森のかけら | 大五木材

 

 

今日のかけら177

ダグラスファー

Douglas fir

マツ科トガサワラ属・針葉樹・北米産

学名:Pseudotsuga menziesii

別名:ダグラスモミDouglas fir

オレゴンパイン (Oregon pine) 

和名:べイマツ(米松)

アメリカトガサワラ(アメリカ栂椹)

気乾比重:0.55

 

ダグラス博士の愛した木*


★今日のかけら・177【ダグラスファー】Douglas Fir マツ・針樹・北米産

ダグラスファー』と聞くと「?」と思う方が多いのではないかと思いますが、『ベイマツ』と聞くと「ああ、あの家の梁や桁に使う木ね」とご理解いただける方が多いのではないでしょうか。実はこれ、同じ木の事なのです。構造材に国産材を使って欲しいという要望がなければ、ほとんどのケースでこの『ダグラスファー』が構造材として使われると言っていいぐらい、国内の住宅産業資材に広く浸透し、ほぼ全国的に使用されています。それに合わせてこの『ベイマツ』という名称も一般の方の間にもすっかり定着したようです。

ベイマツ』を漢字で表わすと『米松』、つまりアメリカ産のマツであるという事を言い表しています。植物学的な分類では、マツ科トガサワラ属に分類され、『アメリカトガサワラ』というのが正式な名称になるようなのですが、これだとまずトガサワラを説明してからになるので二重に面倒くさくなります。さら葉の形がモミに似ている事からファー(モミ)の名前もついていて余計にややこしくなっています。現地では主にダグラスファー、あるいはオレゴンパインの名前で親しまれています。日本では一般的には日本の松に似た木という意味で『米松』と呼んでいます。

世界中でもカナダからワシントン、オレゴン州にかけての太平洋沿岸の丘陵地に生育する単一種です。北米産の木材林業界においても重要な地位を占める木で、日本に原木として輸出される木材の中では最大の規模を誇ります。ダグラスという名前は、1791年にカナダのバンクーバー島でメンチェス博士によって発見され、その後1826年に植物学者のダグラス博士によって再発見された事に由来しています。つまりダグラスというのは人名なのです。学名にもダグラス博士の功績が織り込まれていますが非常に珍しい例です。『シュードツガ・ダグラシー(ツガに似たダグラスの意)』

地元愛媛にある、鶴居産業㈱さんがベイマツ製材の大手の一角を形成されていて、日々ベイマツの製品を大量に生産されています。この仕事に就いて初めて木材団地に行って、その工場を見たときは、国産材のワビや味といった概念が一気に吹き飛んでしまうような、その圧倒的なスケールに度肝を抜かされました。鶴居産業さんのある木材団地の港にベイマツの原木を満載した船が入港している姿にたまたま出くわすことがあるのですが、なんとも壮大な眺めです。大きな原木から大きな梁や桁をイメージするかもしれませんが、その用途は意外に広いのです。

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オールドなヤニの功罪*

住宅の梁や桁など構造材としての利用頻度が高い『ダグラスファー(米松)』ですが、それは大きなサイズの材料が取れる(製材出来る)という前提と合わせて、部材相応の粘りと強度が確保できるという特徴を持っているからであります。一口にベイマツといっても、その材質によって取引価格には大きく異なります。一般的には200年生以上の高齢木原生林の事を『オールドグロス(Old Growth、植林した2次林の事を『セカンドグロス(Second Growth』と呼んで区別をしています。当然、高齢木のオールドグロスが高額で取引されます。

このオールドグロスの材は、主にバンクーバー島からカナダほんどのカスケード山脈の太平洋側沿岸から産出されていて、その事から別名『カスケード』とも呼ばれています。その材質によっては、やや目粗の『セミカスケード』などと区分され取引されています。高齢木になると、板目部分にはえも言われぬような野趣溢れた表情が現れます。しかし汎用性の高い木材であり、またもともと大きな木が得やすいというイメージが強いため、木目の面白い木も割合ぞんざいに扱われることが多いのも悲しい現実です。

「面白い杢が出たベイマツがあります」と言っても、「所詮ベイマツだからなあ」的な受け止め方をされがちです。また『現(あら)わし』といって、外部などに化粧材として使用する際にも、例えば尺(およそ300㎜)を越えるようなサイズのものになると、スギヒノキだと木取りするのも難しそうだろうと理解して頂くのに、「ベイマツなら(木が大きいのだから)取れて当然だろう」と言われたりするのは不遇と言わざるを得ません。私がこの仕事について20数年、今まで一番多く触った材はベイマツだったかもしれません。

ベイマツは多くの樹脂分を含み、ヤニ(脂)が出ることが多いのですが、経験から言うと木目の詰まったオールドグロスになればなるほどヤニが吹いてくる事が多いです。右の写真のような玉になる物は、時間が経過するとザラメのように多少固まるので簡単に取り除けます。また軽微なヤニはシンナー系の溶剤で拭き取れば取れますがこれも程度問題。見た目は美しい飴色に見えるものの結構手につくと厄介物で普通の石鹸では容易に落とせません!一方、深いヤニ壺があると最悪!いつまでもいつまでも無尽蔵なくらいにヤニが溢れてきます。

もうこうなると外科手術でヤニ壺の周辺ごと切り出して除去してしまわなければ根本的な解決には辿り着けません。もっともマツにしてみれば、ヤニ分が多いから粘りや強度も生まれるわけで、しかもそのヤニもバイオリンやバットの滑り止めに使っているにもかかわらず、やれヤニが悪いだのねとつくだの都合勝手な事ばかりを言うな!と叱咤されそうです。ところで今や日本での住宅産業に欠かせないベイマツですが、日本に最初に持って来たのはあの黒船ペリー提督だと言われています。この話、長くなりそうなので続きは後日改めて・・・。

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歴史に名を残したコレクター*

先日のブログの、『1791年にカナダのバンクーバー島でメンチェス博士によって発見され、その後1826年に植物学者のダグラス博士によって再発見された』という記述に対して、厳しいご指摘がありました。その間の空白の35年はどうしたのか?という、予想だにしない質問です。質問の主は、偏執狂的な熱血『森のかけら』マニア(これは最大の賛辞!)のF氏。さすがに目の付け所が違います。この業界にいて何も疑問に思った事もありませんでした。まさに目から鱗が落ちるとはこの事です。 慌てて資料や文献を読み漁りました。

常識とか定説を「なぜ?本当?」と思うところから人間の成長があるのかもしれません。こういう質問、とてもありがたいです。それをきっかけに自分も調べ物をしたり、知識を得れたりと勉強になりますので。さあ、そのマニアックな疑問にお答えしましょう。ところが定説というのは誰も疑問に思わないからこその定説。この空白の35年を紐解く記述はどこにもありません!F氏のほくそ笑む姿が脳裏に浮かんできます。それでココからは、資料や文献を元にした私の推察になりますが、まるっきりの間違いでもないと思います。

1780年代に植物学者のメンチェス博士は世界各地に探検に出向いていたようで、1791年にバンクーバー島で『ダグラスファー』を発見しました。しかしそれだけでは第一発見者の名誉は手に入れることはできないのです。当時は、発見してもその種や生きた標本を本国(イギリス)に持ち帰って、国の最高権威である王立園芸協会に届けなければ正式に認められなかったようです。その時当時王立園芸協会は絶対的な権威を誇り、かの万有引力の発見者ニュートンも歴代の会長を務めていたほど国の威信を背負ったアカデミーという存在だったのです。

国が認めるというお墨付きがつくわけですから、そこにはそれ生きた標本やら種子は必要最低条件であったことでしょう。メンチェス博士にそういう野心があったかどうかは別にして、その偉業は博士は記憶の中にのみとどめることになりました。先住民は大昔から木の存在には気がついていたのでしょうが、登録とか認定とかには別段興味も無く時が流れました。それから35年後の1826年、王立園芸協会の会員であり植物学者にして収集家のダグラス博士が歴史に名を刻むのです。執狂的なコレクターであった(?)ダグラス博士は、自分が偶然「発見」したダグラスファーの種と生きた標本を王立園芸協会に送りました

偏会員であるダグラス博士は当然、それによって自分が発見したという偉業が歴史に刻まれることも熟知されていたのでしょう。そうして見事ダグラス博士は、『ダグラスファー』の発見者となり、その功績により自分の名前を冠するという名誉を得たのです・・・というのが、私が推察する『メンチェス博士の不幸とダグラス博士の幸運物語』の一部始終です。どこまでが本当?と尋ねられても責任は負えません。ただ当時こういう事は珍しくなかったようで、記録に残っている発見者が真の発見者かどうかは怪しいところです。手続きに長けていた場合もあるでしょう。今ほどデータが重要視されなかった頃、記録に名を残すことがどれほどの価値があったのかも分かりません。そんなことより大切な事が世の中に溢れていた素敵な時代だったのでしょう。

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ペリー提督と黒い商船とベイマツ*

ダグラスファー』で、もう少し触れておきたい事がありましたので、補足させていただきます。今や日本国内でもっとも馴染みの深くなった感のあるダグラスファー、つまりベイマツですが、日本に入ってきた歴史も最古参です。記録として残っているのは、嘉永6年(1835)に黒船が浦賀に来航したのですが、その時ペリー提督が幕府に献上した幾つかの品の中に、ベイマツの製材品が入っていたというものです。まさか梁や桁のようなサイズの物ではなかったろうと思いますが、少し厚めの板材のような物だったのではないでしょうか。

