森のかけら | 大五木材

★今日のかけら・#007 【栗/クリ】 科・広樹・日本産(愛媛産)

KURI

 

 

大きな栗の木の框♪

1. 今日のかけら

caxdjtc3-225x300今週納品させていただく玄関框が仕上がりました。フローリングには、無垢の1枚板のオークのフローリングを使っていただいています。1820x90x15㎜のソリッドタイプです。1枚物の木取りなので、必然的に柾目が多くなります。柾目と追い柾中心で、素性のよい木目が加わります。そのため、1枚ものでありながらシャープで上品な雰囲気です。無塗装品を、オスモのワンコートオンリーウォールナット色で塗装しました。オークは、木目のくっきりした環孔材なので、オイルがしっかり染みこみ、木目が一層際立ちます。重厚で落ち着いた調子に仕上がりました。これだけのフローリングに合わせて見劣りしない玄関框(かまち)としてを用意させていただきました。2mと3mの90x150㎜の迫力ある大きさですが、国産です。岩手産の無垢の框、かなり立派な物です!

 

 

CA340439オークに比べると、同じ環孔材でも栗の方が杢目が緩やかで素朴な印象があります。不器用ですが・・・、男は黙って縁の下で耐えてます、みたいな雰囲気があって私は好きです。栗は耐久性も強度もあり、枕木として重い電車を陰で支えています。東北の方では家の土台としても使われています。派手さはないものの、信頼の置ける手堅い木です。

よく、栗の節はピンホール(虫穴)に間違われることがあります。大きな節は、節と分かりますが、鉛筆の先で突いたような大きさの節は、パインやヒノキ、スギと違ってまん丸で道管が開いているので、虫穴のように見えるのです。左の画像の黒く丸く見えるのが節です。端節(はぶし)という言い方もしますが、一見虫穴のようにも見えます。

 

CA340442とはいえ、やはり甘い果実をつける木はどうしても虫も惹きつけます。端節と並んで虫穴が開いていることもあります。これは栗や胡桃、楢などの植物としての使命です。虫や鳥たちのために、自らの実や体を捧げ終の棲家を提供しているのです。栗を使う場合、小さな虫穴も受け入れてください。木が大きくなればなおさらです。虫穴といっても、その中に、シロアリが潜んでいるわけではありません。多くはキクイムシの仲間ですが、ほとんどは巣立っています。

 

CA340607弊社では何年も乾燥させた物を使うようにしていますので、まだ中にいるようであれば、粉が出てきますので発見できます。見落としもあるかもしれませんが、加工の段階でほぼ見つけれます。それでも見落としがあることもあります。その時は素直に申しわけありませんと言うしかありませんが、もともと虫や鳥たちの住処を材料にしているのですから、あまり神経質に考えても仕方がないと考えています。虫を完全に殺してしまうような毒性の塗料を塗布してまで、虫を死滅させたいと言われるのならば、もう木は使わない方がいいと思います。私もそういう事はしたくありません。

木は温かく、肌さわりも心地よく加工性もよい循環型の貴重な資源です。ただしそれは人間のためだけのものではありません。木の魅力を感じるとき、合わせて木の育ってきた環境の事も受け入れていただきたいと思います。虫穴も節も、立派に生きた木の勲章として認め、そのうえでありがたくその恵を使わせていただくという風に考えています。大らかな気持ちで「木」を受け入れていただけると、更に木が楽しめると思います。

20090218-e6a097e6a186e5a197e8a385e291a11-300x225特に栗は、強く粘りもある木です。岩手には大きな栗があるとはいえ、やはり3mのしっかりした框が取れる栗は貴重です。杢目の美しさもいいです!ただし栗はタンニンを含んでいますので、無塗装のままだと水分と反応して赤茶になってしまうので注意が必要です。この框もフローリングと調子を合わせるため、同色で塗装しました。栗もオーク同様、塗り映えする木です。いい感じに仕上がりました。我ながら満足です。お客さんの新しい家にうまく馴染んで、末永く家族の皆さんと一緒に過ごしてもらいたいと思っています。もうすぐ旅立っていきます!

