森のかけら | 大五木材

黄縞国王〔ボコーテ〕降臨①

2013/06/25

★今日のかけらプレミアム06ボコーテ】 Bocote:Cordia elaegnoides ムラサキ科・広葉樹・メキシコ産

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20130625 2すごく緩いスピードですが、着々と『森のりんご』の仲間が増えていっています。手作りなので、時間も暇もかかりますが、むしろ一度に全部出来上がってしまったのでは「揃えていく楽しみ」が味わえません。購入する側だけでなく、作る方だって「揃えていく楽しみ」を味わう者なのです!そういう人間が作っておりますので・・・なんなら全部コレクションとして個人所有していつも眺めていたいぐらいなのです。でもそれでは次を作る資金が底をつくので販売している、そういう感覚。

 

20130625 3コレクターの気持ちはコレクターがもっとも知るという事。自分が「欲しい」と思うものにどれぐらいの人が共感していただけるかとうのが、『森のかけら』関連商品の生命線なのです。さて、今回新たに加わった『森のりんご』の仲間は、メキシコ産のムラサキ科の広葉樹『ボコーテです。漢字で『黄王丹』とか『黄王壇』、『南紫桑』などと現わされる通り、黄色味を帯びた地色に赤褐色から黄褐色まで複雑で濃厚な縞模様が入り、重厚で堂々たる表情は気品すら溢れ、王様の風格が漂います。

 

20130625 4この『ボコー』、樹脂分が多くて非常に緻密で重硬なのですが、見た目ほどに加工は難しくはなくて、刃物との相性も決して悪くはありません。しかし、樹脂分が多いため、サンディングするとすぐに目詰まりしてしまいます。その美しい縞柄に魅せられて、アクセサリーや宝飾箱、ステッキ、スプーン、ギターのネック、ナイフなどの柄、高級家具や仏壇などに使われる事も多いのですが、仕上がりの磨きでは皆さん苦労されているようです。美しいものは容易には手に入らず・・・。

 

20130625 5目詰まりを起こさせるほどの樹脂分はやがて眩い光沢を生み出します!同じ縞柄でも、下地が白いゼブラウッドに比べるとボコーテは下地が黄色なので、コントラストのインパクトでは見劣りするものの、変化に富んだ縞柄の複雑な趣きや、濃厚さではボコーテの方に軍配が上がるように感じます。建築用材で使われる事のない木ですが、案外女性の方はアクセサリーやイヤリングなどの宝飾品やスプーンなど身近なところで、この縞柄に接している事が多いかもしれません。明日に続く・・・

ホンジュラス・ローズの向こう傷*

2013/04/26

★今日のかけら プレミアム033ホンジュラスローズHonduras rosewood マメ科・広葉樹・中南米産

弊社の近所で竣工したワンズ㈱さんの新居は、ふんだんに無垢材を取り入れていただきました。しかもレアな素材が多いので現場で撮らせていただく写真にもつい力が入ります。まずは玄関扉脇の飾り棚には、『ホンジュラス・ローズ』の耳付き板!【森のかけら】の中においては、『プレミア36』に分類している貴重で高価な木材。ギターなど楽器にも使われる装飾性の高い木ですが、実は原木の挽き材を持っていて、その端材を小出しにしているのですが、今回お眼鏡に止まりました。


ワンズさんでは、いろいろな樹種の端材を荒加工したものをショールームに置いていただいています。以前にもご紹介しましたが、委託で預けておいて使われた分だけを清算する『置き薬システム』なのですが、実際に削ったものを施主さんにも見ていただく、触れていただくことで、より現実的な提案ツールとして活用してもらっています。この『ホンジュラス・ローズ』も、その中の1枚。こういうレアな木には、虫穴や青染み、小傷、クラックなど天下御免の向こう傷も付き物です。

こればかりは実際に見ていただいて納得してもらわないと、言葉だけでは伝わらないことがありますので、荒材だけでなく「ほぼ完成状態」を見ていただく事が肝心です。特に『ホンジュラス・ローズ』のようなローズウッド系の木は、杢の具合や色合いの濃淡、辺材(白太)と赤身のバランス、節の位置、耳の形、エッジの角度などの微妙なディティール組み合わせが、そのモノの価値を左右する重要なファクターになるので、「大体こんな感じ」というイメージ・メッセージは自分の首を締めかねません

実は『ちょこっと端材』にアップしてもいいような『ホンジュラス・ローズ』の端材も沢山あるのですが、原木挽き材なので、そのほとんどが耳付き材です。その耳周辺には上述したような節や割れ、傷、青染みなどの『向こう傷』も多く、いくら接写で撮影してもなかなか細部の特徴が伝わりにくいのではという危惧もあって、今までネットでの販売どころか、店頭での荒材の販売も消極的でした。しかしこうして世に出た姿を見ると、そろそろその封印を解いてもっと知っていただく頃なのかも。この木の詳しい説明は後日・・・。