その時のベイマツはしっかり保存されていて、かつて佐藤栄作首相がこのベイマツの一部を使って、シガレットケースを作らせて、アメリカ大統領のお土産として渡米したという逸話が残っておりますので、170年前のベイマツを是非とも拝んでみたいものです。相手はジョンソンだったのでしょうか、あるいはニクソン?そういう記述もありますから、これはかなり確かな事実だと思われます。それから百数十年後、まさかその木が日本中の建築の主流になろうとはよもやペリーも想像だにしていなかった事でしょう。

いや、もしかしてその来るべき未来を予知してベイマツをこの国に持ち込んだとしたら・・・!実はペリー提督が米国林産会社の特命を帯びたスーパーバイヤーだったというまことしやかな話もあるのです。かつて日本の野球の創成期に、アメリカ大リーグが来日して日本のチームと各地方で試合を行いました。来日してメジャーリーガーの中には、ベーブルースゲーリックなどの名だたるスーパースターがいたのですが、その中にメジャーでは成績の振るわない無名選手が混じっていたのです。

実は彼らは野球選手の名を借りた米国の秘密諜報部員で、野球の全国遠征に帯同しながら野球そっちのけで諜報活動に励んでいたという、嘘のような本当の話がありましたが私こういう都市伝説的な話大好き!アメリカならやりそうなところがリアリティを感じます。なのでペリーもただの手土産としてではなく、アメリカの圧倒的な森林資源を知らしめるため、そして日本の住宅資材にベイマツを普及させるために、トップダウンの営業戦略を取っていたのかもしれません。また同時期に幕府は大型船舶の建造も解禁したのですが、造船の甲板材としての売り込みのカットサンプルだったのではないかとも言われています。実際にペリーが乗船していた黒船にもたくさんのベイマツが使われていたそうです。黒船は商船だったのか・・・

その後日本の軍艦の甲板などにベイマツは使用され、急速に輸入が増えたという事ですから、ペリーの目論見通りになったという事でしょう。そうしてベイマツは初めて日本の土を踏み、その後の戦後復興の急激な木材の需要に国内木材だけでは供給が追いつかなくなり、木材鎖国政策が解かれ再び日本の土を踏むことになるのです。日本を開国させたペリーが最初に日本に持ち込み、それから長い時を経て、輸入解禁後に市場を席巻したダグラスファー、何か歴史の因果を感じずにはいられません。

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別の名前で出ています*


何か面白い木って無いですか?」若い設計士さんからそんな問い合わせがよくあります。そんな時に、「それではこんな木がありますがいかがでしょうか。その木は1826年にバンクーバー島の西海岸で、イギリスの王立園芸協会会員の植物学者ダグラス博士によって再発見されました。その木は、鎖国中の江戸時代に浦賀にやって来た黒船にも積まれていて、かのペリー提督が幕府に献上した数々の品の中にも含まれていました。そんな歴史的な背景のある木ですがどうですか?」

「それは面白い!何という木?」大抵の場合は食いついてこられます。それから更に丁寧に説明します。「今やその木は北米大陸を代表するような木になりました。中でも200年を超えるような高齢の原木を『オールドグロス(Old Growth)』、植林した2次林の事を『セカンドグロス(Second Growth)』と呼んでいます。正式な名前は『ダグラスファー』、正確な和名は『アメリカトガサワラ』です。いかがですか?」「ダグラスファー?聞いたことも無い名前だけどサンプルってありますか?」

待ってましたと、ここでようやくサンプルをお見せします。先方の反応は大抵「・・・これって米松じゃないですか?」「ええそうですよ。英名ダグラスファー、和名アメリカトガサワラ、商業名米松です。」「米松かよ~(ガッカリ)!」ペリーの黒船や200歳以上のオールドグロスの話にはあれほど食いついていたのに。あまりに身近にあり過ぎると、逆にその本来の価値が見えなくなる事があります。ベイマツと聞くだけで途端にそれが安っぽく見えてしまうのはその典型でしょう。

とはいえ最近は、スギ並に目の粗いベイマツも出回っているので、ベイマツ自体の評価が低くなるのも致し方ありません。もはや『ピーラー』も死語に近い。なので若い設計士さんにとってベイマツは、人工乾燥機ですっかり油っ気の抜けてしまったパサパサの目の粗い木という印象しかないのかもしれません。先日、そんな印象を一変させるような迫力あるベイマツ、いやダグラスファーに出会いました。デンマークのスカンジナビアンリビング社の幅広・長尺の一枚板のダグラスファーのフローリング

弊社が取り扱ったわけではなく、現場に収められたモノを拝見したのですが、長さ3m、幅300㎜、厚み28㎜の一枚板の豪快な商品。ほとんど木裏使いで、裏面に浅めのバックシールが3本入っていましたが、反り止めというよりはほぼ気休め程度。しかしこれぐらいの商品になると、節がどうのこうの言ったり、多少の反りやねじれなんて野暮な話。それらも本物の木の魅力のひとつじゃないかと言われれば納得してしまうほどの圧倒的な存在感!もしも黒船にもこういう木が積まれていたならば徳川幕府の心もさぞかし揺れたのでは?!

 

今日のかけら201

ブラック・ウォールナット

  Black Walnut

クルミ科・広葉樹・北米産

学名:Juglans nigra

別名:イースタンブラック・ウォールナット

気乾比重:0.62

 

チョコレート色の魅惑・桜製作所への道

★今日のかけら・#006【ブラック・ウォールナット】Black walnut クルミ科・広葉樹・北米産 

今日は、個人的にはあんまり関係ないけど、世間はバレンタインデーということで、チョコレートといえばやはりこれしかないでしょう、ブラック・ウォールナット。この木を形容する時に外せないのが『チョコレート色のグラデーション』という表現です。まさに深みのある濃淡のこげ茶色に縞模様は他のどんな木が束になってかかってきても敵わないほど魅惑的です!いろんな木を扱ってきましたが、外国の木では一番好きな木です。家具とか扱ってみようと思ったのもこの木と出会ってからです。ブラック・ウォールナットを知ること、それは『桜製作所』さんを知ることでもありました。 今日のかけら ブラック・ウォールナット

昔、ある方からジョージ・ナカジマの家具の事を教えていただき、ブラック・ウォールナットの家具の美しさに惹かれ是非本物が見てみたいという衝動にかられました。噂に聞いていた香川県高松市の『桜製作所』で、どうしても本物が見たくなりました。ただいきなり事務所に行くのもどうかなと、小心者の私は度胸がなく、とりあえず高松市内に出されている桜ショップにまず行ってみることにしました。アポイントを取るのも逆に失礼かなと思い、普通に覗いてみましたが、丁度ショップがお休みでした。

それから何度か、香川に仕事に行くたびに時間を見つけては覗いてみたのですが、いつもお店はお休みでした。後で知ったのですが、日曜祝祭日はお休みだったようで、私がいつも土曜日の仕事の翌日に行っていたので、閉まっていたようでした。その後、平日に香川に仕事で行くときがあり、ついにお店に入る事が出来ました!勿論お店には永見眞一会長がいらっしゃるわけではありません。それほどは大きくはないスペースにセンス良く、十数点の大きな家具と小物が展示してありました。それでも私にとっては、なかなか入れなかった事もあり、聖域に一歩踏み込んだくらいの感動がありました。

そこで初めて見たジョージ・ナカジマのデザインした家具は、素人の私が見ても美しく貫禄があり、「ああ、デザイナーさんがデザインいた家具というものはこういうものなのか・・・」と食い入るように家具を見ていました。ああ、こういう物を作っている人に会ってみたい、身の程知らずだけど、会ってみいと更に強く思うようになりました。ショップに行く前にも、永見会長が書かれていた本を読んで、失礼がないように勉強しておこうと探したのですが、既に絶版になっていたので手に入りませんでした。ところが、お店の方に聞いてみるとそちらに数冊だけ残っている物があると分かりました。しかも、会社の方に行って会長がいらっしゃったらサインしていただけますよ、と聞いたので保存用、読み込む分、知り合いの職人さんに配る分と、まとめて5,6冊購入させてもらいました。これが『木の仕事』(住まいの図書館出版局/発行)です。何度も何度も繰り返し読みました。こうしてようやく、『桜製作所への道』の扉が開きました・・・。この話まだまだ続きます。

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チョコレート色の魅惑②・ウォールナットの森*

その後しばらくすると『桜製作所』さんに堂々と行けるチャンスが訪れました。以前にも何回か登場しましたが、私が所属している愛媛木材青年協議会は、日本全国の若手の木材関係者が集まっている『日本木材青壮年団体連合会』という組織に加わっていますが、四国では愛媛以外にも高知・香川・徳島の各県のも組織があります。そして、中四国地区の14会団で定期的に中四国地区で役員会を開催しています。それとは別に、以前は四国の会団だけでも合同例会を開催していました。

あるとき、香川の工場見学の企画があった時に、ここだと思い強引に私が企画を出さしてもらいました。香川県の銘木屋さんと当然『桜製作所』さんを入れて企画を通しました。そして遂に堂々とみんなで『桜製作所』に行く機会を得たのです。当時愛媛の会員で、家具を扱っているメンバーは少なかったので、『桜製作所』と聞いてもあまり分かる人はいなかったのですが、私はひとり盛り上がっていました。そしていよいよその日を迎えました。当日は、永見会長もいらっしゃっいました。『桜製作所』の事を知ってからは、漁るように書物を読みましたが、知れば知るほどに、ジョージ・ナカシマ永見眞一という二人の偉大さが分かり、大袈裟かもしれませんが『生ける伝説』に会えるような心の高揚を感じて興奮していました!

