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材木屋として私が『山』という言葉からイメージするのは、青々とした常緑樹が茂る緑の山、あるいは紅葉で錦秋に彩られた秋の山。いずれも私ども材木屋の生きる糧である木の有るところ、棲むところなのですが、そういう風にイメージされない方もいらっしゃるようで、山といえば人をも拒む極寒の冬山、落葉した木々が寒々しく立ち並ぶ荒涼とした風景を想起される方々がいます。そう登山家と呼ばれる人種の方々。そんなヤバ過ぎる連中が世界最高峰の雪山に挑んだ映画を鑑賞。
その映画のタイトルは「エベレスト3D」。文字通り、雪山の極限状態を臨場感溢れすぎの3Dで描いた作品で、1996年に実際に起きた山岳遭難事件を基にしたサバイバルアドベンチャーという事。どこからどこまでが実写で、どれがCGなのか判別もつきませんが、制作スタッフ・俳優ともに実際に山に登って、本当に映画の内容と同じような過酷な環境で撮影されたという事ですが、保険会社の保険がきくギリギリ限界まで登って撮影したとか裏話がやたらと勇ましい。
実際の遭難事故がベースという事で、当然雪山には雪男もUFOも現れず、ただひたすら凄まじい荒行のような現実が問答無用で押し迫ってくるばかりなのですが、私からすれば「だから言わんこっちゃない」的な気持ちを脱しきれず。これが、『岳』のような遭難救助とかでもいうようなシチュエーションならいざ知らず、ただ己の欲望と栄光のためだけに行った結果として起きた現実については、すべて自己責任だと思うし、冷徹ですが理解や同情の余地すら湧き起こらず。
そもそも危険は百も承知のはずで、死に至らずとも凍傷で手足を失うことだって日常茶飯事。そんなリスクを超えるだけの素晴らしいものが、あの雪山の頂にあるのだと言われても、私の心には響かず。雪山で遭難した際のヘリの救出にどれだけ税金がつぎ込まれるのかが気がかりなんて人間は、無鉄砲な登山家たちに腹が立つばかり。雪山登山の描写など映画としては素晴らしく、観ているだけでも冷気を感じ震えそうになるものの、命知らずの野心家の魂はインドア派には届かず。
この映画に限りませんが、アメリカ人ってどうしてこうも動くなと言っても動くし、止めろと言っても止めないのか。衝動的身勝手行為が厄災を連れてくるのはハリウッド映画の導入定番ですが、観ているこちらはイライラ!まあ、そういう極限状態に置かれた時ほどヒーローは魅力を放つという立ち位置で作られているのだから仕方がないのではありますが、ゴリゴリの利己主義が他人に迷惑をかける構図に辟易する日本人も多いのではないでしょうか(私だけ?)
当事者達にすればお互い好きでやっていることなので後いもないのでしょうが、少しは自制してチームプレイに徹しろよ~と、この手の映画の登場人物たちの身勝手さに怒りすら感じてしまうのは、日頃から現場で極力他業者の方に迷惑をかけないようにと慎重にも慎重を期して作業をしている習慣かもしれません。ひとの言う事を聞けない奴は、サメにでもエイリアンにでも勝手に食われてろ~!ただし他人に迷惑かけんなよ~!あ、それじゃあ映画にならないか・・・。
この『えひめのすごいもの博』は、愛媛県と松山市の共催ということで、愛媛県内全域からさまざまな職種の企業が集まって来られますので、馴染みの顔や久し振りの再会があるのも楽しみのひとつです。しかし、場所が広いということもあって、自社ブースが盛況だと(決してバカ売れしているという意味ではなく、2人で切り盛りしているので持ち場を離れられないという意味で)あちこちブース巡りも出来ずじまい。そんな中にあっても貴重な出会いがありました。
