森のかけら | 大五木材


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20121017 1昨日に続いて山に行った時の話ですが、父と生前中に山に入っていればどこからどこまでをいつ頃伐採したとか、この谷や岩が境界だとか教えてもらえたのかもしれませんが、晩年は体調を崩し山歩きなどとても出来ない状況でした。今でも悔やまれるのは、父親が元気なうちに山の事をもっと訊いておくんだったという事。地図と携帯のGPSを頼りに山に入りましたが、山中だとGPSもかなり誤差があるので地図に記された目印の岩やら谷を頼りに山中を行ったり来たり。

 

20121017 2山林地図は、一応境界はあるものの町の地図のように明確な道路や標識があるわけではなく、木に表札がついているわけでもありません。しっかり手入れのしてある山なら別ですが、放置された日本の山の姿はこのようなものです。狭くて壊れかけながらも作業道のようなものの残骸が残っているだけましな方です。その道すらなければ、どこがどこだか見当すらつきません。かなり心寂しかったのは、道に迷う不安からだけではありません。山の入口付近にこんな標識が・・・イノシイ、ニホンザル、出るのか!?

 

20121017 3更にこの前日、DVDで『ザ・ダイバー』という映画を観ていたのも不安を煽る一因でした。この映画は、アメリカ海軍で初めてアフリカ系黒人として「マスターダイバー」の称号を得た実在の潜水士(カール・ブラシア)の激動の人生を描いた物語です。舞台は、第二次世界大戦終結後の1940年代末期の海軍で、登場する潜水服も前時代的な重装備のヘルメット型なのですが、その装備だけでも100㎏近くもあり、空気を送るホースも心もとなく、潜水場面では息苦しくなるような閉塞感が・・・!

 

20121017 4激しい黒人差別の中で、鬼教官(ロバート・デ・ニーロ)の厳しいしごきにも耐え、マスターダイバーとなるのはキューバ〔アカデミー助演賞〕グッディング・ジュニア、大好きな映画です。水泳は苦手でろくに潜水も出来ませんが、海洋モノも大好きでよく観るのですが、漆黒の海の底でただひたすらに孤独に耐える主人公の姿が脳裏に刻み付けられていて、海の底と山の中と舞台こそ違えど、広い場所にたった独りという孤独感は相通じるものがあり、一層不安を掻き立てたのかもしれません。

 

20121017 5こういう時、最後に役に立つのは人間の本能。嗅覚や聴覚。遠くで聞こえる小川のせせらぎ、足元の落ち葉の揺れる音、木々を渡る風音、天飛ぶ鳥の鳴き声、人が入らなくなった森から聞こえてくるのは自然界の鼓動ばかり。老木が枯れ倒れ、草木の茂った作業道、放置された森も、人間の物差しを越えた数百年、数千年という時間を経れば、原始の森の姿を取り戻していくのでしょうか。ここにもかつて人の手に頼らない太古の森があり、鳥や小動物や闊歩していたのでしょうか。およそ文明の音の聞こえない山中に独りで永くいると不意に寂寥(せきりょう)感に襲われ、そんな事を考えたりします。このシチェーションが原始の本能を覚醒させるのでしょうか。いろいろな属性が剥がれ落ち、モノの考え方がシンプルになっていく気がします。風が止むと森は再び静寂を取り戻し、静謐に包まれていくのです。




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