森のかけら | 大五木材


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20100816 ブルーヒッコリー①お盆前にいつもお世話になっているイシムラトモコ建築設計石村智子氏が来社。今手掛けられている店舗(美容室)の内装で使う木をお求めに来られました。いつも大胆なセンスで木の新しい魅せ方を披露していただき、とてもありがたい木の友なのですが、毎度の事ながら時間はありません!決まり次第「即納」が基本です。それはこちらも重々承知です。それよりも、実際に倉庫に来て、膨大にある材の中から『閃(ひらめ)きの1枚』が探せるまで、蒸し風呂のような倉庫での木選びに延々と付き合ってくださる姿勢に感動すら覚えます。夏場の倉庫はかなり厳しい状態となっております。汗と埃との格闘です。今回彼女が持ってこられた「課題」がここちらのタイル。さすがです、この色を選び出すのが石村智子です!さあ、蒸し風呂の中でこのタイルに負けない木選びが始まりました!

 

20100816 ブルーヒッコリー②このお方の偉いところは、どんなに急いでいても決して妥協をしないところ。そもそも常人では思いつかないような用途や見せ方、色合いを求めて来るのですから、そんな思い通りの材がそう簡単に見つかる訳がありません。何十枚という材を引っくり返し、引っ張り出し見る、見る、見る!その全てに付き合うところが男らしい、いや素晴らしい!設計士の鑑です。とりあえず数枚の候補を絞り、実際に削ってみます。いつも調子のいい事を喋ってばかりいる口だけの男と思われているかもしれませんが、私もやる時にはやります!

 

20100816 ブルーヒッコリー③数ある材の中から、今回彼女のお眼鏡にかなったのがこの木、【ヒッコリー】です。以前にこのブログでは、木の実の絵本の話でご紹介しました。ヒッコリーは、肌目が粗いことから化粧材としてはあまり利用される事が少ない木です。軽軟で木目の華やかな木と同じようとで使っても仕方がないので、こういう材が活かせる用途を見つけれるかどうかだと思います。ヒッコリーはとても強靭な木ですが、辺材と芯材の色の差が顕著でところどころに褐色の縞模様も出たりして、色合いの調和を求める場面での出番は少ないですが、衝撃吸収力があることからドラムスティックや柄、釣り竿などに使われます。中でも有名なのがスキー板ですが、見た目よりも性能優先の用途に利用される事が多いようです。文字通り性能重視の最たるものとして『燻製(スモークチップ)』という用途があり、良い香りがつくことからアメリカでは根強い人気を誇っています。

 

20100816 ブルーヒッコリー④在庫に持っているヒッコリーは、長さが2m前後で幅が120~280㎜ぐらいで厚みが32㎜の平板挽き材ですが、無塗装だと実に淡白に見えます。その割りに比重は0.9ぐらいあってとても重たいので、家具には厳しいかなと悩んでいたのですが使い方次第では存在感も示せそうです。画像は全てサンダーで研磨後に植物性油を塗ったもので、褐色の濡れ色になっていますが、予想以上にいい雰囲気に仕上がりました。あら?選びに選び抜いた割には節があったり、筋が入ってると思われるかもしれませんが、敢えてこういう材を選んでいるのです。

 

20100816 ブルーヒッコリー⑤一般的には節がない、木目が中目で整っている、色合いが均質、というのが材を選ぶ基本と思われているかもしれませんが、彼女の選択基準は、材単体の良し悪しではなく、他の素材とのバランスです。先に樹種ありきではなく、互いをもっとも活かしあうマテリアルとしての素材感を大切にされています。ただの変わり者、などとは口が裂けても言いません。なぜなら私もそうだから!一般的ではない者同士だからこそ波長が合うのだと思うのです。勝手に断言してますが多分そうだと思うのですが・・・。 ですから、場合によっては激しい木目や強い癖、大きな節、赤味と白身の混在などのある物を敢えてぶつける場合があります(そういう場合に木を使う?)。それによって異素材が互いに個性を引き立てあうわけです。言葉で説明すると薄っぺら苦なりますが、多分ある日突然にイメージやカラーが降りてくるんでしょうね。

 

20100816 ブルーヒッコリー⑤

今回のインパクトのあるブルーなタイルを引き立てるためには、負けない力強さと存在感が必要との事で、褐色の縞模様がガツンと入って、節も適度にあって、木目がくズッシリしたヒッコリーが選ばれたわけです。彼女のご要望の説明がだいたい「シュッとした」とか「パンチのある」とか「バシッとした」などほとんどが擬音であるのですが、その翻訳も出来るようになり、自らも擬音で応えるようになりました!むしろ、その方がイメージが湧き易かったりして、気がつけば私も結構使っているなあ~。擬音の方が何だかそのものの印象がストレートに伝わるような気がするのですが、勝手な思い込みとボキャブラリー不足の言い訳です。相手には伝わっていないんでしょうけど・・・。どこかに翻訳家いないかしら。さて、現場でのブルーなタイルとの対峙が楽しみです。

 




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