森のかけら | 大五木材


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昨日に続いてイチョウの話ですが、小枝の輪切りに群がる光景を見て感じたのは、メスと思ったいたが最近はギンナンがつかなくなったらしいから、もしかしたらメスからオスに性転換途中のイチョウだったのかもという事。それで匂いが薄く感じたけど虫には充分に大好物な匂いだったのかも・・・あれ?そういえばイチョウは11の誕生木にしているのですが、その出口として作った鴨を模して作った『ダックエンド』は、古書とかを喰ってしまう紙魚(しみ)がイチョウの匂いを嫌うという事がモチーフでした

なので、自分の中ではすっかり「イチョウの匂い=紙魚が嫌う➡イチョウの匂い=虫が嫌う」の構図が出来上がってしまっていました。しかし考えてみれば伐採直後の、メスのイチョウの鼻をつまみたくなるような強烈な匂いは、生ゴミなどに群がる虫にとっては大好物なのは理解できます。紙魚が嫌いうからすべての虫が苦手というわけではなく、単に「蓼食う虫も好き好き」パターンなのか、あるいは生材の匂いと乾燥後の匂いが科学的に変異するのか?

その辺りはよく分りませんが、小枝の輪切りも3,4日経って乾燥が進むと羽虫はすっかりいなくなってしました。わずかに感じられていたイチョウ臭もすっかり消え失せてしまいました。磨くと多少は匂いありましたが、いつものメス確定のイチョウに比べたら雲泥の差。生材から乾燥する際に発せられる時に小虫たちが好む刺激臭が出るのかも。それでイチョウの匂いの事が少し気になっていたのですが、そしたらまた衝撃の光景が!カウンターに使えるサイズのよく乾燥した4mのイチョウの4mの耳付きの板があるのですが、

耳の部分は一部樹皮が剥がれたりしてて、見たらかなり脆くなっていたのでバリッと剥がしてみたらそこから1匹の紙魚が飛び出してきたのです!樹皮の隙間に潜んでいたみたいなのですが・・・えっ、イチョウの匂いが苦手なはずでは?!たまたまかもしれませんし、木の匂いっていつまでも継続するわけではないので乾燥が進むと効果無くなるのかもしれませんが、百聞は一見にしかず。木の生態って分らないことだらけ(私が無知なだけですが)。モノの本には書いてないような事に日々巡り合える楽しい材木屋の仕事




4都市林業』でイチョウ(銀杏)を大量に入手させていただきましたが、その際に幹だけでなく枝も少し分けていただきました。直径でいうとだいたい50~70㎜前後。イチョウは枝が多い木なので、立木を1本伐採すればこんな枝はそれこそ山のように発生します。普通はそのまま処分するか冬場なら薪にでもなるところでしょうが、『モッタイナイ症候群』に侵されたビーバーとしては、指を咥えてこれを見過ごすことはどうしても出来ません。それでついついいただいて帰る事が多いのですが、そのお蔭で倉庫にはこういう「枝の山」が沢山出来てしまい顰蹙を買う事に・・・

当初は、いつか使えたらと思って放置していましたが、そすがにそんな呑気な事を言っているレベルではなくなってきたので、数年前からはとりあえずすぐに輪切りにすることにしています。いつもは仕事が終わってから私がスライド丸鋸でカットしてましたが、今回は見かねてスタッフが自主的にカットしてくれました。『骨まで活かして使う精神』が少し浸透してきたかなと嬉しい限り。小枝の輪切りはこの後が大切で、すぐに1枚ずつ並べて風通しのいい暗所で乾かさねばなりません。重ねたりしてるとすぐにカビが発生します。

早く乾かそうと外に並べていたら、いつの間にか直射日光を浴びてしまい小枝の輪切りが芯割れしたり、反ったりしたりと、油断していて駄目にしてしまった痛い経験数知れず。今はそういうミスは起こしませんが、都市林業によっていろいろな木の輪切りを試しているので経験値が高くなっていきます。例えば今回のイチョウは、カット後にすぐに暗所に並べてたのですが、翌日に見るとそこに黒い小さな羽虫が大量に群がっていました。木にひっついているものやその周囲を飛んでいるもの。今まであまり見たことがない光景。

今回のイチョウは所有者から、以前は沢山ギンナンの実が落ちていたけど最近は見かけなくなったと聞いていたので、メスだろうと思っていたのですが、製材しても匂いがほとんどしなくて「?」と思ってました。匂いに薄いメスのイチョウもあるのか?それともイチョウが性転換したという話も聞くので(真意は定かではありませんが)、イチョウの中にも偏屈な者は居るということか。しかし羽虫たちが群がっているところを見るとやはり独特のイチョウの匂いは発せられていたのでしょう。とにかく虫は匂いに敏感ですから。




今日のかけら番外篇・E049ディレニアDillenia   ビワモドキ科・広葉樹

M.L.Hについての前置きがすっかり長くなりましたが、本日紹介するのはパプアニューギニア(PNG)産で、いつもは他の木と一緒にM.L.Hとして雑木扱いされている木、ビワモドキ科の『ディレニア』について。M.L.Hと呼ばれているのは供給と需要の関係性の中での名称であって、その中にある木に必要性があれば、M.L.Hから抜け出して本来の固有名詞で取引される事もあります。このディレニアなどもその木のひとつですが、その出口は結構ニッチです。

この地域ではこういう性質の木が要るからM.L.Hの中から適した木として選ばれたというだけで、その出口は全国共通のものではありません。私が考えているのはそんなミニマムで地域の特性が出る小さな出口。ささやかでも、名前すら知られず数ある木の中の1本として消費されていくより全然いいと思うのです。愛媛県今治市タオルが有名ですが、もうひとつ有名なモノがあって、それが造船業。建造量国内最大で世界でも第3位を誇る今治造船をはじめ多くの造船業が集積する日本最大の海事都市なのです。

