森のかけら | 大五木材

今日のかけら195

ヒッコリー

Hickory

クルミ科・広葉樹・北米産

学名:Carya spp.

別名:ピグナット・ヒッコリー(Pignut hickory)、

シャグバークヒッコリー(Shagbark hickory)

気乾比重:0.72~0.90

 

ヒッコリーのきのみ*

★♯127【ヒッコリー】Hickory クルミ科・広葉樹・北米産

とりわけ珍しいという木ではないのですが、なかなか縁がなく出会うことが出来ませんでした。私も所属している愛媛木材青年協議会で「『どうぞのいす』を子供達に贈る」という活動をしているのですが、その絵本がとても好きで子供が小さい頃はよく読んでやりました。香山美子先生の親しみのある語り口と柿本幸造先生の温かみのある絵が子供達にも大人気です。本が好きになるか、嫌いになるか、子供の頃の読み聞かせは本当に大事だと思います。その両先生のコンビ作は多いのですが、「どうぞのいす」に続く名作こそが「ヒッコリーのきのみ」。この本を子供に読んでからというもの、「ヒッコリーってどんな木?見てみたい」とせがまれます。しかし当時うちの会社にヒッコリーはなく、恥ずかしながら私もヒッコリーを扱ったことがありませんでした。

木を見たことはありましたが、なにぶんヒッコリーでという注文が入りることももなく、またわざわざヒッコリーを勧める業者もいなく、そんなことでずーと縁がなかったのですが、実は子供に見せてやりたいという一身で探していました。しかし出会いにくいという事は、あまり需要がないということでもあります。ヒッコリーの木はしなやかで弾力がありかつてはスキー板としてよく利用されていました。いまではほとんど見かけることはなくなったようですが、衝撃の吸収力が高く曲げにも強いよいう特徴があるので、スキー板のほかにもハンマーピック、斧の柄にも最適だとされています。

他にも釣竿とかドラムスティック、ゴルフクラブラクロスのラケット車輪のスポーク、はしごの踏み子など結構用途は広いのです。けれども国内で有名なのは材料よりも、肉の燻製用チップの方かもしれません。いい香りがつくようです。スーパーなどでも販売しているのでよく見かけることもあると思います。植物学上トゥルーヒッコリーピーカンヒッコリーも分類されます。ピーカンヒッコリーの方が褐色なのですが材の性質そのものはほとんど変わらないようです。レッドヒッコリー、ホワイトヒッコリーと呼び分けることもありますが、これは心材に近い赤身か、辺材の白身かの違いだと思います

散孔材なので、肌目は結構ザラザラした感触ですが仕上がりは綺麗です。オイルを塗っても木目は明瞭ではありません。白太部分も淡い褐色で、ホワイトアッシュと比べても少しくすんだ印象です。クルミ科と聞くと軽いのではと思うかもしれませんが、比重06~1でかなり重たいです。伸縮が出やすいのでよく乾燥した木を使う必要があります。ヒッコリーの木はリスとある約束をしています。これこそ動物界の素晴らしい循環システムです。どんな約束か?知りたい方は「ヒッコリーのきのみ」を買って読んでみてください。

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マートンとオールドヒッコリー*

 

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オールドヒッコリー大統領*

阪神タイガースのマートンの1本のバットから壮大な話になるのですが・・・アメリカ合衆国の第7代大統領のアンドリュー・ジャクソン、その人が深く関わっているのです。A・ジャクソン大統領(1829-1837)は、サウスカロライナの未開拓森林地帯で生を受けました。現在のサウスカロライナは、建国期の雰囲気をそのまま残したような町並みが人気の観光地ですが、南部貴族が残した優雅な建物は、かつてこの地で行われていた黒人奴隷の貿易が犠牲となっていて、この町には歴史の影が深く刻み込まれているのです。奴隷解放を主張したリンカーンが大統領に就任が決まると、サウスカロライナ州は就任式を待たずに合衆国を独立しました。その後も幾つかの州が分離・独立しそれが南北戦争の引き金となるのです。

