森のかけら | 大五木材


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昨日に続いて四国桂設計さんの事務所改装の話の続きです。事務所の床にお使いいただいたのは、ブラック・ウォールナットのラスティック・グレード。ラスティック・グレードとは、ご覧の通り、白太や大きな節、入皮、ピンホール等を豪快に取り入れた野趣溢れる品質のものです。好みの問題はあるでしょうが、黒から茶、こげ茶、赤茶褐色など複雑で濃厚なチョコレート色のグラデーションがこの木の最大の魅力だと感じている私としては、このグレードの床材が一番お気に入りです。

根がひねくれていて、変わったモノ好きなこともあって、節や白太も無いような万人受けするA級品質はどうしても肌が合いません。一般受けせずに注目も浴びず取り扱いにも苦労するような日陰者の材などのほうが、心がときめいてしまうのです。ブラック・ウォールナットのラスティックグレードもかつてはそんな日陰者の木で(少なくとも私の周辺では)、ベテランの大工さん連中からは、「そんな節まみれの白太混じりのB品が使えるか~!」と散々酷評されてきました。

まだ施主との距離が遠く、大工さんに販売することが主だった時代には、この木の魅力を末端(施主)まで届ける術が無く悶々とした日々を過ごしていました。それから月日は流れ、施主さんや設計士さんたちがリアル木材を見るために、偏屈材木屋の倉庫に足しげく通っていただけるようになりました。それでようやくラスティック・グレードのフローリング(ブラック・ウォールナットに限らず)にも光が当たるようになったのですが、そこから先はラスティックばかりが売れる・・・

枝を折られまいと木の生命力が雨風と格闘した名残が節の周りに刻み込まれて味わいのある節を生み出す話や、まだ原木になる前に北アメリカの大地で屹立していた頃の樹木の話、衝撃に強うことから銃床などに利用されたため南北戦争などで大量に伐採された話など、大工さんにはどうでもいいような話かもしれませんが、その材の上でこれからの人生を過ごす当事者の皆さんにとっては、その木の歴史や伝承、由来を知ることはこちら以上に興味があることなのだと確信した次第。




日頃からお世話になっている四国桂設計さんが事務所を改装されということで、弊社の木材も一部使っていただきました。以前にこのブログでもご紹介させていただきましたが四国桂設計大野純平さんは、年代的にも近く感覚も似ていらっしゃる青木住巧青木英章さんと一緒によく弊社にも足を運んでいただきます。若い次世代の建築に携わられる方が、本やネットではない「リアル木材」の質感や本物の感覚や木にまつわる話を求めてご来店いただけるのは本当に嬉しいことです。

それに応えるべくこちらとしてもできる限り分かりやすく木の説明やお話をさせていただき、リアル木材を楽しんでいただこうと思っているものの、求められている肝心な話以外の逸話や伝承、などの小噺的な話に脱線してばかりなので反省しているところ。さて、事務所の移転に伴い、材のご提案をさせていただかねばならないのですが、ご自分で「」と名乗られているぐらいなのですから当然、カツラの木をお薦めしないわけにはいかないでしょう!それでまずはカツラをご提案。

ただ、その時弊社の手持ちのカツラの材は、長さ2m前後で耳付きの柾目のものが少ししか残っておりませんでしたので、幅を剥ぎ合わせて打ち合わせ用のテーブルに使っていただくことになりました。それで仕上がったのがこちら!多少「追い柾」も混じっているものの、カツラの柾目の幅剥ぎテーブル。先日からカツラの木の特徴についてはご説明してきましたが、人間の体温にもっとも近いと表現される通り、とても温もりが感じられる木です。ただし柾目なので板目よりやや堅い。

 

愛媛にもカツラは自生しているものの木材市場に出てくることは稀で(ほとんどなくて)、愛媛の建築の現場では馴染みの薄い木です。個人的に非常に興味のあった私は、北海道や東北からカツラの材を仕入れてきたのですが、愛媛では認知度が低く、1梱包を売り切るのに何年もかかりました。今回使っていただいた材で弊社のカツラの柾目もようやく底が見えたわけですが、そうなればそうなったで妙に寂しく感じてしまう・・・のは悪い癖。使っていただいてこそなんぼですから。続く・・・




圧倒的に県外からのご注文が多かったモザイクボードですが、ここ最近愛媛県内からもお声をかけていただく機会が増えてきました。テーブルやカウンター、飾り台、スツール、什器など用途はさまざまですが、その特徴を生かして華やかな舞台に引っ張り上げていただき本当にありがたい限りです。「モッタイナイ・コンセプトで端材ベースから生まれた商品」ですので、どういう種類の木の組み合わせになるかはその時々の原料次第。世の中の1枚として同じものは存在しません。

 

Exif_JPEG_PICTUREモザイクボードを作り始めた当初、カットサンプルを全国各地の設計士、工務店、住宅関連産業、デザイナー、同業材木屋等々の方に郵送してご意見を伺いましたが、その当時は意見は真っ二つに分かれていて、「面白い~!こんなの見たことない、すぐに使いたい」という肯定派と、異樹種を混ぜていてリスクが高すぎる(それぞれの木が収縮によってどう暴れるか分からないという意味)、派手すぎて住宅では使い切れない、店舗向き、値段が高すぎるなどといった否定派のご意見。

 

Exif_JPEG_PICTURE今までの既存商品に無いものを作ろうとしているので、反発があったり拒否反応があるのは当たり前のことなんですが、生来もの忘れが激しい私は否定派の意見をすっかり忘れてしまい、肯定派の意見だけが頭に残ってしまい、結局貴重なアンケートのご意見にほとんど耳を傾けることなく突っ走ってしまったのです。まあ、それが今のところはいい方向に転がりつつあるというのが現状ですが、好事魔多し。売れるに伴い原料である端材に窮するようになって、大きな板をつまみ食いすることも。

