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久し振りに映画らしい映画を観ました。アメリカ映画業界では「アカデミー作品賞を取った映画に良作なし」という言葉がまことしやかに語られています。それはアカデミー賞の投票資格を持っているのがアメリカの映画産業従事者の団体、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の会員で、彼らの無記名投票によって賞が決まるため多くの人数を抱えるメジャーな製作会社の方が圧倒的に優位であり、力関係が大きく作用したりするという事に起因しているものだと思われます。
その真意は分かりませんが、本当に力のある作品はそんなパワーゲームすらも軽々と乗り越えて万人に評価されるのではないかと思います。光と影が作りだす虚構・映画にとって、そんな業界の裏話すらも、スクリーンに花を添える彩りと鷹揚に愉しむぐらいの腹がなければ、虚虚実実の駆け引きの映画産業の中で頂点を取ることなど叶わぬ夢。子供の頃から、「過去の記録を追う」のが好きでしたので、ビデオ無き時代に栄光の記録を活字で追うのも、田舎の映画ファンの愉しみでもありました。
活字の中で妄想を膨らませて想像する映画鑑賞を今まで何千回も繰り返してきたことか。そういう少年にとって「アカデミー賞受賞作」というのは、あまたある作品の中から宝石を探し出す道しるべでもありました。大人になって賞レースの舞台裏も知るようになりましたが、時にはそんな力作用すらも凌駕する佳作にもスポットライトが当たります。そこにも何らか力が作用しているなんてうがった見方をする人もいますが・・・。記録マニアからすると、受賞できなかったノミネート作にも興味津々。
毎年、夢散った作品に特別な思いを持って追っかけて観たりするのですが、個人的に受賞して欲しかったのは68年の「卒業」、75年の「タワーリング・インフェルノ」、84年の「ライトスタッフ」、86年の「刑事ジョン・ブック」(←邦題もう少しどうにかならなかったものか!)、99年の「プライベート・ライアン」エトセトラ・・・。そんな風に好き勝手に妄想できるのも映画の愉しみのひとつです。さてさて前口上が長くなりましたが、そういう思いもあって、今年のアカデミー賞どれほどのものぞ!という気持ちで映画館へ。
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