森のかけら | 大五木材


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阪神タイガースのマートンの1本のバットから壮大な話になるのですが・・・アメリカ合衆国の第7代大統領のアンドリュー・ジャクソン、その人が深く関わっているのです。A・ジャクソン大統領(1829-1837)は、サウスカロライナの未開拓森林地帯で生を受けました。現在のサウスカロライナは、建国期の雰囲気をそのまま残したような町並みが人気の観光地ですが、南部貴族が残した優雅な建物は、かつてこの地で行われていた黒人奴隷の貿易が犠牲となっていて、この町には歴史の影が深く刻み込まれているのです。奴隷解放を主張したリンカーンが大統領に就任が決まると、サウスカロライナ州は就任式を待たずに合衆国を独立しました。その後も幾つかの州が分離・独立しそれが南北戦争の引き金となるのです。

サウスカロライナにはそういう歴史的な背景があるためか、同州出身のA・ジャクソン大統領も典型的な南部思考の持ち主だったようで、その政策も極端でした。彼の唱える民主主義はあくまで白人に限定としたもので、「黒人は私的財産だ」と発言して、奴隷解放運動を否定しました。また、インディアン強制移住法を提案して、先住者であった彼らの土地を取り上げ強制的に東部に移住させ、残った肥沃な南部の地に広大な綿花を植えたのです。そういう強行的な手法は、君主国になぞらえて「アンドリュー王一世」とも揶揄されたそうです。

実はアンドリュー・ジャクソンは、初の貴族出身ではない大統領であり、正規の教育を受けていなかったとされています。肉親全てを南北戦争で失くし、自身も英国軍の捕虜になった経験があり、決して恵まれた環境にあったわけではありません。戦後の混乱期において自らの力だけで這い上がってきた彼にとっては、力こそ正義だという偏ったイデオロギーだけが拠り所だったのかもしれません。軍人時代には頭角をあらわし、大佐になって米英戦争では輝かしい戦歴をあげました。その時の戦果によって彼は後にアメリカ合衆国大統領にまで上り詰めるのです。活躍した米英戦争の主戦場が森林地帯であった事から、(きっとその地でたくさん生えていたのであろう)ヒッコリーになぞらえて、古いヒッコリーのように頑丈」(tough as old hickory) という意味の、「オールド・ヒッコリー」というニックネームが付けられたというのです。

しかし、その強権的な手法には批判も多かったようで、史上唯一、議会から不信任決議をされた大統領でもあり、独立戦争や南北戦争という暗黒の時代の象徴として、その期間を「エイジ・オブ・ジャクソン」と呼ばれたりもしています。未遂に終わったものの暗殺の標的にもなるなど、問題の多かった大統領でした。、「オールド・ヒッコリー」という愛称にも、タフであるという意味と同時に、硬くてどうにもならないほど頑固という皮肉も込められているようにも思うのです。それではヒッコリーが可哀想ですが・・・。

さてアンドリュー・ジャクソンの愛称にも使われたほどこのテネシー州からミシシッピ州、アラバマ州一帯は、19世紀以前には広大なヒッコリーの森が広がっていたといわれています。まだ本格的な伐採機械もない当時、ほぼ手付かずの原始林が延々と連なっていたのでしょう。それは人間の介入を拒むような鬱蒼とした森で、さぞ神々しいものだったと思います。それが何かの例えになるぐらいですから、当時の人々には畏敬の対象でもあったと思うのです。あくまでも私の推論ですが、物の木としても丈夫な高齢木のヒッコリーの木にちなんで、長く丈夫でありますようにとの思いも込めて人造湖に「オールド・ヒッコリー」の名前を冠したのではないでしょうか。 その思いは、湖からバット製造会社の社名へとつながっていくのでしょう。南北戦争からマートンのバットまで、ああ、果てしなき『木物語』!

 




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