 


癖になる触感

3. 木の仕事

20090519e38080e383afe383b3e382bae4bd90e7abb9e982b8efbc991今日、【】のダイニングテーブルを納品させていただきました。家具の納品日は天気が気になりますが、今日はいいお日和で安心しました。松山市内のワンズ㈱さんの現場です。岩手県産の【】の幅剥ぎダイニングテーブル、製作は『白菊木材工作所』の太田菊則さんです。ゆっくり座れるようにシンプルでどっしりした脚も全て【】で作らせていただきました。脚ぐらいと思われるかもしれませんが、テーブルの場合だいたい高さは700㎜前後ですから、それぐらいの長さの材が必要になります。700㎜サイズとなると、あるようでありません。端材の域を越えています。こういう時に今までの集材が役に立ちます。しっかり乾燥したちょうど良いサイズがありました。というか、あるのが分かっていたので提案させていただいたのですが。注文があってから揃えていたのでは、とても高額になるし間に合わないことも多々あります。運がいいという事ではなく、用意周到に揃えておかないと対応出来ません。

 

20090519-e383afe383b3e382bae38080e4bd90e7abb9e982b81テーブルや座卓を決めていただく場合、天板から選んでいただきます。お施主さんが強いこだわりをもたれている場合は、ご希望の木からサイズの合う物を探すことになります。しかし、特別ご希望がない場合はお施主さんの好みを聞き出し、こちらから幾つか提案させていただきます。といってもいきなり倉庫の中で材料を見るわけではありません。まずは事務所2階の展示室で、木のいろいろな話を交えてお施主さんの家族構成やら生活スタイル、お好みなどをいろいろ話していただきます。私が喋っているのを聞いていただいている時間の方が多いともいいますが・・・反省!でも・・・折角ですから、木の事がお好きでから木のテーブルや座卓にされるわけでしょうが、更に一層木の事を好きになって欲しいので、使われる木の事を少しでも知っていただきたいのです。まあ脱線する事の方が多いのですが・・・こういう性格なのでご勘弁を。

20090519e38080e383afe383b3e382bae4bd90e7abb9e982b8efbc981今回は「是非、栗で」ということでしたので、材を選ぶことよりも、どの木を組み合わせるかが重要でした。国産の栗であれば何でもいいという訳ではありません。同じ樹種でも、山が違えば雰囲気も色も木目も変わります。なるべく同じ時期に入荷した木で揃えるように心がけています。ただ弊社の場合は、原木を仕入して製材する訳ではありませんので、すべてにおいて材が揃うという事はありません。天板と同じ材がない場合は、天板の雰囲気と世界観を損なわないような、天板よりもやや色の濃い物で合わせます。今回は、総栗で綺麗に収まりました。

 

それにしても【】の触感は独特です。導管が開いているので、いくら削っても表面にわずかな凹凸が残りますが、逆にそれが『癖になる』触感を生み出します。俗に「手にしっくりくる」といわれる感触です。僅かに黄身色を帯びた【】の素朴な雰囲気は何故か落ち着きます。メリハリの利いたホワイトオークの乱尺幅のフローリングとの相性もバッチリでした。

