森のかけら | 大五木材

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『最強銘木チーク、黄金の日々』 

東南アジアのかけら

★今日のかけら・#179 【チーク】  TEAK クマツヅラ科・広葉樹・ミャンマー産

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前置きが長くなりましたが、改めて『チーク』についてご紹介させていただきます。来年は戦後70周年という事になりますが、恐らくまた「かの戦」について多くの特集が組まれ、各種イベントが行われることでしょう。戦後70年というと遠い遠い昔の話のように思えますが、私が生まれたのは戦争が終わって21年目のこと。そう考えれば決して昔の話ではありません。あれから時代は移り、集団的自衛権や中国の暴走など戦争や自衛に対する日本人の意識も随分と変わってきました。

 

20140804 2それについてここで深く触れるつもりはありませんが、かの戦では望む望まないに関わらず多くのひと、モノが何らかの形で戦争に関わりました。木材も当時は重要な物資として、全国で大量に伐採され利用されました。本来ならば、終の棲家としてひとの憩いの場所を作るはずだった木が、その真逆の用途に使われたのは悲しい事ですが、幸か不幸かこれからの高度にハイテク化された近代戦においては、もはや木材が戦時中の重要物資となる事は二度とないのかもしれません。

 

20140904 3これはまだ木材が戦争の重要な物資だった時代の話・・・かの日本海軍が世界に誇った巨大戦艦大和。その悲運の最期は日本人なら誰もが知るところでありましょうが、その大和にも大量の木材が使われていました。中でも戦艦ならでは用途で使われたのが、世界の銘木チークなのです。日本海軍の軍艦にはそのシンボルとして、艦首の舳先(へさき)に金色に輝く菊花の紋章が付いていました。この菊花の紋章はチークで作られ、その上に金箔を貼って仕上げられていたと言われています。

 

20140904 4大和のそれは、直径は1200㎜もあったそうです。広島県呉にある大和ミュージアムには、1/10モデルの大和が展示してありましたが、それでも充分な迫力がありましたので、実物となるとさぞや立派で迫力があったことでしょう。更に戦艦に関わり深い用途として、甲板の床板があります。大和が建造される40年ほど昔の日露戦争時代、日本の連合艦隊の旗艦として活躍した「三笠」という戦艦がありました。そう、かの秋山真之が作戦担当参謀となり乗艦した艦です。明日に続く・・・

 


最強銘木チーク、黄金の日々②

1. 今日のかけら

20140905 1戦艦・三笠は、日清戦争後にロシアに対抗すべく軍拡を進めた日本海軍が、イギリスのヴィッカース社に発注して、イギリスの造船所で建造された軍艦です。そのためマストや煙突に帆船の名残が見られます。更にイギリス海軍の伝統を受け継ぎ、甲板やキャビンにはふんだんにチークが使われました。三笠という名前は、奈良県にある三笠山にちなんで命名されました。三笠の名前を有名にしたのは、日露戦争の大きな転換点となったと言われる日本海海戦での活躍ぶりでしょう。

 

20140905 2その日本海海戦で日本海軍連合艦隊の旗艦をつとめていたのが三笠で、その三笠にはかの連合艦隊司令長官の東郷平八郎が乗り、戦闘の指揮をとっていました。「皇国の興廃この一戦にあり」を示すZ旗(ぜっとき)が掲げられ、ロシア帝国海軍のバルチック艦隊との間で繰り広げられた激しい戦闘は、日本側の勝利に終わり、一躍三笠の名を日本に轟かせたのです。その三笠は、その後多くの戦争を経験しながらも奇跡的にその姿をとどめ、現在は横浜の三笠公園内に保存されています。

 

20140905 3建造当時にチークが使われていた甲板は改造され、そのほとんどがダグラスファー(ベイマツ)に貼り替えられ、わずかに当時の幅広のチークが残っていて当時の面影を伝えています。さて、三笠が活躍した時代から歳月は流れ、太平洋戦争が勃発。日本海軍が命運を賭けて巨大戦艦大和建造に踏み切った昭和12年頃になると、日本の財政は逼迫し、海軍としては高価なチーク材の使用については二の足を踏みました。その当時からチークは高級材の地位を揺るぎないものだったのでしょう。

 

