森のかけら | 大五木材

今日のかけら126

アユース

Ayous

アオギリ科・広葉樹・アフリカ産

学名:Triplochiton scleroxylon k.Schum

別名:オベチェ(Obeche)、アバチ (Abachi

サンバ(Samba/コートジボワール)、ワワ (Wawa/ガーナ)

気乾比重:0.32~0.50

 

幅広アユースの彷徨①*

★今日のかけら・#126【アユース/Ayous】 アオギリ科・広葉樹・アフリカ産

アユース、あまり外材を扱わない方でもその名前ぐらいは知っているだろうと思われるアフリカを代表する第一級の高木です。薄いクリーム色の木肌で、室内の装飾材であるモールディングなどに利用されています。成長すると高さが20~25mにも達し、直径も1mを超すような大木になりますが、基部には6~8mもの薄くて直線的な板根(ばんこん)が出来ます。と、こんな事を書きながらも実際に立っている姿をこの目でみたことはないわけで、嗚呼いつの日にかアフリカのジャングルでその御姿を仰ぎ見てみたいものです。

ところでこのアユースは、気乾比重が0.32~0.50、平均で0.40ということからも分かるように非常に軽軟な木です。それでいて大木になるので、幅広で軽い板が容易に手に入ります。通常バンドル買いといって、1.5~2.5㎥程度にまとめられた梱包で仕入れるのですが、その中には尺越え(約300mmUP)の幅広が多数入っています。今回仕入れた梱包などは、総数50枚のうち、およそ半分が尺越えで、最大のものは580㎜!不謹慎なもので、それぐらい幅広が多いと、幅広にありがたみを感じなくなってしまいます。

でもさすがに尺越えの板を細かく割り返すのは気が引けるので、結果的に幅広い板はずっと倉庫に残ることになります。いつかきっと、幅広い板に声がかかる日がやってくる、幅を狭くするのは容易だが広くは出来ないのだから、などと自分で自分に言い聞かしながら、幅広を割るのはモッタイナイ、モッタイナイと呪文を唱えながら、幅広を奥にしまってしまうため、幅広いいたばかりが残ってしまうことになるのです。これが他の木であればそのうち価値も高まるのでしょうが、残念ながらアユースに幅広の出口が見えない・・・。

木目はぼやけていて年輪ははっきりしない事、非常に軽軟でテーブルやカウンターなどにはあまり適さない事、などの理由から幅広い用途が確立していないため、いくら幅の広い板があっても求められなければ価値がない。よく知られるアユースの用途としては、前述したモールディングなどの装飾材の他には造作材、バードカービングなどの彫刻材、ハイヒールの踵(かかと)、家具用の芯材、内装の木摺などがあります。バードカービングとしては『ジェルトン』が有名ですが、どちらも均質で収縮が小さいという特徴が似ています。明日に続く・・・

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幅広アユースの彷徨②*

categories 1. 今日のかけら, 3. 木の仕事 | datetime 2017/03/11 PM12:39

本日も『アユース』の話。愛媛では昔から結構馴染みのある木で、いわゆる『ラワン』が姿を消して以後、幅広で比較的軽軟な材質の木の一つとして、『ペルポック』と『アユース』がよく使われていました。私が本格的に広葉樹に目覚めるずっと前から、日常的に『アユース』という名前を伝票に書き込んでいた記憶がありますので、かなり以前から弊社の倉庫にもあったはずです。当時はこういったアフリカ材を扱う人も多くなくて、その流通ルートも限られていて、専門業者が個別の店に訪問販売していました。

当時まだ私の中の『かけらの魂』はハッキリと覚醒されてはいませんでしたが、そういう専門業者に対して何か普通の材木屋とは違う匂いを感じ取っていたように思います。尺貫法や木材業界の独特の隠語などがまるで聞いたことのない国の外国語のように聞こえていた私の耳には、彼らが繰り出す「フィートやらインチ、インボイス」といったキーワードの方によりシンパシーを感じたのです。何しろ業界の隠語には指南書はなく、すべてが口伝なのでまだ生真面目だった青年には非常に取っつきにくい言葉だったのです

そういった専門業者が仕切っていた当時、アフリカ大陸からやって来たというだけで、そこら辺で採れたスギとは別物なんだという偏った舶来偏重主義が徐々に私の中に生まれたのかもしれません。しかしその後、はるばるアフリカからやって来たこのアユースでは何度か痛い経験をしました。まだネットもない時代、その木の性質や特徴などについては、専門業者の口から聞くしかありませんでした。そのわずかな情報だけを頼りに、見てきたがごとくに木を語り販売していたのですから、随分いい加減な時代でした。

