森のかけら | 大五木材

今日のかけら039

クスノキ

クスノキ科クスノキ属・針葉樹・宮崎産

学名:Cinnamomum camphora

別名:クス

 英語名:Camphor tree(カンファ―ツリー)

Camphorwood、Camphor laurel

気乾比重:0.52

 

日本三景「飽きぬ宮島」・・・三景*

★今日のかけら・♯039【クスノキ/樟】クスノキ科クスノキ属・広葉樹・宮崎産

 

厳島神社のシンボルともいえるこの大鳥居は、国の重要文化財に指定さえています。6時間周期の干潮によって、干潮の際には入り江と地続きになって、この大鳥居まで歩いて行く事が出来るのですが、今回は潮が満ち初めた時間帯で、海上にそびえるお姿を拝ませていただきました。是非次回は干潮の時に訪れてみたいものです。それにしても、そのお姿はまさに威風堂々!周囲の観光ツアーのガイドさんの説明に耳をこらしてお話を伺うと、大鳥居の高さは約16mで、横幅約23m、平安時代に建てられ、今までに8回建て直され、今あるのが約130年前(明治時代)に建った物だということでした。足元は埋め込んでいるのではなく、自重で立っており、屋根には7トンもの石がおもしとして入れられているとの事。干潮だったら、その足元の様子も伺えたのにと思うと残念ですが、この海上にそびえる荘厳な姿も素晴らしいです!
遠くから眺めると分かりにくいかも知れませんが、この大鳥居の柱は天然の丸太がそのまま使われています。ですので根元が太く、丈夫に向かってテーパーになっています。アップで観てみるとかなり異様なお姿でもあります。コンクリートで造られたような人工造の鳥居とは一線を画します。その材のねじれたような木のリアルな質感が朱色のお化粧の上からもはっきりと見て取れ、何だか二本の足をぐいと海中の地面に踏ん張って仁王立ちする生き物のようにすら思えてくるのです。
宮崎駿さんのアニメのように、足をズボンと抜いて7トンのおもしを乗せたまま歩き出すのではなかろうかなどと妄想してしまいます。観れば観るほど霊験あらたかなお姿には、どうしても「生き物」を感じずにはいられません。その素材が、森の精霊の宿る木『樟(くすのき』を使っている事が無関係ではないと思います。聞くところによるとこの大鳥居の樟は、樹齢400年の巨木を使ったという事ですが、約130年前に建てられたという事ですから、その命は実に530有余年も受け継がれている事になります。樟にとってはまさに修験者の荒行の如き心境でありましょうか。本殿の床板にもそれは巨大な樟の1枚板が数多く使われていました。 至る所に名誉の傷跡も見受けられ、補修の姿も痛々しいのですが、まあなんと立派な樟でしょうか!しゃがみ込んで、このアップ画像ばかりを撮っていたので、周囲の方にはさぞ変な人のように映ったかもしれませんが、誰もこの凄さには目を向けてもくれないのは寂しいところです。
さて樟は、「」としても表わされますが、これは九州など南方に多い事に由来しているとされます。成長が早く、日本で最大の樟は、鹿児島県蒲生町の「蒲生の大楠」で、推定樹齢は1500年、幹の周囲で24m、地際でも幹周は約34mもあります。国の特別天然記念物にも指定されています。以前にこの近くを通過して、「蒲生の大楠」の看板まで見たのに立ち寄れなかった事が返す返すも残年です・・・。巨樹の調査によると、幹周のトップ10のうち実に7本が樟という事ですから、いかにこの木が大きく成長する木であるかという事が分かると思います。
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耐えるクスノキの尊厳

となりのトトロ』も棲む木ですから大きくなくてはなりません。樟(クスノキ)は天然の樟脳を含んでいて、防虫効果も高く、腐りにくい事から造船や彫刻などにも使われています。もし大鳥居が桧や杉であれば、樹齢400年といえどもすぐに朽ち果ててしまっていて事でしょう。また、英語ではカンファーツリーといいますが、カンファーとはカンフル剤の事で、強い刺激臭を持つ樟の枝や葉は、古来より聖なるものとして神様への捧げ物、供物などに使われてきたそうです。神社の境内などに樟が多いのもそのためです。腐朽に強い巨木で信仰の対象となる聖なる木であるということから、樟が大鳥居の材に選ばれたのでしょう。

 

宝物殿には、昭和26年に大補修された際に取り替えられた樟の旧根元材が展示されていました。これがどういう状況で水中に踏ん張ったいたのかも想像がつかないほど、壮絶な海との格闘の跡が至る所に刻み込まれています。なんだか大鳥居の足裏の角質をバリバリと剥ぎ取ったみたいなどといっては不謹慎でしょうか。近づいてよく観ると、フナ虫でしょうか無数の虫達の穿孔されています。象に群がる蟻の如き、寡黙にジッと耐える姿には尊厳すら感じられるです。
これだけの厳しい環境ですから、また数10年先には建て替えられる事になるのでしょうが、現在これだけの樟の巨木が手に入るものなのでしょうか。あの清水寺400年後の立替のために、今から植林を始めているという話を伺った事があります。400年大切に育てて、その木を使うというのです。壮大なプロジェクトです!もうそうなると建築用材などという軽々しい物ではなく、神の宿り場を人が何世代も受け継ぎながらお守りするというような感覚なんでしょうね。ここでも樟の植林が始められているようです。
これも気の長い話でありますが、結局今も昔も本物を得ようとすれば時間を掛けるしかないのです。人間などの力ではどうする事もできない、その紡がれていく時間というものが文化とか伝統を形成していくのでしょう。これから恒常化していくとみられる異常気象の中、巨大な台風や集中豪雨などの水害、降り注ぐ強い紫外線等、大鳥居も神殿も平清盛の時代には想像もしなかったであろう壮絶な環境を耐えてゆかなければなりません。しかもそれが技術の粋を集めた近代建築ではなく、ひたすらに時を刻んだ無垢の樟に託されているわけです。自然との闘いでもっとも順応し、耐え抜くのはやっぱり自然のものなんだろうと教えられます。人間の思いなどとは関係なく、樟はただ己の運命に従うばかり。その無言の佇まいこそが、すでに尊い教えのように感じられるのです

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素顔のままで・・・クスノキ

在庫の耳付板の中には、乾燥による割れを嫌って表面をボンドでガチガチに塗っているものがあります。生材を挽いて、長期間かけてじっくりと天然乾燥させる場合、杢目のいいところほど割れやすく、いくら上手く乾燥させても、大きな割れが入ってしまっては商品価値が激減します。そのため、ボンドを塗りたくって固めてしまうのです。これだと割れは防げるものの、乾燥の妨げになります。材中の水分が多いと、ボンドと反応してカビが発生する事もあるので厄介です
出来れば何も塗って無い方がいいのですが、製材者(供給側)よすれば、目の前で綺麗な杢がバリバリに割れてしまうのは耐え難い悲しみです。綺麗にまとまった杢目ほど、皮肉にも「クラックの洗礼」を受けてしまいますので、経済的なダメージも大きいのです。だからといって、ボンドを塗りまくるやり方は賛同できません。自分の手の内にある間に割れなければ、後は野となれ山となれ的な印象を受けてしまうからです。せめて浸透性の割れ止め剤ならば随分違うのですが経済的理由で採用されません
最終的に削る取られる材面の保護ですからなるべく安価に上げたいというのは心情でしょう。中間業者としては、それぞれの立場や気持ちも分かりますので複雑な心境です。塗ってあるといっても、ほとんどは木表+両小口ですので、塗ってあるから全然乾かないというわけではありません。在庫にある「ボンド塗りの耳付板」も長期間置いてあるとそれなりに乾燥は進行します。更により乾燥させるためと、ボンドを剥いだ生地の姿を拝んでおきたい気持ちもあって、時間の ある時にボンドを剥いでおります。
本日は、兵庫県産の樟(クスノキ)のボンドを剥ぎました。ボンドが剥ぎ取られるに従って、クスノキの樟脳の香りがツンと鼻を衝(つ)きます。目の粗い若木のクスノキで杢目のご覧の通り、かなりユルユルですが、クスノキの場合、床材にするような銘木を除けば、緩い杢目でもそれなりの妙味が出るものです。どこか憎めないような愛嬌も感じられ、何だか愛おしくさえ思えてしまうのはクスノキの特権でしょうか。傷や腐りもありますが、これとて工夫次第で生かせれます。捨てるなんてモッタイナイ、モッタイナイ!
綺麗にボンドを剥ぐと、ベルトサンダーで磨いてタグをつけて完成。倉庫の片隅に埃を被って転がっていた材が、きちんとした『商品』に生まれ変わりました!これで、商談中に仕上がり具合を見たいと言われても、すぐにオイルで試し塗りが出来ます。クスノキは耳の変化も面白く、その触感も滑らかで水にもよく耐える事から、手洗いのカウンターなどによくご提案させていただいております。とりあえずは、私が本来の姿をたっぷりと堪能させていただきます。今週頑張ってガンガン剥いでおりますので、また幾つかご紹介させていただきます!