20140905 4ところが、のちに連合艦隊総司令官となる山元五十六長官が、「戦艦にはチークだ」と主張し、大和の甲板にはチークが使われていたという逸話が残っています。なぜに山本長官がそれほどチークにこだわったかについては後述しますが、それはチークという木の特性を熟知していたからではの決断だったのです。しかし残念ながら銘木チークを搭載した戦艦大和はほとんど活躍する場面もないままに、1945年4月7日、鹿児島県の坊ノ岬沖の海底深くに沈んでしまうのです。

 


最強銘木チーク、黄金の日々③

1. 今日のかけら

20140906 1本日はチークという木そのものについて。チークはクマツヅラ科の広葉樹で、学名はTectona grandis ( テクトーナ・グランディス)。テクトーナはタミール語でチークの意味があり、グランディスは大きいという意味があり、樹形や葉の形を表しているといわれています。英語名のTeakは、原産地であるインド南部のマラヤーム語の「Thekku」(「チークの木」と言う意味)に由来していて、それが定着したものだそうですが、もともとの「Thekku」の語源については不明です。

 

20140906 2チークの本場、タイ、ビルマ、インドではチークですが、ベトナムやサバ、サワラクでは「ジャチ」、インドネシアも地方にいくとチークでは通用せずに「ジャテ」と呼ばれるそうです。チークの属するクマツヅラ科は世界で約90属2600種が知られていて、OOマホガニーやOOチーク、OOウォールナットなどの名前を冠した高級木材が木材が多く含まれていますが、中には怪しいものの多いので注意が必要です。正真正銘のチークは、このクマツヅラ科に含まれています。

 

20140906 3世界中で銘木として確固たる地位を確立しているチークですが、中国では「柚木」と表わします。日本でもかなり強引に「麻栗樹」とか「鉄梨木」などの漢字を充てて表わすこともあるようですが、無理矢理感が出過ぎていて、どうにも馴染みません。ここは普通にチークで問題ないと思います。天然チークの分布域は、主に熱帯アジア、インド、ミャンマー、タイ、ラオスなどの乾季と雨季のはっきりしたモンスーン地帯で、用材としては最高級材のお墨付きが得られるものです。

 

20140906 4チークの天然林として名高いと有名だったのは、ビルマのアラカン山脈東部、ペグー産地、シャン高原地方、タイのチェンマイ一帯などの水はけのいい場所を好むと言われてきましたが、それもかなり古い情報ですので今はどうなっているのでしょうか。生育に最適な環境のもとでは、樹高40~45m、胸高直径1、8〜2、4mにも成長するものもあるそうですが、平均的なサイズとしては樹高9~11m、胸高直径1、0〜1、5m程度。それでも充分に大きいとは思います。

 


最強銘木チーク、黄金の日々④

1. 今日のかけら

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天然チークが優れているのは当然ですが、やはり天然ものには限界がありますので、天然林保護の観点からも盛んに各地で植林も行われてきました。代表的なのがジャワ、スマトラ、ニューギニア、アフリカなどです。人工林といえどもチークのDNAを受け継ぐ立派な素材ですので、相応に人気があります。チークの植林が本格的になったのは、天然林の枯渇が問題となってきた1960年代からですが、チークは成長が遅いので用材として使えるようになるには早くとも60〜70年必要。

 

20140907 2ようやく初期の人工林が出回るようになってきましたが、品質のよいものを得るためには時間がかかります。そもそもチークはインドが主要な産地で、広く海外に輸出してきましたが、次第に国内での需要も出てくるようになったので国内向けにシフトしました。その後出材国はタイへと移るのですが、タイでも資源の減少を危惧して1989年にタイの国王が全面的に禁伐を命じ、現在ではミャンマーが最大の輸出国となっています。ミャンマーの森林面積の60%チークの天然林です。

 

20140907 42012年の調査では、天然チーク林は世界的に減少しており、かつ天然チーク材の品質が悪化しているそうですが、一方で人工チーク林面積は増加しており、適切な森林管理が出来れば今後も永続的な人工林の良質なチークの供給が可能だという事ですちなみに現在、天然のチークが自生しているのは、インド、ラオス、ミャンマー、タイのわずか4か国だけですが、その蓄積量のおよそ半分をミャンマーが占めています。ミャンマー以外の3か国では伐採または丸太の輸出は全面禁止。