】については、以前にもブログで取り上げさせていただきましたので、詳しくはこちら〔2/9〕をご覧下さい。


岩手の栗に刻まれし

未分類
20120424 1それでは念願の石見銀山坑道を初体験!ここ石見銀山には大小600もの坑道があるそうなのですが、そのうちのひとつがこの「龍源寺間歩」です。「間歩(まぶ」とは、銀鉱石を採掘するために岩を削って作った坑道の事です。この「龍源寺間歩」も本来は600mもある長い坑道らしいのですが、現在観光用に公開されているのは157mのみ。平成元年に観光用としての新坑道が掘られ、全体の1/4のところから屈折して外部に出られるようになっています。20120424 2閉所恐怖症とまではいきませんが狭いところは決して得意ではありませんので、これぐらいの距離が私にはちょうど「楽しめる」距離です。以前観た映画「サンクタム」のように、身を屈めギリギリ通れるかどうかのような狭くて暗いスペースを進む勇気は持ち合わせていません。こんな所でもしも眼鏡にハプニングでもあったら大変な事になってしまいます!眼鏡が割れたりして、こんな所にひとり取り残されて夜が更けて獣たちが目覚めたら・・・!なんて考えると狭い洞窟探検は生きた心地がしません・・・。20120424 3そんな腰抜けには鉱山の仕事など出来ようはずもありません。新坑道に繋がるところが少し開けていて、新坑道はコンクリートで斜めに下界へと繋がっているのですが、本来の坑道はそこから先が急に細くなっていて、観光客は立入禁止となっています。その狭い坑道が本来作業に使われた大きさという事ですが、大人ひとりが通るのがやっとの狭さ。解説によれば、横幅2尺(約600mm)、高さ4尺(約1200mm)の坑道を、1日5交代で、なんと10日で10尺(約3m)も掘ったとか20120424 4今は坑内にも「文化の光」が輝いていますが、当時はさぞ薄暗く、換気もままならない中でも息苦しい作業であったんだと思います。自然石の壁面に残るのゴツゴツしたノミの跡がある旧坑道と、コンクリートで整然と作られた無機質な新坑道のコントラストがあまりに対照的で、私には急勾配で出口へといざなう新坑道はどうみても、「エイリアンVSプレデター」の南極に掘られた地下通路にしか見えませんでした!このままここから一気に飛び出す貨車はどこにあるのか~?20120424 5そんな妄想に逃避したいほどに、ここでの作業の過酷さがひしひしと伝わってくるのです。出口付近には、当時の様子を物語る絵巻が展示されていましたが、それによると、坑道の入口を「四つ留」と呼び、丸太を組んで落石を避けていたそうです。ここでは直径900mmの『栗の丸太』を組んでいたとか!900mmの栗の丸太、さぞ強靭で多くの人の命を託された事でしょう。栗は枕木にも使われるほど粘りと強度のある木ですが、いつもその活躍の舞台は黒子役。こういう木が華やかな鉱山文化の屋台骨を支えていたのでしょう。お疲れ様でした。

桃栗三年、1枚板何年?

2. 木のはなし
20120727 1建築用の木材は「乾燥材」が絶対必須条件となっておりますが、乾燥の方法はいろいろあります。時間さえ許されるのであれば、材の艶や光沢を失わない「天然乾燥」こそがベストの方法だと思っていますが、3~4ヶ月もすれば完成してしまう昨今の建築スピードでは、なかなかそれも許してもらえないのが現実。そんな中にあって、弊社では一部の商品はいまだに「天然乾燥中」。通常であれば長時間有する「天乾」も、この暑さでドンドン乾燥が進行。20数年前には想定もしない夏の暑さ!20120727 2急激な乾燥の進行によって、芯持ち材が「パリッ、パリッ!」と激しく音を立てて表面割れする現象もあちこちで聞こえてきます。化粧として「現わし」で使うわけではないので、そこまで心配はないものの、決して聞いて楽しくなる音ではありません。音が聞こえるたびにドキッとしてしまうのは悲しい材木屋の性(サガ)。連日30℃も過ぎる酷暑が続く昨今の夏、「天然乾燥」においても「過乾燥」が発生してしまうのではないかとさえ思ってしまいます。干される柱や間柱、ひたすら忍耐の夏を体験中・・・。20120727 3その土場の敷地の一角に栗の木を植えているのですが、文字通り三年目にして実が付きました。本当は、2、3年目くらいは、実を付けさせない方が良いらしいのですが、植えているとはいってもほぼ放置状態ですから、気がついたら実が成っていたというレベル。小さな幹ですから、栗の実も小さなものが3つぐらいの事なのですが、それでも何だか実がつくと嬉しい気持ちになります。別に食用にするために植えたわけではありませんが、ささやかな喜び。これは是非とも味見してみたいものです。20120727 4まだ3年の若木、直径はわずか50㎜にも満たない大きさですが、これとてあと50年もすれば立派な大木になるかしら?資材置き場の土地の一角という事で、栗の栽培に造った肥沃な土地でもありませんので、50年経っても幼い姿のままかもしれませんが、愛おしさは募ります。こんな立派な1枚板が取れる栗の大木になるまでには、どれだけの四季を乗り越えることでしょうか。当然、用材として植えたわけでもありませんが、あまりに感情が入ってしまうと商売にも支障が・・・「生き物」を手にしている自覚と責任はしっかり持っておかねば!