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ひと皮先の顔・センダンとクスノキ*

以前に『適材適所』で端に丸味を帯びた変形の『栴檀(センダン』の耳付きの板の事をご紹介しましたが、先日竣工したばかりの新築のお宅に座卓を納品に来させていただきました。玄関を開けると土間は玉砂利の洗い出しになっていてまるで店舗のようなお洒落な雰囲気です。そこに栴檀の踏み板もいい感じに取り付けしていただいています。ちょっと個性が強すぎて部屋全体のバランスを逸してしまうのではと若干の危惧もありましたが、すっかり杞憂に終わったようです。
塗装によって一層赤身を帯びたセンダンは、木目が際立ちケヤキのような雰囲気にも見えます。この画像を見てもらえれば、センダンがケヤキの代用品と使われるというのも納得していただけるでしょう。実際はケヤキに比べるとかなり軟らかく、軽量ですが質感はまさにケヤキそのもの。九州南部地方では、『薩摩欅(サツマゲヤキ』とも呼ばれるのも押して知るべし。ケヤキでこれだけの大きさになると重量もかなりのものですし、材の素性も余程と良いものでなければ反りやねじれのリスクがあります。
センダンは樹勢の良好な木で、結構大きめな材が揃いやすいのですが、そのサイズの割りに軽いので材木屋としては取り扱い易い木のひとつでもあります。尺5寸角(約450㎜)の大黒柱ともなるとケヤキに関わらず相当な重さですが、それがセンダンになると数分の一の軽さ。いまひとつネームバリューに欠けるセンダンですがもっと知っていただきたい木のひとつであいます。そのセンダンの踏み板と反対側の座敷に置く座卓を収めさせていただきました。それがこちらの『樟(クスノキ』の耳付1枚板の座卓。
足材もすべてクスノキです。加工はもちろん善家雅智君(ZEN FURNITURE。新しい畳の香りがする座敷にでんと鎮座ましまして貫禄の姿。先にご家族で弊社にご来店いただき、『木選び』をしていただきましたが、その際にお子さんたちに「あのトトロも棲んでいる木だよ」と説明もさせていただきました。その一点だけでなく、サイズもちょうどよかったのと肉厚の存在感、クスノキの質感なども気に入っていただき、このクスノキを選んでいただきました。
お伺いした当日は真夏のように暑い日でしたが、施主さん自ら玉のような汗をかきながら外溝作業のお手伝いをされていました。その手を止めて一緒に納品までお手伝いしていただきました。画像の施主さん側にクスノキ独特の縮み杢が見て取れると思います。この反対側にも同じような杢が現れ、見る角度によって表情が変わってきます。荒材の状態で決めてもらい、この日ひと皮削った「顔」を初めて見ていただきましたが、来るべきその日まで想像力を膨らませてどんなかお待っていただくというのも無垢の楽しみでもありますね!

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6月の誕生木 巨木一族・クスノキ*

さまざまなおとなの事情でブログの更新が遅れておりますが、準備が整い次第順次更新していきます。ようやく6月ですが、6月の誕生木は『クスノキ』です。世界文化遺産である広島県の厳島神社の大鳥居に使われている事でも有名ですが、優れた耐水性を持ち、虫害や腐食に強い性質を持っています。その性質を生かして、弊社でも水回りのカウンターや造作にもよくクスノキを提案させていただいております。そこから、梅雨の季節の6月の誕生木とさせていただきました。
クスノキは、かの『となりのトトロ』の住処としても知られていて、木の事を語るうえで子供たちには鉄板ネタですが、その巨体を受け入れるにふさわしい大木に成長する木です。また変化のある樹形がそのまま造形として使いやすい木(絵になりやすい形とでもいいましょうか)なので、凹凸やカーブといった変化も、あればあるほど人気が高いという不思議な魅力のある木です。あまりの人気ぶりに一時期、弊社の倉庫からもクスノキがすっかり無くなってしまった事があったほど
それでというわけでもないのですが、たまたま適サイズのクスノキの丸太が市場に出ましたので、原木で購入。その丸太を先日ようやく製材しました。巨木一族・クスノキの中では、チビと呼ばれるサイズでしょうが、これぐらいのサイズが弊社としては扱いやすく汎用性もあります。どれぐらいのサイズの丸太を選ぶかは、それぞれの材木屋の個性。丸太をどう挽いて、何用で売るのかという1点に尽きます。何が何でも大きければいい、売れる、という単純なものではありません。
これは挽きあがったうちの一部ですが、思った以上にいい材が取れて大満足!これから桟積して長い長い乾燥の期間に入ります。次にこのクスノキが晴れ舞台でお披露目できるのは恐らく数年後・・・考えれば気の長い商売でございます。しかし最近、こうして製材時に発生した端材の生材を利用して作れる新商品が生まれましたので、大トロは寝かして赤身の部分から先に料理する事も出来る様になりました。乾燥材は乾燥材なりに、生材は生材なりに、無駄はございません
これは挽きあがったうちの一部ですが、思った以上にいい材が取れて大満足!これから桟積して長い長い乾燥の期間に入ります。次にこのクスノキが晴れ舞台でお披露目できるのは恐らく数年後・・・考えれば気の長い商売でございます。しかし最近、こうして製材時に発生した端材の生材を利用して作れる新商品が生まれましたので、大トロは寝かして赤身の部分から先に料理する事も出来る様になりました。乾燥材は乾燥材なりに、生材は生材なりに、無駄はございません

※『誕生木・12の樹の物語』、6月の誕生木『樟(くすのき)』の木言葉『忍耐』。

 

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幻の巨大商社・鈴木商店と樟脳①*

昨日のブログで「クスノキ」の事について触れましたが、本日はそのクスノキから採れる樟脳についての話。かつて日本には、三井、三菱、住友といった大財閥を向こうに回し、ひと時とはいえ天下の三井物産をも凌駕した個人商店がありました。それがかの神戸の鈴木商店です。私は生来のひねくれ者、天邪鬼な性格で、こういう小が大に勝つという話は大好物で、学生の頃から「幻のの鈴木商店」には異常なほど興味を持ち、関係する文献や小説などを読み漁っていました。

それは決して経営戦略とかマーケティングというものに興味があったというわけではなく(大学時代の専攻はマーケティングだったにも関わらず・・・)、大なる者にひと泡吹かせた時代の寵児たちの破天荒な生き様、人間そのものに興味があったのです。小鼠のような存在であったはずの彼らが、百獣の王に挑もうとした動意は何だったのか?多くの人間がひとつの時代に同じ目的に向かって突き進んでいく心理やエネルギーという見えざる力になぜだか無性に惹かれていくのです。
さて、その鈴木商店は明治7年頃に先代・鈴木岩次郎によって神戸に設立され、洋糖貿易などによって業績を伸ばしたのですが、明治二十九年に岩次郎が死去。その後、女主人よねと大番頭にして「日本一の煙突男」と呼ばれた金子直吉(上)の体制で出直すことになるのですが、「お家さん」と呼び慕われ、金子直吉との二人三脚での鈴木商店を日本一の年商を誇る巨大商社へと導いた鈴木よねの生涯は、天海祐希主演で先日ドラマ化され放送されました。
個人的には「お家さん」よりも「煙突男」の方に興味があるので、ドラマそのものは物足りなさが残りました。ちなみに「煙突男」というのは、「生産こそ最も尊い経済活動」という信念のもとに工場建設に邁進したことに由来しています。直吉が大正時代に築いた工場は、鉄鋼、造船、石炭、化学、繊維から食品に至るまで80社を超え、超多角工業集団を形成し、日本の近代化を支える礎となったのです。その鈴木商店が飛躍的な発展を遂げる契機となったのが、クスノキなのです。続く・・・