その造船工事に必要とされるのが硬くて重たい木・ディレニア。基本的は話ですが木には水に浮かべれば水面に浮かぶ木・フローターと沈んでしまう重たい木・シンカーがありますが、ディレニアはシンカー系の重硬な木。建造中に船体を支える盤木として使われるので水に沈む必要はないですが、重硬で安価な材が必要とされます。船が完成するまでの間、足元で巨大な船を支え続けて、完成時にはバラされて御用済みとなります。まさに縁の下の力持ち的役割。

愛媛に輸入されている中で、いろいろな木を試されてディレニアに行きついたのか、製材側からの提案なのかは定かではありませんが、この辺りでは造船という出口が確立されているようです。また製材した端材から土木資材などにも活用されています。いずれにしても化粧で木肌を楽しむような用途ではなく、陰で支える黒子的役割。しかしこのディレニアという木は、人目につかぬ黒子でその一生を終えさせるにはモッタイナイほど美しい一面も持っています。




現在240種の『森のかけら』を世界最多の木材標本とすべく400種に増やす計画ですが、そのために踏み込んだのが、まだ見ぬつわものどもが数多く眠る禁断のエリア「パプアニューギニア(以下PNG)」!もちろん実際に行ったこともなければその文化や知識もほとんどありません。わずかに知っている事といえば、深い森の中にはいまだに妖怪や精霊が棲むと言われている事ぐらい。漫画家の水木しげるさんは若い頃に太平洋戦争に招集され、激戦地であったニューブリテン島(PNG)の最前線に送られ地獄を見ます。

そこで奇襲攻撃に遭い分隊は全滅。水木さんも左手を失いますが奇跡的に生き延びます。生死をさまよった日々の中で水木さんは魔訶不思議な体験をし、それが後に『ゲゲゲの鬼太郎』を生み出すファクターとなっていくのです。ニューブリテン島には沢山の精霊が宿っていて、現地の人々たちはその存在を信じていて(というかごく当たり前に共存していて)色とりどりの仮面や装飾具をつけて精霊たちの姿を表現し歌い踊る文化が根づいています。

私は木の話をさせていただく際に、単にその強度や比重、などの外的特徴だけを語るのではなく、その木がその地でどういう風に呼ばれ暮らしの中でどう関わってきたのか、加工され何にどう使われてきたのか、あるいはその木にまつわる伝承や逸話、そういった『その木から産み落とされたあらゆるモノ・モノガタリ』について語りたいし、なにより自分が知りたいのです。そういう記述には事欠かない日本の木に比べて海外の木はそういう話が少ないのですが、中でも東南アジアの南洋材はその辺りの情報がかなり少ない・・・。

これは東南アジアに限ったことでなくて、アフリカや中南米などでもそうです。硬ければハードウッド、やわらかければソフトウッドでいいじゃないかという文化と、桑は桑でも御蔵島の桑でなければ江戸指物とは呼べない!などとわずかな木の特徴の際に強いこだわりそこに価値を見出し連綿と継承してきた日本の文化の違い。世界的に見ても日本人の木に対する執着心は異常で、だから『森のかけら』のような変態的商品も生まれるのです。という事でこれから神秘的なPNG生まれの木たちを不定期で紹介していきます。




ダグラスファー(ベイマツ)の話の続き・・・目の詰まったピーラーヤニ(脂)も出やすくて、杢が綺麗だと思って油断して持つと裏面にヤニ壺があって、腕にヤニがベッタリ付着したりして、ピーラーを運ぶのは好きではありませんでした。今なら乾燥材が主流なのでヤニを見る機会すら減ってきていますが、昔は生材が基本だったのでベイマツにヤニはつきものでした。入社した頃は、注文したピーラーを製材に取りに行ってトラックで積んで帰って梱包をバラシてみると、中にヤニが絡んだ材が何本かあって、返品しろの、許容範囲だのでもめる事も少なからず。

それからしばらくすると、こっちも面の皮もすっかり厚くなって、少々のヤニなら「外科手術」でヤニの周辺を除去して木粉で埋めるという「テクニック」も見につけるようになりました。なのでピーラーには対してはあまりいい思い出は無かったのですが、気がついたらピーラー材を使うような「木を現わしで使う家」もすっかり減ってしまい出番も激減。その頃になるとピーラーもほぼ姿を消して、目込みの強い材を「ピーラー級」とか「ピーラー並み」と形容してその幻影を追いかけていました。

今回ウッドショックで北米材が話題になっているのでピーラーを取り上げたと思われるかもしれませんが、そうではなくてその出自に関わるお客さんが来店されたから。以前にもブログで紹介しましたが、近くにアメリカ人の英語塾の講師・クリス(Chris Crews)住んでいます。カリフォルニア出身で木と野球が大好きなので、何か木で作りたいときにはよく来店してくれます。それで今回も塾の室内看板を作りたいという事でご来店。木にはこだわらないという事でしたが、こちらは強くこだわりたい(笑)

クリスは故郷カリフォルニアの山が大好きで、各部屋の室名にも故郷の山の名前を冠していました。Mount Mount (ラッセン山)、Mount Shasta(シャスタ山)、故郷の立派で美しい山だそうです。訊けばシャスタ山というのはカスケード山脈南部に位置するとの事。ならばここはカスケードしかない!ということで弊社の倉庫に眠る歴史の証人ピーラーの出番。表面に多少のヘアークラックはあるものの、野趣に溢れた極細目のピーラー登場となりました。故郷の木という事でクリスも大喜び。・・・続く➡




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