10月の誕生木の出口/波栗膳②

誕生木・12の樹の物語
20131023 1 .bmp10月の誕生木である『クリ』の特徴などについては昨日説明させていただきましたので、本日はその出口商品について。太古の昔より、貴重な食料としても我々のご先祖様のお腹を満たしてきてわけですから、出口商品としても「食」にまつわる身近なものとして考えました。そして出来上がったのが、こちらの『波栗膳(なみくりぜん)』です。これは『名栗』加工ではなく、『鎌倉彫り』風に表面を削り凹凸をつけて、海の中でさざ波が起きているイメージを表現したつもりです。20131023 2 .bmp栗は枕木として使われている印象から、非常に重たいと思われている人も多いようですが、しっかり乾かせば案外軽いものです。この波栗膳は小ぶりなサイズですが、持ってみるとその軽さに驚かれるかもしれません。在庫にある兵庫県産の栗を使いましたので、幅の小さなものは2枚で幅剥ぎにしてから削っているものもあります。仕上げは、鎌倉彫りに習って漆でとも考えたのですが、まずはクリの柔らかい素顔を知ってもらいたかったので植物性オイルのクリアー塗装で仕上げました。20131023 3 .bmpサイズは、長さ300mmx幅200mmx厚み22mmで、デザインは9月の『ホオのカッティングボード』に引き続いてJUNE STUDIOの佐伯勇樹さんにお願いしました。緩やかで大味なところがクリの素朴な味わいだと思ってはいるのですが、表面を削り凹凸による変化を与える事で、地味なクリの木目が一変します。立ち木としてのクリや食用としてのクリは馴染み深いでしょうが、建築資材を含め「材」としてのクリは今では決して身近なものではなくなってしまっています。20131023 4 .bmp大きなクリの木でなければ役に立たないという固定概念からは生まれにくい商品もあります。小さなクリの木でも工夫して使えば、生活の身近なところで充分役に立つということ分かっていただきたいと思います。今回作っているクリは兵庫県で伐採されたものです。名栗技法の発祥の地が兵庫であるという事も何かのご縁でしょうか。愛媛の地にもクリの木は沢山あります。それらは小ささゆえに建築資材として見過ごされてきましたが、今後は小さなクリを生かす出口の1つに出来ればと考えています。波栗膳(なみくりぜん)・・・¥4、000(消費税・送料別途) ※サイズは1種類のみ 誕生木解説書付き