 

20140907 3ある統計によれば、2010年時点で天然テーク林の総面積は約2900万ヘクタールという調査結果があります。この15年ほどで、およそ1、3%の減少にとどまっているのは、タイで導入された天然林伐採禁止にによって290万ヘクタール増加したことによるものとされています。とはいえ、天然ものは一度伐採してしまうと、直径700〜800mmのものが復元するまでに100〜150年かかると言われていますので、その時間は植林木の比ではありません。

 

20140907 5チークは森の中でまとまった群生として存在するのではなく、落葉常緑林や熱帯常緑樹林に混在しているため統計データが取りにくいのだそうですが、伐採禁止などの保護政策によって減少傾向に歯止めがかかったといっても、貴重な資源の取り扱いについては慎重なうえにも慎重にならねばなりません。人工林の面積は、アフリカや中南米、南米、アジアにまで広がっているということなので、非常に心強いのですが、この事を強く肝に命じて貴重な資源を無駄なく活用しなければなりません。

 


最強銘木チーク、黄金の日々⑤

1. 今日のかけら

20140908 1本日は日本におけるチーの歴史について。日本においてチークの建築物として有名なのは、江戸時代初期に四代将軍徳川家光の時代に建立された京都・宇治の萬福寺(まんぷくじ)があります。江戸初期に中国から弟子30人を連れて日本にやって来た隠元(いんげん)禅師が、寛永元年(1661年)に建て始め、7年の歳月をかけて完成させました。この本堂の柱などにチークが使われていて、別名「チーク寺」とも呼ばれています。寺ではチークを「鐵梨木」と表記しています。

 

20140908 2隠元禅師については、以前『今日のかけら・キハダ』の項でも登場していただきましたが、インゲンマメを伝えた人物として有名で、様々な中国文化を日本に伝えた名僧として知られています。当時チークが一般的に流通していたという記述も残っていなければ、同時期に他にチークの建築物が見当たらない事からも、萬福寺に使われたチークは当時貿易商がオランダ人から入手して寺に寄進したものと、幕府が特別に下賜(かし)したものの一部であろうと推測されています

 

20140908 3時代は変わりますが、わが愛媛県の誇る瀟洒なフランス・ルネッサンス風の洋館・萬翠荘(ばんすいそう)にもチークがふんだんに使われています。萬翠荘は、大正11年(1922年)に、旧松山藩主の子孫久松定謨(ひさまつ さだこと)伯爵が別邸として建てたもので、設計は後に愛媛県庁本館などを手がけた建築家木子七郎氏の手によるもので、90年以上が経過した今でもその優雅な佇まいは古びれるどころか時代を越えて健在です。現在では国の重要文化財に指定されています。

 

GE DIGITAL CAMERA二階で開催される企画展は有料ですが、一階は無料で見学が出来ます。ときどきイベントも開催されていて、身近に感じる事が出来る重要文化財の1つです。私の娘も小学生の頃、ピアノを習っていた時にここで発表会があり、何度も訪れました。娘の出番まで室内を見学させていただきましたが、優美な設計とふんだんに使われた良質なチークにため息が出るばかりです。チークは決して派手で豪奢な木ではありませんが、その品格溢れる雰囲気は時代や国を超越して万国共通です。

 


 

最強銘木チーク、黄金の日々⑥

1. 今日のかけら

20140909 1次に世界で有名なチークを使った建築物をご紹介。バンコクでは100年ほど前に建てられた『ウィマンメーク・パレース』というチーク御殿があります。タイ語で「雲の上」という意味を持つこの建物は、イギリスに留学して建築を学んだラマ4世の子息による設計で、ビクトリア風の4階建ての瀟洒な造りです。驚くべきことは、この建物のほとんどがチークで作られていて、金物類は窓やドアの建具の取り付けなどの一部に使われているにすぎないというのですから圧巻です。

 

20140909 2室内のフローリングは、チーク材をダボで固定するなど徹底されています。部屋数は全部で31室もありますが、チークのみを使った建築物としては世界最大だといわれています。もし今同じ仕様で建てようとしたら、当時の数倍のコストがかかるでしょうが、それよりも果たしてそれだけのチークが揃うものかどうか?!世界的に希少性が認知されているチークですが、国王様の命とあらば国内から選りすぐりの良質なチークが簡単に集まってくるのかもしれませんが・・・