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した127分③

2013/02/07

20130207 1本日もまたまた映画『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』』の話。映画の中で漂流を続ける少年とトラは、ある日無人島に辿り着きます。その無人島というのが・・・いつもはマナーを遵守して、公開中の映画のネタバレになるような核心には触れないのですが、今回はここに触れないと木との結びつきが話せないので、これから映画を観ようという方は読まないで下さい。さて、漂流生活の末に少年とトラが辿り着いたのは、食料と水に恵まれ、数万ものミーアキャットの大群が棲む無人島でした。

 

20130207 2ところがその楽園のような無人島は、夜になると一変、恐怖の食肉植物の島に変身するのです。つまり食料や水で人や動物達をおびき寄せて、夜になって寝入ったところを食べてしまう人食い島だったのです!何という設定でしょう!『ドクター・モローの島』、『SF巨大物の島』など孤独で逃げ場の無い島ハプニングSF大好き人間として、その設定だけでおかわり3杯はいけるぐらいの美味しいシュチエーションなのですが、その無茶設定すらもそれなりに納得させてしまうのは映像の力でしょう。

 

20130207 3ダブルメガネで、3Dメガネのずり落ち感(鼻が低いので)は煩わしかったものの、緻密で美しい映像は、この御伽噺に真実味すら与えてしまうほど。っしかも今回はただの3Dではなくて、愛媛で初めて取り入れられた『IMAXデジタルシアター』という画期的な次世代のプレミアムシアターという事だったので、余計に臨場感を楽しめたのだと思います。メカ音痴には詳しい事は分かりませんが、スクリーンが広角になって自分と一体感が出るような不思議な感覚で迫力満点でした。

 

20130207 4さて、食肉生物の島の話に戻りますが、島が人を食べるといっても、漫画みたいに島が暴れだすのではなくて、植物の蔓が巻き付いたり毒性のある棘が刺さったり、水が化学変化を起こして死に至らしめるというリアル(?)な感じなのです。それでも島が人や生き物を襲うという設定は素晴らしい~!それを映像として見せる(決定的瞬間は出ませんが)意欲は、3Dという技術があってこその英断。こういう島が実在するか否かは知りませんが、世界には恐ろしくも不思議な木もあります。その話は明日・・・

フランス王室が愛した森の宝石・チューリップウッド*

2013/01/18

今日のかけらプレミアム019チューリップウッドTulipwood マメ科・広葉樹・ブラジル産

宝石のような木ばかりを集めた『プレミア36』の中においても、その美しさにおいて他を圧倒するのがブラジル産の『チューリップウッド』です。材木屋のはしくれとして、その存在は以前から知っていたものの、実際に手にしたのは【森のかけら】を作るようになってからの事です。昔風に言えば、銘木屋さんが扱っていた材のひとつで、建築・家具分野では縁の無い存在でした。「普通の材木屋がそんな場違いな木、持っといてどうするの?」いやいや、うちは普通の材木屋ではありませんから!

この『チューリップウッド』は、ブラジル北東部、パイア、ペルナンブコ州近辺に生育している木で、学名は『Dalbergia frutescens』。花の形が似ている事から別名『チューリップツリー』とも呼ばれる、北米産の『イエローポプラ』とは一切関係がありません。一般的には『チューリップウッド』と呼ばれていますが、頭に産地であるブラジルの名をつけて『ブラジリアン・チューリップウッド』と呼ばれる事もあります。他にもその色調から『ピンクウッド』や『ジャカランダ・ローズ』などの名で呼ばれる事もあります。

この木はねじれながら成長するために通直な材は少なく、杢目は不規則で大きな木は入手困難です。初めて目にされる方は、これが天然の色だとはなかなか信じてもらえません。その鮮烈な色合いと精緻な杢目はご覧の通りで、フランス王朝ルイ15世、16世にも愛され、王室御用達の木材としても知られ、18世紀の古典的な英国家具にも珍重されてきた歴史があります。木の色合いを言葉で説明することの困難さ、無意味さはこの木のためにある台詞のように思われます。

百聞は一見にしかず。まあとにかく手にとっていていただきたい!敢えて言葉で説明するなら、淡桃色の下地に、鮮烈な濃淡の紅色の縞模様が入っているといった感じですが、この自然の造形美の前には言葉が足りません。その美しさに魅せられたルイ15世、16世は、この木のグラデーションを巧みに使って、腕利きの職人に模造のチューリップを作らせ愛でたという事ですが、それがこの木の名前の由来ともされています。歴史上、どれだけ多くの人がこの木に惹きつかれたことでしょう。