そんな中、私はこのチャンスを最大限に生かそうと、ちゃっかりと会長の書かれた『木の仕事』を全部持参していて、厚かましくも全部にサインをいただきました。いまでもそれは私の宝物です!永見会長、その節は5冊もサインをいただきありがとうございました。工場にはブラック・ウォールナットの板が大量に在庫されていました。丸太を耳付のままで、40㎜とか50㎜の厚みに挽いて、挽いたなり桟を入れて丸太の状態にして保管されていました。

かなり広いダイニングテーブルサイズの板が、ズラズラ~とウォールナットが居並び、ウォールナットの森のような雰囲気です。これ全部使うのに何年かかるのだろうと思わせる圧倒的な量です。大きい物はなるべく大きく使う。節も割れもデザインの一部として活かし、木の力を最大限に引き出す工夫をする。あるべき物を無駄にせずなるべく有効に使う。デザインというよりも私には、木という素材に向き合う姿勢に大きな感銘を受けました。私にとって、『桜製作所』さんの工場見学は、その後の木に対する考え方の拠り所となりました。

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チョコレート色の魅惑③・節の勲章*

今日は本題、ブラックウォールナットの話です。クルミ科の植物で、主にアメリカの北部やカナダに分布しています。弊社に入ってきているのは、ウィスコンシン州やインディアナ州産の物が多いです。広いアメリカ大陸の事ですから、地域によって相応の個体差があるのでしょうが、正直そこまでは私には分かりません。木によっては、かなりチョコレート色に近い濃厚なこげ茶色のものもあります。加工する立場からすれば、素性の良いほうがいいのですが、この木に関しては素性の良すぎる木は面白くありません。 ca4ymsaa

ca7hq0y61 木も人間と同じです。何の苦労もなくぬくぬく育ったものよりは、苦労して育ったもののほうが味や深みがあります。温暖で広々した土地で、ストレスもない場所で育った木と、切り立った崖のうえで風にもまれ雨打たれ育った木では、はっきりと育ちが顔に出ます。節は枝の名残りですが、枝の時に雨風に耐えたものほど節の周囲にその生き様が現れます。うねうねとした木目は、風との格闘の証ですし、年輪幅のメリハリはその年の季節のうつろいを映しています

一般的に節の大きい物は、『欠点』としてはじかれますが、ブラックウォールナットに関して言えば、節のある板の方が絶対に面白いと思います。チョコレート色の濃淡のグラデーションこそが、この木の最大の魅力ですが、節の周囲にこそ濃密なグラデーションが現われます。黒からこげ茶、薄茶と流れるように、波のように変化する色合いは、決して塗装では生み出すことの出来ない天然の筆使いです。うねりだすような造形美は、この木以外には考えられません。使う用途にもよるでしょうが、節があっても問題ないものであれば、なるべく節も取り入れるようにさせていただいています。節も立派な木の表情です。むしろ厳しい風雪に耐えた勲章だと思います。最近、家具業界でも節のある表情が少しずつ見直されてきていますが素晴らしいことだと思います。木の立っていた姿に思いを馳せて使うというのは大事な事です。

ca07hvab2 一番多いのはダイニングテーブルやキャビネットなどですが、カウンターや棚板、床の間の地板などにも利用していただいています。また、幅剥ぎにして階段の段板に使っても雰囲気があります。大きな1枚板でも、幅剥ぎにしてもこれだけ表情の豊かな木は少ないと思います。色目の深い割に重さがないので、加工や取扱いが容易なのも好まれる原因ではないでしょうか。この木の場合は絶対オイル塗装をお奨めします。時間とともにゆっくりゆっくりと木の内面に染み込んでいって、チョコレート色が更に濃厚になっていく様が楽しめます。塗装をして、ある程度時間が経っていい色合いになったウォールナットのフローリングを見られて、「この色が欲しい」と言われる方がいらっしゃいますが、「無理です」とお断りします。

塗ったときはもっと淡い色合いが、時間をかけることで少しずつゆっくりと内部からにじみ出て来た樹脂分とオイルが結合してこの深みが生まれてくるのです、どうかご自分で育ててください、と。今すぐ人工的に配合して作れないからこその風合い、天然の色の妙味だと思います。かといって全てのウォールナットがそういう色合いではありません。こだわりたい方は、自分の目で選ぶしかないと思います。勿論お好みもありますから好き好きですが。ちなみに弊社の在庫としては、長さ1.8mで幅込みx厚み32㎜ぐらいの平板、長さ2.4mで幅込みx厚み38㎜の平板、幅広の1枚板(最大のものは3900x900x58㎜!)ほか数枚、1820x90x15㎜のユニFJの無塗装のフローリングなどがあります。 cadyynyl1

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バタフライはフリー・・・①*

先月は、無垢の家具材やカウンター、地板、框、踏み台などの注文が集中して、製作が非常にタイトで皆さんにご迷惑をお掛けしました。ようやくピークが過ぎましたので、首を長くしてお待ちのお客様、もうしばしの間お待ち下さい。さて、逆光になってしまったので本来の色合いが出ていなくて分かりにくいのですが、弊社で一番人気の『ブラック・ウォールナット』を使ったダイニング・テーブルです。こちらも当初の予定から遅れに遅れてようやく先日納品させていただく事が出来ました。だがこれが普通のテーブルではないのです。

なにやら両端に変なデザインのような物があるのが分かるでしょうか。ここがミソです。その鍵爪のような部分のアップ画像がこちらです。木製のヒンジ(蝶番)です!この画像の色合いが実際の色合いにかなり忠実です。ブラック・ウォールナットにも色合いの濃淡でかなり差があります。「チョコレート色のグラデーション」と形容される、こげ茶色と黒っぽい縞模様の入ったモノが一般的に想像されるブラック・ウォールナットだと思いますが、それとは別にやや赤味を帯びた紫褐色系の強い淡白な印象のモノもあります。木の素性が良くて節も少ないのは後者の方なのですが、私は個人的には木目も激しく荒々しい、節も大きく癖の強い前者の方が好きです。これは好みの問題ですから、それが良い悪しではありませんが、扱う材に人間が似てくるのか、人間の正確に材が似てくるのか・・・。弊社で仕入れるブラック・ウォールナットは圧倒的に癖の強い濃いタイプです。

このカウンターは短くカットしてつないでいますので、大きな節は取り込まずに剥ぎ合わせしましたが、私自身決して節が嫌いではないので、余程節が嫌いという方以外は大胆に節を取り込ませて加工させていただいています。節の周辺にこそ面白い杢目が出てきますので、表情を楽しみたい方には是非節をオススメします。今回は黒身主体にしたかったので、敢えて木裏を使っています。無理に木表にこだわらずに、その辺りは柔軟に対応しています。その時々の目的に合わせた適材適所の使い方が肝心です。

テーブルの脚よりも天板が飛び出している変則的な形をしていますが、横から見ると構造がよく分かります。天板の下にもうひとつ引き出しのようなモノが中央から飛び出してきて、それが天板を支えています。これが左右にあり、この引き出しのような部材は、中央でこれ以上は外に飛び出さない構造になっているので、抜け落ちる心配はありません。押すと内部に収納でき、それによってこの脚から先の部分がヒンジの所を基点に下に折れ下がります。つまりこれ、バタフライ・テーブルなのです。

両羽を折り畳むとこういう形になります。この状態でテーブルの長さは1200㎜です。両羽はそれぞれ400㎜あり、全てを広げた場合2000㎜になります。羽を折ると、そちら側に座りにくくなると思われるかもしれませんが、通常はご夫婦が向かい合って座って使われるので問題ありません。お客さんが来られた場合に羽を広げて使われます。決してユニバーサルなデザインではありませんが、弊社が製作させていただく家具は、大量生産品ではなく、主となるべき人からのオーダーメイドですから、その方にとってのベストのモノであれば良いという考え方です。

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バタフライはフリー・・・②

昨日のバタフライ・テーブルの話の続きです。今までにもこういうタイプの跳ね上げ式のテーブルの依頼もあるにはあったのですが、この大柄な木製のヒンジ(蝶番)がミソです。製作していただいたのは、ウッドワークかずとよさん。お客さんからの要望は面白めの(!)バタフライ・テーブルという事でしたが、大まかなサイズとデザインだけ伝えると大胆な発展解釈で表現していただきました。木製のヒンジの中には真鍮の軸が入っています。部材は脚材も含めて全てブラック・ウォールナットの無垢材です。