そういうぐらいなので、こちらもよく特性が理解できていませんでした。このアユース、温度変化に対してあまり変動しないという特徴があり、乾燥段階で大反りやねじれも少なく、乾燥も比較的スムーズなのですが、問題は早く乾燥させないと木材腐朽菌の影響を受けて青変してしまうとと、虫害を受けやすいのです。輸入材については既に人工乾燥が前提でしたが、まだその技術が拙い工場もあって、乾燥が十分でない材も流通していて、しばらく保管していて中を開けたらビッシリカビが発生していたことがあります。

まだ初期段階なら削ればどうにかなるものの、中の方まで入っていたらまったく使い物になりません。乾燥機に入れるまでにそうなったのだと思われますが、当時はアユースに限らず乾燥不良材も結構あったりしました。それともっと怖いのが虫の被害。あまり経験したくないことですが、以前にこのアユースがヒラタキクイムシに食害されれとんでもない体験をしました。専門メーカーが製造されたアユースのモールディングが図面で指定されていて、それを納品させていただいたのですが、施工も無事終わって数年後・・・

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幅広アユースの彷徨③*

categories 1. 今日のかけら, 3. 木の仕事, 4. 草と虫と鳥と獣と人と | datetime 2017/03/12 PM12:38

本日も『アユース』の話ですが、かつて虫に食害されて痛い目にあった経験。もう随分前の話ですが、県内の某ホテルに大手専門メーカーで作られたアユース製のモールディングを大量に納品させていただいたことがあります。アユースは前述したように幅広で反りやねじれの少ない均質で軽軟な材が比較的安価で手に入ることから、リブ(波型)やクラウンなどの特殊で緻密な細工が求められる室内装飾部材の世界では非常に重宝される木材なのです。また塗装のノリも申し分なく、理想的な素材のひとつなのです。

ただ問題は虫に食われやすい、というか立木の段階で卵を産み付けられているケースがあって、加工過程の加圧や熱でもへこたれない根性ある虫がいて、そいつらが残っていると、もう後は大量増殖した彼ら一族に内部からサクサクと、文字通り首の皮一枚まで食い尽くされていくというホラー映画のような事態に陥るのです。私が経験したのがまさにそれ、施工後数年経った頃、連絡があり、どうやら虫が出たらしいので来てほしいと。虫って、もう数年も経っているのに・・・と怪訝な気持ちで現場に向かいました。

ホテルの宴会場の天井や壁面に取り作られたリブやらクラウンやら様々な形状のアユース製のモールディングは美しいものでした。納品時にも施工作業を見ていましたが、大きなモールディングも鋸で簡単に切断できて、天井付近まで軽く持ち上げている様子を見ると、なんと施工性のよい素材なんだろうと惚れ惚れしていたものです、数年後再びその現場に来るまでは・・・。室内に入ってもすぐにはその異常に気が付きませんでした。どこに虫が?!という感じだったのですが、壁際の足元を見ると・・・

そこには赤い絨毯の上に、まるでグリム童話のヘンゼルとグレーテルが、帰り道に迷わないようにパン屑を道に置いたように、白い粉が壁伝いに点々と・・・。当時はそんな事を考える余裕もありませんでしたが、とにかくその白い粉がアユースのものであることは間違いなさそうなので、それがどこから来ているものなのかを探さねばなりません。しかしそれが目の届く壁や腰板の範囲にはなくて、穿孔跡が一切見つからないのです。もしや、宴会場の高い高い天井の壁際に張り巡らされたあのモールディングからなのか?!

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幅広アユースの彷徨④*

categories 1. 今日のかけら, 3. 木の仕事, 4. 草と虫と鳥と獣と人と | datetime 2017/03/13 PM12:38

嫌な予感は的中!本日も昔のアユースのトラブルの話。天井作業用の専用リフトに乗って、天井装飾と同じ目線になるところまで上がってみると、白く塗られたアユースのモールディングのところに無数の黒穴が!!その下の額縁には穿孔された木屑が溜まり、それが溢れて下に落ちた形跡がありました。しかもその数が半端ではありません。一瞬、自分の血の気が引くのが分かりました。しかしそこではどうすることも出来ず、とりあえあず会社に戻ってすぐに施工会社とメーカーに連絡して対応策を検討することに。

