★今日のかけら・173 【ソフトメープル】 Soft maple カエデ科・広葉樹・中国産
久し振りの『今日のかけら』となりましたが、本日俎上に載るのは『ソフトメープル』です。建築分野においては馴染みの薄い木だと思います。日本における用途としては主に家具や梱包材、楽器や器具などです。実は、『ソフトメープル』という特定の樹種があるわけではなく、材質の硬い『ハードメープル』に対して、やや軽軟な事からその対比として『ソフト』の名称がついています。具体的には、シルバーメープルやビッグリーフメープル、レッドメープル、スカーレットメープル、ウォーターメープルなどと呼ばれる材の事です。
そもそもメープルはカエデ科の木で、北半球の温帯におよそ150種も分布しており、園芸品種まで加えるとその数は200種にも及ぶとされています。その中で北アメリカのカエデは、その材の硬軟によってハードメープルとソフトメープルに大別されます。ひと口にメープルといっても、その葉の形状もさまざまで、その形や材質から多くの呼称が与えられています。有名なメープルシロップは、ハードメープルの代表格シュガーメープルから採取されます。
【森のかけら】にしているソフトメープルは、中国産のモノです。写真はかなり偽芯が出ているのですがこれも味。中国にも多くのカエデ類が自生しているので、学術的な分類については不勉強ですが、中国産のメープル(カエデ)としては木材市場では、硬めなモノを『チャイニーズ・メープル』、やや軽軟なモノを『ソフトメープル』とか『ゴカクカエデ』と呼んでいますが、まだ日本への輸入が本格化して日の浅い中国産木材については、全国的な市場名が定着しているわけではありません。この辺りではやや軽軟なカエデは『ソフトメープル』と呼んでいます。
ハードメープルに比べて軽軟とはいえ、家具材やフローリングとしては充分な強度はあると思いますが、市場ではあまり認知されていません。色合いも一定ではなく、淡黄白から桃色、灰褐色と色合いは多岐にわたるため、全体の色調が揃いやすいハードメープルに比べて使いにくいとされているのかもしれません。材によっては、偽芯が現われたり、かなり濃い赤身の筋も出て来るものもありますが、それも使い方次第では『キャラクターマーク』として個性だと思うのです。