銘木列伝③ 男たちの沈まぬ夕陽

3. 木の仕事
Exif_JPEG_PICTURE今回の銘木の旅の旗振り役を務めてくれたのが、『浪速の栗屋』こと㈲橘木材の四代目社長・橘明夫君。明治42年に栗の専門店として創業し、それから100年にわたり名栗(なぐり)加工の専門店として確固たる地位を築いてきました。明夫君とは、日本木材青壮年団体連合会(木青連)の先輩後輩の仲ですが、ただ組織の会員というよりは、木に対して同じ志を持つ仲間。『名栗』については、「10月の誕生木・栗」の項で触れましたので、詳しくはこちらをどうぞ。
20140212 2  .bmpその昭夫君に以前から誘われていたのですが、なかなか日程が合わず悔しい思いをしていましたが、今回かなり強引にスケジュール調整をして、東京での3日間の『ギフトショー』から2日後に岐阜へ。しばらく県外の遠方への出張&市場での買い付けは控えていましたが、重なるときは重なるもの。この後も県外に用事が続きます。さて、今回のツアーに集結したのは、明夫君、明夫君の親父さんである橘善一会長(常に温厚で私は密かに花紀京に似てると思っている・・・)。Exif_JPEG_PICTUREそして北陸石川からは、岐阜銘協通いのベテランにして、【森のかけら・北陸地区全権大使】、木の正しい使い道を実践する木の伝道師㈱ムラモト村本喜義社長㊨と、村本さんとまるで親子のように(?)行動を共にする『日本でもっともピザの美味しい材木屋』こと㈱角永商店の四代目社長角永義隆君㊧(アンテナショップであるもく遊りんでは木食住にまつわるさまざまなイベントを開催されています)。それぞれのルートで岐阜に入って岐阜銘木協に集合となりました。Exif_JPEG_PICTURE余談ながら先日のギフトショーでわれら『えひめのあるくらし』に興味を示していただいた石川県の才田春光さん㊧は、21世紀近代美術館などでも個展を開かれているそうなのですが、角永君の「もく遊りん」でもワークショップを開催されたことがあるそうです。同じ石川という事で訊いてみたのですが、なんと世間は狭いもの。いやいや、同じベクトルに向って走っていれば、遅い早いの差こそあれ、いつかはみんな同じフィールドで出会うという事か。20140212 5木青協の大会や会議で共に汗を流すことも素晴らしいですが、本業の方で一緒の方向に進めることはもっと素晴らしい。やはりそこは本気さが違いますから、おのずと熱の入れようも変わってきますし、先輩後輩という関係よりは一木材人として木について話し合えることが嬉しいです。木に対する方向性が似ている者同士なので、それぞれの狙う材が似通ってくるのもまた楽しからずや。夕方まで下見が続き、沈みゆく夕陽に向かう4人の男たちの心の太陽は沈まず


 クリに生きる矜持・中川原商店①

3. 木の仕事, かけら日本紀行

Exif_JPEG_PICTUREノルトヴィンさんの工場の次は、岩手は八幡平にあるクリ材のメッカ中川原商店」さんの工場へ。中川原繁社長㊨の所には10数年前にもお邪魔させていただきましたが、今回はそれ以来の訪問。前にご訪問させていただいた時にも圧倒的なクリの在庫量に驚かされましたが、当時はまだクリという素材の森林背景や、森林資源に占める割合、商品価値などについても知識が乏しく本質は理解できていなかったものの、眼前に広がるクリのボリュームにただ漠然と圧倒されただけでした。

 

 

Exif_JPEG_PICTUREあれからクリのフローリングも数々経験し、家具や内装などにもクリを使い、原木の仕入れもしてみて、少しはクリというものがどういうものか、少なくとも当時よりは理解も進み場数も踏んで、改めて中川原さんの土場に並ぶクリを見ると、以前とは違う思いが込み上げてきます。この周辺では愛媛とは比べ物にならないほどの膨大な広葉樹の森林資源が広がり、考えられないような通直で巨大なクリの木が入手できる環境です。にも関わらずクリの専門店は中川原さんのところだけ。

 

Exif_JPEG_PICTURE今でこそ広葉樹の内装材などに見直しの機運が広がってきていますが、それだけ潤沢な資源のある岩手においてさえ、広葉樹専門でいく業者が他にいないということは、相応のリスクがあるということでしょう。広葉樹の場合、スギやヒノキなどの針葉樹のように通直で素直なものは少なく、変形や凹凸、ふた股、極端な元張りなど、木の個性が色濃いために、製材技術はもとより原木を見る『目』が非常に重要になります。目利きができない者にクリは扱えません。

 

