#069【センダン】改訂版*
日本のかけら | 2012/08/21 PM2:55
【センダン】
栴檀
センダン科センダン属・広葉樹・宮崎産
学名:Melia azedarach
別名:サツマケヤキ(薩摩欅)、オウチ(楝・樗)
ミズナガシワ、アミノキ
英語名:china berrytree (ジャパニーズ・べリーツリー)
気乾比重:0.55~0.65
歌人も愛でた栴檀は芳しい?①*
1. 今日のかけら | 2012/08/19 AM10:28
★今日のかけら・#069【センダン/栴檀】センダン科センダン属・広葉樹・宮崎産
先日の『チカミハウス』の完成慰労会が開催されたのが、が開催されたのが、道後石手の老舗料理旅館『栴檀』さんでしたので、木材の『センダン』について触れてみたいと思います。センダンと聞いてまず思い浮かべるのは、「栴檀は双葉より芳しい」の諺ではないでしょうか。こちらの店名もその諺に因んでいるそうで、日本の伝統と文化と心を5つの「き」とし、季・器・気・木・生の5つのコンセプトを意味し円でそれらを提供するサービスを表わされていらっしゃいます。その心意気にたがわぬしつらえ、お料理に大満足でした。 |
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歌人も愛でた栴檀は芳しい?②*
1. 今日のかけら | 2012/08/20 PM10:58
枕草子では、古名『あふち』に『逢ふ』をかけて歌にも謳われ、その姿に浪漫を重ねた事でしょうが、中世になってそのイメージはガラリと変わります。それは、かつてこの木が獄門台に使われていたからだとされています。センダンは木目の雰囲気や色合いから『ケヤキ』の代用として使われる事があり、九州地方の一部では『薩摩欅(サツマゲヤキ)』とも呼ばれています。しかし見た目とは裏腹にセンダンそのものは、乾燥すれば軽くなり加工性もよく決して重硬な材ではありません。 |
そんな木がなぜ獄門台に使われたのでしょうか。かの生物学者・南方熊楠によると、そもそも『ホンモノの栴檀』にあたるビャクダンが、西洋ではその香気と相まって邪鬼を除ける霊力があるとされ霊木として崇められてきました。その後、この木とともに俗信も一緒に伝わり、悪気を祓うという意味で罪人の梟首(きょうしゅ/さらし首)に使われてきた歴史もあるのです。木が密接に生活に結びついてきたという事は、そういう場面でも木材が利用されてきたという事実にも目を背けてはいけません。 |
また材は、前述したようにケヤキに似ている事から着色してケヤキの代用として大黒柱などに使われてきました。比較的大きな材が取れることから、弊社でも尺角のセンダンの大黒柱を取り揃えています。ケヤキで同じサイズであればとても持てないほどの重さでしょうが、センダンであればその半分以下の感覚。成長も早く大柄なも木目になりやすいのですが、時に綺麗な玉杢が現れたりします。ちなみに『チカミハウス』で使われた階段の材『カランタス』も、同じセンダン科の仲間というのも不思議なご縁。 |
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変わり者の連鎖*
3. 木の仕事| 2013/03/19 PM11:19
この時期の季節の木ではありませんが、先日加工させていただいたのが『センダン』のカウンター。個人的な好みとしては、花の咲く初夏よりも、鈴なりに黄色く熟した実をつける秋のセンダンの方が好きです。市内の石手川の河川敷や公園などでその姿はよく見かけますが、結構大きなサイズのセンダンもあります。大き目な傘状の緑陰を作るため、実際よりも大きな印象を受けます。弊社では以前に九州の宮崎県からまとめてセンダンを購入していて、板材や大黒柱サイズの在庫があります。 |
『センダン』という本名よりも、少し着色して『ケヤキ』の代用品として使われたり、あくまでも本家の亜流であるという事を示す『薩摩欅(サツマケヤキ)』などの別名で呼ばれる事が多く、もっともっと素顔を知ってもらいたい木のひとつです。その異名どおり、ケヤキによく似た木目ですが、持ってみればその差は歴然。ちょっと大袈裟に言えば、ケヤキの半分ぐらいの重さでしょうか。大きなものになると高さが20mを越すようなものもありますが、成長が早く年輪はかなり大味です。 |
