森のかけら | 大五木材


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昨日のブログで、欧米において『イチイ』は死をイメージしていたり、有毒であることから恐れられていると紹介しました。古代ギリシャやローマ神話にも登場しますが、ウェールズのキリスト教の戒律においても「聖なるイチイ」を倒した賠償には60頭の羊が求められるとあります。イチイはもともと再生能力が高い木でその特徴を利用して生垣などに用いられていますが、そのスピードは遅く高齢木になると幹の中心部分が朽ちているものもあります。ヨーロッパには樹齢が2000年を超える長寿のイチイもあるのだとか。

枝も多くて巨木になったその姿はどこかおどろおどろしくもあります。そこに有毒ではあるが手に取りたくなるような美しく赤い実、とくればますます神秘性が増すというもの。そのあたりからイチイが死をも超越した特別な存在となっているのかもしれません。日本人には馴染みにくい感覚ですが、欧米においては長寿の木が宗教と結びついて特別な存在になる事は、クリスマスツリーの例をはじめ少なくありません。赤い実を包んでいる仮種皮以外すべての部分が有毒で、葉を食べた牛や馬が中毒を起こしたり、実を食べた人が死亡した例もあるぐらい危険です。

そんなイチイですが、先日家内と東予方面に出かけていて帰りに夕飯の食材を買おうと立ち寄った店でたまたま見つけたのがこちらの和菓子、『今治市銘菓 一位木(あららぎ)』。今治市常盤町にある明治12年(1879年)創業の老舗・ムロヤ菓舗さんが作られています。地元では有名なかなり有名なはずですが、恥ずかしながら私は今回初めて知りまして、見つけた瞬間に「パッケージ買い」しました。甘さ控えまな黄味色の餡をシナモン風味の皮で包んだひと口サイズの素朴な風味の焼き饅頭。

SNSでムロヤ菓舗さんを検索すると、店舗にはイチイで出来た看板を設えられていて、そこに「今治銘菓 一位木」の文字が描かれていて、この和菓子への強い思い入れがうかがえます。イチイは有毒成分を持っていてネガティブなイメージが強いのですが、この和菓子がイチイの何かしらの部分を利用しているとしたら凄い!と思って買ってみましたが、原料にイチイの成分が使われているというわけではなくて、生命力があって長寿で高貴な(聖徳太子の持つ笏)イメージから命名されたようです。

赤い実を包む仮種皮は食べることが出来るらしいので、もしかしたらそのあたりが皮とかに伝統の秘技で練り込まれているのかもしれませんが、私が調べた範囲ではそういう情報は出てきませんでした。しかし、もし何らかの形でイチイを使っているのならば知られざる出口として再度取り上げさせていただきたいです。その皮以外の種や木や葉すべてにタキシンという毒性成分が含まれているイチイをわざわざ使う必要があるのかと思いますが、もしそこまでの危険を冒してイチイを食材に使っているとしたら凄いことです!なにせ石川県の白山市にはフグの卵巣を塩漬け後に塩抜きし、ぬかに漬け1年~2年漬けして毒抜きして食するという日本人の食への執念が結実した食材がありますから、誰かがどこかでイチイの毒も克服しているのかも!?




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