どこでどうして虫が入ったのかという問題はあるものの、とりあえずどのぐらいの被害があるのかを調べなければならないので、後日施工会社によって足場が組まれ、木紛のある部分をすべて調査し、モールディングを取り外して内部を調査。その結果、驚くべきことが分かりました。穿孔跡のあるモールディングは、表面数㎜のところまで内部をすっかり食い尽くされていて、スポンジ状態になっていて、軽く持っただけで崩壊してしまうほどになっていたのです。この時ほど虫害の怖さを感じた事はありませんでした。

そのままにしておくわけにはいかないので、問題のあるモールディングはすべて取り外されました。現場の調査と同時進行で、なぜ虫が発生したのかをメーカーも調べてくれていたものの、取り急ぎ現場を復旧せねばなりません。しかし、再度同じような事があってはいけないということで、アユースで作り直すことを施工会社は拒絶。メーカーは絶対の自信があるとはいえ、事実そういう事態になっているので、さすがにアユースでというわけにもいかず、急遽セラミック製で製作することになりました。

後日その作り直したセラミック製のモールディングを納品して取り付けてもらいましたが、問題は責任の所在。虫は一体どこではいったのか?!大手の専門メーカー側は品質には十分気を配って管理していて、虫の入る余地は無いという姿勢。しかし、現場では下地に疑いのあるコンパネなどを使っておらず、施工後に現場で虫が侵入してきた形跡も無い。しかも外部と繋がる窓も無い空間なのです。弊社に入って来た段階では、割れ物ですので厳重に個別梱包されていて、中を開けてもいないので箱を破って入ってきたとも考えらず謎は深まるばかり?!

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幅広アユースの彷徨⑤*

categories 1. 今日のかけら, 3. 木の仕事, 4. 草と虫と鳥と獣と人と | datetime 2017/03/14 PM12:36

この話、こんなに長く書くつもりはなかったのですが、今後のためにも経験してきたこと、トラブルなどについては詳しく書き残しておこうと思います。商品は弊社で数日間保管しただけで、そのまま現場に納品したので、一体どこで虫が入ってきたのか不明。こういうケースの場合、もともと立木の段階で卵が産みつけられて、加圧や熱にも耐えた虫が残存していたのではないかと思うのですが、メーカー側も一歩も退かない状況で、仕方なくメーカーは作り直した材を無償提供、弊社と施工会社で取り付け工事費を折半することに。

しかし問題はこれで終わったわけではなかったのです。最初に問題が発生したのが6月でしたが、翌年の梅雨前にも再び虫が発生したとの電話が・・・!そうです、奴らはまだ全滅してはいなかったのです。早速現場へと向かうと、前年セラミックパーツに取り換えた部分は無傷であったものの、それとは違う別の場所から穿孔した粉が!前回、万が一もし木粉に気が付いたらすぐにご連絡して下さいと告げていたので、今回は虫穴はまだ僅かでした。それで専用の殺虫剤でひとつひとつ虫穴に薬剤を注入することに。

それから数週間経つと再び連絡が入り、また虫が発生!するとまたまた別の場所から木粉が・・・。それからその年も何度かホテルに足を運びました。そしたらまたその次の年の6月に連絡が!またまた違う場所から虫が・・・という事を何年か繰り返しました。その間、徐々に虫穴の数も減っていき、発見が早くなったこともあり、最初の時のような状態になるまで食い荒らされることもなくなり、最後は僅か数個ということなり、いよいよ梅雨になっても連絡が入らなくなり、アユースの虫騒動は幕引きとなったのです。

そういう事があって一時期アユースとは疎遠になったのですが、いつもは「木は決して人間のためだけに存在するのではない」と言っている手前、それではアユースに対して申し訳ないと思い、その後アユースも再び扱うようになりました。恐らく先住民であった虫にしてみれば、迷惑な話であったかもしれませんが、私も家族、会社と生きていかねばなりません。そんな問題のあったアユースではありますが、だからこそ今となってはその特性もしっかり理解できるようになり複雑な愛情すら湧き起ったりしているのです。