サウスカロライナにはそういう歴史的な背景があるためか、同州出身のA・ジャクソン大統領も典型的な南部思考の持ち主だったようで、その政策も極端でした。彼の唱える民主主義はあくまで白人に限定としたもので、「黒人は私的財産だ」と発言して、奴隷解放運動を否定しました。また、インディアン強制移住法を提案して、先住者であった彼らの土地を取り上げ強制的に東部に移住させ、残った肥沃な南部の地に広大な綿花を植えたのです。そういう強行的な手法は、君主国になぞらえて「アンドリュー王一世」とも揶揄されたそうです。

実はアンドリュー・ジャクソンは、初の貴族出身ではない大統領であり、正規の教育を受けていなかったとされています。肉親全てを南北戦争で失くし、自身も英国軍の捕虜になった経験があり、決して恵まれた環境にあったわけではありません。戦後の混乱期において自らの力だけで這い上がってきた彼にとっては、力こそ正義だという偏ったイデオロギーだけが拠り所だったのかもしれません。軍人時代には頭角をあらわし、大佐になって米英戦争では輝かしい戦歴をあげました。その時の戦果によって彼は後にアメリカ合衆国大統領にまで上り詰めるのです。活躍した米英戦争の主戦場が森林地帯であった事から、(きっとその地でたくさん生えていたのであろう)ヒッコリーになぞらえて、古いヒッコリーのように頑丈」(tough as old hickory) という意味の、「オールド・ヒッコリー」というニックネームが付けられたというのです。

しかし、その強権的な手法には批判も多かったようで、史上唯一、議会から不信任決議をされた大統領でもあり、独立戦争や南北戦争という暗黒の時代の象徴として、その期間を「エイジ・オブ・ジャクソン」と呼ばれたりもしています。未遂に終わったものの暗殺の標的にもなるなど、問題の多かった大統領でした。、「オールド・ヒッコリー」という愛称にも、タフであるという意味と同時に、硬くてどうにもならないほど頑固という皮肉も込められているようにも思うのです。それではヒッコリーが可哀想ですが・・・。

さてアンドリュー・ジャクソンの愛称にも使われたほどこのテネシー州からミシシッピ州、アラバマ州一帯は、19世紀以前には広大なヒッコリーの森が広がっていたといわれています。まだ本格的な伐採機械もない当時、ほぼ手付かずの原始林が延々と連なっていたのでしょう。それは人間の介入を拒むような鬱蒼とした森で、さぞ神々しいものだったと思います。それが何かの例えになるぐらいですから、当時の人々には畏敬の対象でもあったと思うのです。あくまでも私の推論ですが、物の木としても丈夫な高齢木のヒッコリーの木にちなんで、長く丈夫でありますようにとの思いも込めて人造湖に「オールド・ヒッコリー」の名前を冠したのではないでしょうか。 その思いは、湖からバット製造会社の社名へとつながっていくのでしょう。南北戦争からマートンのバットまで、ああ、果てしなき『木物語』!

 

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あなたの知らないヒッコリー*

弊社のホームページ中の端材のネット販売コアーナー『ちょこっと端材』には、通常造作材や家具材を製作する際に発生した端材のうち、【森のかけら】や『モザイクボード』などに使わなかったものの一部をアップしています。その流れが基本なのですが、中にはその流れに逆行する材もあります。例えばその1つが『ヒッコリー』です。ヒッコリーは北米産のクルミ科の広葉樹で、クルミの仲間の中ではもっとも堅い木でが、いかんせん愛媛では全くといっていいほど知られていません。

この辺りは、もともと輸入材の広葉樹を使う文化がが浸透している土地柄ではないので、住宅資材や家具材としての馴染みも薄く、大工さんや設計士さんでもヒッコリーの名前すらご存知でない方も多く、使う以前にまずはその存在を知っていただく必要があります。そういう材はヒッコリーに限らないのですが、その中でも特に愛媛の地で少しでも広めたいと思う材については、どういう形であれその存在を認知していただく事が大前提となります。まずはその名前。

そしてその特徴と適性。どういう用途に適しているかという事。それを分かってもらうには実際に使ってもらうのが一番なのですが、誰かが使って間違いないものでなければ手を出さないという保守的な地域性なものですから、いくらアピールしても浸透するまでにはかなりの時間を要します。ヒッコリーについてはかなり早い時期から仕入れして、地元でもPRしてきたつもりですが、施工事例が少ない事もあって苦戦しています。そこでとりあえず端材からでもと、

