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本日もアフリカの木『エコップ・ベリ(Ekop Beli)』についてのお話。なにせアフリカの木に関する情報が少なくて、いろいろな文献を探ってみても、出典が同じところではないかと思うほどに書かれている内容はほとんど同じ。まあ木の特徴を言葉で言い表すっていうのも難しくて、結果似たり寄ったりの表現になってしまうのかもしれません。芯材部分よりもむしろ辺材の白太部分に現れる細く不規則な筋模様の方がゼブラやベリの雰囲気を醸し出しているようにも見受けられます。
もしかしたらこちらが名前の語源かもしれません。さて、念には念を入れてしっかり人工乾燥させたエコップ・ベリですが、耳部分はダメージが酷いので削り込んで人工的に耳を作り出すことに。表面に厚く塗られた割れ止めを剥がすと淡い茶褐色の生地になりますが、ここに植物性オイルを垂らすとしっとりとしたいい感じの色気のある濡れ色に生まれ変わりました。乾燥しているとはいえ、相手はアフリカの勇者!何に機嫌を損ねて暴れるか分かりませんので、打てる手は打つことに。
ということで裏面に強力なL型の鉄の反り止めを複数個所入れています。万が一、木が収縮してもビスが切れてしまわないように鉄には特注でルーズ穴が開けられています。私自身は、反ったり割れたりしたってそれも木の運命(さだめ)じゃい!という刹那的というか運命論的感覚の大雑把な人間なのですが、生真面目な職人気質の善家雅智君 (ZEN FURNITURE)のお陰で大幅にリスクが軽減されいつも助けられています。常に彼は、出来る限りの対策をしてリスクに備えてくれます。
どんなに慎重に注意深く策を講じていても、一旦木が暴れだすと手に負えなくなることもありますが、極力そういうことを減らして、木との出会いを楽しいものにしていただきたい。しかし自分にはそれを可能にする技術がないため、職人さんの技術が頼みの綱。今までも二人三脚で様々な木を家具にしてきましたが、こういう技術の裏付けがあってこその木の家具。この座卓もそうなのですが、最近若い方が無垢の一枚板の家具を所望される機会が増えてきて、本当に心強いばかりです!
本日は、昨日長い前フリをしたアフリカ産のマメ科ジャケツイバラ亜科の木『エコップ・ベリ』についてです。エコップについては、以前にもこのブログで何度か取り上げてきました。私自身実際にエコップを取り扱った経験が決して多いわけではないので、未だに手探りな部分もあるのですが、とにかくこういう事は経験しないと先に進めませんので、失敗を恐れず挑んでいく方針なのです。実際、過去にエコップで痛い目にあった事もありますが、それは私の取り扱いのまずさが原因でした。
マメ科の木に限らず、アフリカの木ってそう簡単には乾いてくれません。何年寝かしておいても、水分が抜けきらず、国産材の感覚でアフリカの木の脱水状態を判断すると大火傷をしてしまいます。なので自然乾燥で数年置いておいたとしても最後には、保険をかける意味でも人工乾燥させないと危険です。しかしそれも気をつけないと、大切な表面がバキバキに割れてしまうので、注意が必要。数々の火傷を負いながらもようやくこの木の取り扱いが少しずつ分かってきたところです。
ところでややこしいのがこの『エコップ(Ekop)』という木で、産するカメルーンではマメ科の木全体を「エコップ」と呼んだり、すべての木の頭にこの名を冠したりするので、何が何やら分からない様相に・・・。以前に商業店舗の看板やカウンターなどにお使いいただいたエコップは、同じエコップでも『エコップ・ナガ(Ekop Naga)』と呼ばれる種類のもので、比較的新しい材だとされていて、弾性に富みしなやかで衝撃にも強く、オークの代用品としても使われている木のようです。
今回ご紹介するのは、『エコップ・ナガ』ではなくて、『エコップ・ベリ(Ekop Beli)』。俗に「コントラストの少ないゼブラウッド」とも称される『ベリ(Beli)』という木があります(こちらもマメ科のジャケツイバラ亜科)が、その名前がついているものの、ゼブラやベリのような個性溢れる濃い縞柄は見当たらず。下地が茶褐色なので分かりにくいですが、杢が黒みがかってくっきりしているので、縞柄族の仲間と言えなくもないような・・・。名前の根拠は分かりかねます。続く・・・
果実が莢(さや)を持つことが特徴のマメ科の木は、舌を噛みそうなジャケツイバラ亜科、ネムノキ亜科、ソラマメ亜科に分類されますが、その中のジャケツイバラ亜科はアフリカにおよそ80種もあります。それらが地方によっては区別されることなく一括の名前で呼ばれたりと、その分類も非常にややこしく紛らわしいのです。さすがに現地に行って気軽に話を聞くというわけにもいかず、図鑑などで判断していくしかないのですが、実物の画像があっても判別できないほどに難解。
そもそも木を見分ける要素は、立木姿、葉、樹皮、材面などいろいろありますが、大学などで専門的き樹木を学んでいない私にとっては、己の経験則や同業の仲間からの生きた情報だけが武器です。板や角材になった材面の杢や色合い、木柄などで判断していくしかありません。なので図鑑のように、部分的に木の一部を切り出された写真だけがあっても、それだけで木を識別する事は難しく、ある程度大きな状態で杢や木柄、耳の雰囲気など、総合的に特徴を見ないとよく分かりません。