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幅広アユースの彷徨⑥*

categories 1. 今日のかけら, 3. 木の仕事 | datetime 2017/03/15 PM12:35

この数日間『アユース』について虫とか青カビとか、ネガティブな事を書いてきましたが、アユースを貶める気など毛頭ありません。ただ、それぞれの木にはそれを扱うにあたっての注意事項があるので、理解して使っていただくためにも具体的な事例をあげたほうが分かやすいのではないかと考えています。また私の場合は、木が悪いのではなく、その扱い方や特性を理解していなかったがための失敗というのがほとんどですが、喉元過ぎれば熱さを忘れてしまう能天気な自分自身への戒めでもあります

軽軟であるため、ある程度用途は制限されるものの、今どき300㎜上の無節の材が比較的安価な価格で手軽に入手できるなんて実に贅沢な話です。もしアユースがもっと硬くて、しっかりした木目が現れるような木であったとしたら、テーブルにカウンターに、造作材と、様々な場面で引っ張りだこだったことでしょう。無い物ねだりをしても仕方がないので、その軟らかさを生かして『カランタス』のようなパネリングに加工するのも面白いと思います。こちらは先日ご注文いただいて加工した小幅の本実目透かし加工のパネリング

同じく軽軟な東南アジアの『カランタス』も小幅のパネリングに加工することで、弊社においては活用の幅がぐっと広がり、今ではオリジナリティのある壁面・天井材としてすっかり定着しました。アユースのについても同様の加工ができますが、アユースはカランタスと比べてもはるかに広い板が取れるので、あまり小幅板に挽き割るのもモッタイナイので幅広のアユースの出口についてももう少し考えてみようと思っています。軟らかいという事は決してマイナスな要素ではないことを証明せねばなりません。

最後に蛇足ながら、弊社の倉庫でユースの素材を見ていただく際によくある話です。材質が軟らかいため板に挽いた際に表面が豪快に毛羽立つ㊧のですが(私自身もどういう仕組みでこういう具合になるのかよく分からないのですが)、それが最近人気のキャタピラー加工のように「いい具合」に削られているように見えるらしく、このまま使いたいという要望もあるのですが、狙って加工しているわけではないのでそれは無理なのです。でもそういう要望は次第に増えてきているのでもしかしたらここに軽軟材の出口あるのかも?!

★今日のかけら・#137 【ウェンジWenge  マメ科・広葉樹・アフリカ産

WENGE NO TOBIRA

1. 今日のかけら

20150903 1随分前の話になりますが、東京からお電話で「ベンゲはないのか?」との問い合わせがありました。その当時は何の木の事を指しているのかよく分からなかったのですが、実はそれがアフリカ産のマメ科の重硬な広葉樹『ウェンジ(Wenge)』のフランス語読みだった事を知ったのは、かなり後になってのことでした。その頃はまだインターネットも普及してなくて、そういう事は木材図鑑などの文献で調べるか、よく知っている先輩に尋ねるかしかなかった時代でした。

20150905 2当時でもウェンジの在庫は少しだけ持っていたものの、ウェンジに対する知識も情報もほとんど持ち合せていませんでした。では、そのウェンジについてご紹介します。アフリカ中央部のコンゴ共和国、カメルーン、ガブンなどが有名な主産地で、モザンビークでは『Dikela』の名前で輸出されていたりもします。ザイールでは、Wenge以外にもMokonge、カメルーンではAwongの名前でも呼ばれたりするそうですが、日本国内ではウェンジの名前でほぼ統一されて流通してるようです。

 

 

20150703 3

この木の特徴については言葉で説明するよりも、見てもらえば一目瞭然ですが、暗褐色の地の上にそれよりも淡色の縞が不規則に現れた非常に個性を持った木です。この木によく似た木としては、モザンビークで産する『パンガパンガ(Panga Panga)』があります。【森のかけら・プレミア36】の中にある木ですが、確かに非常によく似ています。初めてパンガパンガという木の事を知った時には、ウェンジの別名だと思っていたほどでした。それぐらい外観も構造も類似。

 

 

 

20150905 4見分け方としては、ウェンジの方が材が通直なので柾目が突き板にも利用される事と、暗褐色とやや淡色の縞の模様で区別するという事らしいですが、荒材レベルでは判別はほぼ不可能にも思えます。加工してオイルを塗れば確かに縞柄のコントラストに差が見えて来るものの、何も知らずにこれを見分けるには至難の技でしょう。実際にはかけらサイズの用途で使われる事はないのでしょうが、むしろ現在ではパンガパンガの方が入手困難なのではないかと思われます。明日に続く・・・

 

 