羽を畳むとヒンジの部分はこういう形になります。池内君から面白いことをしてみました、と聞いてはいましたが想像以上に出来栄えにお客さんも大満足していただきました!通常はお二人暮らしなので、羽を畳んで使われるのですが、友人の方とかが来られた時にこの羽が活躍するようです。跳ね上げ式の構造についてはお客さん自身もいろいろ考えがあったのですが、やはりプロの仕事は違うとお褒めの言葉までいただきました。

リコーのGRデジカメに代えてから、ほぼ目視通りの色合いが再現できるようになって、とても満足しています。このバタフライ・テーブルも画像を見ていただいても分かる通り、かなり濃いこげ茶~黒味系のブラック・ウォールナットを使っています。しかし決して全ての材がこれほど濃淡が揃っているわけではありません。ちょうどブラック・ウォールナットの梱包が入荷しました。右の画像のように長さと厚みを揃えた挽き材が入荷して、そこから必要な材サイズの部材を木取りします。中には白太や淡い色合いの物もあります。

その梱包をバラして、1枚1枚幅や木目、色合い、コンディションを確認しながら、サイズ毎に倉庫の中に立てかけていきます。100数十枚ありますから結構な重労働ですが、ここで自分の目で全体を確認しておかないと感覚がつかめなくなるので、大切な作業です。今倉庫にどういう状態の物がどれくらいあるかが分からないと見積もりは出来ません。中には大きな節や割れがある物がありますが、それは別に分けて短くカットしても使える家具やクラフト材などに利用します。

弊社の場合は、家具や内装材の原材料に使うか、何枚かごとのバラ売りが主流なので、これぐらいの梱包が1つ入荷すると全て掃けるのに数ヶ月かかります。以前は木工所さんも梱包買いしてもらう所もありましたが、今はなるべく在庫負担を減らす傾向が強く、必要な量を必要な時期にという方ばかりになりました。梱包を右左で売れば足は速いのでしょうが、私はなるべく入荷した物は手を掛けて売りたい(自分でたっぷりと楽しんで売りたい?)性分なので、バラ売りが合っています。材を骨までしゃぶって使い切るには、まずその素材をよく知ることが重要です。そしていかに多くの調理法と販売チャンネルを持っているかだと思います。家具や内装材から始まって、端材を【森のかけら】関連商品に利用して、最終的には『ちょこっと端材』コーナーにお目見えします。さあ、今回の梱包はどれぐらいで売り切れるのでしょうか。

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あ・うんのウォールナット*

 

7月の末がご自身のお誕生日なので、それに間に合えば・・・というご要望の家具のご注文をいただいていたのですが、何とか無事に誕生日に間に合って納品させていただく事が出来ました。それがこのブラック・ウォールナットのダイニング・テーブルです。プロの仕事において、「納期を守る」というのは必要最低限のルールなのですが、多くの人間の手が関わり作られていく家造りや家具の場合、いろいろな大人の事情でどうしても納期が守れない事もあります。お約束したことをきちんと守りたいと思うのは、誰しも皆同じことでしょう。どうしても間に合わない旨のお断りを連絡するのは、とても心苦しく申し訳ないのですが、今回のように予定日よりも早く納品できるとこちらも嬉しく、先方にも喜んでいただき、プラスの連鎖が広がります。製作はいつものウッドワークかずとよ池内一豊君、毎回いい仕事をしてくれます!

このブラック・ウォールナット、100数種の木をを取り扱う弊社においても、圧倒的人気を誇る木です。一見すると物凄く癖の強い木に見えるかもしれませんが、実際に見るとさにあらず。『個性』という言葉が決して逃げ口上にならないほど、1枚1枚の杢のキャラクターが立っています。取り扱い樹種が多いので、興味があるのかもしれませんが、一般の方からよく、一番好きな木は何ですか?という質問を受けます。正直、どの木もそれぞれに好きですし、日々気分によって好みも変わってはきますので絶対的王者は決めにくいのですが、和材で『山桜』、洋材で『ブラック・ウォールナット』というのは揺るがず上位にいます。この組み合わせに共感する方って、きっとたくさんいると思いますが、どちらの木もそれぞれに『木に力と存在感』があり、単独でそれだけで眩しい輝きを放ちます。

独立性が強いというのも好きな要因かもしれません。また、いずれの木にも『色気』が漂います。甘え容赦のない、『大人の木』という部分も惹かれるところです。今回は天板の角もエッジを立てて、脚もテーパーに絞り込んで、貫もなしの4本脚ですっきりとシャープに仕上げました。杢の激しい材を選んで幅剥してもらったので、天板にも力が溢れ、受け止めるシャープな脚とのコントラストもうまく取れたのではないかと思います。エッジがついてなおこのボリューム感があるのは、38㎜の素材を削りだしているためです。

天板の剥ぎ合わせ方でかなりイメージも変わってきますが、そこは『あ・うんの呼吸』で、毎回こちらの狙い通り、いやそれ以上のベストの組み合わせに仕上げてくれます。長く付き合っているとお互いの癖や好みも分かってくるので、細かな図面がなくとも簡単な打ち合わせでほとんどブレがなくなってきました。今回も簡単な私が書いた漫画のようなデザインだけです(それしか書けないのですが・・・)。モノクロで撮っても絵になるほど存在感があります。

弊社は家具の専門店というわけではありませんので、デザインも使用も我流で、いろいろな木を使って家具を作れるのですが、自然に特定の木に人気が偏ってきます。このブラック・ウォールナットなどはその最たる物で、ご自分でこの材を指定して来られる方もたくさんいらっしゃいます。雑誌などでもかなり取り上げられていますが、無垢ではなく薄い突き板を張った物も多く、本物の無垢に触れられとその魅力から抜け出せなくなる方も多いようです。時間が経つほどに落ち着き、色合いが深まって光沢と艶が生まれる無垢の「生命力」は、実際に触れてみて、使ってみてこそ分かるものです。事務所の2階にも、ブラック・ウォールナットで作った家具が幾つかありますが、チョコレート色のグラデーションにもますます磨きがかかったように見えるのは贔屓目でしょうか?既に私がブラック・ウォールナットの虜になってしまっているから?

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伝導するブラック・ウォールナット・・・Ⅰ*

最近いろいろ行事がありましてアップするのが随分遅くなってしまったのですが、久し振りにゾクゾクっとする色気のあるテーブルに出会いました。その家具には、弊社のブラック・ウォールナットを使用していただきました。ブラック・ウオールナットの家具はこれまでにも結構作っていますが、これには唸りました。ブラック・ウォールナットと一口に言っても、産地によってその表情はさまざまです。色合いの濃い薄いはもとより、こげ茶系の黒味が強い物から、赤身の強い赤茶系のもの、木目の素直なものから節まみれのもの等々。あっさりと仕上げるには、少し淡い色合いで素直な木目のものがいいのですが、私は個人的には節があって周囲に縮み杢が現れ、黒白込みこみのダイナミックな表情のものが好きです。その激しい醍醐味こそがブラック・ウォールナットの魅力だと思うのです。

長さが3600㎜サイズのロングテーブルです。幅は当然剥ぎ合わせてありますが、長手方向は1枚。6枚で剥ぎ合わせていますが、なかなかこのサイズのテーブルにはお目にかかれません。このサイズのテーブルが入る住宅もそうはありませんから。このテーブルを製作したのは、お馴染みウッドワークかずとよの池内一豊君。製作するに際してまずは1/10模型を作って全体のイメージを確認。住宅の場合、模型を作るのはよくあるのですが、家具製作の際にここまで作るのは珍しいのではないでしょうか。

毎回毎回作っていたのでは大変なのですが、ここまで複雑な構造だと実際に模型でみないとイメージが掴みにくいということもあるのでしょう。この模型、贅沢にも本物のブラック・ウォールナットで出来ています。とにかくデザインが秀逸なので、模型でも格好良さが際立ちます。こういうシャープなデザインにはブラック・ウォールナットがはまります。分かってはいましたが改めてこういう物を見ると、その存在感の強さを思い知らされます。国産の木どころか、世界の木でもこの木に対抗出来る木はなかなか見当たりません。

その模型に基づいて出来上がったロングテーブルの脚部分がこちらです。荷重やデザインの問題からディティールは少し変わっていますが、模型のコンセプトがしっかり生かされています。その巨大な天板にばかり目が奪われますが、このロングテーブルの最大の見所は実は脚元にあります。その手の込んだ造りから、池内君の並々ならぬ熱意が伝わってきます。脚元の部材も含めて、全て総ブラック・ウォールナット造りです。さて、このローテーブルの正体は?・・・もったいつけて明日へと続きます。

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伝導するブラック・ウォールナット・・・Ⅱ*

昨日の続きですが、このロングテーブルには3600X150X32mmサイズで換算して、およそ20枚以上も使用するという贅沢な造りですが、ただ使用料が多いというだけでなく、木目や色合い、節の具合などのバランスを考えながら木取りするのですから、大変な作業でもあります。そんな中で私がもっとも好きな所が、センターを貫くこの「背骨」です!まるで恐竜の骨格のようなデザインに一目惚れ。池内君もそこがこのテーブルの肝ですと、言葉に力が入っていました。

その背骨が力強く支えるのがこちらの天板。あえて節も取り込み、色ムラや黒白込みの迫力のある表情がたまりません!片側に余裕で5人が座れます。両小口を合わせると実に一度に12人が座れる事の出来るビッグなものです。これが収まるスペースがあるというのも凄いのですが、自治はこちらは㈱田中工務店さんの事務所の打ち合わせスペースです。このたび、空いていたスペースを利用して、洗練された空間に変身しておりました!以前から構想されていて、依頼を受けた池内君が満を持しての製作となったのです。この二人の組み合わせならでこその逸品ですが、その工程でここが何mm長いの短いのと、表面は真剣な顔をしつつも内心は楽しくてたまらないお二人の様子が浮かんできます。これを作らせる方も、作る方も既にブラック・ウォールナットの魔力に取り込まれています!