ちょこっと端材』からでも、実物をご覧いただければと思っていたのですが、その問い合わせをいただくのは県外ばかり。現在、厚み32mmと38mmの挽き板のヒッコリーを在庫していているのですが、クルミとは思えないほどの重さと、メリハリの効いた表情は実際に手にとっていただかないと言葉ではなかなか伝えきれません。かつてはスキーの板にも使われたほど弾力と衝撃力に強いヒッコリーなのですが、私自身どうしても強く押し切れないのはその重さ。

クルミといえば、その表情と名前から全般的に柔らかい印象があると思いますが、このヒッコリーは気乾比重0.83ですから相当に重たいのです。自らそう言ってしまっては身も蓋もないのですが、重たい材は家具を作る方にしてもついつい二の足を踏んでしまいます。「ヒッコリーよく使ってるよ」という大工さん相手ならこちらも躊躇はないのですが、使われた経験がないとちょっと不安になって・・・ヒッコリーの『使いやすい出口』を考える事を来年の命題としてたいと思います。

 

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クルミ一族最強ヒッコリーの野望①*

先日収めさせていただいたのが、『ヒッコリー』のダイニングテーブル。長さ2400mm、幅950mm、高さ710mmというかなり大きなサイズです。ヒッコリーは数あるクルミ科の中でも最強最重量を誇る、『もっとも硬くて重たいクルミ』ですオニグルミブラック・ウォールナットで、クルミを認識している方にとっては、これもクルミの仲間なんですと説明しても違和感を感じるほどに見た目の印象と触り心地が違うというのが、ヒッコリーの最大の特徴です。

淡いクリーム色のような生地に、赤身がブチ状に現れたりすることもあり、クルミの仲間の中でも個性的な木だと思います。それゆえに一般的な知名度は低く、その名前を聞いたことがないという人も多いほど、馴染みの薄い木なのですが、衝撃吸収力や曲げにも強い性質から、ドラムスティックや釣り竿、スキーの板などには重宝されてきました。弊社でもかなり早い時期から仕入れていたものの、知名度の低さからなかなか思うように販売する事の出来ない時期が続きました。

その特性からテーブルやカウンターなどにも適した素材であるのですが、誰かが使って世間で広く認知されたもの以外のものに対する警戒心が強い愛媛では、耳慣れない樹種やいわゆる『初もの』を売るというのは相当なエネルギーが必要なのです。それでも弊社などは、そんな初ものを恐れぬチャレンジャーが集まってきてくださるのでまだ、認知度の低い樹種でも売れる店、いや無理矢理でも売ろうとする店だと自負しております。そんな店が1軒ぐらいはないと面白くないでしょう。

まあ、ヒッコリーなんてその筋では珍しくもなんともない普通の木なのですが、広葉樹後進県の愛媛に置いてはまだまだ知られざる木の1つなのです。今でこそメールで詳しい画像も送れるものの、質感に関しては実際にご来店していただき直接見て、触っていただかねば伝えきれません。ひと昔前に比べれば「木を伝えるツール」も随分発達したものの、やはり最後はご来店いただくのがベスト。今回、お決めいただいたヒッコリーについても何度かご来店いただき決めていただきました。

 

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クルミ一族最強ヒッコリーの野望②*

一見すると、コントラストの激しいホワイトアッシュのような印象を与える『ヒッコリー』ですが、その重さには随分差があるように思えます。1枚1枚でも結構な重さがあるのですが、テーブルの天板のように複数枚を幅剥ぎすると、その重さはかなりのものになります。今回のご注文は、なるべく赤身のもので揃えて欲しいというご要望でしたので、表面全体にに赤身が出るような木取りをさせていただきました。ヒッコリーは赤身と白身で、見た目の印象が大きく変わります。

こちらはヒッコリーで作った『円(まる)い森』ですが、赤身と白身で別の木のように見えるかもしれません。撮影時の照明の関係で、『円い森』を置いているテーブルのヒッコリーとは色合いの濃淡などに差があるように見えますが、いずれも最終仕上げに植物性オイルを塗ったものです。『円い森』は決してコースターを主たる目的として作っているわけではないのですが、衝撃にも強く充分な硬さと重みのあるヒッコリーは、コ―スターとしても適性があるように思えます