 

Exif_JPEG_PICTUREそれでゼブラウッドパープルハートウェンジなどのレアな木もモザイクボードに組み込まれていくことに・・・。また、別注サイズのご問い合わせも増えているのですが、今のところ工場の製造ラインの関係もあって、別注サイズでの製作はお受けしておりません。ただ、規格サイズを切ったり貼ったりした形での対応は可能ですので、幅900㎜などのテーブルでも製作は出来ます。本日も仕上がったモザイクボードが入荷。少しづつたまって高くなるストックの山に複雑な心境・・・。




20160328 1雨が降る日に気になるものは雲の大きさばかりだけど♪・・・ウッドデッキの事も気にかかります。弊社ではウッドデッキに、アイアンウッドの別名もある高耐朽性木材をお薦めしています。その中でも、いちばん力を入れているのがブラジル産の『マニルカラ』。今や「アマゾンジャラ」の俗称の方が有名になってしまいましたが。ブラジルで伐採後、ウッドデッキサイズに加工され日本に輸入されるのですが、その時の色合いは表面の汚れもあってくすんだ淡赤暗褐といったところ。

 

Exif_JPEG_PICTUREこのマニルカラに関わらず、海外で加工され日本に輸入されるディメンションランバーのほとんどは、S4S・E4Eといって4面プレーナー加工+4方面取り加工されています。なので、ウッドデッキにする場合にも、輸入されたサイズをそのまま施工するケースが一般的です。ですから施工後も、無塗装仕上げの場合であれば色調は輸入されてきた時と同じくくすんだ淡赤暗褐色のまま(まあ、どういう色調で言語化するかは個人差がありますので、表現についてはご容赦下さい)。

 

20160328 3それがこのようにひとたび雨に濡れようものなら、思わず「ウソ~!嘘だと言ってよ、ジョー!」などと叫びたくなるほどに劇的な変化を遂げます。更に、乾燥して材に付着していた樹液が溶け出し、シャンプーをかけたかと思えるほど大量の泡が放出されます。ただしそれは雨に濡れた後、デッキブラシなどで磨いた場合で、雨に濡れても何もしなければここまで泡が出ることはありません。また泡が出たからといっても、この状態が永遠に続くわけではなく、一度流れ出れば終わりです。

 

20160328 4今までにもこのことは何度も書いてきましたし、使っていただく場合にはご説明もさせていただいておりますが、いくら話を聞いていたとしても実際にこれだけ大量の泡が噴き出すのを目の当たりにすると驚かれる場合があるので、何度も取り上げさせていただいております。ここまで泡が出なくとも、樹液がコンクリートを汚したりするケースもあります。高い耐朽性を誇るアイアンウッドですが、木は決して人間の役に立つために生まれてきたわけではありませんので材の特性をよくご理解下さい




木綿のような肌触りを持つカツラ(桂)の事をご紹介させていただいていますが、本日は具体的なカツラの木の使用実例についてのご紹介。愛媛にいては建築材や家具材としてでもほとんど使われる機会のないカツラですが、不思議と弊社ではカツラを取り入れていただいた現場が連続しています。そのうちの1つが、イシマルデザイン一級建築士事務所岸絹子さんが手掛けられた『ギャラリー隣花庵』さん(松山市小栗町)。庭の美しい瀟洒な日本家屋を改造してギャラリーにされました。

店内で砥部焼などの器を展示される展示台をご注文いただきまして、岩手県産のカツラの耳付き板を使っていただきました。両耳付きで、かなり耳に変化のある(凹凸の激しい)木ですが、弊社で眠ること10数年。恐ろしいまでに乾燥が進んでいて、長さ2m、幅950㎜ありますが、独りで軽く持てるほどに乾いています。実はこのカツラの板は、私にとっては思い出の一品でもあります。まだまだ広葉樹の魅力を理解していなかった当時、私に広葉樹の、一枚板の魅力を教えてくれた板です。

ほぼ全身赤みの木だったのですが、耳に近いところに数多くのピンホール(虫穴)もあります。仕入れた時には、直径1m近い大木を板挽きにした共木が7,8枚ほどあったのですが、1枚売れ、2枚売れて、いよいよ最後の2枚となっていたうちの1枚でした。それまで国産材というと愛媛産か四国産の木しか使っていませんでいたので、樹種もスギ、ヒノキ、マツ、サクラなどに偏っていました。売れるという見込みもなかったのですが、何かに呼び寄せられるように勢いで購入しました。

あれから10数年の時が流れて、お陰様で何百枚の耳付き板を扱わせていただきましたが、その方向に自分が歩みだすきっかけになった木の事は忘れません。当時はデジカメもなかったので、何度も何度も一眼レフで写真に収めていましたし、また当時は倉庫の中にも耳付き板がほとんどなくて、弊社においてもかなり珍しい存在だったので、ご来店される人にもしきりにお見せしていたので、その形も雰囲気もよく覚えています。それがこのたびご縁をいただいてようやく嫁ぐことに。

木のご縁って本当に不思議なもので、経験則ですぐに売れるだろうと思って買って板がなかなか売れずに倉庫の中で何年も眠ることもあれば、これは売るのに時間がかかりそうだけど面白そうだから買っておくかと思った材があっという間に売れたり・・・。ある程度は傾向とか流行りってあるものですが、そこはあくまでマニアックな嗜好品の事ですから、出会った時がご縁。一抹の寂しさもありますが、うちの倉庫で馴染んでいた時よりもずっとずっと隣花庵さんで馴染んでくれますように。




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