そして、こちらにおわすのが、その㈱田中工務店田中社長。口元が笑っている風にも見えますが、メガネの奥の眼光が鋭く光っています。この笑顔が恐ろしい・・・。この田中社長もブラック・ウォールナットが大好きで、住宅に店舗によく使っていただいています。田中社長とは長い付き合いですが、仕事の厳しさと楽しさを教えていただき本当に感謝しております。かなり無茶なリクエスト(!)もいただきましたが、その分やり終えた時の達成感、充実感は、次なるステップへの推進力になり、今の自分の血となり肉となっています。

今の経済環境ですから、無垢よりも手間の掛からない新建材にう流れが主流ですが、田中社長はその流れに抗うが如く、無垢にこだわられます。無垢の内装材とか家具って、結局、作り手がどこまで木が好きかどうかという事で決まるんだと思います。自分の事務所の打ち合わせスペースにこれを作ってしまう田中社長、間違いなくブラック・ウォールナットの伝道師のおひとり。この木が好きな方って何がどうこうという理屈でなく直感的に「好き」なんだと思います。

一般の方向けのショップという訳ではありませんが、まだこの木の素晴らしさを体感した事のない方には是非このテーブルに座って、実際に触感や質感を体感してみていただきたいほど。節の魅力って言葉でいくら説明しても伝わりづらいと思うのですが、この背骨を持ったテーブルを見れば恐らく納得してもらえると思うのです。決して安い材料ではありませんが、その中からトロを抜き出して作ったという物ではありません。この木が好きでたまらない木のプロの男達が集まって、繊細に計算し尽くして材を余すところなく豪快に使った男の「料理」だと思います。コストや価格の事を切り離して、純粋に木の話が出来る工務店さん少なくなりました。私にとって田中社長はとてもありがたい存在です。本来、無垢の木の熱の伝導率は低いのですが、田中社長のブラック・ウォールナットへの熱い思いの伝導率はかなり高いので火傷しないようにご用心!

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ブラック・ウォールナットのエッセンス*

週末にワンズ㈱さんの0様邸完成現場見学会が開催されました。今回、私は時間の都合で現場でお客さんとお話しすることは出来ませんでしたが、台風の近づいていた週末にも関わらず多数のお客さんで賑わっていたようです。仕事の合間を縫って少しの時間でもどうしても伺っておきたかったのは、この場面を写真に収めておきたかったからです。今回フローリングに選んでいただいたのが、こちらのブラック・ウォールナットの豪快な120㎜幅広のラスティック・グレードです。

ラスティック」の説明は繰り返しになりますが、直訳するとラスティック〔RUSTIC〕=『田舎風とか田舎生活、荒削り、粗野な、不作法』といった意味です。そこから、転じて大きな節やカスリ、色ムラの激しい品質のモノを、素朴な雰囲気の品質という意味を込めて「ラスティック」と呼ぶようになりました。無節の物に比べると格段に癖はありますが、それだけ表情の豊かな個性体とも言えます。特に生地の色が濃茶色のブラック・ウォールナットの場合、かなり独特の世界観を創り出します。

ブラック・ウォールナットに限らず、節の周辺には「風や雪で枝が折れないように木のエッセンスが集約される」ので、板材にすると激しい縮みや面白い杢目、独特の木柄が現われる事があります。生地の色が濃い木の場合、塗装によってより濃厚な色合に変化します。これだけ個性が強いと、好き嫌いの好みが極端に分かれるところではありますが、そもそも万人に合うフローリングなど存在しないという信念を持っていますから、それも当然でしょう。好きな方にはたまらない質感だと思います。

床材に限らず、内装材・家具材・クラフト材としてもブラック・ウォールナットは大好きな木の1つです。木そのものに力があり、個性の塊、その豊穣とも言える木柄は実にアーティスティックです。以前は節の少ないグレードばかりを扱っていたのですが、一度ブラック・ウォールナットの節周辺の魅力を知ってしまうと、もう無節では物足りない・・・!木に存在感がある分、使い方や全体のデザインは余程考えないと全ての美味しい所を持っていかれるだけでなく、バランスを逸してしまいます。そこは、こういう商品の取り扱いの慣れているワンズさんの事ですから、これだけ個性の強い材を使いながらもうまく家全体のムードに調和させていただいております。こだわられるお施主さんは弊社にお連れいただき、木のお話をさせていただいて共通認識を持ったうえで材をセレクトしてもらっています。

ただ材さえ揃えばいいという事ではなく誰がそれをデザインし、誰がそれを施工するか。オモシロイ材をオモシロクさせようという人間が使ってこそ、オモシロさが滲み出てきます。このあたりの阿吽の呼吸あってこそ、オモシロイモノが本来のオモシロさを発揮してくれるのだと思います。フローリングだけでなく、家具やキッチン、建具、カーテン、小物のひとつひとつまで空間を構成するディティールの積み重ねが大切です。ただこのブラック・ウォールナットのラスティック・グレードは供給が安定しているわけではないので、入荷した少量を貯め置きしていかなければならないのですが、『夢のかけら』同様に、欲するものが欲しい時にうまくモノが揃わないというのも世の常です。だからこそ余計に欲しくなったりもするのでしょうが。まあ、とりあえず少しずつ少しずつストックしていこうと思います。今回もありがたいご縁をいただき感謝です!

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ブラック・ウォールナット・オリジナル*

ゴールデンウイークの最後の1日は、地元も総出役で草刈&ドブ掃除のお勤めをさせていただきました。傾斜のきつい用水池での作業で、慣れぬ筋肉を使ったのと体力不足で疲労困憊。世間では皆さん家族でテーマパークやら観光地にお出掛けのようですが、我が家では子どもたちの部活の練習や試合が立て込んでおり、連日その送り迎え。その合間は書斎にこもって溜まっていた原稿書きに没頭。お陰で随分はかどりました。

お陰で過去に撮り溜めしておいた膨大なデータの整理が進みました。例の出雲の寄り道でかなりアップが遅れたものもありますが、改めて内容を掘り下げる時間となりました。それでこちらも二ヶ月も前の話になるので恐縮なのですが、ワンズ㈱さんの素敵な新築がまた一軒完成しました。リビングの床には、質感のある120㎜幅のブラック・ウォールナットのフローリングを採用していただき、スタイリッシュな仕上がりとなりました。

かつてはあれほど敷居が高いと思われていたブラック・ウォールナットですが、随分身近になったように思います。このフローリングに限らず、家具やカウンター、床の間の地板、棚板や枠材、造作材、などにも利用していただく機会が増えました。しかも綺麗で色ムラの少ない無節よりも、右の写真のような「色ムラ有り、節有り」の方が圧倒的に支持を得ています。10数年前であればいくらPRしようとも受け入れていただく土壌はありませんでしたが、この10年で無垢材を取り巻く環境は大きく様変わりしました。

そのブラック・ウォールナットの端材を使った商品が、積層のフリーボードです。数十種の無垢材を混在させた『モザイクボード』(旧ミックス・カラーボード)は、以前にもご紹介させていただきましたが、こちらはブラック・ウォールナットの単一樹種のオリジナル商品です。家具や造作材などの製作過程で発生した端材を集めて作り上げたもので、現在は現場の必要サイズに応じての完全オーダーメイドです。そのため相応の納期は必要になりますが、従来のタモやパインのそれとは一線を画す存在感があります。