Exif_JPEG_PICTUREクリに限らず、カキやナシ、ミカンなど甘い実をつける木は虫にも好まれます。虫が穿孔した穴の事を『ピンホール』と呼びますが、とりわけクリは虫害を受けやすく割ってみると小さなピンホールが無数に・・・という事も珍しくありません。クリは、ケヤキと並ぶ代表的な環孔材(大きな導管が年輪に沿って並ぶもの)で、よく見ないとピンホールなのか大き目の導管なのか分からない場合もあり、私の経験不足から昔はそれで随分トラブルになったこともありました。明日に続く・・・


 クリに生きる矜持・中川原材木店②

3. 木の仕事, かけら日本紀行

Exif_JPEG_PICTUREそんな難しいクリの原木の見極めも、中川原社長にかかれば造作ないことのようで、厳選された大量のクリの原木の在庫を見ればそれも納得。それでも針葉樹の構造材のように汎用性が高いわけではないクリを扱うに際しては、販売先の確保からして、理解ある取引先と巡り合うまでにもかなりのご苦労や困難があったと思われます。そういうクリの木への思いも錯綜し、岩手の広葉樹、特にクリ、ナラにこだわり取り組んでこられたその先見性と覚悟に圧倒されるのです。

 

Exif_JPEG_PICTUREちょうどその時にも大きなクリの現場を抱えられていて、柾目のクリの板などを大量に保管されていましたが、『クリで柾目』って通常考えられない感覚です。しかもそれが3mや4mの長ものでも対応できるなんて・・・唖然!中川原社長が貴重な時間を割いて、細かく説明してくださったのですが、その口から発せられる言葉は豊富な在庫に裏打ちされた揺るぎない自信とクリの製材として意地を貫き通したという矜持に満ち溢れています!これぞ広葉樹にこだわって生きる材木人!!

 

20140614 3中川原商店さんの土場にあるのはクリばかりではなく、ナラの原木も大量に在庫されていました。ナラは現在全国的に慢性的な材不足傾向にあり、弊社でもナラから代替材のホワイトオークに切り替えていますが、うず高く積み上げられたナラの原木と製材された大量の挽き板の山を見ると、あるところにはあるものだなあと感心させられます。大手の家具屋さんとも取引をされているという事で、決して材を切らさないというメーカーとしての供給責任の心意気を感じました。

 

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少しの時間お邪魔するつもりが、話が盛り上がりすっかり長居してしまいました。クリに関しては、中川原商店さんは間違いなく日本一に規模だと思われますが、後継者でもあるご子息の中川原壮一さん㊨も熱心で、岩手の広葉樹の文化は今後もしっかりと継承されていくようで頼もしい限りです。こうして産地で直接生産者の方の声を聞き、商品背景を知ることで、モノを売ることからモノガタリを売ることが出来るようになるのですそれぞれの木にそれぞれのドラマがある


 

よすがらや 花栗匂う 山の宿

2. 木のはなし, 愛媛のこと

20140615 1クリといえば、弊社の敷地に植えたクリの木にも青い実がついていました。まだまだ食用になるようなレベルではありませんが、直径100ミリにも満たない小さな木にもしっかり実がついている様子は何とも健気で可愛らしいものです。数年前から実がつき始めたようですが、『桃栗3年柿8年』の言葉通り3年ぐらいかかるもの。気にしていなければあっという間の3年も、まだかまだかと期待して待っていれば長い年月。事務所側に植えたトチには今年も実がつかず・・・。

 

20140615 2クリの花が咲いたり、クリの実がつくのは6月頃なので、クリの花は夏の季語とされていますが、クリの実は秋の季語とされています。それで弊社としては、秋の味覚としてより身近でクリを感じられる秋、10月をクリの誕生月に設定しました。つい最近まで白いクリの花が咲いていたと思っていたのにもう実がついていて、木とのつき合いは長いようで短く、短いようで長いものです。まあ、いくらこのクリが大きくなっても伐採して床材にしようとは思いませんが。

 

