森のかけら | 大五木材


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昨日に続いて、アメリカはケンタッキー州に多く自生する『ケンタッキーコーヒーツリー』について。たまたま初めてこの木を手にして時には、誰に訊いてもその正体を明確に説明してくれる人がいませんでした。もともと材木業界においては木の話なんて文章として書き残すというものではなくて、先輩から口伝で教わり語り継がれていくものでした。聞いた人それぞれのアレンジも加わって、口から口へと語り継がれるうちに尾ひれ背ひれがついていって、その人なりの木物語が出来るわけです。長い時間の中で換骨奪胎されて物語がより熟成され完成度が高まっていく。

桐の花の中には鳳凰が棲んでいるだの、イザナキが黄泉の国から逃げ出す際に悪霊たちに桃を投げつけただの、神オーディンが樹を人間に変えたとき、その1本がニレで女性になっただのの伝説・伝承・神話が大好物で、そこから垣間見える木の世界に強く惹かれるのです。材木屋をしてなければ実物ではなく、物語の世界観の中だけで木を愛でていたかもしれません。なので本当は気乾比重や学名、葉や樹皮など樹木の性状にはあまり興味は無かったのですが、より専門的な引き出しが多いほうが物語を堅牢に構築できることを学び遅ればせながらそちらも勉強中です。

ということで、このコーヒーツリー(森のかけら400ではケンタッキーコーヒーツリーと表記する予定)についても少しでも多くのサイドストーリーを引っ張ってきたいと思っています。昨日、焙煎していない鞘や種子には有毒成分が含まれいてると書きましたが、実際に中毒になったという事例はほとんど無いようです。この葉を食べたり落ち葉が溶けた水を飲んだ牛が死亡したという事例はあるようなので、鞘や種子にはかなり強い毒性が含まれていると思われます。『森の毒りんご』に加わるポテンシャルはありそうです。

今までは厚みのある材を持っていなかったのと、正体がよく分からず供給の不安もあったのですが、徐々に正体が分かって厚みのある材も入手出来れ供給の心配もなさそうなので(森のかけら基準)、近いうちに『ケンタッキーコーヒーツリーのりんご』も作るつもり。しかし初期の入植者はそんな危険な木の種子を挽いてコーヒーの代用品のようなものを作って飲んでいた(焙煎の過程で毒素は消える)というのですから、ひとの食への探究心は凄まじい。多くの被害を乗り越えてたどり着いた「命がけの一杯」の味はいかほどであったか




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