ねじれて成長す事から、乾燥中に割れや反りが発生し、クラフト細工などに使用出来る部材にすらも限りがあるとされていますが、気長に自然乾燥で乾かせたのが幸いしたのか、結構コンディションの良い板が取れたので【森のかけら・プレミア36】と『森のたまご』、『森のりんごにも加工してみました。ヨーロッパ家具においては、その際立った色彩を活かして装飾的な象嵌細工や宝石箱、あるいは硬度を活かしマリンバなどの楽器にも利用されているようですが、産出量も極めて少なく、高価で大変貴重な木です。

その存在そのものが『宝石』のようなもので、ベルサイユ宮殿の家具や調度品にも使われ、高貴な方々の目も楽しませてきましたが、今やブラジル政府が出荷を規制しており、そう簡単には入荷できないレアな木となっています。その出口として、【森のかけら】以外に何かないものか探ってきましたが、色合いとともに手触りのスベスベ感も体感していただきたい要素のひとつです。どうぞ、遥かフランス王室の一員になったつもりで優雅な気分で『森の宝石』をご堪能下さい ※ チューリップウッド』の『森のりんご』と『森のたまご』はこちらで販売中森のかけらオンラインショップ

世界でもっとも高価な蛇の鱗・スネークウッド

2013/01/17

★今日のかけらプレミアム05 スネークウッド】 SNAKE WOOD ワ科・広葉樹・中南米産

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20130117  2本来であれば巳年に改まった年明け早々に取り上げる木だったのですが、準備不足がたたり、よやく今頃になっての登場で恥ずかしいのですが・・・。本日取り上げる『今日のかけら』は、今年の干支の名前を持つ木『スネークウッド』です。材木屋関係の方のブログなどで、新年の挨拶ネタに登場するかと思っていましたが、私の知る限りほとんど見かけなかったのは、それだけこの木の流通量が少なく希少な材である事の証拠。『世界でもっとも高価な木』というのは触れ込みは伊達ではありません!

 

20130117  3まさにこの木こそ、レア中のレア!中南米のギアナ周辺が産地です。ギアナといえば、かのギアナ高地・テーブルマウンテン、世界最大の落差を持つ瀑布エンジェルフォールぐらいしか思い浮かばないのですが、さすがそういう神秘的な場所ではこういう不思議な柄の木も育つんですね~。非常にレアな木で、一般的な木材市場はおろか銘木屋経路でも簡単に手にはいるものではありません。木のプロでも実物を見た事のある人の方が少ないという珍品中の珍品です。端材でも目が飛び出るほど高価!

 

20130117  4気乾比重が1.22という事で、重さだけでいうと『世界最重のリグナムバイタ』と双璧です。その重量感は、掌の上の小さな【森のかけら】からでも充分に伝わってきます。それだけの重さですから、仕上げた小口の滑らかさはとても木とは思えないレベル。大理石を触っているような感覚です。大きいもので原木だともせいぜい直径300mmがいいところで、弊社でも【森のかけら】が取れるサイズがわずかに入手出来、どうにか『プレミア36』の1つに加える事が出来ました。

 

20130117  5この変わった名前の由来は、材を削ると独特の縮れた杢目が現れるのですが、その模様がまるで蛇(スネーク)の鱗のように見えることに起因しています。材の削り方によって、その木目が蛇の鱗のように見えたり、ただの縞模様のように見えたりもします。その杢を『アラビア文字を並べたような模様』と捉えた地域では、『スネークウッド』ではなく、文字が描かれている木という意味で『レターウッド』と呼ばれる事もあるようですが、あまり一般的ではありません。

 

20130117  6木目の面白さから装飾的な用途に使われるのですが、代表的なものとしては、級ステッキやナイフの柄やバイオリンの弓部や楽器、ビリヤードのキュー、高級万年筆の軸などがあります。眼鏡の産地・福井県鯖江にはこの木をフレームに使った眼鏡があるそうですがフレームだけで100万円もする代物!市井の材木屋の倉庫に転がっているようなモノでもなければ、巳年に合わせて大量生産しようなんてレベルの木ではありませんが、巳年の今年、世の中にその名を冠する木がある事だけでも知っていただければ。

 

20130117  7★『スネークウッド』が入った【森のかけら・プレミア36】は、特別仕様の収納ケース(ブラック・ウォールナット)のシリアルナンバー入で販売中!30セット限定生産 残り18セット 

★【森のかけら・プレミア36】・・・¥60000(消費税・送料込み)

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