 

20140909 3古くからチークの優れた性質は人々の知るところとなっていたようで、かのピラミッドや古代バビロビア宮殿からも、チークで作られた家具が発掘されています。マホガニー、ブラック・ウォールナットと並んで『世界三大銘木』と称されるのは伊達ではなく、世界中でチークは珍重されてきました。ベルサイユ宮殿の内部を彩る家具や装飾、オリエント急行の内装、豪華客船クイーンエリザベス2世号帆船カティサーク号のデッキなど歴史的な建物や乗り物などにも使われています。

 

20140909 4またイギリスがインドやビルマを植民地としていた当時、大量のチークが伐採され、英国海軍の軍艦に使われました。チークには多量の油分、木製タールが含まれているため、触ると蝋のような独特のねっとりした触感があります。これによって鉄の腐食を防ぎ、釘やボルトを錆びにくくさせる効果があります。また酸化や腐食にも強く、酸や塩、水などにもよく耐え、シロアリやフナクイムシにも侵されにくいことから、大和などの戦艦や客船、クルーザーなどの甲板に用いられたのです。更に続く・・・

 


最強銘木チーク、黄金の日々⑦

1. 今日のかけら

20140910 1現在、日本においてチークとしてもっともポピュラーな商品はフローリングだと思われます。昔から、厚み15mmの乱尺(長さが一定ではない)サイズの1枚もののフローリングは作られていましたが、後になって300〜450mm程度の短い材を繫ぎあわせたユニ・フィンガージョイント加工された商品が作られるようになりました。ちょうど植林チークも出回るようになった事から、それまで高級で手の届かなかったチークが割安になり、広く普及するきっかけとなりました。

 

20140910 2チークは金属との相性がよくて、接触面が腐食しにくいという点も重宝される理由の1つですが、他にも充分な強度があること、適度な硬さがあること、そして比較的狂いが少なく寸法安定性が極めて高いことなどからもフローリング材として好まれる理由です。チークの特性であるしっとりした質感を生かすためにも、弊社では表面に塗膜を作るウレタン塗装ではなく、材に浸透していく植物性オイルをお薦めしています。オイルで濡れ色になったチークの表情は更に濃厚になります。

 

Exif_JPEG_PICTURE弊社では、天然もののミャンマーチークインドネシアなどの植林チークを使い分けて販売させていただいております。天然ものの方が、年輪も緻密で色あいも濃いいのですが、その分色の濃淡幅は広く、かなり激しいコントラストになります。独特の縞柄や筋なども含まれるため、貼りあがった全体のバランスを重視される方は敢えて色ムラが少なく色調が整った植林チークを選ばれる場合もあります。これはどちらがいいというよりも、ひとそれぞれの好みの問題だと思います。

 

20140910 4ちなみにこちらが植林チークのフローリング。上の天然チークに比べると、色あいも薄く全体的に淡い印象があります。撮影時の照明の関係もありますが、それでも数年すると経年変化でもっと落ち着いた色合いに変わっていきます。天然チークは生産が不安的な要素もあるため、入荷量そのものがタイトで、時々全国的なレベルで欠品状態に陥ることもあるため、使われる場合はなるべく早めに相談されることをお薦めします。数か月前にそのような状況になり混乱が続いた経験があります。


最強銘木チーク、黄金の日々⑧

1. 今日のかけら

20140911 1チークが普及し始めると、チークに非ざる「OOチーク」といったまがいものの格安品が出回ったりするのか困りものであります。それほどチークという名前が、高級材、高品質の代名詞のようになっている人気ゆえの証拠でもあるのですが、全然品質の劣るものがチークと称して出回り、そのことで誰かが不幸な目に遭っては気の毒です。それでよく誤解されるのが、タイランドチーク、ジャワチーク、ネシアチークなど産地を冠した銘柄読みとは違いますのでお気をつけください

 