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ソリッド・ウォールナット*

さて、昨日の『ホンジュラス・ローズ』だけでなく、他にもいろいろな無垢材を使っていただいています。こちらは手洗い場のカウンターに使っていただいた『クスノキ』の耳付き板。豪快な根杢部分をそのまま使っていただきました。クスノキはクスノキ科の広葉樹で、広島の厳島神社の赤い大鳥居に使われていることでも分かるように、水に対しても強い対抗性を持つ木ですが、あまり過信してはいけません。水周りに使う場合については、それなりの対応(例えばウレタン塗装を施すとか)をしておかねばなりません。
左側の笠木にはワンズさんの現場ではお馴染みの茶褐色のグラデーションが美しい『ブラック・ウォールナット』。その足元にチラリと写り込んでいるのは、これもワンズさんではフローリングの定番『チャイニーズ・メープル』のラスティック・グレード。節、入り皮、カスリ、筋、条、色ムラ、など豊かな表情をガッツリと取り入れた等級の商品です。メープルそのものは、バスケットボールのコートやボーリング場のフロアーに使われるほど堅牢で滑らかな素材ですが、濃淡の激しいラスティック・メープルには更にナチュラル感が加味されます。緑褐色かかった部位も含まれるので、全体的に暗い雰囲気になるのではと心配される方もいらっしゃいますが、左の写真のようなたっぷりと採光が確保された部屋で使っていただければ何も問題ありません。子供部屋などには欠かせないアイテム。
さらに1階の床には、『ブラック・ウォールナット』の120mm幅のソリッド・フローリング。長さ1820mmを4~5枚のピースでジョイントした一般的なユニフィンガージョイント(UNI・FJ)のフローリングに対して、1820mmが無垢1枚になっているモノを『ソリッド』とか『OPC(ワンピース)』と呼びます。多少白身が含まれていますが、1枚モノのブラック・ウォールナットは存在感抜群!茶褐色の色合いから硬い印象を持たれるかもしれませんが、見た目とは裏腹にその触感は優しくデリケート。
以前から問い合わせが多く、人気のあったブラック・ウォールナットのフローリングですが、決して安いモノではありません。まだ無垢材に覚醒する前は、合板の安価なフローリングも扱ったりしていたのですが、その頃は1坪が1万円以上もするようなフローリングなんて夢のまた夢。坪単価が5~6000円程度の安価な複合フローリングを販売していたため、当然そういう高級志向のお客さんもいませんでしたし、ただただ単価競争の中で『安いもの』を追いかける日々。無垢材を提案するなんて知識も情報も余裕もありませんでした。結局、自分のお客さんは自分が作るという事。どういう人をお客さんに、ファンにするのか、どういう店にするのか、結局自分の意志次第。自分がどういう道を歩みたいのか明確な信念もなかった当時の事を思うと、このソリッドのブラック・ウォールナットを見る目にも何やら感慨深い思いが込み上げてくるのです。

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B/W フラミンゴ・テーブルセット*

弊社での木製家具の取り扱いは、基本的にはオーダーメイドとしております。先にドンドン商品を作って展示販売される方もいらっしゃいますし、特に耳の変化が極端な材の場合など仕上げてみないと完成後の姿が想像しづらいという事もあって、事前に作って完成品を販売するというのもありだとは思うのですが、それよりもなりよりそんなに沢山先に作ってしまうと展示するスペースが無いという物理的問題があるため、極力出来上がったものは新鮮なうちにお届けするをモットーとしています。
しかし中には、やんごとなきおとなの事情で先に作ってしまわねばならない場合もあり、そういう時はなるべく早くお届け先を探さねばならなくなります。先日、善家君に依頼して製作してもらったブラック・ウォールナットの一本脚の二人掛け用テーブル。弊社にご注文いただく家具の多くが4人~6人掛けの指定で、今まで2人掛けのテーブルというのはほとんど作った事がありませんでした。そこでちょっと時間もあったことなので、木製の1本脚テーブルを作ってみようかという事に。
これぐらいのサイズであれば何とか展示も出来ると考えて善家君に作ってもらったのですが、ご来店いただくお客さんに見ていただくのだけでは限りがあると思い、中古ではありますが椅子2脚付きの3点セットで販売をしようと思いますのでネットにもアップさせていただきました。テーブルは一辺が850mmのスクエア。脚も受け材もすべてブラック・ウォールナットで揃えています。椅子は、中古と言っても数年間展示に使っていたものですので目立った外傷はありません。
テーブル単体でもいいのですが、どうせ椅子もいるだろうと思ってセットにしました。完成直後のテーブルと、しばらく展示して多少日焼けしている椅子ですので、同じブラック・ウォールナットでも濃淡差はありますが、細かな事は気にしない心の寛容な方いらしゃいましたら是非ご検討下さい。考えてみたらこの前に調子に乗ってモザイクテーブルも2台ほど作ったばかりでしたので、やはり基本通り『完成品は鮮度いいうちに売る!』を実践しなければならなかった事に気がついたのでした!
※ BWフラミンゴテーブル 850×850×H700㎜+椅子2脚の3点セット【SOLD OUT】 コースター、カップは付いておりません

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MISSOURI WALNUT*

本日はブラック・ウォールナットが入荷。弊社ではこういう風に、材の耳を断って板材に挽いたものを『平板』と呼んでいますが、これらの平板からテーブルやカウンターなどの家具が作られます。かつてはこういう平板のバンドルを梱包買いしてくださる工務店もあったのですが、最近では弊社で梱包をバラして1枚単位で販売するのが主流です。梱包買いしても短期間で使い切るだけの仕事(現場)を持っていたり、梱包で買う事で価格を抑えるスケールメリットや、自分で節や杢目に合わせて好きなように木取り出来る事に魅力感じる人も多かったのです。
大きな材木屋であれば、こういう梱包を右左で商材されるので大きな金額が動くのでしょうが、バラしてその中にどんな凄い奴が隠れているのか確認も身せずに売ってしまうなんてモッタイナイと感じてしまう私には縁遠い話。そのため、これぐらいのボリュームでも最後の一枚まで売り切ってしまうには結構な時間を費やしてしまう事になります。入荷した直後は、満杯状態の倉庫のどこにこれを立て掛けるのですかという冷たい視線を浴びつつ、減ったら減ったで途端に不安になる。
そんな性分なので、こういう平板の梱包が入荷するたびに心が小さく動揺するのです。しかしひとたびこの鉄帯を断ち切って梱包をバラし始めればそんな不安は吹っ飛びます(いつ売れるのかというお金の不安は払拭など出来ませんが、一時忘却)。こういう風に材を梱包する場合は、なるべく外側に良い材を持ってこようとするのは洋の東西を問わず。綺麗に見せたい、高く売りたいと考えるのは人間の本性。そんな事は百も承知なので、中身をバラして全体を見るまではぬか喜び厳禁。
鉄帯を斬った途端にバーンと反り上がるようなモノが入っている事もあったりしますし、これも入れるか~というコンディションのモノもあったりしますが、中には驚くほど美しい杢持つものや、貴重な無節の幅広板も出てきたりして、まあそのたびに一喜一憂するのが密かな愉しみなのです。今回は、このブラック・ウォールナットで幾つかの家具を製作するのと、複数の階段材一式等のご注文が重なっていて、今月中にはこの梱包をほとんど使い切ってしまう予定です。
どれもこげ茶ぐらいにしか思われないブラック・ウォールナットにも産地によって風合いに違いが見られます。私は現地(北アメリカ)の工場に行った事がないので、現地の森林事情や工場の事については仕入している商社や問屋の営業マンから訊くしかないのですが、最近はこちらのミズーリ産の色目の濃い黒褐色のモノに絞って仕入しております。赤身の強い茶褐色モノよりこちらが私の好み。嗚呼、一度現地で森の中に屹立するブラック・ウォールナットの姿を見てみたい・・・

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愛媛で蝶が羽ばたくと・・・バタフライ・ウォールナット*

弊社の場合、いつもの善家雅智君を筆頭に周辺の家具職人さんたち加工してもらい、無垢の家具を作っているため、手持ちの材のサイズに合わせた木取りが可能で、かなり短な材であっても結構有効に使えます。だからといって、なんでもかんでも余った端材を継ぎ接ぎにして使っているというわけではありません。例えばこちらの片側折り畳み式のバタフライテーブル。蝶番(ちょうつがい)まで木で作り上げた善家君渾身の一作ですが、天板は蝶番を挟んで木目が通っています。
通常は折り畳まれている天板が跳ね上げられて、ようやく木目が通っていることに気が付くわけですが(蝶番が挟んであるので、指摘されないと木目が通っているのか気づかない人も多数)、こういう部分は材の木取りがソツになろうとも手を抜かず木目を通します。だからといって誰が褒めてくれるわけでもないのですが、そこは無垢家具の勝手なこだわり。以前に両側が折り畳めるタイプを作って、それがご縁でまたご注文をいただいたので、1台は在庫として制作。
片方は折り畳みではなく、引き出しとなっています。通常は、長さ1275㎜ですが、天板を広げると1675㎜になります。普段は2人掛け用のテーブルとしてお使いいただき、お客さんがいらした時に広げてお使いいただければと考えています。大家族が減って、狭小住宅も増えていることから、昔のような大きな1枚板のテーブルはなかなか置けない状況になってきていますので、今後はこういう可動式のテーブルが増えてきそうです。ちなみに幅は795㎜、高さは700㎜。
チョコレート色のグラデーションが人気の北米産のブラック・ウォールナットを使って作っておりますが、数年前よりジワジワト値段が上がって来て現在高止まりしたままで、もともと安くはない材だったのですが、ますます高値の花となりつつあります。そういう木だからこそ、うまく木取りして使わねばコスト高になるので、そこも職人さんの腕の見せどころ!節だってその木の個性ですから、うまく使ってやれば表情のひとつになり味わいも出てくるというものです
このテーブルとは何の関係もないのですが、『バタフライ』というと、『バタフライエフェクト』という言葉がすぐに思い浮かぶのですが(ブラジルで蝶が羽ばたくと、テキサスで嵐が起こるという気象学の概念で、ほんの些細な出来事が徐々に大きな現象の引き金に繋がっていくという考え方。日本にも『風が吹けば桶屋が儲かる』という似たような考え方がある)、こんな些細なブログの記事がいずれとんでもない大きな注文に繋がって・・・バタフライ・ウォールナット