それがこちらの『無茶々園』の川越 江身子姐さん。無茶々園の柑橘類ベースのコスメブランド部門『yaetoco ~ヤエトコ~』の方では、『おとなの部活動』を通じて高瀬英明君や岩下紗矢香さんなどとディープな交流を深めているのですが、こちらの江身子姐さんこそが、yaetocoの懐刀にして生ける伝説。Facebookでしばしば切れ味鋭いコメントをいただき、薫陶を受けているのですが、間接的にお言葉を賜っているばかりで、何度か機会あれどお会いすること叶わず。
『おとなの部活動』の初代猛獣使い・藤田雅彦氏をして、世が世ならば話をすることすらも憚られる地位にのぼりつめて、影からこの国を動かしていたやもしれぬとまで言わしめた論客にして才媛。このたびようやく念願が叶い、ご尊顔を拝し奉りました。いつものエッジの効いたコメントから察するに、冷酷無比な鉄仮面の女帝・西太后のような恐ろしいお方(!)かと思っていたら、なんとも穏やかでみかんを愛する笑顔の素敵なお姉さまでございました。百聞は一見にしかず。
わずかな時間しかお話しできませんでしたが、 一度でもこうして顔を合わせてお話しするだけで、次からいただくコメントの言葉の裏側まで類推することが出来そうです。それにしても、ガンダムプレゼンを駆使する曲芸師・高瀬、28歳としか思えぬ落ち着きっぷりと貫禄の岩下、斬鉄の切れ味を持つ言葉で人を斬る江身子姐という面々を擁し、表向きはコスメなどとお洒落なイメージを装いながらも、実は必殺仕事人養成所のような無茶々園の闇の深さこそ恐るべし!
『えひめすごいもの博』の続きですが、開場時間が近づくと老若男女が続々と集まって来ます。愛媛のイベントでもすっかり浸透してきた『木の玉プール』、何の説明が無くとも子供たちは靴を脱いでサークルの中に吸い込まれていきます。そして、それを見守る大人たちの輪が幾重にも広がっていって、『木の玉サークル』は完成します。毎度のことですが、あっという間にブースに人が溢れ返ります。本能だけで人は「木」に集まってくるのだということを実感させられます。
「木の玉プール」だけでなく、ブース内では愛媛県産のヒノキなどを使った無料のDIYコーナーなどもあるのですが、そちらもあっという間に満席。一端席が埋まってしまうと、そのまま満席状態が最後まで続いて、木工の人気の高さを見せつけてくれます。このイベントとは関係ありませんが、弊社にも近所の小さな子供たちが毎日にように木工をさせて欲しいとやって来て金槌の音を響かせています。木と道具さえあれば、いつでもどこでもそこは「木工広場」!
木のおもちゃだけでなく、一応【森のかけら】などのオリジナル商品も展示・販売してはいるのですが、さすがにいきなり数万円の高額商品を手に取るというのは難しく、ほとんどスルー、あるいは頭から全否定(高いという理由だけで)されてしまいます。まあ、PRということで割り切って持って来ているので、売れると期待しているわけではないものの、無関心というのも辛いもの。嘘でも関心を持ってもらうというのは嬉しいものです。会話もできますし・・・。
そんな中にあっても、1つのイベントで数人ぐらいは運命的な出会いを果たす事があるもので、そんな出会いがその後もずっと続くことも珍しくなかったりするのです。今回は、高知県の大学で勉強されているロシア人女性の方。日本の中世の歴史を学ばれているということで、戦国時代の家紋をスタンプした『森のしるし』を次々と言い当て、高知在住ということで長曽我部元親の家紋マグネットをお買い上げいただいたのですが、家紋って外国の方に結構人気あります。
たまたまでしょうが、その後も不思議と高知県にご縁のある方が数人いらして、長曽我部元親の家紋が売り切れてしまいました。こういう偏りって結構あって、ある家紋ばかりに人気が集中することがよくあるのですが、補充できないところが出張イベントの辛さ。ところで、近くの『松山市児童館・児童センター』さんのブースでは、1万枚のヒノキの板を使って子供たちが自由に積み木に興じていましたが、年々木の小物で体験できるスペースがあちこちで増えてきていて、木の啓蒙活動実践拡大中!
