着していきません。私が若い頃は、その役目をされる一匹狼的なブローカーの材木屋さんがいて、時々事務所にブラリとやって来ては、聞いたこともないような珍しい材のサンプルを置いていくような感じで、当時は「これでどうやって食っていっているんだろう」と不思議に思っていたものの、魚心あれば水心。隙間に体形を合わせていくことで、人間どうにでも生きていけるものだと実感。
そういう方って個人商売だったりするので、それなりに(それでも十分なほどに?)食っていけたんだと思いますが、BtoBの卸売り商売であったため、広葉樹の魅力が一般の方にまではなかなか広く定着しなかったように思います。やはり一般的ではないカワリモノの魅力を伝えようと思ったら、カワリモノ本人がそのひとの言葉で直接熱く、眼をキラキラ(ギラギラ)させながら語るしかないのです、そうやって洗脳していくしかないのです。という事で、12月11日は『洗脳教室』、気をつけろよ~!!
※白熱教室、詳しくはこちら
愛媛県では、地元の伝統工芸品や市場価値が高いと思われる生活用品など愛媛が誇るモノ、その製造に行かされる技術や商品の魅力を『すごモノ』として、県内外に情報発信し更なる販路開拓に結び付けるための営業ツールとしてデータベース化しています。日本屈指の高い技術力や優れた製品を持つものづくり企業をまとめた『すご技』、柑橘や水産品をはじめとする豊富な農林水産物『すご味』に続くもので、企業の補助エンジンとして実需の創出を目指して作られました。
今年、その『すごモノ』の追加募集が行われ、弊社の【森のかけら】も掲載していただきました。愛媛県では中村時広知事が営業本部長となって、県外や海外への県産物の売り込みを積極的に行われていて、こういう取り組みにも熱心で、大手のような販売ルートや営業ツールを持たない零細中小企業にとっては実にありがたい支援なのです。掲載されている企業は愛媛全県域に広がっていて、今治タオルや砥部焼、真珠、水引など伝統的な愛媛の特産品が多く名前を連ねています。
こういう企画だと、以前は県産材を使ったモノというのが絶対的な条件であったのですが、最近は愛媛のモノ(素材)だけでなく、魅力的な商品を生み出す「ひと」に対するアプローチも寛容になってきていて、昔に比べて行政のモノの考え方も随分と柔らかくなってきたなあと感じるのは、『県産材もいいけど材木屋として生きるからには、世界中の木を見てみたい、触ってみたい、紹介したい、扱ってみたい』という偏屈人間のひがみ根性かもしれませんが・・・。
それはともかく、県のモノを他県や県外に売り出す際にとかく食べ物ばかりにスポットがあたる事が多かったのですが、こうしていろいろなジャンルの商品もご紹介いただけるのはありがたい事です。これからのものづくりは、単に商品の品質・精度だけではなく、その背景にあるものづくりの思いや人、という事もきちんと伝えていかなければならないと思っていますが、こういう時代において、必ずしも愛媛県内だけでものづくりネットワークが完結することなどないと思われます。県外はもとより海外からの素材を使う、県外の工場で製造する、県外のデザイナーにプロダクトを依頼する、そうやって多くの人の手が加わり、ご協力いただきながら、連携してモノが生まれていくいう流れですから、これから県産品という考え方、捉え方も大きく変わってくると思われます。そうなると、やはり基本となるのは「ひと」の思い。
『すごモノ』データベース⇒https://www.pref.ehime.jp/h30200/sugomono/documents/00-20.pdf
昨日に続いて「炙り」とスモークの話・・・一軒目の炙り料理で予想以上に盛り上がったお陰で、次の店もこの路線で行こうという事になり、二軒目は市内二番町の『燻製酒場 むう』。こちらは、看板通り燻製専門酒場で、私の故郷の隣町の城川町の「城川自然牧場のベーコン」はじめ、さまざまな食材が燻製となって登場します。いつもいつも行くとなるとあれですが、たまにはこういう流れもいいもんです。 |
名もなきというのは語弊がありますが、特徴が似ているのと、そこまで世間様に名を出すなんて恐縮です~という控えめで慎み深い広葉樹は、いろいろな器具の柄や、器や椀などキッチン廻りで実は沢山広葉樹は使われているのです。それで、このお店ではどんな広葉樹が使われているのか気になっていたのですが、こちらでは素材に合わせて「サクラ、ヒッコリー、カシ」などが使われていました。酔ってなければもう少し突っ込んで聞いたのですが、多少記憶も曖昧・・・。 |