ヒッコリーの木が触れ合って鳴る音も高音でなかなかよい響きです!衝撃をよく吸収する事から器具などの柄にはもってこいの素材なわけですが、主産地である北アメリカの中部~東南部でも、家具材やパネル材というよりフローリングなどのインテリアやカッティングボードや器具の柄などに利用されています。それは、ヒッコリーが乾燥過程で表面割れなどが発生することが多いのと、収縮・ねじれが出る事も多い、雅致に富んだ木目があまり期待できないことがその理由かもしれません。

確かに木目自体はかなり大柄で杢の妙味を期待できにくい木ですが、しっかり乾燥させた材を木組みすれば安定はしますし、曲げや衝撃に強い特性は家具材としての適性を有していますので、もっと家具材として使われてもいいのではないかと思います。今回はそんなヒッコリーのよき理解者に恵まれ、受け材や脚もすべてヒッコリーのみで作り上げさせていただきました。サイズが大きなこともあって、おとな二人で持ち上げてもズッシリと『最強クルミ』の重みが掌に伝わります。

 

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傷だらけのヒッコリーと伝説のハスラー!*

ヒッコリーが使われる有名な用途のひとつにビリヤードのキューがあります。恥ずかしながら私はビリヤードをしたことがないので、その実物を詳しく見たこともないのですが、ビリヤードが舞台となる映画は何度も観ています。そう、あの名作『ハスラー』!ロバート・ロッセンがメガホンを取り、ポール・ニューマンが若き天才ハスラーに扮し、ビリヤード対決が目玉の作品です。私が生まれる前に製作された映画で後々ビデオで観たのですが、若きニューマンの颯爽とした姿が眩しい!
後年になって(確か私が大学生の頃だったと思うのですが)、今度はニューマンが立場を変えて老いた伝説のハスラーとして、若きトム・クルーズの挑戦を受ける役として続編が作られ、ニューマンはそこで念願のアカデミー主演男優賞を受賞する事となるのです。監督は、大好きなマーチン〔タクシードライバー〕スコセッシなのですが、1作目に比べると正直かなり見劣りがして、主演男優賞にしても何を今更この作品でという、映画界への貢献に対する功労賞的意味合いが見え隠れ。
ただしビリヤードの技の数々は、未経験者の私でさえ凄いと感じるほど見事なもので、特に1作目はそれまでまったくビリヤードの経験のなかったニューマンは、撮影前に猛特訓受けて、もともとプロ並みの腕前であった、15年間無敗の伝説のハスラー、ミネソタ・ファッツ役のジャッキー・グリーンと並ぶほどに上達し、スタントなしで妙技の数々をこなしたというのは有名な話。ただし、その時に使われていたのがヒッコリーのキューなのかどうかまでは分かりませんが・・・。
そういう事から、万が一、ご注文でも舞い込めば、ビリヤードの台を頑丈なヒッコリーで作ってみたら面白いのではなどと考えたりもしましたが・・・。ビリヤード台ではありませんが、昨日、一昨日とご紹介した特大サイズよりも少しだけ小さなサイズの同型のヒッコリーづくしのダイニングテーブルがもう1台あります。かなり大きめなので、最低でも12畳以上のスペースは必要だと思われますが、もしご興味の湧いた方いましたら、ビリヤード好きでなくとも結構ですので、是非!!

※ 上記テーブルは販売済みとなりました(2014 .11.10)

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IL BancoⅡ/ヒッコリーの引力*

本日は『IL Banco(イルバンコ)』さんの店内の様子をご紹介。L型のカウンターとテーブルの天板に弊社の『ヒッコリー』を採用していただきまいた。ヒッコリーは北米原産のクルミ科最強最重量の広葉樹ですが、同じクルミ科でもブラック・ウォールナットオニグルミなどの木を使い慣れている方にはとても同じクルミの仲間とは思えないほどに重硬で雰囲気も質感も随分違うので驚かれると思います。私も初めてヒッコリーに出会った時はこれらが同じ仲間だとは思えませんでした。

このヒッコリーの材、かなり以前に仕入れていたものですが、このあたりでは認知度が低いのと辺材と芯材の色ムラが顕著な事から、張り切ってPRしても最終選考までは残るもののいつも最後に落選して涙を飲んでいました。それが不思議な事に昨年あたりから、そのヒッコリーの質感や硬さ、激しい色ムラがオモシロイと言っていただく方が次々と現れて、あれほど売るのに苦労したヒッコリーに注文が舞い込んで、あれよあれよという間に在庫が底をつく事になってしまったのです。