ブラックビューティー、ウェンジの黒い縞②

1. 今日のかけら

本日もウェンジの話です。私は個人的にこの木に『ブラック・ビューティー』というキャッチコピーを与えていますが、漆黒の中に現れる幾何学的な美しい縞柄はそう呼ぶずにはいられないのです。昨日、このウェンジに特徴がよく似た木として、同じアフリカ産のパンガパンガという木の事をご紹介しましたが、他にも唐木の中でも三大銘木とされる『紫檀・黒檀・鉄刀木(タガヤサン)』のタガヤサンがこのウェンジと雰囲気がよく似ています。共に同じマメ科の木です。

 

 

 タガヤサンは、主にタイ、ミャンマー、インドシナなどの東南アジアに分布している木ですが、ウェンジに比べると日本では圧倒的に人気が高くて、木の事をよく知ら無い方でも『紫檀・黒檀・鉄刀木』という言葉だけは知っている方も多く、その名前がつけばそれだけで価値が高くなるほど、銘木界の中ではネームバリューがあります。それで、ウェンジを漂白し退色させてからタガヤサンと称して、床柱や仏壇、家具などに使って高値で販売する悪徳業者もいるほど

 

 

さて、ウェンジに話を戻しますが、現在のコンゴ共和国がまだザイール共和国と呼ばれていた頃(1991年から1997年まで用いられていた国名)に、ザイールから日本に輸入されたウェンジを原木買いしたことがあって、その後地元で板材に製材して天然乾燥でずっと乾かせてきました。なにしろ気乾比重が0.8〜0.95という事なので、とにかく重たい!割れは出にくいのですが、しっかり乾かせないと収縮が大きいので、とにかく寝かせることに。さすがにもう充分!

 

 

 20150906 4

長さ3mで、直径はおよそ900㎜程度の原木でしたので、45~50㎜低度の厚みの板に挽きましたが、今までに数枚は家具として販売しました。そのうちの1枚がこちらの。もう充分乾燥しているので、倉庫のよく見えるところに置いておけば、沢山の人に観てもらえるのにと思うのですが、その重さゆえなかなか簡単に動かせず・・・。それでも思い切ってそのうちの1枚を倉庫に立て掛けて展示する事に。続く・・・

 


ブラックビューティー、ウェンジの黒い縞③

1. 今日のかけら

20150905 1ウェンジの原木を挽いた当時は、鉄のように重くて動かすこともままならない状態でしたが、天然乾燥といえども10年以上も経過すればさすがに水分もすっかり抜けてしまったようで、このサイズを独りで担げるように。まあそれでも肩に食い込むズシリ感はさすがですが・・・。その後、各地の木材市場で何度かウェンジの板も購入しましたが、自分の中ではこの初めて買った丸太のウェンジから挽いた板に対して特別の思い入れがあります。ではこの板を削ってみます。

 

 

20150905 2写真の手前側を見ると、板目と反対方向に横筋のようなものが見えると思いますが、これは製材した時の鋸目の後。そこをベントサンダーで粗く磨いたのが端の方ですが、手前のぼけた黒い砂塵のようなベールの下から、白と黒のメリハリの効いた美しすぎる杢目が飛び出してきました。想像は出来ていたものの自分でもちょっと感動!あくまでも杢の美しさを確認していただくために削ったもので、粗削りですがそれでも充分にブラック・ビューティーの一端を伺える事ができます。

 

 

20150905 3鶉杢のように緻密で雅趣に溢れた杢を見ながら、嗚呼やっぱり自分はこういうテイストの木が好きなんだなあと再確認。ゼブラウッド然り、ベリ然り、ボコーテ然り・・・。やや黒味が赤褐色を帯びているように思われると思いますが、恐らく照明の具合や、削りたてのためで、この後やや落ち着いてしっかりした黒味になっていきます。観て分かる通り、板幅に比べて杢の割合は少ないので、この板を使う場合はなるべくこの板幅のまま使っていただく事をお薦めします。

 

一方で柾目部分は規則正しく年輪幅が均一に整然と並んでいます。これはこれでウェンジという木の上品さを物語っています。あまりに目が細かいためある程度大きな面積で材を堪能していただきたい。こういう木の端材が少し入るだけでも、雰囲気が随分変わるので『モザイクボード』には加えたいのですが、なかなか端材が発生せず。さすがにこの板の端っこをカットしておこぼれをいただくという勇気はありませんのでウェンジの端材、慢性的不足状態。続く・・・

 


