森のかけら | 大五木材

今日のかけら222

ムイラカチアラ/ゴンサロアルベス

 Muiracatiara/Goncalo Alves 

ウルシ科・広葉樹・中南米産

学名:Astronium lecointei

別名:ウルンダイurunday

気乾比重:0.95

 

ムイラカチアラとの邂逅①*

★今日のかけら・#222【ムイラカチアラ/ゴンサロアルベス】 Muiracatiara/Goncalo Alves ウルシ科・広葉樹・中南米産 

地域によって木の名前もさまざまですが、中にはとんでもなく覚えにくかったり言いにくい名前の木もあります。例えば中南米原産のこの『ムイラカチアラ』もそんな木のひとつ。Muiracatiaraを強引に日本語読みしているので、「ムイラカティアラ」とか「ムイラクアテイアラ」など本によって表記もさまざま。あまりに言いにくいので別名とかないのか調べると、別名もゴンサロアルベスGoncalo-Alvezというこれまたなかなか覚えにくいし発音しにくい名前。他にもいくつかの別名があるものの一般的なのはこの2つ。

材木屋の人間でも、そんな木なんて実物どころか名前も聞いたことが無いぞ!って言われる人が多いかもしれませんが、それは日本に入ってくるこの木の用途がほぼウッドデッキに限られているため、硬質のウッドデッキ材を扱われていないと縁の無い木だと思います。最初に私がこの木に出会ったのは今から15年ぐらい前の話。たまたまこの木に出会って、売り先も無いのにとりあえず興味本位で買ったのですが、その時はウッドデッキ材ではなくて厚み25㎜の板材でした。買ったはいいが情報も乏しく売るに売れず。

それから永い間倉庫の奥で埃をかぶることになるのですが、それから数年後にムイラカチアラとの思わぬ出会いがありました。弊社では外部のウッドデッキには硬質の高耐久性木材を提案しているのですが、その供給元は愛知の㈱ランバージャックさん。ランバージャックの社長の渡邊健太とは、日本木青連時代に出向していた頃からのつき合いですが、中南米産の硬質木材のオーソリティで私が絶大な信頼を寄せるプロフェッショナルの材木人のひとりです。こういうその道の専門家がいると本当に心強いのです。

そこで数年ぶりに出会ったのが、ウッドデッキ材になったムイラカチアラ。出会った時がご縁という信念で、少しだけ仕入れさせていただきました。元々持っていたムイラカチアラの板は、かなり経年変化が進んでいたのと、出番もなかったので削りもしなかったので意識もしてなかったのですが、この木には『タイガーウッド』という別名もあるように、鮮やかな代赭色(たいしゃいろ)の中にかすれたような淡い黒の縞柄が現れます。すべての木に縞が現れるわけではないのですが、倉庫に眠る木がこんな木だったとは!?

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ムイラカチアラとの邂逅②*

慌てて倉庫の中で眠っていたムイラカチアラの板材も削ってみたのですが、こちらには縞柄がほとんど出ませんでした。120☓30㎜のウッドデッキを見ても、すべての木に縞柄が出るわけではないので、ゼブラウッドみたいにどれでもガッツリ縞が出るわけではないのかもしれません。木取りによっても出る出ないはあると思いますが、縞柄はなくとも表面をロウでコーティングしたような滑るような独特の質感は共通です。そのため加工した直後に重ねて運んだりすると、滑り抜けたりするので注意が必要です

本来はウッドデッキに使うつもりで仕入れたモノの、その縞柄に魅了され、これをウッドデッキに使って色褪せさせるのはモッタイナイと思い、何かしら別の出口がないかしらと思案。滑らかさも生かそうと、丸く削って『円い森』にしたこともあります。色合いも縞柄も(全部に現れるわけではないですが)個性的なのですが、残念ながら知名度が無いのと覚えにくい名前が災いしてなかなか売れず・・・。他にもいろいろムイラカチアラの出口を探ってみたものの、やはり名前が知られていないというのは厳しい

まあ逆の立場になって考えてみれば、同じモノを買うにしても見たことも聞いたことも無い木よりは、自分が知ってる木や少しでも関わりのある木を買いたいと思うのはひとの心情。私のように、むしろ知らない木だからこそ萌える!っていうひねくれ者でも現れないとなかなか売るのは難しい。普通にウッドデッキで売れば売れるのでしょうが、ひとたび目をつけたからには、何とか自分なりにこの木が生きる(この木でなければならないような)出口を見つけてあげるのが、うちに来てくれたこの木に対するせめてもの礼儀。

そしたら、そんなムイラカチアラに対してネットである問い合わせが!木の大好きな友人がいていろいろな種類の木を収集しているらいしのですが、その彼がムイラカチアラはまだ持っていなくて、是非プレゼントしたいという事。コレクターにプレゼントされるという事で、購入されたの少量でしたが、量など問題ではありません。そういう方に繋がってご縁が生まれた事がありがたい!世の中、思っている以上に変人・奇人・変わり者(失礼)は多いもの。きっとムイラカチアラじゃなければ!っていう人がいるはず。