11月21、22日の両日、松山市城山公園で開催された『えひめすごいもの博』に今年も出展させていただきました。いつものように『(公財)愛媛の森林基金』さんのブースにて愛媛県産材のPRや木育のお手伝い、木工商品の販売などをさせていただきました。毎年同じブースで出展させていただいていると、えらいものでほとんどPRしていなくとも、木の玉プールの匂いをかぎつけて常連ささんが訪ねてきていただけます。継続も力であるということを強く意識づけられます。
今年はちょうど「ゆるキャラグランプリ」が開催されていることもあって、愛媛県のイメージアップキャラクターである『みきゃん』の姿があちらこちらに。当然我等のブース前でも、みきゃんの描かれた幟(のぼり)がはためいています。2017年に開催される愛媛国体のマスコットキャラでもあるので、今後もまだまだ露出が続くようです。ゆるキャラについては、いろいろ意見もあるようですが、認知度の向上は間違いなし。
功罪あれどそのブームもさすがに下火になって、そろそろ本来の立ち位置に戻るのではないかと思います。それはさておき、準備の段階から出展業者の手伝いに来ていた子供たちがめざとくやって来て、自分たちがどのおもちゃが好きなのか、どうやって遊ぶのかなどを強くアピールしながら遊び始めます。その姿を見ていると、かつては私たち夫婦も3人の子供を連れてこういうイベントに参加していた頃の事を思い出します。今ではそれぞれ高校生、中学生になりました。
部活動の関係もあって、一緒に連れていくこともなくなりましたが、つくづく時間の経つのは早いものだと感じます。当時は3人の幼子がちょろちょろ動き回って大変でしたが、今思い起こせばそれも懐かしく楽しい記憶でしかありません。大きくなっていく子供たちの姿を見ていると、昔からずっと同じような事をしているなあと、成長の無さに呆れたり、よく続けてきたものだと飽き性の自分に感心したり。それもそのはず、早いもので材木屋27年目・・・。
愛媛大学のある講義で、『学生プレゼンバトル』というものがあり、私にもお声がかかり参加させていただく事になりました。大学に関わらず現在いろいろな職種、分野で開催されているそうですが、学生プレゼンバトルとは、『学群生や院生が自らの専攻している学問、または研究していることがらを魅力をわかりやく伝えるスキルを競う企画』という事で、要は研究成果をいかに他人に分かりやすく魅力的に伝えるかというものです。そんな授業になぜ一介の材木屋が招かれたかというと・・・
今回のプレゼンバトルは予選と本選があって、『モノの売り方を考える』というのがテーマになっていて、予選では何の変哲もないゴム手袋、手帳、クリップが素材となっています。それらが本当はとんでもない機能や技術を持ったモノだという体で審査員にプレゼンするというもの。いかに相手を感心させるような上手な嘘をついて相手を得心させられるかという提案力を競い合います。本選に進んだチームは、弊社の『森の毒りんご』についてその売り方をプレゼンします。
審査員には地元の銀行や行政の方が選出されていて、折角なので地元で作られているモノを題材にしようという事なり、弊社の『森の毒りんご』に白羽の矢が立ったのです。素材や商品の背景(毒性があるため利用されることの少ない材を使っている云々)が面白いのに、どこにどういう風に売り出していくんのか、いまだ販売先が定まっていないという点が評価(?)されたようです。まあ私的には、マニアの目に留まって少しずつ口コミで売れればいいと思っているところでしたが。
それでも、こちらとしてもこんなモノづくりをしている馬鹿な材木屋がいるという事をPRできるありがたい機会ですので喜んで参加させていただきました。ひと通り商品説明をした後は、チームに分かれた学生たちがそれぞれ2分の持ち時間を使って、『森の毒りんご』がどういうモノで、これからどこに売っていくつもりなのかをプレゼンしてくれます。中にはプロの営業マン顔負けなぐらい、まさに自分が作った商品のように立て板に水の口調でプレゼンする学生もいて感心。
限られた時間の中で若い感性が考えた『森の毒りんご』の出口、さすがにそのまま使えるようなものではありませんでしたが、私が考えていたことにかなり近いモノもあって、こちらとしてはその方向性が若い方にも受け入れられる土壌はあるのだと確信出来て大きな成果でした。モノづくりの過程や背景に強いこだわりがあればあるほど、そこに執着して視野が狭くなってしまうこともあるので、第三者の目で商品を見てもらうというのも大切な事だと得心させられた一日でした。
※ 森のりんご&森の毒りんご・・・こちらで販売中
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