ブラックビューティー、ウェンジの黒い縞④

1. 今日のかけら

本日もウェンジの話です。これほど個性の光る木ですが、その強すぎる個性ゆえ一般住宅の現場ではまずお目にかかる事はありません。『床の間が家の顔のように思われていた時代』、床柱框、建具壺、置物などの調度品として床の間を飾り付ける彩りのひとつとして重宝されたものです。このウェンジという木は小さくなってもそれなりに強烈な印象を残し、重量感を与える事から木の好事家には愛用されたのですが、そういう場面も昨今ではドンドン少なくなってきたように感じます。

 

 

 

Exif_JPEG_PICTUREそれでもこうして改めてご紹介すると、クラフト作家さんや木工趣味の方から「ウェンジの端材が欲しいのですが・・・」というお問い合わせを多数いただきます。ウェンジの端材、お分けするどころか私だって欲しい!ウェンジの板そのものは幾らか在庫あります。そのほとんどが、2〜3mのテーブルサイズ。加工のご注文でもあれば、カットした端材も発生しますが、上述したように床の間が家の主役の座を明け渡して以後、ウェンジの出番はほとんどテーブルなどの家具に。

 

 

 

20150906 2しかも強烈にインパクトのある黒い家具ですから、相当マニアックなチャレンジャーでなければ手を出さない事でしょう。また、使われる場合でも、端っこまでしっかり自己主張の行き届いた木ですから、なるべく材料を無駄にすることなくいっぱいいっぱいの大きさで木取りするとか、残った材も棚板などに活用される場合がほとんど。ウェンジを家具に使おうなどと思われる方こそウェンジ魅了されているわけですから、その一片にも愛情を持っていらっしゃるわけです

 

 

 

そんな事でウェンジの板はあれども端材はなかなか発生せず。【森のかけら】にしても『森のりんご』にしても『モザイクボード』にしてもウェンジの端材待ちは多数行列を作っている状態。ネットで販売待ちのお方にまで行き届くのはいつになるやら・・・。ところで端をカットする場合、辺材とかがよく対象となりやすいのですがウェンジは、辺材が極端に脆くて虫害も受けやすいためほとんど使い物になりませんので、白太が絡んだ端材すら期待できないのであります。更に明日へ・・・

 

 


ブラックビューティー、ウェンジの黒い縞⑤

1. 今日のかけら

20150907 1衝撃にも強く弾性もあることから、海外ではヒッコリー代替材としてスキーなどの運動器具にも使われるという事ですが、日本においてはもっぱら家具材(主にテーブルや座卓)として利用されています。この美しい縞柄は大きな面積で使ってこそ映えます。見た目ほどに作業性は悪くなくて、鉋削性もよく滑らかな手触りが得られます。一部フローリングにも利用されていますが、角などが案外脆くて欠けたりすると、そげらは非常に鋭利で刺さるととんでもなく痛いのでご注意。

 

 

20150907 2乾燥は充分とはいえ重硬な木であることに違いはありません。白太(辺材)部分は脆いので、心材部分だけを使われるのがいいと思いますが、重たいテーブルが苦にならない方、是非ダイニングテーブルにいかがでしょうか。ただ残念なのは、仕上げにオイルとか塗ってしまうと折角の縞柄のコントラストが埋没してしまうので、装飾的には圧倒的に無塗装がお薦めなのですが、メンテナス等を考えるとオイルの必要もありと・・・それだけがブラックビューティーの悩ましいところ。

 

 

 

こちらがウェンジで作った『森のりんご』。ほとんどの木が、オイルを塗る事によって、それまで木の中に眠っていた本来の色合いが現われてくる中で、ウェンジに関しては折角の縞模様のコントラストが失われてしまう事に・・・。美しいものに棘があるではありませんが、この黒い縞模様を留めるためにはソープフィニッシュのような塗装をするしかないのでは。『モザイクボード』など多様な木の中にあってもひと際存在感を示すウェンジですが、その存在はやはり特異。

 

 

 

20150907 4そんなウェンジの木を使ったオリジナル商品も幾つか作っていますが、ちなみにウェンジの『森のりんご』は、¥5,000(税別)森のたまご』は¥2,500(税別)。先に書いたように本来は、ある程度の大きさで見てもらう方がウェンジの黒い縞柄が堪能できるとは思うのですが、まずは実際にブラックビューティーを手に取って身近で見ていただきたいという思いで、こういう商品も作っています。是非、実物をご覧になって下さい。これにて黒の魅惑・ウェンジの項、完。

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