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幻の巨大商社・鈴木商店と樟脳②*

鈴木商店の大番頭・金子直吉の八面六臂の活躍で、当時世界市場の9割を占めていた台湾産樟脳の独占売買権を獲得し、飛躍的に発展。明治末期には直営工場6、海外代理店3、関連会社20ほどを傘下に収める一大企業集団に急成長したのです。その頃に、神戸製鋼所や日本商業(のちの日商岩井)なども設立させています。学生時代は鈴木商店の波乱万丈の歴史にこそ興味はあったものの、その成長を支えた「樟脳」についての知識は皆無で興味もありませんでした。
それが不思議なもので材木屋をするようになって、改めて鈴木商店の数奇な社歴を見た時にその命運を握った「樟脳」という存在が、鈴木商店とその人々がより一層興味の対象として輝きを放つようになったのです。材料としても優れた耐湿性を持ち厳島神社の大鳥居はじめさまざまな場面で利用されているクスノキですが、樟脳の採れる素材としても古くから日本人に関わりがありました。織田信長が活躍した16世紀の半ばには、既に樟脳の輸出が行われていました。
江戸時代に入ると輸出も本格的になり、明治時代の台湾統制時代には台湾の地に多くの樟脳製造工場が作られ、そこから世界中に台湾は輸出され、一時期日本は世界一の樟脳生産国だったこともあるのです。国は樟脳の官営専売化を決定。官営化は樟脳業者にとって死活問題でしたが、金子直吉は官営推進派として立ち回り、その引き換えに台湾樟脳油の独占販売権を獲得。その後樟脳油はセルロイドなどの原料として、驚異的な需要の高まりを受け暴騰していくのです。
鈴木商店発展の一時代を支えた樟脳でしたが、昭和37年に専売制も廃止され、その後高度経済成長期になるとそれまで主流であった「水蒸気蒸留法」(クスノキのチップを水蒸気で蒸して、樟脳成分を含んだ水蒸気を集めてから冷やし出来た結晶を脱水・脱油を繰り返し乾燥させて作る天然樟脳)から、化学合成して作る製法に移行し、天然樟脳は急激に衰えていくのです。そして彗星のような輝きを放った巨大商社・鈴木商店もまた昭和2年に倒産し、その姿を消すのです。
鈴木商店の倒産は、樟脳市場の変化という小さなものではありませんでした。第一次世界大戦後の反動で株価が下落、世界的な軍縮傾向による不況、船舶運賃の下落などにより、最盛期には「スエズ運河を通る船の一割は鈴木の船」とまで謳われた鈴木商店の攻めの経営が時代と噛み合わなくなるのです。クスノキとの関わりが深かったこともあり、鈴木商店という個人商店が天下を取ったひとときのきらめき、ざわめきは今も私の心を震わせて止むことはないのです。

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クスノキの妙味*

一時クスノキの在庫を切らしていた時があったのですが、その後大きなクスノキの原木とご縁があって、現在板に挽いて乾燥中です。使えるのはまだまだ先の事になるのですが、とりあえず自社の倉庫に「在る」というだけで安心感があります。貧すれば鈍すというわけでもありませんが、主たる材が無いと、その端材すら見つけられないことがあって、一時クスノキで困ったことがあったものの、今はその原木の挽き落とし材がたっぷりあって、端材には事欠かない状況です。
そうなったら不思議とそういう材への注文が舞い込んでくるもの。クスノキのテーブルや机、小物などの注文が重なっています。その中の1つがこちらのクスノキの耳付きの1枚板を使ったテレビボードです。決して大きなサイズではないものの、昨今のテレビ事情を考えればこれぐらいのサイズで充分なのです。ひと昔前に比べて、テレビボードのサイズが小さくなったことを実感します。棚には同じクスノキ科のササフラスを使って、香りが特徴的な木でまとめさせていただきました。
無垢の家具については、「どうしてもこの木を使いたい」という要望は滅多になくて、ご希望のサイズや好みを訊いてこちらから材の提案をさせていただくのですが、小さなお子さんがいたりする場合は、トトロの木・クスノキは鉄板の人気を誇ります。またクスノキは特別に特徴のある杢がないような場合でも、削って仕上げてオイルを塗ってみると、杢目の妙味の楽しめる木です。むしろ節やふた股になっている部分にこそクスノキの木の面白さが詰まっているように思えるのです。
今回も小さなお子さんがいらして、トトロの木を喜んで受け入れていただきました。独特の香りもやがて気にならなくなりますが、暑い夏の日に材木屋の倉庫の中で探した思い出は永遠に残っていただきたいと思うのです。お子さんはテレビボードよりも、プレゼントに差し上げた『クスノキのこだま』の方に興味があったようですが、やがて大きくなった時に、そのテレビボードに巡り合った時の物語を語っていただきたいものです。木の家具はいろいろな思いをつないでいくツール。

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森での履歴書・クスノキ篇*

原木から製材しますと当然の事ながら、狙った主材の他に『挽き落とし』というものが発生します。その呼び名はそれぞれでしょうが、要するに意図した形ではないものが出来てしまいます。買ってきた原木の端々までが『お金』ですから、そういう挽き落とし部分も、極力使えるものは使えるサイズに挽くのですが、最終的に「これはさすがに・・・」という部分については、チップなどになります。大型工場になると日々製材して発生する『落ち材』も半端ではありません。
そういう光景を見ていると、いつも「嗚呼、モッタイナイナア・・・」と思うのですが、そんな感傷など吹き飛ばすほど昨今の大型量産工場の生産スピードは高速で、工場の中を木が飛んでいくようなハイテク工場においては、いちいち立ち止まって気に思いを馳せている暇などないのです。それに対して、うちのような超零細企業はのんびりとしたもので、賃挽きしてもらった落ち材まで集めて持ち帰り、何に使うか楽しみながら悩みレベルです。もはや似た分類の中の別業界です。
さて、そんな挽き落としの楽しみのひとつがこちら。今回挽いてもらったクスノキは、相当に根元が張っていた原木でしたので、根元の辺りでこういう形の挽き落としが出てきます。普通ならばチップか焼却炉行きとされる落ち材なのでしょうが、私には『お宝』にしか見えません。特にクスノキの節あり材は、風雨に揺れる枝が折れるまい、折れるまいと苦難に耐えた証しが、縮み杢となって現われるのですが、そこが私にすればその木の『森での履歴書』のように思えて愛おしいのです。
削ってオイルを塗ってやれば思った通り、縮み杢が一層鮮明になり、風雨に耐えたクスノキの人(樹)生が浮かび上がってくるようですただしこのままで乾かせると、節から放射状に大きな割れが発生しますので、何回も浸透性の割れ止め剤を塗って、割れないように気を配りながら乾かせていきます。いずれしっかり乾けば、雰囲気のある店舗の看板などにご提案させていただくこととなります。早く売れて欲しいように、いつまでも手元で眺めていたいような逡巡の秋・・・

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クスノキと福山雅治とアオスジアゲハ*

先日、石鎚山の成就社のに扁額(へんがく)クスノキが使われているという話をアップしましたが、本日はそのクスノキについての話。少し前に、一緒に『誕生木・12の樹の物語』を作り上げた兵庫県の明石住建・Labo渡辺社長はじめスタッフの皆さんが弊社に来られました。明石住建さんは木育活動にも非常にご熱心で、子育てハウスから始まった独自の新しいブランド『IKU-REAR(イクリア)』を立ち上げられ、毎週のようにアイデア溢れる企画で木育イベントを開催されていらっしゃいます。

 

その中で木のクイズなども行われていて、木が大好きな渡辺社長が質問を考えたりされるのですが、ある時の木の名前を当てるクイズのヒントキーワードが、確か『安芸の宮島』、『福山雅治』、『となりのトトロ』などで、こどもたちが『トトロ』ですぐに反応したという風に伺いました(間違いあったらスミマセン)。その時、咄嗟に『福山雅治』というキーワードが樹種名と結びつきませんでした。昔若かった頃材木屋で働いていた事は知っていたので、大きく木繋がり?かと思っていたら・・・
この問題の答えは『クスノキ』なのですが、福山雅治の歌の中に『クスノキ』という曲があって、それがヒントキーワードでした。これは聴いておかねばと思っていてすっかり失念していたのですが、石鎚山に行く道中の車内で家内の持っているCDがかかっていて、それがたまたま福山雅治のアルバムで、曲名が分からずに聴いていたある曲が『クスノキ』という歌で、実は以前から耳にしていたのですが、成就社のクスノキの扁額を見た時に、突然それらの事象が私の中でひとつにつながりました。
すると不思議なもので、その周辺でクスノキというキーワードが次々舞い込んで来ます。何気に観ていたあるテレビ番組で、昆虫の不思議な生態を特集していたのですが、アオスジアゲハという蝶のメスの足先には感覚毛という細かな毛が生えていて、それが触れるだけで幼虫を産んでいい葉かどうか判断する(その後幼虫が餌にしても害がないかも含めて)という優れた能力があって、その能力を用いてクスノキ科の葉にしか卵を産み付けないのだとか。世の中の不思議、命の不思議、限りなし!
ちなみに福山雅治の曲『クスノキ』で謳われているのは、長崎県長崎市の山王神社の境内に実在するもので、1945年8月9日に原爆投下による爆風や熱線で、爆心地から南東800mにあったこの社殿は崩壊し、大クスも幹に大きな亀裂が出来、枝葉も吹き飛び木肌も焼かれて枯死寸前まで弱ったものの、およそ2年後に新芽を出して奇跡の復活を果たし、平和の象徴として長崎市の天然記念物にも指定されています。最近内部の空洞化がもとで倒壊の危機に瀕しているらしく心配されているそうです。