それが見慣れた日本の木であれば、容易に判断がつくものもありますが、立木で実物を拝んだ事もないアフリカの木の場合は特徴も似通っているうえに情報量も圧倒的に少ない。特徴がデリケートな日本の木だと、その匂いも手掛かりの常用なヒントになるのですが、アフリカの木はどう匂っても、よく言えば「アフリカ大陸の大自然の匂い」、悪く言えば「生乾きの土の臭い」とか「野生の獣臭」などの悪臭しかせず(私自身にそれを嗅ぎ分ける臭覚が無い!)、匂いで嗅ぎ分けるなど不可能。
実際に現地(アフリカ)に行った事もない人間がアフリカの木を売るという事にプロとしては後ろめたさも感じているのですが、それ言いだすとアフリカだけではなくて北米にもヨーロッパにもロシアにも中国にも、全世界を旅して歩かないといけなくなってしまい、木を売る暇がなくなってしまうので、そこは人的ネットワークを使って補うしかありません。でもいつの日か実際にアフリカに行ってその木が天に向かった屹立している姿を見ておかないと、まがりなりにもその命を取り扱わせていただく者としては申し訳ないと思うのです。きっと仕事をリタイアでもしないと叶わない夢ですが、いつの日かアフリカ大陸へ・・・。そんな気持ちを込めて、今回はアフリカ産のマメ科ジャケツイバラ亜科の木、『エコップ・ベリ』についてご紹介。明日に続く・・・。
小売り業の弊社の場合、大型の製材機械などは無縁ですが、小さな木工機械は欠かせない存在。にも関わらずメカ音痴の私は、機械の知識がサッパリで、カタコトのキーワードで欲しい機能を伝えて、該当する機械を教えてもらっています。そんな状況ですので、倉庫の中を拝見させてもらっても、ズラリと居並ぶメタリックで存在感のある木工機械には圧倒されるものの、今ひとつその用途や価値が分からず・・・。ただしメンテナンスの重要性は痛い経験からよく分かっているつもり。
何トンもある丸太を毎日送り出し挽き続ける製材機械は、日々相当の負担がかかっているはず。製材機械に限らず、電化製品でも昔のシンプルな構造のものなら単純な部品交換で直ったりするものが、コンピュータ管理されるようになると、そのメンテナンスも高度かつ複雑になり、一旦止まってしまうと修理も大がかりな事になります。故障の原因解明にも時間がかかり、復旧の見込み立たず!なんて事もあって、またそういう時に限って、現場から大至急の注文が入ってきたりするもの。
いかに鋭い刃があろうと小さな部品がひとつでも欠ければ機能は発揮できないわけで、木の仕事がいかに多くの人たちの関わりの上に成り立っているのかを思い知らされます。大倉君のところも、会社の営業科目の欄には、帯鋸目立・帯鋸・刃物類・チップソー・各種刃物研磨・コンプレッサー・Wサーキュラーソー製造・メタルバンドソー研磨・各種製材機・木工機・皮はぎ機・リングバーカー・丸太加工機・産業廃棄物処理機・チェンソー販売・修理・大工工具、多くの言葉が並びます。
製材所の社長が機械に詳しいのは当たり前な話ですが、鋸や製材設備を有していない材木屋でも機械に強い人は多くて、そういう話をすると己の無知さ加減に呆れることも多いのですが、それでも興味の薄いことには関心が湧かず・・・。私の経験からいうと、木の仕事に関わっている人って理系の人が圧倒的に多いと感じます。私は根っからの文系で、数字にも弱いのですが、それでもこうして木の仕事を続けてこれたのは、そういう皆さんのお陰。強い弱いは別に、知っておくことは大事。
弊社はいわゆる職種で分類すると、木材小売りの流通業ということになりますが、実態は端材でいろいろな商品を作ったり、木の玩具なども扱っていたりと、一般的な職種の枠に当てはまらないような変わった材木屋です。木の仕事にもいろいろありますが、川上側のいわゆる苗を植えて伐採し原木を出材される林業から下の流れで言うと、大雑把に言うと原木市場、製材所、製品市場、問屋、そして弊社のような小売屋などがあります。木の仕事といっても誰もが丸太を扱うわけではありません。
いくら立派な丸太が出材されたからといっても、丸太のままではお金には換金できません。製材所で板や角材にしてもらってこその木。ある意味で、木材が材木に変わる瞬間です。弊社にも小さなバンドソーがありますが、それは丸太を割るためではなくて、板材を小割するためのものです。なので丸太にどういう方向で鋸を入れればどういう杢の板が取れるのかなどの製材のノウハウは恥ずかしながら皆無。今は時々県産材の丸太も仕入れることがありますが、製材については全てお任せ。
素人が口出しするよりは、こちらの希望を伝えて挽いてもらう方がいい結果が出ると思っているので、余程細かな指示がない限りはお任せするようしています。やはり餅は餅屋。堅い広葉樹や長尺材、幅広い板を見事に挽きあげる製材工場の技術にはいつも惚れ惚れするのですが、そんな製材に欠かせないのが鋸の目立(めたて)。昔は自社で鋸の目立をされていた製材所もあったそうですが、今は製材機械屋さんがとりまとめて目立をしています。何といっても鋸は目立が一番です!
小さな板モノしか小割しない弊社ですら、【森のかけら】で『黒檀』や『イスノキ』のような堅い木を挽けば鋸がダメになってしまうので目立をお願いしていますが、先日その目立の現場を訪問。木工機械などを扱う松山市の㈱大倉商店さん。社長の大倉康弘君は愛媛木材青年協議会で親しくお付き合いした仲。現場が大倉君の会社の近くであったので、ちょっとお邪魔させていただきました。ソウクリニックの看板が掲げられた倉庫の中では、大手の製材所の大きな帯鋸が研磨の最中でした。続く・・・
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