木の売買にも不思議なバイオリズムのようなものがあって、一端それが動きだすと連鎖反応のようにそれを求めるお客さんが続いたり、その木に関わるひと・モノが次々と自分の前に現れるという不思議体験はしょっちゅうある事です。これはきっと端材を無駄にせずに商品化しているんで、端材の神様のお導きだと信じています。何だか危ない人の話になってきましたが、そう思わなければ到底理解できないほどにある特定期間に全然関連のない方々から特定樹種に次々声がかかる事があるのです。まさにこのヒッコリーはその流れに乗ったのです。

玄関ドアにヒッコリーの柄の斧を使おうとされていた山田さんの思いと合致したのは偶然とは思えないのです。何か引き合うような力が働いたのだと・・・。そんな風に考えた方が面白いし、木にとってもそんな巡り合わせで「この木を探していたんだ〜!」「そんな方を待っていたんです〜!」なんて皆が笑みを浮かべる場面で使っていただく事が幸せじゃないかと思うのです。2階では8台のテーブルを並べて会議などにも対応可。このパンチの効いた濃淡の激しさがヒッコリーの魅力。

削って仕上げて塗装してあるとはいえ、倉庫の中でくすぶっていた頃とはまったくの別人(樹)のような表情に里親としては感慨深いものがあります。こうして材料特性を熟知された方がその特性を発揮できる使い方を見せていただけると、私も今後の具体的な提案の参考になるので本当にありがたいです。こういう雰囲気の店だったらヒッコリーの荒々しいダイナミックな表情が受け入れていただけるのだなあと。頭で考えるのではなく実際に完成形に触れて使ってこそひと様にもお薦めできるというもの

 

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食べられる森の出口・ヒッコリーナッツ*

繁華街に飲みに出た時にいつも最後の立ち寄る馴染みのショットバーで、アーモンドやピスタチオに混ざって酒のおつまみに出してもらったのが『ヒッコリーのナッツ』。その店がオープンしてからもう何十回も来ているので、今までにも何気に口にしていたのかもしれないのですが意識した事すらもありませんでした。たまたま仕事でヒッコリーの材の注文が集中していた時だったので何か不思議な縁を感じたのです。

少し前の事なのでことの経緯をよく覚えていないのですが、今ちょうどヒッコリーの仕事が多いとか喋った流れでマスターが気を利かして出してくれたか、容器に「HICKORY」の文字でも書いてあってこちらからリクエストしたかのどちらかだったと思うのですが、掌に乗せて改めて見てみるとかなり特徴的な形をしています。口に含んでみればサクサクとクルミよりも軽い舌触りで美味!そうか、これがヒッコリーのナッツだったのか。

恐らくヒッコリーの木の事を意識してなければ今でもそのナッツがヒッコリーだとは気付かなかったでしょう。今までにも無意識のうちに食べてきてたんだと思いますが、モノを知らないとは実にモッタイナイこと。こんな身近なところで「森の出口」を見過ごしていたとは!。『今日のかけら』でヒッコリーの事を書くにあたり、それぞれの樹種の用途などを調べたりするといかに自分が無知であったかを思い知らされます。

それでもこのブログを書いてなければ、それにすら気づかず日々を過ごしたいたのだろうと考えるとぞっとします。木が鉄やプラスチックなど非木質素材にとって代わられたと嘆く前に、実は身近なところに形を変えたり、名前を変えたりしながらも潜んでいる「森の出口」を感じ取れるアンテナを磨いておかねばならないと痛恨。しかしヒッコリーの不思議な磁場には何か特別な力を感じずにはいられないのです。

年によってやたらと特定の樹の事が頭と心を支配することがあるのですが、私にとって今年はどうやらヒッコリーの当たり年なのかも?!そのヒッコリーのナッツは、16世紀の頃からアメリカでは食されていて、バーボンを飲むときには欠かせないおつまみだったようです。残念ながらバーボンよりは日本酒党なので、その醍醐味は味わい尽くせてはいないのかもしれませんが箱買いしたいほどはまっています。

 