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あの夏の言葉は樟になりました/第19回松山俳句甲子園③*

いきさつを語っていたらついつい前口上が長くなってしまいましたので本日は早速本題に。前年の痛い失敗を踏襲しないところがオトナ(!)ということで、今年は早い時期からプロジェクトが始動しまして、先日SENSEはじめ愛媛大学俳句研究会の皆さん方と真面目に作戦会議を開催。まだ未成年の学生もいる中、いいオトナだけアルコールで舌の滑りをよくしながら、熱く議論が交わされ、漠然としていてモノがきちんと形になりまして、そうなってしまえばそこからは早いもの!
こうして松山俳句甲子園の俳句ストラップが生まれたのです。台木には愛媛県産のクスノキを使用。ちなみにクスノキ木言葉は『忍耐。鼻孔をくすぐるその香りも楽しんでいただきたいので、今回はあえて無塗装にすることにしました。歴代の最優秀句18句とその作者名の学校名とレーザーで彫り込みました。木という素材の限られたスペースの中に緻密な文字が彫れるのもレーザーならでは。今回初めて過去の優秀句を見ましたが、さすがは全国から勝ち上がったつわものたちの言葉。
五七五の言葉の中に熱い思いが凝縮されています。そんな高校生たちの魂のこもった句に対して、商品開発に携わったSENSEと愛媛大学俳句研究会、大五木材のそれぞれの思いをしたため、ストラップのビニール袋の中に封入させていただきました。ちなみにこれらすべてのストラップにはカーボンオフセットが付加してありますので、1個ご購入いただくたびに愛媛県の二酸化炭素100g相当の削減にも貢献できる仕組みにもなっています。販売価格は学生向けに1個¥300(内税)の特価。
更に高校球児が土を持ち帰るのと逆パターンで、参加していただいた学生さんたちに愛媛に言葉を残して帰っていただこうとの思いで考えた『言葉の森』。片面に今年の大会のロゴだけが入ったストラップをご購入いただき、大会に臨んだ思いを書いて、この木の枝にかけてもらおうというもの。今は寂しい木に沢山の言葉の花を咲かせてもらいたい。こちらも1個¥300(内税)ですが、その一部は大会運営に寄付させていただく予定です。
この商品の販売は大会当日を予定していますので当然今年に最優秀句はありません。そこで、今年の最優秀句や自分が好きだった句、あるいは自分の作った句なども大会後に申し込みを受けて作成させていただくことにしました。大会当日会場での販売は甲斐先生はじめ学生さんたちが受け持っていただくことになっています。企業と学生による「愛媛」という地域イベントを介在させたモノづくりの第一号商品、どのように受け止めていただけるか楽しみです。大会は20日、21日の両日です!

 

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一句入魂、松山俳句甲子園の夏②*

俳句甲子園ストラップ』は、60✕35✕5㎜サイズの台木に直径5㎜の穴を開けてストラップ紐が通してあります(仕様は『誕生木ストラップ』と同じ)。片面に、過去18年間の歴代の最優秀句が、片面にその作者と学校名をレーザーで彫っています。素材は愛媛県産のクスノキ大きく育つことで有名なクスノキは、張った枝が日陰を作ってくれることから学校や神社などに植えられ、昔から鎮守の森として親しまれてきました。その香りも楽しんでもらうためあえて無塗装にしています。
パッケージを開けるとクスノキの独特の香りが鼻腔をくすぐります。恐らく多くの高校でも校庭木として植えられているのではないかと思います。オイル塗装をすれば、木にオイルが浸透してレーザーで彫られた緻密な文字がよりくっきりと読めるようになりますが、ここはやはりよく読めるかよりもクスノキを五感で楽しんでもらおうという学生たちの意見を取り入れ無塗装に。今回初めての試みということもあって、高校生の財布に優しい¥300(税込)という特別価格で販売しました。
会場に駆けつけたのは、その場の空気を生で感じておきたいというのもありましたが、それ以上に学生たちと一緒に作り上げた俳句ストラップがどういう風に受け入れてもらえるのか、その反応の方が気になったというのが本心。会場に辿り着く少し前に、現場の甲斐先生からメールが届いたのですが、第4回大会の最優秀句に選ばれた「カンバスの余白八月十五日」の作者・神野 紗希さん㊨がブースに来られて自分の句のストラップをご購入いただきましたとの報告。実はその句が一番人気でした。
神野さんは松山東高校在学時代に俳句甲子園に出場し、その後俳句の世界に入られ現在では若手俳人のなかでも将来が嘱望される有望俳人のひとりに数えられるほどの実力者だとか。俳句ストラップを作るにあたって誤字脱字などのチェックで何度も何度も繰り返し歴代最優秀句を見ていたので、いつの間にか句も覚えてしまっていたのですが、作者の方が来られて購入されるというパターンは想定外でしたので驚きの喜び。更に聞けば、裏方で大会を支えるボランティアスタッフにもOBが沢山いて、
こちらも私が個人的に気に入っていた「号砲や飛び出す一塊の日焼け」(昨年の第18回俳句甲子園全国大会最優秀句)の作者・兵頭輝さん(当時宇和島東高等学校3年生)㊧も隣のブースで作業されていて、しっかりと自分の句のストラップをゲットされていました。県内にとどまらず県外からのOBのボランティアスタッフとしての参加も多いようで、このイベントが俳句に青春を賭ける高校生たちにとっていかに重要でかけがえのないなものになっているのかということを感じるのです。続く・・・

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今年も熱闘俳句甲子園!*

昨年初めて関わらせていただいた『俳句甲子園』ですが、20回記念となる今年も関わらせていただくことになりました。本家の甲子園球場では球児が熱闘を繰り広げていますが、ここ愛媛は松山でももうひとつの熱い高校生たちの闘いが繰り広げられます。今年は、8月19日(土)、20日(日)の2日間の開催で、19日は大街道商店街の特設会場で予選リーグ、20日は松山市総合コミニュティセンターで決勝リーグならびに表彰式という日程です。全国から地区予選を勝ち抜いてきた40校が出場、地元愛媛からは6校が出場します。
その俳句甲子園にちなんだ『俳句ストラップ』は、SENSE愛媛大学俳句研究会と大五木材によるコラボで、歴代の最優秀句と作者、学校名がレーザーで彫字されています。昨年が初めての試みでしたが、甲斐朋香准教授はじめ会場での学生たちの熱意で、歴代最優秀句の中で完売が出るほどの好評を得ることができました。早いものであれから1年、今年も大会期間中限定で販売させていただくのですが、昨年初めてということでいろいろと戸惑いやら手違いがありまして関係者の皆さんにご迷惑をおかけしました。
その反省を踏まえて、昨年はその場で俳句を注文用紙に書いていただいていたのですが、今年は申し込みフォームを作り、携帯電話から直接言葉を打ち込んでいただく形式に変更しました。これで大文字か小文字か分からないとか、達筆すぎて文字が読みとれない、お届け先の住所の記載ミスなどが解消できると考えています。合わせて、昨年トライアルということで、超サービスで¥500/枚に設定した価格も、わずかながらでも利益の出る¥1,000/枚に変更させていただきました。やる事も大事ですが、やり続ける事も大事ですから。
今年は大会会場に『木の玉プール』も置いていただくことになり、甲斐先生とSENSEの玉井さんがご来店いただきました。俳句甲子園でのつながりは昨年からですが、甲斐先生とはそれ以前からいろいろな形で関わらせていただいていて、SENSEだけではなくいろいろな学生たちとも出会ってきましたが、下級生だった学生が上級生になり成長していく姿を見るのもここ数年の恒例行事となりました。それにしても甲斐先生はいつも学生たちと楽しそうで、自分の学生時代にもこんな先生いたら学生生活も随分変わっていたかも?!
また新たな問題が発生するかもしれませんが、まずは目先の問題をひとつずつ解決していくことが肝要かと。昨年大会後には、来年はこうすればとか、ああすればとかのアイデアもあったものの、こういうものって差し迫ってこないとついほったらかしにしてしまって、大会が目前に迫ってきた頃に慌てるの繰り返しで、とりあえず今年も台木は『クスノキ』で頑張らせていただきます!子規・漱石の生誕150年となる今年、俳句甲子園でどんな素晴らしい俳句が詠まれるのか、楽しみにしています!