20140615 3中川原商店さんの土場に積み上げられていた大きなクリの原木を思い出すと、弊社のクリの木のなんとつつましいことか!そこで思うのが、クリの木言葉。いくつかあって代表的なものは『公平』ですが、一方で逆説的な『贅沢、豪奢、満足』などの言葉もあります。恐らくそれは、クリのように大きく立派になる木(贅沢、豪奢)は、そこに集まる鳥や虫や周辺の木々たちにも公平であれという意味があるのではないかと思うのです。それは木だけでなくひとの世界でも同じこと

 

20140615 4よすがらや 花栗匂う 山の宿』という正岡子規の俳句がありますが、わが愛媛県には岩手のような巨大なクリこそないものの茨城や熊本と並んで食用のクリの産地なのです。なんとその3県だけで、全国の収穫量の約50%を占めるというのです(ちなみに愛媛は1位の熊本の約3分の1の3位)。愛媛は気候が温暖でもともと野山にクリが自生していたこともあり、昔からクリを食用としてきましたが、南予を中心にクリの栽培が本格化するのは明治時代以降のようです。


将軍家御献上の愛媛の栗

2. 木のはなし, 愛媛のこと
20140616 1言い伝えによると、徳川三代将軍家光の時代に、大洲地方を収めていた大洲藩主加藤泰興が江戸への参勤交代の際に、中山町で採れたクリを献上し喜ばれたとされています。そういえば、実家付近にある「栗田」や「栗の木」などの地名も栗栽培と関わりがあるのかもしれません。しかし、京都の丹波栗や高知の栗焼酎『ダバダ火振り』などと比べても知名度は低く、PR下手はもはや愛媛のお家芸。ならばせめて愛媛のクリを「食」ではなく「材」の立場から応援してみると・・・。
20140616 2数年前から取り組んでいる愛媛の広葉樹への取り組みですが、初期に引いた材がすっかり乾燥してようやく使えるレベルになってきました。樹種や個体差もありますが、原木を耳付きのまま挽いて3、4年じっくり天然乾燥で寝かせてから使う予定でいたので、思惑よりも1年ぐらい早いのですが比較的材が、小さいのと風通しのいい場所に保管していたこともあって使用に際して問題ない状態です。樹種としてはケヤキサクラクルミ、ミズキ、クリなど。ナラはもう少し寝かせます。

20140616 3どれも直径300~400ミリ未満の小さな原木ばかりで、愛媛の広葉樹の1枚板のダイニングテーブルが出来るようなレベルではありません。ですが、幅剥ぎすれば地元の広葉樹の家具も作れます。その中で、クリは原木自体も少なく、岩手の通直で立派な丸太の面影もありませんが、それでもクリはクリ!全国第三位の収穫量を誇る愛媛のクリ産業ですが、食用のクリと用材としてのクリは根本的に異なります。野山に自生しているクリは、ヤマグリ、シバグリなどと呼ばれています。

 

20140616 4一応クリの実はつくものの、極めて小さいものばかりで食用には不適。その野生のクリを長い時間試行錯誤して改良したのが栽培用の大きな実のつくクリの木です。有名な品種としては、丹沢、国見、石鎚、筑波、利平などがあります。実際に栽培用のクリの木を製材したことが無いので、比較のしようがないのですが材質的にはあまり変わらないと聞いたことがあります。ただ私のイメージでは、木の栄養分をすっかり実に絞り取られてしまってスカスカになった感じがして仕方ありません。

 

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というのも、実でも精一杯人間に恵みを与えてくれているのに、そのうえ体まで使われてしまってはなんだかクリに申し訳ない気になって・・・。食べるか使うか、どちらかだけでも人の心を満たしてくれれれば充分という変は心境になってしまいます。ところで久万のクリですが、木も小さく曲がりくねっているため用途は絞り込まれますが、天然乾燥のため色艶、光沢が損なわれていません。あたかも実にいくはずだった養分がすべて残って材中に閉じ込められたように! 


庭栗の収穫祭

 




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