20140911 2例えばアフリカンチーク(イロコとかユーラシアンチーク(ぺリコプシスなどがその例ですが、全く別の種類の木にチークの名前を冠するのは問題だし、イロコやぺリコプシスにとっても迷惑な話です。もとの名前が一般的に浸透してないがための手段でしょうが、それは市場の混乱を招くだけですし、認知度の低い木だからこそ自分が積極的に押して広めていこうという気概が必要なのではないでしょうか。他人の褌で相撲をとるような考え方は厳に慎むべきだと思うのです。

 

20140911 3弊社には現在、20年以上天然乾燥させたミャンマーのチークの耳付き板が10数枚あります。ここで乾かしたのではなく、ずっとお宝として持っていた材木店が閉店するというので買い取らせていただいたものですが、最近流通してるチークに比べると、色あいといい艶っ気といい比べ物にならない上質さ。耳付き材で、白太部分は虫害を受けたものやクラックの入ったものもありますが、今やなかなかと手に入らないレア物。少しずつ大切に販売させていただいております。

 

Exif_JPEG_PICTUREカウンターなど必要寸法を木取りして残った端材も、当然【森のかけら】や『モザイクボード』に使い、文字通り骨まで利用させていただいております。チークの気乾比重は0.68という事なので、ホワイトオークと同等ということになりますが、体感としてはチークの方が随分軽く感じます。高価な材ゆえ、それほど大量に端材も出るわけではないのですが、モザイクボードなどでチークを見つけたら幸運です。しかしあれだけ多彩の色調の中では地味に見えてしまうかもしれませんが・・・


強銘木チーク、黄金の日々⑨

1. 今日のかけら

Exif_JPEG_PICTURE弊社で在庫している一番大きなサイズにチークがこちら。サイズは、長さ2500×幅1100×厚み40mmのかなり大きなもの。入手してからもう10数年が経過しました。もともと複数枚あったのですが、これ以外はすべて売れてしまいました。多少端にクラックや節もあり、芯も少し絡んでいますが、このままで大きなダイニングテーブルになるサイズです。いくら希少になったチークといえども、全国の名だたる材木屋、銘木屋に行けば、こんなもの比べ物にならない巨大で雅趣に溢れた立派なチークはまだまだいくらでも残っていることでしょう。それに比べればこのチークなんて少し大きなぐらいで、特別際立ったものではないでしょう。銘木屋恐るべしです!それでも私にとってはご縁があって偶然手に入った想い出深い大切なビッグチークです。

 

 

Exif_JPEG_PICTUREそれでも私は、チェンソーの跡のついたこのチークの板が大好きです。木に惚れ込みすぎては商売になりませんが、後先考えるときっとこれぐらいのサイズのチークの1枚板は、弊社では二度と仕入できないかもしれません。モノがあったとしても、いつ売れるやも分からない木に高いお金を出して何年も寝かせておく余裕は、これからは正直ありません。出口が見える材、出口を作れる自信のある材ならば、いくら寝かせても不安はありませんが、やはりチークは別格なのです。

 

20140912 3チークはいわば大トロです。どんな問屋が扱おうと、どんな料理人が手掛けようと、元ネタがいいので美味しくなるのは当然なのです。つまり偏屈材木屋としては、出番のない、関わり甲斐の薄い材なのです。ですから本来立派なチークは、相応の材木屋の名店にあってしかるべきなのかもしれませんが、ご縁があって弊社に来てくれたチークに余計に愛おしさを感じてしまうのです。出来る事ならこのご縁、ずっと手放したくないなんて・・・それでは商売人失格でございます。

 

Exif_JPEG_PICTURE売りたいような売りたくないようなチークですが、現在チークの注文材(工場で規格化されたフローリングなどではなく、注文に応じて製材してもらうもの)は、1平方メートル100万円以下では手に入らないのは常識で、他の材と比べると相当に高価です。ただし萬福寺などのように、チークで大きな柱や桁を取るのでなく、意匠的にワンポイントで使う程度であれば、1本単価に換算すれば仰天するほどに高額になるわけではないので、過度にチークを敬遠なされますように。

 