 

 

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永い木を長く使う*

現在弊社で開催中の『長尺カウンターフェア』に出場している有力選手の一部をご紹介します。まずは、フェアの目玉のひとつである地元産のクスノキの4mオーバーの共木。製材後1年半以上天然乾燥させています。そのため、クスノキの独特の匂いも濃厚!長さは実測で4,8mあります。耳の出入りが強いので幅は、狭い部分で450~650㎜、元の広い方だと900㎜近くあります。厚みはいずれも55㎜で、4,8mものが6枚あります。長さこそ5m近いのですが、『銘木』と呼ばれるようなものではありませんので心配ご無用。
原木で数本買って、板に挽いたいましたが、今までの全体の半分ぐらいは売れてしまいました。大きな節も絡んでいるのでお求めやすい価格に設定しています。耳の形もいいので、できればこのまま片方の耳を生かしてカウンターなどに使っていただくのがお薦め!クスノキは成長が早い木で、今でも比較的大きな材が手に入りやすいのですが、成長に伴い表面に凹凸が現れ(そこがまた面白いのですが)なかなか通直なものが少ないので、こういう風に4mオーバーで耳の形が整って通ったものは結構貴重です。
クスノキの大きな特徴はその独特の匂いと耐湿性安芸の宮島の大鳥居でも知られるように非常に耐水性の強い木でもあります。オイル塗装でそのポテンシャルを発揮してくれますが、過信は危険です。耐湿性が高いというと、ついつい過剰な期待を寄せてしまいがちになるので、あくまでも自然素材であるということを頭に置いておいて下さい。クスノキに限った事ではありませんが、その木を活かすのも使い方次第です。木の世界において、『メンテナンスフリー』という言葉は手入れ不要ではなく、自由に手入れできるという事。
カウンターなどに転身した後は、オーナーとの長いお付き合いの始まりとなります。時間をかけて気の長い付き合いをしていただきたいと思います。材木屋の心構えとして、永く生きた木はなるべく永く使っていただけるものに加工する事が大切だと思っています。値段さえ合えば、長い木でも太い木でもぶち切って使ってもいい、というのではやっぱり長く生きた木に申し訳ないし、材木屋の矜持にも反する。長い木は出来ることならそのままお店のカウンターなどに使っていただきその姿も愛でていただきたいと思うのです

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木は山にだけあるのではない*

木は山だけにあるのではない』そんな事を言った10数年前、同業者からは「何を戯言を!」と相手にもされませんでした。材木屋は、木材市場か製材所から木を買うモノという固定観念があって、その道から外れるものは負け犬、アウトサイダーと思われていました。当時はまだ街路樹などを入手するルートも分からず、またルートがあったとしてもそれからどうするかという事が自分の中で定まっていなかったので、街路樹の伐採現場に遭遇すると、「あれが全部廃棄されるのか・・・モッタイナイなあ」と唇を噛んでいました。
それから月日は流れ、【森のかけら】や『モザイクボード』、『森のたまご』、『森のしるし』などさまざまな樹種の多様な出口が定まり受け入れ態勢が確立。するとそれまでどうやって繋がればいいのか分からなかった造園屋さんとの関係が、向こうからやって来るという幸運にも恵まれ、造園屋から材木屋へのパイプラインが出来ました。その後はどうやって繋がったのかも分からないぐらい自然な流れで次々と複数の造園業者とも繋がり、受け入れの条件を厳しめにしないとダムが崩壊しそうな勢い。
街路樹や公園だけでなく個人の庭から出てくる庭木の話もあるのですが、愛媛の山から産出するのを待っていたらいつのことになるのかわからないような樹が、不意に持ち込まれてきたりと、庭木の多彩なバリエーションはとてもありがたい。とはいえ、木であればなんでもかんでもというわけではなく、ある程度の大きさ以上という事にしてもらっています。大きさだけの条件だと、それを軽々と乗り越えてドンドン集まってくるのが『クスノキ』。庭木や街路樹の中でも圧倒的なボリューム!
全国の巨樹ランキングの上位を独占するクスノキですから、その一族も大きく、受け入れのひとつの基準である尺上(約300㎜オーバー)もクスノキに限っては低いハードル。以前は特定の樹種ばかり集まっても仕方がないと考えて制限していましたが、今では新たな出口も出来て、それはそれでどうにか使える目途も立ちました。しかしあまり入口を緩めすぎると『楠専門店』みたいな事になってしまいます。キャパオーバーにならないように入口と出口のバランスを操ることが庭木・街路樹材を扱う者にとっての命題

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高知からの使者・木工彫刻家竹田篤生*

多品種を愛する偏屈材木屋にわざわざ遠方からやって来られるのは何も大工さんや設計士さんばかりではありません。その日弊社の玄関を開けられたのは、オブジェ 彫刻家の竹田 篤生君。竹田君はもともとは愛媛県生まれですが、高知大学に進学されて、芸術文化コースで彫刻に目覚めて、今までにも数々の受賞歴がある新進気鋭の木工彫刻家。その後高知を中心に制作活動をされていましたが、今年の春から生まれ故郷の愛媛に拠点を移されたそうです。なので厳密には高知からではないのですが、12年過ごされたという高知に敬意を表して。
竹田君がお店に来られたのは2度目ですが、生憎1度目は話が出来なかったので、今回初めていろいろ話をさせていただきました。もともとは、3ta2ギャラリーさん、セブングレインアートガレージさんがご紹介して頂いたのがご縁。過去に作られた作品を拝見しましたが、木のブロックの上で宙を駆ける躍動感溢れる動物たちの作品が私好み。長時間見ていると欲しくなってしまうので、あまり眺めていては危険と判断(笑)。彫り跡の質感を残した仕上げも木ならでは。主にクスノキを素材として使われているそうです。
それで、その日は大物に挑まれるという事で大きめの文章クスノキの丸太をご購入いただきました。木工彫刻家に愛されるクスノキですが、今まではあまり周囲にプロの彫刻家さんがいなかったので、こういう大物に彫材としてお声がかかることはありませんでした。アマチュアの方からも時々問い合わせがあるものの、サイズも量も小さいので、今まであまり意識することもありませんでした。最近では学校や神社、公園、街路樹などのクスノキが大量に入荷するようになってきたので、彫材という出口にも目を向けていきたいと思います。
本当は武田君はじめこういう方々に弊社で木材を買っていただき、それで作られた作品を弊社の2階で飾って展示会など開催出来たらなあと考えたりもしているのですが、あまりに集客が少なすぎると申し訳ないので実現できてはいません。多品種を扱うためにはより多くの出口を持っておく必要がありますが、それぞれの出口のなるべく川下に近づきたいと思うのです。勿論クスノキもいいのですが、出来ればそれ以外の木材も試していただいて、「ほとんど誰も使ってないけど、やっぱり木彫にはこの木だな~!」なんて発見があったら面白いのだけど。