ひと皮先の顔・センダンとクスノキ*
3. 木の仕事 | 2013/06/12 PM10:25
以前に『適材適所』で端に丸味を帯びた変形の『栴檀(センダン)』の耳付きの板の事をご紹介しましたが、先日竣工したばかりの新築のお宅に座卓を納品に来させていただきました。玄関を開けると土間は玉砂利の洗い出しになっていてまるで店舗のようなお洒落な雰囲気です。そこに栴檀の踏み板もいい感じに取り付けしていただいています。ちょっと個性が強すぎて部屋全体のバランスを逸してしまうのではと若干の危惧もありましたが、すっかり杞憂に終わったようです。 |
センダンは樹勢の良好な木で、結構大きめな材が揃いやすいのですが、そのサイズの割りに軽いので材木屋としては取り扱い易い木のひとつでもあります。尺5寸角(約450㎜)の大黒柱ともなるとケヤキに関わらず相当な重さですが、それがセンダンになると数分の一の軽さ。いまひとつネームバリューに欠けるセンダンですがもっと知っていただきたい木のひとつであいます。そのセンダンの踏み板と反対側の座敷に置く座卓を収めさせていただきました。それがこちらの『樟(クスノキ)』の耳付1枚板の座卓。 |
足材もすべてクスノキです。加工はもちろん善家雅智君(ZEN FURNITURE)。新しい畳の香りがする座敷にでんと鎮座ましまして貫禄の姿。先にご家族で弊社にご来店いただき、『木選び』をしていただきましたが、その際にお子さんたちに「あのトトロも棲んでいる木だよ」と説明もさせていただきました。その一点だけでなく、サイズもちょうどよかったのと肉厚の存在感、クスノキの質感なども気に入っていただき、このクスノキを選んでいただきました。 |
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センダンのたわわな黄色い果実*
2. 木のはなし・森のはなし | 2014/01/06 PM11:07
年明けから忙しくさせていただいておりありがたい限りです。本日、木材の配達で北条から玉川方面をトラックで走っていたのですが、ちらちらとみぞれが舞ったりと肌寒い一日でした。いつもは軽トラが私の専用車なのですが、長い荷物や大きな材を運ぶ時は3t車で出動です。軽トラと3トン車だと、わずかではありますが運転席から見える景色も変わってきます。特に川の傍を走っていたりすると、軽トラではかすかにしか見えない川の底の方まで見えたりして、あんまり水が澄んでいたので路肩に車を止めて撮影。ついでに川沿いに立ち並ぶ『センダン』の木にも目が向きます。 |
センダン、使うひとも好き好き*
2. 木のはなし・森のはなし | 2014/03/28 PM9:58
少し前に子供たちの通う小学校のグラウンドで、息子が入っていたスポーツ少年団のサッカー部の最後の試合(親子サッカーなど)があったのですが、その時グラウンドの隅に植えられているセンダン(栴檀)の木々に小鳥たちが集まってその実を啄んでいました。一応私もサッカーをする予定でしたので運動用のメガネをかけていた(老眼が進行しメガネを使い分けているので)のと、木が結構高かったことから細かなところ観察出来ませんでしたが小鳥が次々と来襲! |
普段はあまり気に留めないセンダンの木ですが、この季節になると黄色い数珠のような実がたわわについているのでその姿がよく目につきます。しかもその多くがかなりの大きさ!逞しい生命力を感じますが、それは材として考えると相当年輪幅が広いという事を意味します。つまり材として挽いた場合は、かなり粗目の表情が現れるという事です。まあ、校庭の木を見て、伐採してみたらなどとは思いませんが、ついつい職業病で・・・。そのセンダンですが、弊社の『遭難倉庫』にも幾つか材があります |
少し前、床の間の造作などでケヤキの引き合いが盛んだった頃は、どうしてもケヤキでは高額になってしまう代用として、センダンにも声が掛かっていましたが、今やそのケヤキ自身からしてお声がかかりにくい状況ですから、ケヤキの影武者的な評価しかされなかった方々からすればセンダンなど論外という事なのかもしれません。弊社にあるセンダンの多くは粗目のものなのですが、稀に目が詰まっていて杢目に妙味があるセンダンに出会うと嬉しいものです。 |