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ムイラカチアラと伊鶏家ハットリ*

ムイラカチアラでなければ~!というわけではないですが、面白そうだから使ってみようかというご縁もありがたいものです。数か月前の話になりますが、飲食店のテーブルにムイラカチアラを使っていただきました。ウッドデッキではなくて、以前から倉庫に眠っていたムイラカチアラの板材をサワグルミで挟んだテーブルに仕上げていただきました。ウッドデッキ仕様で仕入れたムイラカチアラは、鮮やかな代赭色(たいしゃいろ)に黒い縞柄が特徴的ですが、こちらはもっと濃くてムイラカチアラだと言われても分からないほど。

堅牢で、ロウでコーティングしたように滑らかで光沢もあることから現地では、ナイフなどの柄やバターナイフなどにも使われているぐらいなので、厚みは薄くとも頑丈。こんな舌を噛みそうな名前の木に興味を示して使ってくれたのは、いろいろな意味で個性的な店舗屋・すずかけ商会さん!ありきたりの木を使ったってつまらないという点でつながっているのですが、多品種を扱う材木屋としてはこういうお客さんとどれぐらい繋がっているかという事がなによりも大事。誰も使った事がない、そんな木に萌えるという!

他に誰も使っていないという優位性の裏には、実際に使ってどうだったかという経験値が無いという不安もあるにはありますが、そんな事考えていたら世界中の木なんて相手に出来ません!そこは思いを共有できる仲間と地雷原を駆け抜けるしかないのですっ!(とはいえ最低限の武装はしておきます。例えば念入りに乾燥させるとか。先に自分で小物を作って触感を確かめるとか。調べられる限りの情報は集めておくとか)まあ、それは少々大袈裟ですが、冒険心溢れる店舗屋さんと寛容なオーナーさんに恵まれています♪

という事で、今回テーブルにムイラカチアラの板をご利用いただいたのが、松山市二番町に今年の夏にオープンした『鉄板焼鳥バイキング 伊鶏家(いこや)ハットリ』さん。オーダーバイキングのお店です。ムイラカチアラ以外にも、カウンターにはサぺリの一枚板やキハダやらいろいろと使っていただきました。ムイラカチアラのようなネームバリューの無い木だと、設計から工務、営業、お施主さんまで越えなければならないハードル多過ぎて、途中で思いが途切れる事も。まずは名前を知っていただくことから始めます!

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ムイラカチアラの円い森*

森のかけらプレミア36】に含まれている木の中に、鮮やかな黄色が特徴の『アマレロ』という木があります。中南米産の木なのですが、ブラジルでは時にアマレロの事を『ムイラカチアラ』と呼ぶこともあるらしいのでややこしいのですが、本来はこの鮮やかな代赭色(たいしゃいろ)の中にかすれたような淡い黒の縞柄が現れるウルシ科のこちらの木に対する名前。いろいろ調べてみたのですが、今のところこの口がカクカクしそうになるこの名前の語源や由来は不明なのですが、情報が入り次第ごアップしたいと思います。

本来はこうやってある特定の木にスポットライトを当てた時に、その木で作った商品をオンラインショップでも販売するというのが営業戦略だと思うのですが、そういう事が全く出来ていなかった(アップしたことで真っ白に燃え尽きてしまって、そこから先の展開までは気力が保てないという←ただのヘタレの言い訳ですが)ので、今回からは(だけは)心を入れ替えて、『今日のかけら』と『オンラインショップ』を連動させます。販売するのは、ムイラカチアラで作った『円(まる)い森』、ただし数量限定です

その特徴でも触れたように表面にロウを塗ったような手触りが特徴で、初めて触ると何かをコーティングしてあるのではと思うような独特の触感があります。そのため磨いても磨いてもサンダーが滑るような感覚があって、磨き甲斐が無い木でもあります。こうやって加工すれば縞柄も一層際立ち、とてもこの木をウッドデッキにするなんてモッタイナイと思ってしまうのです。その特徴から命名された『タイガーウッド』の方でもっと押せそうではあるのですが、いかんせんゼブラみたいにすべてに縞柄が出るわけでないのが惜しいところ。

とりあえあず、コースター的なモノに使っていただければと思います(コースターというと用途限定されるので決してはそうは言わない!)。サイズは直径100㎜、厚さ8㎜。森のかけらと樹種の名前がレーザーで入っています。植物性オイル塗装品。昔に作ったのでストックホルダーに通すための穴が開いています。なるべく縞柄が出ている部位を使ってつくりましたので、これだと『タイガーウッド』の名前でもいけそうです。今のところ追加で作る予定はないので、残っている7枚限定品となります。縞柄フェチの方、是非どうぞ!



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