最強銘木チーク、黄金の日々⑩

1. 今日のかけら

Exif_JPEG_PICTUREおよそ10年ぶりにチークについて書いたので、思いのほか筆が進んだこともあって、すっかり大長編になってしまいましたが、本日はチーク篇の最後です。チークの特徴、性質には今までいろいろ書いてきましたが、その色合いを言葉で説明するのは非常に難しいです。産地によっても微妙に違いますし、経年変化でも随分変わってきます。チークの小口を切ると断面は黄金していることに驚きを覚える人もいると思います。それが時間が経つとあれよあれよという間に変色していきます。

Exif_JPEG_PICTURE空気に触れる事であっという間に色が変わる事はよく知られていますが。ゴールデンブラウン色から、空気に触れてリッチブラウン色に変わるものが最高とされ、造船などに利用されるそうです。そんなチークですが加工現場では意外にも歓迎されないのです。加工性そのものは決して悪くないのですが、材中に石灰質の成分(シリカ)を含んでいるため(表面に白い帯状に現れる)、加工機にかけたり、鉋で削ると一瞬で刃先を磨滅して刃物が使えなくなってしまうのです。

 

Exif_JPEG_PICTUREまた油分が非常に多いため、サンダーで磨いてもあっという間にサンダーが目詰まりしてしまいますので、チークを加工する際は予備の刃先やらサンドペーパーの交換を頻繁に行う必要があって、加工する立場からすると決して歓迎されないのですが、それを差し引いてもやっぱりチークは素晴らしい~!倉庫の中にストックしているチークの板を動かす時に、ぐっと肩を入れるためチークに近づくと独特の匂いがします。20数年経ったチークからも色気ある香りが漂ってきます。

 

Exif_JPEG_PICTUREチーク、マホガニー、ブラック・ウォールナッが『世界三大銘木』であるとご紹介しましたが、これは私の見解ではなく世界の評価。その中で私は正直、マホガニーだけは今ひとつ良さが分かりかねる部分があるのですが(そこまでの評価を得られる理由が)チークとブラック・ウォールナットについては強く同調します。延べ11日にわたるこのチークの話で、ひとりでもチークという木に興味を持つ人が増えたとしたら、材木屋として至上の喜びであります。これにてチーク篇、完結!

 


チーク余話 木を運ぶ象

3. 木の仕事

20140915 1チークの項は昨日で終わりにするつもりでしたが、まだもう少し書き足したい事を思いついたので、1日だけ余談の追加です。東南アジアあたりでよく丸太を鼻で抱えて運んでいる象の映像を見る事がありますが、数こそ減ったものの今でもタイでは象が木を運んでいるそうです。そもそもは、今から100数年前に、タイの北部一帯の広大なチーク林の伐採権を得たイギリスの企業が、重たいチークを運ぶために象に運ばせるようになったのがことの起こりだと言われています

 

20140915 2まだ小象の頃から訓練を始め、木材を運ぶ動作や林業機械の騒音などに驚かないように訓練を受けるそうですが、丸太の運搬だけではなく観光客向けのショーなどにも出演して、タイの外貨獲得にひと役買っているそうです。ところが1988年にタイ南部を甚大な集中豪雨が襲い、いくつかの村で壊滅的な被害が出、300名を超える大災害が発生したことで、政府の木材輸出政策は大きく方向転換。上流の森林破壊が原因と考えたタイ政府は、全国的な森林伐採禁止令を公布したのです

 

20140915 3その結果、丸太を運んでいた多くの象はショーなどに転職したり、職を失う事態となってしまったようです。現在、チークの伐採は厳格に管理されているそうですが、それでも違法伐採は後を絶たず、象に過酷な労働を強いたりするなど、摘発と違法伐採のいたちごっこは続いているのだとか。何も知らない象が犯罪の片棒を担がされるというのは悲しい話です。象による木材運搬って南国情緒を想起させるものの、現地には現地の深刻な事情もあるので決して甘い幻想ではありません。

 

20140915 4残念ながら私はタイに行ったことがないのですが、父親は何度か行っていて、そういえば自宅にチーク造りの象の置物がありました。本当は、取り扱っている木の生まれたすべての国に行って、その木が育った森や環境、歴史的な背景までも理解したうえで、木を販売できればベストなのですが、現実的には難しい事もあり、輸入商社の方やバイヤーの人から間接的に聴くというレベルに留まっていて情けないのですが、きっといつの日にか世界の森を巡りたいと思っています。

 




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