森のかけら | 大五木材

★今日のかけら・#006 【ブラックウォールナット】 Black walnut クルミ科・広葉樹・北米産

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今日は、個人的にはあんまり関係ないけど、世間はバレンタインデーということで、チョコレートといえばやはりこれしかないでしょう、ブラック・ウォールナット。この木を形容する時に外せないのが『チョコレート色のグラデーション』という表現です。まさに深みのある濃淡のこげ茶色に縞模様は他のどんな木が束になってかかってきても敵わないほど魅惑的です!いろんな木を扱ってきましたが、外国の木では一番好きな木です。家具とか扱ってみようと思ったのもこの木と出会ってからです。ブラック・ウォールナットを知ること、それは『桜製作所』さんを知ることでもありました。

昔、ある方からジョージ・ナカジマの家具の事を教えていただき、ブラック・ウォールナットの家具の美しさに惹かれ是非本物が見てみたいという衝動にかられました。噂に聞いていた香川県高松市の『桜製作所』で、どうしても本物が見たくなりました。ただいきなり事務所に行くのもどうかなと、小心者の私は度胸がなく、とりあえず高松市内に出されている桜ショップにまず行ってみることにしました。アポイントを取るのも逆に失礼かなと思い、普通に覗いてみましたが、丁度ショップがお休みでした。

それから何度か、香川に仕事に行くたびに時間を見つけては覗いてみたのですが、いつもお店はお休みでした。後で知ったのですが、日曜祝祭日はお休みだったようで、私がいつも土曜日の仕事の翌日に行っていたので、閉まっていたようでした。その後、平日に香川に仕事で行くときがあり、ついにお店に入る事が出来ました!勿論お店には永見会長がいらっしゃるわけではありません。それほどは大きくはないスペースにセンス良く、十数点の大きな家具と小物が展示してありました。それでも私にとっては、なかなか入れなかった事もあり、聖域に一歩踏み込んだくらいの感動がありました。

そこで初めて見たジョージ・ナカジマのデザインした家具は、素人の私が見ても美しく貫禄があり、「ああ、デザイナーさんがデザインいた家具というものはこういうものなのか・・・」と食い入るように家具を見ていました。ああ、こういう物を作っている人に会ってみたい、身の程知らずだけど、会ってみいと更に強く思うようになりました。ショップに行く前にも、永見会長が書かれていた本を読んで、失礼がないように勉強しておこうと探したのですが、既に絶版になっていたので手に入りませんでした。ところが、お店の方に聞いてみるとそちらに数冊だけ残っている物があると分かりました。しかも、会社の方に行って会長がいらっしゃったらサインしていただけますよ、と聞いたので保存用、読み込む分、知り合いの職人さんに配る分と、まとめて5,6冊購入させてもらいました。これが『木の仕事』(住まいの図書館出版局/発行)です。何度も何度も繰り返し読みました。

こうしてようやく、『桜製作所への道』の扉が開きました。

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チョコレート色の魅惑②・ウォールナットの森

その後しばらくすると『桜製作所』さんに堂々と行けるチャンスが訪れました。以前にも何回か登場しましたが、私が所属している愛媛木材青年協議会は、日本全国の若手の木材関係者が集まっている『日本木材青壮年団体連合会』という組織に加わっていますが、四国では愛媛以外にも高知・香川・徳島の各県のも組織があります。そして、中四国地区の14会団で定期的に中四国地区で役員会を開催しています。それとは別に、以前は四国の会団だけでも合同例会を開催していました。

あるとき、香川の工場見学の企画があった時に、ここだと思い強引に私が企画を出さしてもらいました。香川県の銘木屋さんと当然『桜製作所』さんを入れて企画を通しました。そして遂に堂々とみんなで『桜製作所』に行く機会を得たのです。

当時愛媛の会員で、家具を扱っているメンバーは少なかったので、『桜製作所』と聞いてもあまり分かる人はいなかったのですが、私はひとり盛り上がっていました。そしていよいよその日を迎えました。当日は、永見会長もいらっしゃっいました。『桜製作所』の事を知ってからは、漁るように書物を読みましたが、知れば知るほどに、ジョージ・ナカシマと永見眞一という二人の偉大さが分かり、大袈裟かもしれませんが『生ける伝説』に会えるような心の高揚を感じて興奮していました!

そんな中、私はこのチャンスを最大限に生かそうと、ちゃっかりと会長の書かれた『木の仕事』を全部持参していて、厚かましくも全部にサインをいただきました。いまでもそれは私の宝物です!永見会長、その節は5冊もサインをいただきありがとうございました。

工場にはブラック・ウォールナットの板が大量に在庫されていました。丸太を耳付のままで、40㎜とか50㎜の厚みに挽いて、挽いたなり桟を入れて丸太の状態にして保管されていました。かなり広いダイニングテーブルサイズの板が、ズラズラ~とウォールナットが居並び、ウォールナットの森のような雰囲気です。これ全部使うのに何年かかるのだろうと思わせる圧倒的な量です。

大きい物はなるべく大きく使う。節も割れもデザインの一部として活かし、木の力を最大限に引き出す工夫をする。あるべき物を無駄にせずなるべく有効に使う。デザインというよりも私には、木という素材に向き合う姿勢に大きな感銘を受けました。私にとって、『桜製作所』さんの工場見学は、その後の木に対する考え方の拠り所となりました。

チョコレート色の魅惑③・節の勲章

今日は本題、ブラックウォールナットの話です。クルミ科の植物で、主にアメリカの北部やカナダに分布しています。弊社に入ってきているのは、ウィスコンシン州やインディアナ州産の物が多いです。広いアメリカ大陸の事ですから、地域によって相応の個体差があるのでしょうが、正直そこまでは私には分かりません。木によっては、かなりチョコレート色に近い濃厚なこげ茶色のものもあります。加工する立場からすれば、素性の良いほうがいいのですが、この木に関しては素性の良すぎる木は面白くありません。