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変わり者には変わった木を・・・*

最近よく店の看板を木の一枚板で作りたいとか、ディスプレイ用の変わった形の木が欲しいという話が多いので、ちょっと小さめで形の面白い耳付き板を用意してみました。今までこういう場合、常に大量に作り過ぎて持て余してしまうという事例が多かったので、(珍しく過去に学んで)今回は少なめです。とりあえずクスノキで20枚程度用意しました。とりあえずこれで反応を見て、今後追加を投入するかどうか検討します。クスノキは小さくともそれなりに存在感があるのと、面白い杢が出やすい木なので看板にはもってこいの木だと思います。
木で看板を作ろうかなんて弊社にやって来られる方って、やっぱり『普通じゃないモノ』を求められる人が圧倒的に多くて、お客さんも店の主に似てくるというか、そういう店だからそういう人が集まってくるのか分かりませんが、あまり変化のないような通直な木には見向きもされず、ひたすら『変わった形の木』を探されます。それは実にありがたいこと!少しずつ私の求める層のお客さんが増えて来ていて、変わり者材木屋としては本望なのであります。誤解を恐れず言わせてもらうならば、普通の木を普通に説明して売るなんて、退屈でつまらない
本音だから別に誤解でもないのですが(笑)、普通のベイマツを㎥単価がいくらですとか、スギの柱が1本いくらですとか、それはそれで勿論大切な事は分かっています。弊社にとっても米櫃にあたる部分ですから大事です。だけど偏屈で変わり者材木屋としては、そんなまっとうな真面目な事ばかりしてたらストレスでどうにかなってしまうのです。変わった木のえぐい話や、嘘か本当か分からないような伝承や逸話を織り込みながら、へえ~だのほお~だの言いながら楽しんでもらいたいし、こっちだって楽しみたいのです
ですから、このように汚れるのを最初っから覚悟して、服に埃がつこうが、おが屑にまみれようが果敢に倉庫の奥へと潜り込み、ゴソゴソとマイお宝を見つけ出して来て、満面の笑みを浮かべられるようなこんな素敵なお客さんこそが、どストライクのお客さんなのです(偏見!)。そういう方は乗用車で乗り付けられてもドアを開ければがっつりビニールシートや新聞を敷かれていて、汚れなど厭わずに持ち帰る気満々で準備も万端!お気に入りの木を見つけられて、嗚呼なんとその笑顔の素晴らしきことか!材木屋冥利に尽きる(涙)
わざわざご来店していただいた大切なお客様を変人扱いしておりますが、事前にご了解済です(笑)。もうすっかり常連さんになっていただいて、お店に来られても勝手に倉庫を探索されるようになった、ファンタジックなパン屋さんとして人気の『ぱんや雲珠』さんご夫婦。自分たちでそれぞれにお気に入りの木を探して加工されたりされます。こんな事書いたら普通の人が来にくくなると心配してくださる人がいるかもしれませんが、もうあまり普通の木は置いてないので、そもそも普通の方はあまり来られないんです(笑)。そんな材木屋が1軒ぐらいあったっていい、材木屋万流です!

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阿沼美神社の巨大クスノキを救出せよ!①*

少し前のブログで、近所の神社で伐採されたサカキ(榊)の話をアップしましたが、サカキはあくまで「副産物」で、メインは大きなクスノキ(樟。先日すべての伐採も終わり、境内に置いておいた丸太の搬出も完了しましたので、改めてその神社の木の救出の全貌について書きたいと思います。規模だけでいえば、以前に4tユニック車で20数台分ぐらいの『自分史上最大の救出(木はユリノキとモミジバフウ』を経験しているので、そこまでではないものの、材の大きさだけでいえばそれに匹敵する『町の中の大木』の救出劇となりました。こちらが会社から数分の距離にある地元の阿沼美神社です。
愛媛に住んでいると、神社の木というとクスノキというイメージが強くあります。特に樹齢が2600年とも言われ、国の天然記念物にも指定されている今治市大三島町の「大山祇神社のクスノキ群」は、日本最古の原始林社叢の楠群としても有名です。幹周が11m、樹高が15. 6m。その姿を拝むだけでも神々しさを感じます。四国だとどの神社にいっても大概大きなクスノキが鎮座ましましておられて、神社にクスノキが在るのが当たり前のように思ったりしますが、全国的にみると決してそうではありません。むしろ神社にクスノキが在る方が少ないのでは
常用漢字ではクスノキを「」と書きますが、文字通り南方に多く生えている木という意味から木に南と現わされます。それで九州や四国~関西あたりまでは神社にクスノキが植えられている事が多いのですが、東に行けば神社の御神木と言えばスギ、ヒノキ、マツ、ケヤキなどに取って代わられます。古い樹木や巨木の中には精霊や神様が存在すると信じていた古代の人から連綿と受け継がれてきた樹木への強い信仰心は、その地域で大きく育つ木を「依り代」として崇めました。なので地域の環境に適して巨木となる木が神社に植えられていったのだと思います。
そんな大切な神社の木ですから、お話をいただいた時に躊躇もありましたが、これもクスノキ様のお導きとありがたくいただくことにしました。町の中の街路樹や公園木と同様に神社などで伐採された木も行き場(活用できる引き取り手)、が無ければ、一般廃棄物として処分葉に送られます。すべてが信仰の対象というわけではありませんが、神社の境内にあって地元の人々に親しまれてきた木が、伐採された瞬間に「廃棄物」扱いされてしまうのは違うのでないか。神に近い木を捨てるとは竜神様も畏れぬ暴挙!そういう時のために我らビーバー隊が生かされているのだと、勝手な思い込みで出動~!続く・・・

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阿沼美神社の巨大クスノキを救出せよ!②*

まずは境内へと続く参道脇にある小さめの木から伐採が始まりました。例のサカキはこのあたりにありました。伐採にあたられた地元の門屋造園さんは、地域の消防団活動でも一緒でいつも懇意にさせていただいていて、面白い木を伐採されるといつも分けていただいています。町の中に在る木を活かす『都市林業』は、これから非常に大切になってくると思いますし、その必要性はいろいろなところで叫ばれていますが大切なのは実際にそれを伐採するひととの結びつき。誰かが伐って誰かが運んで誰かが製材して、ようやく流れが出来るのです。イメージするだけでは動きません
高邁な理念もグランドデザインもいいけれど、地を這う我らビーバー隊としては、まずは自分が動けというのが信条。自分は高みの見物で指揮だけして、木を集めないビーバーなんていないでしょう。やっぱビーバーは木に近いところにいないと話になりません。近くにいれば、仲間にも会えるし、そこから話も広がる。私自身、ビーバーになるまで(もはや例えもよく分かりませんが、笑)、地元にこんなに個人で活動されている造園屋さんが沢山いらっしゃるって知りませんでした。これが本当の井の中のビーバー。そういう方たちとの接点もありませんでした。
そもそも材木屋は木材市場か製材所から木を買う者と教わって来たし、事実そうだったので、同じ木を扱う職業とはいえ造園屋さんとは別フィールドだと思っていました。国道などで街路樹を剪定している場面に出くわしても、小さな枝では興味も湧きませんでした。それが廃棄されることに違和感を覚える事も無く。その意識が変化してきたのは、【森のかけら】を作るようになってからです。日本だけでも120種の樹種を集めようと思うと、建築家具用材だけではなかなか難しい。それで意識がいくようになったのが、街路樹や公園や学校などにある木。それを剪定、伐採するのは造園屋さん。
それでいろいろ調べてみると、近くにも造園屋さんは結構あるし、繋がりがなくもないので、話はできそうだったのですが気になる事がありました。剪定作業を見ていると、横付けしたトラックに枝葉を次々に放り込んでいます。そのまま処理場に廃棄するので、面白い形だろうが大きかろうが関係ないわけです。材の形状などで仕分けるという作業が不要というか必要ないのです。そんな中に分け入って、「これとこれと、直径〇O以上の木だけ下さい」なんて言えるだろうか。逆の立場だったら、何言ってんだ!って気持ちになると思うとなかなか声が掛けられませんでした。
伐採になれば、伐った後どうするなんて考えませんからいかに効率よく仕事をするかが最優先で、いちいち形や長さなんて気にしていられません。それこそ横にいて、その場で判断して自分で指示を出すなり積み込みまですればいいのかもしれませんが、本業をほったらかしてそんな事出来ません。自分が最前線にいるからこそ、そこで働く人の気持ちを理解できる。だからといってボランティアをするつもりは無い。あくまで材木屋としての仕事の範疇でやらなければ本末転倒。街路樹を「業」としていかに効率よく手に入れるか?自分で伐らないビーバーの悩み・・・