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栴檀の看板削り磨き*
2. 木のはなし・森のはなし, 3. 木の仕事, 木のものづくり+α | 2017/03/03 PM11:49
先日、『センダン(栴檀)』の板の賃加工で磨き直しさせていただきました。看板に使われていたらしいのですが、結構反っていて、反りはそのままでいいので、表面だけ綺麗に削って欲しいということでしたので、それなら私でもどうにか出来るので削らせていただきました。電動ガンナで表面を削ってから、サンダーで徐々に目を細かくさせながら磨き上げて仕上げました。ほぼ仕上がりに近付いた頃に、加工前の姿を撮っておかなかったことに気が付いたのですが後の祭り。ビフォー&アフターが無いのが残念ですが、レベル(水平)を出さなくてもいいということであれば、どうにか自分で鉋削りとサンダーで磨くぐらいはできるので、徐々に仕上がっていく工程が見えるのは楽しいところです。 |
センダンは、センダン科センダン属の広葉樹です。弊社にもいくつか在庫がありますが、ケヤキの代用品としてよく利用されます。そうはいっても、センダンとして樹種の指定が入ることは滅多になくて、数か月に一度ぐらいセンダンの板に触ることがあるかどうかという頻度です。私はなんでも運命づけて物事を考えてしまうタチなのですが、このセンダンの板の加工の注文が入った頃に、県外の方から松山で美味しいお店を紹介して欲しいという依頼があり、思いついたのが道後石手の『栴檀』さんという高級老舗。 |
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輪切り栴檀*
3. 木の仕事, 木のものづくり+α | 2020/01/12 PM4:03
材木屋として恥ずかしい話なんですが、日頃は製材所で板や角に挽かれた材を扱っているので、そもそも丸太を目にする機会が少なくて(言い訳)立木の見分けがまったく出来なません。その反省から今頃になってようやく森に入る時には「葉っぱで見分けるポケット図鑑」を持ち歩くようにしています。せめて身近にある樹木が何の木なのかぐらいは分りたいと思うのですが、答え合わせをしてくれる人が傍にいないので手探り状態。そんな私ですらすぐに分るのが、この季節になると沢山の黄金色の実が鈴なりにつく『センダン(栴檀)』。さすがにこれは分る! |
この辺りでは、ケヤキの代用品として使われることもあるセンダンですが、見た目と違って実はかなり軽軟な木です。ケヤキのような杢をしているので、その感覚で力を入れて削ったり磨いたりする、拍子抜けするぐらい抵抗が無いので、ザクッと削り過ぎたり磨き過ぎたりしてしまいます。ケヤキの代用品と言いましたが、最近ではその本家となるケヤキそのものが住宅現場では使われなくなってしまい、代用品はすっかり出る幕が無くなってしまっています。それでも愛媛の公園や庭にはセンダンが植えられていて、次々に集まって来ます。 |
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輪切り丸太のウェルカムツリー*
3. 木の仕事, 木のものあれこれ, 木のものづくり+α, 森の出口 | 2020/01/13 PM11:42
輪切りにした『センダン(栴檀)』ですが、私の経験上割れにくい木だとは思っていますが、それでも輪切りにしてそのまま放置しておくと、芯から放射状に割れが走ってきます。それを抑えるために製材直後に芯部分の裏表にボンドを塗ります。ポイントはボンドを塗り過ぎないこと。そして位置を揃えて桟を入れて積み上げます。上から重しを乗せてほどほど風通しのいい日陰で保管します。自己流なのでこれがベストな輪切りの天乾方法なのか分りませんが、とりあえず軽軟な木についてはこの方法でうまくいってます。 |
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