★今日のかけら・#212 【ホワイトアッシュ】 White ash モクセイ科・広葉樹・北米産
フローリングを何にしたらいいのか迷い道にはまってしまった方に、その指針として示させていただく樹種も時とともに移ろい変わってきます。例えば幅ひとつを取ってみても、通常サイズは90㎜幅ですが、最小は57㎜から75㎜の小幅から、120㎜、135㎜、150㎜、180㎜の幅広まで多岐にわたります。少し前まで幅の狭いものが好まれる時期もありましたが、今は幅広が好まれる傾向にあります。設計士さんの意図や部屋のイメージなどにもよりますが、幅広を求められる方に確実に増えてます。
その幅広のフローリングとして最近ご提案しているのが、こちらの北米産のホワイト・アッシュの120㎜幅。長さが1820㎜で幅は120㎜、厚み15㎜のユニFJ(フィンガージョイント)モノ、つまり縦方向に4、5枚のピースを繋いだものです。多様な表情を持つホワイト・アッシュにとって、その表情を楽しむためにはこれぐらいの幅が適サイズでもあります。
ホワイトアッシュはフローリングとしてよりも窓枠や額縁など洋風仕上げの内装材としての認知度が高いかもしれません。ヨーロッパでは、ホワイトオーク、ブラック・ウォールナット、マホガニーと並んで『ヨーロッパ四大家具材』の一角を占めている大変重要な木でもあります。同じモクセイ科のタモの代用品という扱いを受ける事もありますが、今でも幅の広い長尺材が安定して取れる木として昔から根強い人気があります。野球のバットに使われたりするほど粘りと強度もあります。
木目のくっきりとして質感もタモと似た不雰囲気です。無塗装の状態では文字通り白肌㊧ですが、浸透性のある植物性オイルを塗布すると、少し灰褐色㊨になります。それでもタモに比べるとやや明るめといった印象です。時間の経過とともにやや黄身色を帯びてきますが、劇的に色が変化するわけではありません。ナチュラルな質感を好まれる方には非常に適した材です。オイルを塗布してもタモほど毛羽立ちは感じられません。
いろいろな幅、厚みが豊富な木なので、フローリングだけではなく、巾木や枠材、額縁などの造作材としても同じ樹種揃えてコーディネートしやすいというのも嬉しいところです。なにより森林資源の持続可能性の高い木なので、量も豊富で供給も安定しており、幅広の割りに値段がリーズナブル。フローリングだけでなく、端材を利用した商品づくり(右は、「円い森」)にも欠かせない樹種で、今後かなり力をいくつもりです。こういう重要な木を今更取り上げるのは遅きに帰した感ありありですが、これもご縁。ホワイトアッシュ、以後お見知りおきを。