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阿沼美神社の巨大クスノキを救出せよ!③*

果たしてビーバーと造園屋さんはいかにして巡りあえばいいのか?当時は私もまだ完全にビーバーにはなり切れていなかった(子ビーバー)ので、正直覚悟もありませんでした。覚悟というのは、「それが欲しい」と言って話がまとまってしまった場合に、集まった材をどうするのか?こちらの思惑以上にあれもこれも全部持って行って、と言われてしまったら、こちらから言い出しておきながらそんなに都合よく断れるのか?持って帰ったとして【森のかけら】以外にどう活用するのか?どこに保管するのか?社員はそれを見てどう思うのか?理解を得られるのだろうか?
いろいろ考えていたら、やっぱり止めとこうとなってなかなか手を出せない世界だったのですが、思いがけない形である日突然その垣根は取り外されることになります。造園屋さんの方から声が掛かってきたのです。「〇〇で結構大きめの木を伐るんですが、大五木材さんではこういう木は必要ないですか?」これを僥倖と言わずになんと言おう!その時はすぐに【森のかけら】で必要な木では無かったもののこのご縁を活かさねばと二つ返事で答えて現場に駆けつけました。大きさこそまあまあだったものの量が少なかったのでスムーズに搬出完了。
それで、その時今後もこれこれこれぐらい種類のこういうサイズであればいただきたいとにこちらの要望も伝えると、先方もそれはありがたいという事で簡単に話がまとまりました。更に、それなら同業者にも声をかけてくれると、思わぬ形で造園業界に波及。ただし気をつけないと、必要も無い木の処分場になってしまうので、こちらが求めている樹種やサイズはしっかりとお伝えしました。基本は広葉樹で、変わった木!こういう交渉の際には【森のかけら】という実例が非常に有効です。ああ、こういうモノを作りたいのね、と。
職種は違えど同じ木を扱っている人間同士、話してみればその人も珍しい木を伐ったりすると、このまま捨ててしまうのはモッタイナイと感じていたそうで、使ってやれるのなら木も喜ぶだろうと共感してもらいました。だったらこれぐらいのサイズでこういう風に伐っておくと、話がトントン拍子に進んで、それからは近隣で伐採された『町の木』が急速に集まるようになりました。町の木の神様が導いてくれたとしか思えません。そうして私はすっかり『町のビーバー』と化していったのです。という事で話は地元の神社の木の救出に戻ります。

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阿沼美神社の巨大クスノキを救出せよ!④*

話は阿沼美神社のクスノキに戻ります。サカキアラガシ、ナナミノキなど境内に続く階段の脇にあった木々を伐採。これらの木についてはまた日を改めてご紹介します。神社とかでまとめて木を伐ると、普段手に入りにくい木と出会えるころが嬉しい。アラガシは、直径も尺足らずの大きさですがとにかく重い!伐採直後だとそれぐらいのサイズでも長さが2mあれば、人力では軽トラックに積み込むのもやっと。さて問題はこの階段を上がったところにある大きなクスノキです。スケール持って行くの忘れましたが、直径は1ⅿ超え!
木材市場に並ぶような巨大なお化けクスとかではありませんが、それでも十分にそれだけで一枚板になるサイズ。ただし搬出の都合上、長い材は出せないのと運ぶのに問題があるので短めに伐ってもらわねばなりません。丸太運搬用の車両があるわけではないので、欲を出さず安全優先。ちなみにこちらが枝の部分。立ち上がった幹から3,4mのところから大きな幹が地面とほぼ水平に延びて絶妙のバランスを保っていたのですが、それゆえに枝でも折れようなら幹が社殿に倒れ掛かる危険性も孕んでおりました。まあよくぞこれでバランスを取っていたものと感心しきり。
伐採の瞬間も見たかったのですが仕事の都合で伐採日には立ち会えず。後日神社に行ってみるとすっかり境内の様子が変わっていました。それまで日差しを遮っていた大きなクスノキが無くなったため、境内には光が入り随分と広くなったような印象。こちらが一番大きなクスノキ。レッカーで吊り上げて伐ったのですが、大きすぎてチェーンソーの刃が届かずかなり苦労されたそうです。町の木を伐る場合、電線やら軒先やらいろいろと障害物が多いので気苦労も多いようです。まずは怪我もなく無事に伐採できてひと安心。
こちらが元口から伐りだしたもっとも大きなところ。最大直径で1200㎜ぐらいあります。山から出すのであれば長いままで伐ってもらうのですが、町の木の場合、自分のところの車で搬出・運搬することになるので、長さは1ⅿ程度につまえてもらいました。これぐらいでないとうちのユニックでは吊れない。普段は製品しか運んでいないので、大きな丸太の運搬が不慣れなのと、神社の木ですからお祓いしてあるとはいえ、何かあると怖いのでいつも以上に慎重になります。製材所に運び終わるまではまだまだ気が抜けません。続く・・・

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阿沼美神社の巨大クスノキを救出せよ!⑤*

さあ、それではここからビーバー隊による救出作業開始です。まずそのクスノキがどれぐらいの大きさかですが、身長176㎜の私と並んでこれぐらい。樹齢は記述が無かったので年輪を数えてみたらおよそ80~90年歳と思われます。後日改めてきちんと数えてみるつもりですが、いずれにしても大先輩であることには間違いありません。折角のご縁ですので大事に使わせてもらわねばなりません。まあこれからすぐに製材所に運んで板に挽いてもらったとしても、再びこのクスが表舞台に現れるのは早くても3~4年後先の事になるのではないでしょうか。気長に天然させるつもりなので。
クスノキは英語で『Camphor tree(カンファーツリー)』と言いますが、カンファーとはカンフル剤のことで、クスノキの材内に含まれていて蒸留して樟脳となります。立木だとあまり匂いませんが、鋸を入れたりすると一面に強い刺激臭が立ち込めます。古来よりこの香りに神性を求めて、クスノキの枝や葉は神様への捧げものにも使われてきました。これだけ大きなクスノキを伐ったので、境内はもの凄い匂いだったと思うのですが、鼻が麻痺してしまったのかそれほど匂いは感じずにちょっと拍子抜け。これも神のご加護?!
こちらはほぼ真横に枝が伸びていた、いわゆるジョイント部分。実はもしかしたら内部は洞(ウロ)になっていてまったく使い物にならないかもしれないと心配はしていたのですが、まったくの杞憂に終わりました。洞はおろか大きな割れや腐りも無くてコンディションは上々。ただしクスノキは気をつけないと乾燥の工程で強くねじれたり変形することがあるので、ここから板挽いていかにきちんとお守り出来るかが大事です。テーブルやカウンターに使えそうなのはこの4本ぐらいで、後は小物用に薄めの板や角材に挽くつもり。
1本ずつ慎重にユニックで吊って製材所に運び込みます。これ以外も数本のクスを伐ったので、最終的には4tユニック車で6台分ぐらいの量になりました。製材して板になって弊社に帰って来るのはもう少し先のことになりますが、板になったとしても全部合わせるとそこそこの量になります。気がつけば倉庫には、こうやって救出された『町の木』がおよそ1/3ぐらい占めるようになっています。まあ乾燥中のありますが、このままのペースでいけば山の木よりも町の木の方が多くなってしまうのでは?!そうなったら正真正銘の『町のビーバー』になれるのかも・・・
いろいろな種類の木が集まって来るって面白いのですが、油断しているとダムがドンドン大きくなっていって、崩壊してしまいかねないので、集める以上に、『使う、作る、売る』という『出口』にも注力しておかねばなりません。まあ今のところ広葉樹に関しては、いくつかの小さな出口ながら流れは出来ているのですが、あと幾つかは出口を作っておかないと詰まったりしたら一気にダム崩壊!最後にお賽銭も奮発させていただき、大切に使うとの約束と、新たな出口とのご縁を祈念しておきました。都合いい時だけの神頼み

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クスノキがいっぱい*

今年のゴールデンウイークの長い連休も休まずに、せっと造り込んだ『端材コーナー』ですが、その後も日々少しずつ改良を重ねています。棚に陳列する商品にはきちんと値札が付いていて、端材を一枚引っ張り抜いたからといって雪崩にならないように整理してあるというような基本的な事すら出来てなくて、『宝物をご自分の手で探せます!』などという体のいい言い回しで逃げていました。まずは最低限私が居なくても値段が分かるようにしておこうということで、棚を増設して陳列した木には値札を付けて、見やすく価格帯で分ける。←今、やっとこのレベル
端材も大切にする、というと聞こえはいいものの、それがきちんと整理できなければ換金できずただひたすら「使えない木」が積み上げられるだけ。倉庫のあちこちに「いつかは使えるはず、いつかはこの木を求める人が現れるはず」という「はずの塔」が乱立。本当にもうお恥ずかしい限りなのですが、ようやく塔の解体に着手。とにかく『誰がいつ見に来られても値段が分かる』という最低限のところから取り掛かっています。ただ並べているだけでは面白くないので、毎月テーマを設けてそれに添って材を取りそろえる事に。
ちょうど愛媛県産のクスノキの小さな板モノが溜まっていたので、まずはクスノキから始める事にしました。ということで、6月の端材コーナーの特集は『クスノキがいっぱい』。6月の誕生木はクスノキという事もあるので、さまざまな形のクスノキの端材に混じって、『クスノキのこだま』のB品なんかもしれっと並べています(^^♪もともとクスノキは耐湿性に優れている事から水気の多いところなどで利用される木で、その優位性については安芸の宮島の大鳥居などでも証明されています。また樟脳の原料としても知られている通りその匂いは強烈で、クスノキが並んだ端材コーナーは刺激的な匂いが充満しております。
こうやって書くと、大量のクスノキの板を集めて展示販売しているかのように誤解される方がいらっしゃいますが、これってあくまでも弊社の倉庫の中の小さな『端材コーナー』の中のごく一部の話です。なので、『クスノキがいっぱい』と言ったって、端材レベルの話です。映画のタイトルを転用した遊び心でやっているので、その点はご了承下さい。一応1ヶ月ごとでテーマを変えていくつもりで、材が減ったら追加投入するつもりですが、期間までにすべて売り切れて、早めに特集打ち切りなんてならないかなどと、またまた取らぬ狸の皮算用・・・ここが一番楽しい(笑)