木も人間と同じです。何の苦労もなくぬくぬく育ったものよりは、苦労して育ったもののほうが味や深みがあります。温暖で広々した土地で、ストレスもない場所で育った木と、切り立った崖のうえで風にもまれ雨打たれ育った木では、はっきりと育ちが顔に出ます。節は枝の名残りですが、枝の時に雨風に耐えたものほど節の周囲にその生き様が現れます。うねうねとした木目は、風との格闘の証ですし、年輪幅のメリハリはその年の季節のうつろいを映しています。

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一般的に節の大きい物は、『欠点』としてはじかれますが、ブラックウォールナットに関して言えば、節のある板の方が絶対に面白いと思います。チョコレート色の濃淡のグラデーションこそが、この木の最大の魅力ですが、節の周囲にこそ濃密なグラデーションが現われます。

 黒からこげ茶、薄茶と流れるように、波のように変化する色合いは、決して塗装では生み出すことの出来ない天然の筆使いです。うねりだすような造形美は、この木以外には考えられません。使う用途にもよるでしょうが、節があっても問題ないものであれば、なるべく節も取り入れるようにさせていただいています。節も立派な木の表情です。むしろ厳しい風雪に耐えた勲章だと思います。最近、家具業界でも節のある表情が少しずつ見直されてきていますが素晴らしいことだと思います。木の立っていた姿に思いを馳せて使うというのは大事な事です。

 

一番多いのはダイニングテーブルやキャビネットなどですが、カウンターや棚板、床の間の地板などにも利用していただいています。また、幅剥ぎにして階段の段板に使っても雰囲気があります。大きな1枚板でも、幅剥ぎにしてもこれだけ表情の豊かな木は少ないと思います。色目の深い割に重さがないので、加工や取扱いが容易なのも好まれる原因ではないでしょうか。

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この木の場合は絶対オイル塗装をお奨めします。時間とともにゆっくりゆっくりと木の内面に染み込んでいって、チョコレート色が更に濃厚になっていく様が楽しめます。塗装をして、ある程度時間が経っていい色合いになったウォールナットのフローリングを見られて、「この色が欲しい」と言われる方がいらっしゃいますが、「無理です」とお断りします。塗ったときはもっと淡い色合いが、時間をかけることで少しずつゆっくりと内部からにじみ出て来た樹脂分とオイルが結合してこの深みが生まれてくるのです、どうかご自分で育ててください、と。

 

 

いますぐ人工的に配合して作れないからこその風合い、天然の色の妙味だと思います。かといって全てのウォールナットがそういう色合いではありません。こだわりたい方は、自分の目で選ぶしかないと思います。勿論お好みもありますから好き好きですが。ちなみに弊社の在庫としては、長さ1.8mで幅込みx厚み32㎜ぐらいの平板、長さ2.4mで幅込みx厚み38㎜の平板、幅広の1枚板(最大のものは3900x900x58㎜!)ほか数枚、1820x90x15㎜のユニFJの無塗装のフローリングなどがあります。

 

お楽しみはこれからだ!

3. 木の仕事

現場注物文品で、3段の廻り階段セットの加工が完成しました。750x850㎜のズペースを、3段で廻します。素材はブラック・ウォールナットの幅剥ぎです。階段板は2枚幅剥ぎで作らせていただきました。あえて節や色ムラの激しい木を使って存在感を出しています。

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3つのパーツに分かれています。ベタの平面の上に並べて置いているので、分かりにくいと思うので段差をつけて立体的に置いてみます。

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幅剥ぎの内部には実(サネ)が入っていてしっかりくっついています。簡単にボンドで張り合わせれそうに思われるかもしれませんが、接着面に少しでも凹凸があるとピッタリくっつきません。細かなところにも職人さんの技術が活かされています。今回も㈲白菊木材工作所太田菊則さんに作っていただきました。もう10年来の付き合いで、細かに説明しなくても大体の事は「あ・うん」の呼吸で理解し合えるので安心です。今までに何10種類の木を加工していただいたことか。見たことも聞いたこともないような木を持ち込んだことも数知れず。そのたびに、鉋のかかり具合や刃物切れ、接着具合などを訊きデータを収集していきます。ある程度の情報は木工の本にも出ていますが、当然個体差はあるし、何より自分で実際に使って触ってみないと気が清みません。触ったこともない木を、物の本の解説だけで堂々と売ろうというのは気が引けます。せめてテーブル1枚、小物1つでも実際に作ったものでないと、恥ずかしくて人様に説明出来ません。そういう意味では、太田さんによく「実験台」にもなっていただいています!感謝、感謝!

さて、階段の話に戻りますが、薄く見えそうですがこれでも仕上がり厚みは27㎜あります。鉄骨で組んだ骨組みに載せてきます。今はまだ無塗装なので、画像だと淡く映っていますが、色目の深そうなものを選んでいますので、オイルで仕上ると、重層的なチョコレート色に変化します。ブラックウォールナットで無塗装のまま納品することもよくありますが、(この木だけという訳ではないですが特にこの木の場合は)今塗ってし色合いを確かめた!という衝動に駆られます。自分の想像とどれくらい同じになるか、どれくらい変わってくれるかとても興味があります。塗って想像を超える深みが出た時の「おーっ!」という歓声が快感です。今回の板は特にそれが楽しめたのに残念・・・お楽しみは塗装後に現場で味合わせていただきます!

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