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木には枝があり節がある*

昨日に続いて四国桂設計さんの事務所改装の話の続きです。事務所の床にお使いいただいたのは、ブラック・ウォールナットのラスティック・グレード。ラスティック・グレードとは、ご覧の通り、白太や大きな節、入皮、ピンホール等を豪快に取り入れた野趣溢れる品質のものです。好みの問題はあるでしょうが、黒から茶、こげ茶、赤茶褐色など複雑で濃厚なチョコレート色のグラデーションがこの木の最大の魅力だと感じている私としては、このグレードの床材が一番お気に入りです。

根がひねくれていて、変わったモノ好きなこともあって、節や白太も無いような万人受けするA級品質はどうしても肌が合いません。一般受けせずに注目も浴びず取り扱いにも苦労するような日陰者の材などのほうが、心がときめいてしまうのです。ブラック・ウォールナットのラスティックグレードもかつてはそんな日陰者の木で(少なくとも私の周辺では)、ベテランの大工さん連中からは、「そんな節まみれの白太混じりのB品が使えるか~!」と散々酷評されてきました。

まだ施主との距離が遠く、大工さんに販売することが主だった時代には、この木の魅力を末端(施主)まで届ける術が無く悶々とした日々を過ごしていました。それから月日は流れ、施主さんや設計士さんたちがリアル木材を見るために、偏屈材木屋の倉庫に足しげく通っていただけるようになりました。それでようやくラスティック・グレードのフローリング(ブラック・ウォールナットに限らず)にも光が当たるようになったのですが、そこから先はラスティックばかりが売れる・・・

枝を折られまいと木の生命力が雨風と格闘した名残が節の周りに刻み込まれて味わいのある節を生み出す話や、まだ原木になる前に北アメリカの大地で屹立していた頃の樹木の話、衝撃に強うことから銃床などに利用されたため南北戦争などで大量に伐採された話など、大工さんにはどうでもいいような話かもしれませんが、その材の上でこれからの人生を過ごす当事者の皆さんにとっては、その木の歴史や伝承、由来を知ることはこちら以上に興味があることなのだと確信した次第。

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BW ナチュラルフローリング

私の大好物の木のひとつ、ブラックウォールナット(BW)。その魅力のひとつに挙げられるのがチョコレート色の濃密なグラデーション。黒、こげ茶、茶褐色、赤茶など何色もの色が重層的に絡みあって生まれる独特の色合いは、この木の最大の特徴であり、決して他の木には真似ができないところです。世に「〇〇・ウォールナット」の名が冠せられる木は多いものの、いくら名前を真似ようとも似て非なるどころか、本家の足元にも決定的な違い。その個性的な魅力を引き立てるのに一役買っているのが白い辺材とのコントラスト。大抵の木の場合、辺材部分は白いのは当然ではありますが、ブラック・ウォールナットは心材部分が茶~黒なので、その差がより鮮明で、その白さゆえに一層濃厚なグラデーションが際立つのです。

そんな辺材と心材の差がくっきりしたコントラストの強いブラック・ウォールナットのフローリングをご紹介。普通のフローリングは白太(辺材)が混じっていたとしても、その割合は1、2割程度といったところですが、こちらは4~5割ぐらいは白太が混じっていて、普段よく知るブラック・ウォールナットとはまったく別の木に見えてしまうぐらい白太率の多い商品となっています。これは『ナチュラルグレード』といって、敢えてこういうグレーディングにしているわけです。

だからといってフローリングに加工された辺材部分が極端に軟らかくて弱いとか脆いというわけではありません。強度的には心材の黒味部分と変わりませんし、植物性オイル塗装後に#600の耐水ペーパーで磨き仕上げしているので滑らかさも遜色ありません。通常のブラック・ウォールナットのフローリングを見慣れた方には少し違和感を覚える商品かもしれませんが、ある意味で「個性的」な一品です。ただし、既にこのグレードの商品は数年前に廃盤となってしまいました。

なので、現在弊社の倉庫にある70ケース前後の限定品となってしまいます。昔ならば、癖が強すぎるかもしれないので商業店舗などがお薦めですなんて弱気な事を言っていましたが、昨今の若い施主さんはこれぐらいの癖の強さも個性の一つとして十分に受け入れ可能だと思いますので、ちょっと他人とは違ったものをお探しの方にお薦めさせていただきます。なお実物を確かめたいという方は、オイル塗装した現品を弊社でご覧いただけます。営業時間を確認のうえご来店下さい。

なお、塗装中の写真は倉庫の水銀灯の下で撮影しているため、実物よりもやや色味が変わって見えます。外部の自然光で撮影したのが右の写真です。このブログの1枚目の写真(縦)も現場の照明のもとで撮影しており、光の当たり具合によって色合いが淡茶だったり、濃いこげ茶に見えることがあります。もともとのフローリングも材の部位によって様々な色調のものが混在していますので、写真はイメージとしてお考えください。白身の混入バランスについては、1枚目の施工写真よりはかなり多いです。



ブラック・ウォールナット ナチュラルグレード 1820X130X15mm 1束=7枚(1.53㎡) 植物性オイル塗装品 限定70ケース

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その厚み8/4インチ*

昨日、ブラック・ウォールナット(B/W)ナチュラル・グレードのフローリングをご紹介しましたが、本日はそのB/Wで作らせていただいたダイニングテーブルについて。通常、北米産の平板の弊社の在庫としては、厚みが6/4インチ(およそ38㎜)のモノです。これはテーブルなどの家具をはじめ、カウンターや枠などの造作材の用途が、仕上がり厚み30㎜前後を希望される事が多いためです。地域によっては仕上がり25㎜とか、35㎜などバラつきはありますが。

ただし、中にはもっと肉厚な仕上がりをご希望される場合もあるので、人気の高い一部の材についてはもっと厚い8/4インチ(およそ51㎜)というサイズの板も在庫しています。8/4インチサイズで在庫してあるのは、B/Wやブラックチェリー、ホワイトアッシュ、ハードメープルなどです。その中でもB/Wについては、貴重な耳付き材です。サイズによっては両耳付きのものもありますが、基本は片耳で幅は300㎜前後。そのまま1枚で耳付きのカウンターとして使うことも。

その8/4インチのB/Wの板を4枚で幅剥ぎにして、耳を断ってストレートカットで仕上げさせていただいたのがこちらのダイニングテーブル。いつもお世話になっているイシマルデザイン岸絹子さんのデザインによる鉄との融合です。最近、足元がシャープな仕上がりを希望されるケースも多くなってきていて、鉄脚を使う機会が随分と増えました。昔は木以外の素材を使うことに少なからず抵抗があったものの、最近すっと受け入れられるのは異業種との交流も増えたせいかしら?

足元がすっきりしているので、いつもよりは肉厚なB/Wの厚みが生きています。鉄脚を使ったテーブルだと、この正面からの構図がとっても好きです。どっしりした天板の厚みと小口方向からのため非常に華奢に見える脚のバランスが絶妙。木でこういうデザインを望まれる方も多いのですが、木ではいくら堅い木を使おうともこのバランスは困難。この厚みで、強度を保持できて、かつ天板の反り止めにもなって、この線の細さを表現できるのは鉄ならでは。この話、明日も続きます。

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ウォールナットの癖が強い奴!*

森のかけら】の240種についてそれぞれの木の解説をしている『今日のかけら』の項を整理していますが、やりかけてほったらかしてしまっていた『ブラック・ウォールナット』の事を思い出して、そろそろまとめておこうかと思ったら、膨大な量が溜まっていて日曜日一日がかりでどうにか整理しました。ブラック・ウォールナットについて書いたブログを編集しているだけなのですが、2年ぐらい前にブログのフォーマットを変更したものですから、それらを修正し直しながらの作業なので思いのほか時間がかかるのです。

それでブラック・ウォールナットを併修し直して気づいたのですが、2008年の12月からこのブログを書き始めて、恐らくブログでの登場回数がもっとも多かったのは、ブラック・ウォールナットだと思っていました。なので編集にもかなり時間を要するだろうと覚悟していたのですが、実際に編纂してみると意外に少ない?!というか、ブログにその名前が登場する回数こそ圧倒的に多いのは多いのですが、ブラック・ウォールナットそのものにスポットを当てた回のブログは思いのほか少なかったのです、特に最近は。

その理由に思い当たる部分はあって、最初の頃こそブラック・ウォールナットのテーブルや家具、フローリングなどについて紹介する機会は多かったのですが、使われる対象もかぶる事が多いという事、それまでに通信紙『適材適所』でも何度も取り上げて語り尽くしてきたという事、存在そのものがメジャーなのでさまざまなメディアで取り上げられる事も多く、へそ曲がりゆえの反発(!)など。なので、当然もうご存知ですよねという感じで名前だけサラッと登場してもらうという事が多かったのですが、いやこれはいかん!

わざわざ解説などしなくても普通に売れているという甘えもあったのですが、メインで取り上げたブログを探したら、なんとこの2年間はひとつもありませんでした!これはいかんということで、改めて触れておきたいのですが、といっても今更ありきたりのブラック・ウォールナットを持ち出しても仕方ないので、本日ご紹介するのあまり見る事の少ない荒くれもののブラック・ウォールナット。この木の最大の魅力は節にあるというのが私の見解。節の周辺に現れる野趣溢れた杢や色調、光沢、力強さに惹かれてしまうのです

なので素直で上品な無節よりも節や入皮、白太が豪快に入り混じった野性味溢れた癖の強いナチュラル・グレーディングのフローリングが大好きなのです!写真をご覧になればお分かりの通り、好き嫌いがはっきり分かれると思うし、万人受けする商品でもありませんが、もうこれで廃盤になりますっていう時に「残り全部もらう~!」とアテもないのにゴッソリ買ってしまいました。120㎜幅と90㎜幅の2種類あって、90幅の方がワイルド感が強くて、私的にはこちらの方が好み。まだもう少し残ってますので曲者お待ちしてます!!