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神の見えざるクスノキの手引き*

1年ほど前からボツボツ集め続けて来た街路樹や自社林としてのクスノキの丸太。意識してクスノキばかりを集めていたわけではないのですが、こういう集材にもバイオリズムみたいなものがあって、ある特定の木にご縁があると、そればかりが妙に集まり続けたりします。ビーバー的には、『モッタイナイ神の見えざる力』とでも呼ぶべき引き寄せの法則。いろいろな種類の木を、置き場が満杯にならないように少しずつ集めたいなんて自分勝手な構想を立てている時に限って、神の雷(いかづち)のごとく法則が発動されます。
これは、自然界はそんなに自分に都合のいいように動くものではないという戒めが込められていると思っています。その証拠に一時のクスノキ嵐が終息するとそれからは嘘のようにクスノキの話はピタッと止まってしまいました。モッタイナイ神、恐るべし!まあそういう事で、クスノキがこれでもかと集まったのですが、うちには大きな丸太を挽くような製材機は無いので、三津浜の瀬村兄貴の元へ持ち込みます。つまり瀬村さんの土場がうちのクスノキで埋め尽くされてしまっていたわけです。
そういう状態でありながら、その間隙を突いて他の丸太も投入していくわけですから、最初の頃に持ち込んだクスノキはなかなか挽いてもらえません。まあこれがエノキとかならヤバい事になっていたでしょうが、そこは水質にも強いクスノキですから(その見込みもあって放置されたのでもありますが)これぐらいでは何の問題もありません。そのごく一部をやっと挽き始めてもらうことになり、少しずつ挽けた板を持ち帰っています。中にはおよそ1年ぶりに再会したクスノキもあって、そういえばこんな形の丸太だったかなと記憶の糸を手繰り寄せたり。
挽けたといっても、これですぐに売るというわけではなく、ここからは弊社で桟積みしてじっくり天然乾燥させていきます。その後は乾燥を見極めてからの販売となります。長さも短くカットして厚みも45㎜程度なので、早ければ1年後ぐらいには陽の目を浴びることになるかなと考えています。恐らく若い頃の私ならゴミにしか見えなかったでしょうが、今はこの先に明確な出口が見えていて、1万円札が貼り付いているように見えます(笑)。恐らくこれからもっともっと早いスピードで木の価値基準が変わっていくと思います。振り落とされないようにしがみついとかないと!

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クスノキの帰還・第一章*

昨年は、不思議と『クスノキ』にかなりご縁がありまして、地元の神社をはじめ、公園木や街路樹などからもクスノキの丸太が大五木材に沢山やって来ました。大きさも形も大小ですが、一枚板のテーブルに使えるなんてサイズのものはほとんどなくて、建築・家具以外の出口向きの木が主ですが、弊社にとってはありがたいご縁。手に入った丸太はいつものように兄貴分の瀬村要二郎さんの瀬村製材所さんに持ち込んで、全部板に挽いてもらいます。板になったら会社に持ち帰って一枚ずつ表情を確かめながら桟積みして、乾燥させていきます。
なので実際に使えるまでには、長ければ軽く1、2年はかかるので、その頃にはどうやって入手したのか思い出すのに苦労するぐらい。忘れるぐらい乾かせるというのが基本なので、いついつまでに挽かないといけないという事もないので、挽くタイミングはお任せしていたのですが、そしたら今はちょっと忙しいからという事で・・・気がつきばもうすぐ1年(笑)。耐湿性に強いクスノキだからということもあったのでお互い焦ってもいなかったのですが、ようやく挽き始めてもらいました。そのうちの一部が還って来ました。
まあ急いで挽いてもらっても、こちらの保管スペースの都合があるのでボチボチでいいのです。建築に使うような通直な木ではないので、1枚1枚が「癖のかたまり」ですから、私の目で1枚ずつ確認してどういうものがあるのかという事をザックリと認識しておかねばなりません。こんな形のこういう板が欲しいという折角の出口が舞い込んで来てもその存在に気づかないことがあるので、手持ちの材を把握しておくのがなによりも重要。今は簡単に携帯カメラで保存管理できるので全然楽になりました。
昔はカメラで撮ってフィルムで現像に出してたので、時間も費用もかかっていましたので、その頃から考えれば雲泥の差。全部の在庫というわけにはいきませんが、ある程度以上のサイズになれば、画像送りますなんて出来るようになったので特殊な木が売りやすい時代になったと思います。私が入社した頃はイラストでやり取りしてましたので、互いに共通言語や木の知識が求められました。その根底にあるのは信頼関係。こちらの要望を伝えて、その要望に応えられ目利き力が営業マンに求められました。
画像で簡単に確認できるのは便利ですが、それでいいか悪いかはそちらで判断してね、というのは正直なところ営業マンとしては自己存在の否定のようなものなので、自分で売る時もなるべくその木に対する言葉を添えるようにしています。それが最近は送る写真の枚数や量、スピードがどんどん増えていって、言葉を添え忘れたり、間に合わない事も増えていて反省してます。それならせめて『今日のかけら』のリンクだけでも貼り付けつようにしているのですが、そのためにも早く『今日のかけら』完成させないと

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クスノキの帰還・第二章*

挽いてもらったクスノキの板を選別。一枚ずつコンディションを確認しながらサイズで分けて桟積みしていきますが、この作業は必ず私がするようにしています。この後、樹種にもよりますが、基本は天然乾燥で半年から長いものになれば二年ぐらい乾かせますので、どういうものを乾かしていて、どれくらい経った頃に使えるのかを把握しておくためと、値付けをするため。よく、我が子に名前をつけるように値段をつけやがって、なんて言われますがその通りです。自分の尺度と感覚で値段をつけますが、その分しっかりと木は見ているつもりです。
今回挽いてもらったのは近所の神社のクスノキ。あまりに大きくなり過ぎて倒木の危険もあったので伐採したものですが、昔に雷も落ちたことがあったとかなかったとかで、中に空洞があるかもと心配していましたが、それも杞憂で済むほど立派な鎮守の木でした。狭い境内から搬出するため短くカットしましたが、テーブルや座卓などの家具はもとより、【森のかけら】などの小物まで使いどころはたっぷりありますので、一切無駄にすることなく骨まできっちりとしゃぶり尽くしていただきます。なので側のペラペラまで余すことなく桟積み。
大きな洞こそありませんでしたが、高齢木なのでところどころに痛々しい「戦歴」もあって、部分的には腐っていたり割れが入っているところもあります。何枚かくってみると、板の真ん中あたりが楕円上に朽ちかけているものがありました。まだ完全に朽ちてはおらず、楕円の1/4程度がボソボソになっていましたが、その周辺がスポルテッドに変容しかかっていました。クスノキのスポルテッドを見るのは初めてですが、水分が多過ぎて触るとブヨブヨなのでそこを意匠的に使うのは無理。嗚呼、もう少し救出早ければどうにかなっていたのかも・・・
手入れされることのない神社などの巨木が成長する過程で木の隙間などの空間が巻き込まれ、その内部で芽吹いた植物の根などが空間を埋め尽くしてやがて朽ちて、製材するとおどろおどろしい毛細血管のようなネット状の塊が出てくることがあります。そういうものに出くわすと、私はいつも「もののけ姫」の「たたり神」が頭に浮かんでは、「救えませなんだあ~、申し訳ねえ・・・」と、誰視点かよく分らない気持ちになるのですが、スポルテッドはともかくその御身はなにひとつ無駄には致しませぬぞ!

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