森のかけら | 大五木材


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長々と芥川龍之介の『河童』の疑問について書いてきましたが、もともとは『日本の文学の5かけら』という商品について説明しようと思って書き始めたのですが、すっかり寄り道をしてしまいました。『河童』における水松がイチイだと分かった(あくまでも私の脳内では)のですが、私が気持ち的に引っかかったので、ここまで捜査網が広がりましたが、物語の中においてはわずかに1度だけその言葉が出てくるだけでテーマに深く関わっているのでもないので、それで〔河童=イチイ〕と連想させるのはさすがにこじつけが強すぎる。

まあ「河童」に関しては、最初に「物語に登場する木ありき」ではなく、何かしらの形で木が登場しないかしらという下心で聴き始めたので、無理にこの作品を木につなげる必要はないのです。それでもたぶん今の小説なら、イチイとかブナとか特定の樹種名まで描かないと思うし、それ以前に若い作家さんって木の名前って知っているのかしら?イメージしやすいサクラなどはよく使われていますが、身近にある木の名前すら分らなければ、その背景にある物語も分らないわけで、それではモチーフにはなりえないでしょう。

森の5かけら』は文学に関わらず、われわれの身近なところにある木のモノ、無意識のうちに普段から使っている木のモノなどを改めて見直してみませんか、という意味合いもあります。そうすればさまざまな種類の木が、それぞれの特徴を活かして無数の用途に使われている(いた)という事に気づくと思うのです。もう一度そんな暮らしに戻ろうなんて声高に叫ぶつもりはありませんが、気づいてもらう、知ってもらうことでもしかしたら少しでも木に関心を持つ人、木のモノを使う人が増えてくれると嬉しいと思うのです。

私たちやそれより上の世代だと懐かしさを感じる木のモノも、若い世代にすれば新鮮に感じることもあるはず。いま木のおもちゃが若い子育て世代に見直されているのもそういうことだと思います。小難しい理屈抜きに、感覚的・本能的にわが子に触れさせる、遊ばせるものは木のモノがいいと感じている、考えている人は増えています。なんとなく、漠然と、よく分らないけど木が好き。森の入口の扉をあけるきっかけはそれで充分です。そこから先は油断すると、芥川龍之介が橋の上から河童を見たがごとく、森のかけらの底なし沼に引きずり込まれますのでご注意下さい!

 




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