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大看板BW、15年目の旅立ち*

今年もいろいろな木材をいろいろなところに販売させていただきましたが、その中にはさまざまな出会いと別れ別れがありました。材木屋としてやはり「店の看板」にするというような材も少しは持っておきたいところ。とはうえ弊社のような零細材木屋だと、あまりに看板ばかり持っていても、その重さで倒れてしまいますので、2、3枚ぐらいがちょうどいい。そのうちの1枚が長さ3900、幅900、厚み58㎜の北米産ブラック・ウォールナットの両耳付きの一枚板です。永らく番を張っていただきました。

大き節や割れがあるものの、そのフォルムの美しさと黒~濃茶が溶け合ったグラデーションに惹かれてひと目惚れ。今から15年ほど前に、売り先の当てもないのに衝動で買ってしまった一枚です。それが生材ならばまだ割安だったんでしょうが、その段階で既に乾燥している乾燥材で、その頃の私としてはかなり思い切った値段で仕入れました。今ならまず手を出さないだろうという値段です。他の材もいろいろ一緒に抱き合わせて買ったので感覚も麻痺していたのかもしれません。

ほどなくしてその木がうちにやって来ました。大きな市場で見た時よりもそれは大きく、すぐに弊社の小さな倉庫の牢名主的な存在になりました。どうでっか、こんなモノを持ってますよ~!と、たっぷりと見せびらかしに使い、店の顔として活躍してくれました。看板としては有能ながら、サイズが大きすぎて実際に使える現場もなく、私も「もうこのまま売れなくてもいい」ぐらいの気持ちでいました。そんなうちの大看板に今年お声がかかったのです!慌てて埃を払って久しぶりの顔見せ興業!

当初はそこまで大きなサイズを考えていらっしゃらなかったのですが、見ていただいて気に入っていただき、遂に大看板が私の手から離れる事に!正直まさか売れるとは思っていなかったので、驚きもあったのですが、ありがたいご縁。15年も手元にあると愛着も湧いて、名残惜しくもありますが、木は使っていただいてこそ価値があります。ウッドワークかずとよさんで仕上げていただき、積水ハウスさんの現場に納品。ビシッと化粧されて仕上がった姿を見ると感慨深いものが胸にこみあげてきます。明日に続く・・・

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自分史上最高のBW一枚板*

あまりの大きさに私のカメラではうまく収まり切らず、その迫力や醍醐味が十分に伝わり切らないのが残念ですが、お施主さんはご満足いただけました。当初の思惑よりもかなり大きなテーブルになったものの、実際に収めてみればちょうどいい感じになって、バランス的にもこのブラック・ウォールナットの板を待ち構えていたかのような空間となりました。仕上がりの感じも私なりのイメージはしていましたが、木目の味わいという、フォルムの美しさといい自分史上最高の一枚!

売れたとなったらなったで、もう二度とあんあ木に出会えないのではなかろうか、果たして勢いで売ってしまったが本当によかったんだろうかと数日は自問自答しましたが(なんという未練たらしさ!)、こうして綺麗に仕上がって収まるべきところに収まった様子を見るとそんな思いが恥ずかしくなります。自分で言うのもなんですが(自分が言わないと誰も言ってくれないので)、材木屋らしい仕事をさせていただきました。よくぞこういうご縁に巡り合ったものだと感謝感激です。

売れたから言うものの、さすがにこれだけのサイズでこの値段だとこのあたりでは難しいので、関東とかに持って行こうかしらと少し悩んでいました。この材からすれば妥当(というか自分ではかなりお安く値付けしていたつもり)な値段を付けていましたが、大きなサイズとなるととにかく安価なモノを求める傾向が強かったので、この木の価値を分かっていただける人との巡り合わせっていつか来るのだろうかと不安にはなっていました。その時点で15年ご縁がなかったので・・・

しかし、縁というのは不思議なモノです。実はその時、積水ハウスさんからお声がかかった時に、希望されていたのはもっと小さなサイズだったので、このブラック・ウォールナットは含まれていませんでした。しかもその時に倉庫のかなり奥にあったので、引っ張り出すのも大変だったのですが、何かに突き動かされるように私はフォークリフトのハンドルを握り、気がつけば目の前にこの板が!そしてご来店され、本来の希望サイズでもなかったこの板に目が留まり、結果こういう事になりました。しかも・・・

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自分史上最も優雅なホームバー*


しかもこれだけではなくて、そのお宅では他にもふんだんに木材を使っていただきました。こちらはホームバーのカウンターに使っていただいた耳付きのブラック・ウォールナット。どこかのお店ではありません、個人のお宅です。むしろ今時店舗でもこういう無垢の木をカウンターに使ってくれるところが少ないくらいです。恰好いい~!私の人生の設計図でも50歳ぐらいになれば、自宅にこんな空間を作って日曜日ともなれば優雅にウィスキーグラスを傾けながら・・・どこかで計画が狂ってしまいました。

さきほどのブラック・ウォールナットの一枚板のテーブルの奥にこのバーカウンターがあるので、感覚的にこの板があまり大きく感じないかもしれませんが、これとて幅は500㎜サイズ。両耳付きをうまく留め加工してくれたのは、ウッドワークかずとさんの技術。やっぱりこういう空間にはウォールナットがよく似合います。こうやって美しく仕上がった状態を見ると、倉庫の中で埃をかぶって、来るべきその時をじっと耐えて待ち構えていたんだろうと申し訳ない気持ちになります。

更にこのウォールナットの奥にはもう一段低いカウンターがあって、それはブビンガの一枚板。いつもは端材の端材で勝負している、みみっちさが売りの材木屋ですが、年に何度かはこういう豪奢な木の使い方をしていただける現場に巡り合わせていただけます。しかしこういうご縁が成立するのも、そういう材を持ち合わせていたからこそ。長期間在庫している間は、いつ売れるのだろうと不安になる事ばかりですが、本当にいいモノって待っていれば木が人を呼んできてくれる。

そうとでも信じていなければ材木屋なんてやってられません(笑)。こういう出会いがあるからこそ、しかるべき時のためにすぐに使える在庫を持っておこうと思うのです(懲りない・・・)。楽しみは先の方が大きくなると誰かが言いましたが、また来るべきの出会いを信じて、大きなサイズの耳付きの一枚板を仕入れに行こうと思います。次はさすがに15年後なんて悠長な事は言ってられませんが。止めてしまわない限り、心あらばきっといつかどこかで巡り合いはあるはず、と己に今日も言い聞かす

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森の履歴書を読み込む*

耳付きの一枚板の魅了は言わずもがなですが、すべての条件に対して応えられるわけではありません。自然素材ゆえ、あと少し長さが足りない、あと数センチ幅があれば、もう少しだけ厚みがあれば、節がちょっと、耳の形が、出来れば国産材で・・・等々いろいろな制約があればあるほど、ぴったりの一枚板を見つけるのは難しくなります。そういう場合は、一枚板でなくて、狭めの板を剥ぎ合わせて対応させていただきます。そうすることでご希望のサイズのテーブルやカウンターを作ることが可能になります。

沢山ある板の中から木柄を見ながら組み合わせていくので、節が無いほうがよければ無節の板で揃えますし、逆に節のある方がいいと言われる場合には、全体のバランスを考えながら節を混ぜた組み合わせにします。先日作らせていただいたのは、全長が3,600㎜、幅が1,150㎜の大きなキッチンのカウンターテーブル。個人の住宅としては、今までご注文を受けた中でも最大サイズ!凹んだ部分にキッチンが収まるので、効率のいい幅剥ぎで作らせていただく事になりました。樹種はブラック・ウォールナット

㈱コラボハウスさんのお施主さんからのご注文でしたが、コラボハウスさんはこういう施主さんからの要望に対しては鷹揚で、よく無垢材を取り入れていただきます。お若い施主さんでしたが、ご夫婦ともに木が大好きで、しかも節や割れ、虫穴などに趣きを見出していただく方で、木に彩りと表情を与えてくれる節も大歓迎との事。最近はそういう嗜好の方が随分と増えて来て、そういう部分で勝負している弊社としてはありがたい限りなのです。という事で、ガッツリ節を取り入れた木取りをさせていただきました。

好みにもよりますが、私はブラック・ウォールナットの場合は、節とその周辺にこそこの木の魅力が凝縮されていると思っています節の部分には枝があって、その枝が折れないように木が風や雪と戦った跡がそこに刻み込まれていて、そこに木の生きざまが味わいとなって現われてくるのです。あるいは傷がついてそこをどうにか治癒させようともがいた入皮や割れ、虫穴など、それらはすべてその木が森で生きてきた証(あかし)であり、彼らにとっての矜持だと思っています。それこそが生きた『森の履歴書』。


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