その中のひとつ『ヒッコリー』といえば、先日ご紹介した尾原ミナさんのご自宅の料理教室用のキッチンカウンターの素材。燻煙業界でもっとも知名度と人気があり、どういう料理にでも合わせられるオールラウンドプレーヤー。燻製木材を買うのに迷ったら、ヒッコリーを買っておけば間違いないと言われるほどのスターで、家具などの原料として提案しても「燻製の木ね」と言われるほど。たまにはこうして、家具や内装材以外などの木の「出口」に触れてみるのも大事なこと。 |
先日、気の置けない木材関係の仲間たちと街で飲むことになったのですが、折角なのでいつも行っていない店に行こうという事になり、その内の一人が知っている『炙(あぶ)り』が売りの店に行くことに。私は初めてだったのですが、それが市内三番町にある『黒船』。事前に話を聞いていたら、何でもかんでも炙ってしまうかなりマニアックな炙り専門店かと思っていましたが、そういうわけではなくて炙り以外にも蕎麦やその他の料理もありますのでご安心。
まずは、地元のお酒(松山三井)で喉を潤して炙り料理を待ちます。以前は、全国クラスの有名日本酒を追いかけた時期もありましたが、歳を重ねると地元の酒の方が妙に落ち着くというか、収まりがいいというか、口に合うような感じになってきました。食べ物・飲み物と一緒にするのはどうかとは思いますが、木についても地元の木に愛着を抱くようになるのは、特性や合理的であるという理由よりも、郷愁や抒情的、感情的な部分が強くなるのかもしれないなあと・・・。
さて、メインの料理の方もほどよい炙り加減でとても美味でした。こちらはトロにも引けを取らないともいわれる脂がたっぷりのった『ノドグロ』の炙り、最近、こういう炙り料理を謳ったお店も増えているそうですが、材木屋として「炙り」と聞いて連想するのは、燻製に使う木の事。炙りと燻製は根本的に違いますが、どちらも火や煙を使って料理を美味しくするつながりで、スモークウッドについて。知識としては知っていてもインドア人間である私は実演したこともないのですが・・・。
一般的に燻製に使うのは広葉樹で、煤が多くて黒ずんだり、ヤニっ気のある針葉樹はその匂いが敬遠され使われることはありません。普段は「木に貴賤なし!」と公言しながらも、ヒノキ・スギ・マツのビッグ3に代表される針葉樹スター軍団に比べると、圧倒的に知名度の低い広葉樹の方をついつい贔屓してしまうのが偏屈材木屋の本懐。なので、こういう風に広葉樹でなければならない、という「出口」とかを取りあげる際にはつい必要以上に感情移入してしまうのです。続く・・・
今回の作業は自分でやり抜こうと決めたものの、改めて4000個近い数を貼っていくとなると、体力というよりは時間の方が問題。決められたバランスで小さなパーツを作り、それを幾つか集めて大きなパーツを作る作業の繰り返しなのですが、さすがに作れども作れども終わらず。単純作業ながら並べる順番とかも微妙なので集中しておかないと、すぐに配列がバラバラになってしまうので、電話などで作業が中断してしまう昼間は作業を断念して、夜自宅ですることに・・・。
【森のかけら】のように多品種のモノでランダムに何かを作るという事であればまだしも、樹種数が少ないうえに色合いも似たような木なので、つい手元も狂ってしまいます。そもそも一定の規則に従って順番に配置するという事が苦手なので悪戦苦闘。夜な夜な、子供たちのアシストも受けて(並べたストックの山から番号順に私に手渡す等)およそ10日間ほどかかってようやく完成。といってもアートパネルのベースが出来ただけのことで、この後専門の業者さんが絵を描きます。
そして絵が描かれ、店舗の壁面に実際に取り付けられた様子がこちら。およそ4000個の九州産の木で作られたアートパネル。弊社からはパーツで出荷したのですが、全部組み合わせると結構な重さになります。無事に取り付けられたようでひと安心。完成した実物を見たわけではないのですが、機会がればぜひ実物を見に、九州に行ってみたいものです。木の凹凸が結構あるので、光の反射具合で陰影が生まれて、写真で見ると何が描かれているのか分かりにくいかもしれません。
画像をできるだけアップにして、見えやすいように加工してみると少しは分かるかもしれません。農夫がコーヒーを求めてジャングルの中の道を進んでいる姿が分かるでしょうか?たぶん、実物を観る場合も少し離れた所から観るとか、観る角度によるなど多少コツがいるのかもしれませんが。今回はこういう形でカフェと関わらせていただきましたが、最近いろいろな形で県内外のカフェとお仕事をさせていただく機会が増えていて、そろそろ『違いの分かる男』にならねば・・・。
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