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大五木材社外ショールーム②*

昨日に続いてお弁当作家・尾原聖名(ミナ)さんの新居、いや大五木材社外ショールーム(ご本人さんからのご承諾を得て、ブログでも宣言していただいておりますので)のご案内。1階のLDKの真ん中にド~ンと鎮座ましますモザイクテーブル以外にも、様々な材をお使いいただいております。ミナさんとは以前からの友人でしたが、ご主人の太郎さんこそが実は弊社の【森のかけら】をご購入いただいている、職人仕事フェチで、ものづくりに対して強い愛情をお持ちなのです。
そういうお二人だからこそ、こういう形で木のモノをたっぷりと新居に受け入れてくださったのです。また、大手のハウスメーカーであれば、いくら施主の要望とはいえ、ここまでの自由度はないでしょうが、普段からお付き合いのある地元のコラボハウスさんだからこそ、こういうわがままも受けてもらったのだと思います。キッチンのカウンターには、スキーの板に使われる(最近はほとんどなくなりましたが)ことでも知られているクルミ科最強の木、『ヒッコリー』!
見た感じではブラック・ウォールナットオニグルミとは同じ仲間とは思えないヒッコリーですが、まぎれもなくクルミ科。こちらではミナさんが料理教室等をされるという事で、タフで堅牢なヒッコリーをカウンターにさせていただきました。結構色ムラの激しい木ですが、それもこの木の個性。かつてなかなか地元では知名度が低くて持て余していたヒッコリーですが、今頃になってようやく私の周辺で静かなヒッコリー賛美が起きてきていて、密かに喜んでいるのです!
通常、建材商品を使うところに無垢を使う場合、普段から無垢材に接していない大工さんだと、余計な手間がかかると毛嫌いする大工さんもいたりするのですが、こちらの現場では木の大好きな棟梁が喜々として無垢材を施工していただいた様子が随所に見受けられます。折角、施主さんと楽しみながら無垢材を選んでも、現場で歓迎されないと悲しいのですが、今回のようなケースはこちらのテンションも上がります!施主さんは勿論、設計にも営業にも棟梁にも皆に愛される木は幸せ
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炙り屋と燻製屋とスモークの木②*

昨日に続いて「炙り」とスモークの話・・・一軒目の炙り料理で予想以上に盛り上がったお陰で、次の店もこの路線で行こうという事になり、二軒目は市内二番町の『燻製酒場 むう』。こちらは、看板通り燻製専門酒場で、私の故郷の隣町の城川町の「城川自然牧場のベーコン」はじめ、さまざまな食材が燻製となって登場します。いつもいつも行くとなるとあれですが、たまにはこういう流れもいいもんです。

こちらのお店はスモーキーでフレーバーなハイボールが売りで、燻製との相性の抜群でした♬燻した香りをグラスに閉じ込めて、蓋を開けて香りを楽しみながら一気にハイボールを喉の奥に流し込みます。鼻腔をくすぐるスモーキーな香り。私はタバコはたしなみませんが、この香りはなんとも刺激的。ところで、昨日「名前が知られているのと特徴が分かりやすいので針葉樹ビッグ3は知名度がある」と書きましたが、実は暮らしの中で身近にあるのは、名もなき広葉樹たちなのです。

名もなきというのは語弊がありますが、特徴が似ているのと、そこまで世間様に名を出すなんて恐縮です~という控えめで慎み深い広葉樹は、いろいろな器具の柄や、器や椀などキッチン廻りで実は沢山広葉樹は使われているのです。それで、このお店ではどんな広葉樹が使われているのか気になっていたのですが、こちらでは素材に合わせて「サクラヒッコリーカシ」などが使われていました。酔ってなければもう少し突っ込んで聞いたのですが、多少記憶も曖昧・・・。

その中のひとつ『ヒッコリー』といえば、先日ご紹介した尾原ミナさんのご自宅の料理教室用のキッチンカウンターの素材燻煙業界でもっとも知名度と人気があり、どういう料理にでも合わせられるオールラウンドプレーヤー。燻製木材を買うのに迷ったら、ヒッコリーを買っておけば間違いないと言われるほどのスターで、家具などの原料として提案しても「燻製の木ね」と言われるほど。たまにはこうして、家具や内装材以外などの木の「出口」に触れてみるのも大事なこと。

 




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