森のかけら | 大五木材

 ★今日のかけら・#032 【カランタス】 Kalanyas センダン科・広葉樹・東南アジア産

カランタス

 久し振りの『今日のかけら』です。ここで取り上げる時には、ただの材木の画像だけではなく、施工したり加工した画も欲しいので画像待ちになることが多いです。珍しい樹種や、このあたりで使用例が少ない物はそういう画像がなかなか撮れません。この『カランタス』は、よく使っていただいてはいたのですが、写真を撮り忘れて画が揃いませんでした。ようやく現場の写真が撮れましたので、晴れて取り上げさせていただきます。

20090716 カランタス2カランタス』との出会いは、数年前の九州の大川市の木材展示会でした。大川は言わずと知れた家具の町です。町中至る所に家具屋さん、木工所さんが軒を連ねています。よくこれで商売になるなと思わせる程、密集していますが、話を訊けば材木屋さんなども同一樹種でも寸刻み、わずかな形状違いで細かな分業が出来ているそうで、この長尺ならどこそこ、この厚みならどことかうまく棲み分けしているそうです。もっとも全体の仕事量がここまで落ち込むと、そう綺麗ごとばかりも言っておられないようです。

 

その大川では、『カランタス』はよく使われる馴染みのある木のようです。恥ずかしながら、そこで出会うまで『カランタス』という木を全く知りませんでした。材木屋のくせに、と言われそうですが、この世の中まだまだ知らない木は星の数ほどあります。図鑑でしか見たことのない木や、用材に向いてない木はまず日本に輸入されることもありませんから、現地で見るしかありません。そのためだけに行く事は出来ませんが、しかし『見てみたい』、『触ってみたい』という欲求は物凄くあります。その欲求が、私を【森のかけら】製作へと突き動かしたのですが・・・。

特に木材の場合、産地に近い事や地域性によって使い材が極端に偏る傾向があります。例えばこの辺りで無垢の硬めの敷居といえば、モアビがほとんどでした。似たような性質ですが、セランガンバツは受け入れる土壌がありませんでした。同様に造作材も米栂(ウエスタン・ヘムロック)が中心で、メルサワ雲杉などは出る幕もありませんでした。広島・山口などではバツが多く使われ、モアビは少数だと聞いています。また、九州では造作にメルサワもよく使われるようです。結局、近くに何を得意とする製材や材木屋があるかという事と、過去にどれくらい実績があって経年変化でどうなるかを大工さんが熟知しているかによるのでしょう。松山の場合、保守的な風土ですから、とにかく新しい物には抵抗が強く、浸透させるには相当時間がかかります。値段が安ければ何でも売れるという物ではありません。地域ごとの家作りの作法みたいな物もありますから。まあ、特殊な材というのはそれを扱う『変わった人』によって、紹介され扱われる訳で、そういう人が身近に入るかどうかが最大のポイントだと思いますが、当然私も含めて。

20090916 カランタス5それで、軽軟な『カランタス』は家具の町・大川では、引き出しの内部や箱材などとしてよく使われてきたのでしょうが、愛媛では浸透しませんでした。大柄な木目ですが、深みのある赤褐色で癖も少なく、扱いやすい剤です。この呼び名はフィリピンでの呼称で、インドネシアでは『スリアン』と呼ばれます。最初は、良く似た別の木だとばっかり思っていました。

弊社では、厚み25㎜と厚み45㎜の2種類があります。薄い方は、主に箱物用に製材された物でしょうが、今回軒天の化粧板に加工して使っていただきました。基本的には板目挽きなのですが、幅広いものが取れるので『柾目』に木取りして柾目板として仕上げました。板目は年輪幅が広いので緩やかな印象を受けますが、柾目にすると雰囲気もかなり変わります。柾目に挽いているわけではないので、こういう材が幾らでも取れるという訳ではありませんが。

 

20090716 カランタス以前には学校の教材として本棚にも使ってもらいました。軽くて柔らかいので加工も容易に出来ます。その分湿度にも敏感なので、引き出し材や箱材はベターな選択だと思います。右画像の45㎜の板は、300㎜幅も取れるほど広い物もありますので、数枚幅剥ぎにしてテーブルやカウンターなどにも使ってもらいたいのですが、この柔らかさとどう付き合うかが問題です。何とか木の触感を活かしながら使える用途を探っていきたいと思います。大量に仕入していますので、かなり廉価な値段で販売出来ます。短くカットした端材を『ちょこっと端材』コーナーにアップします(予定)ので、興味のある方は是非、使ってみてください『カランタス』!

 

 

 

ビバ、ドラゴンハウス!vol.1

3. 木の仕事

DSCF0463 20100113 ドラゴンハウス②現在建築中の『dragon.house』ことS様邸(店舗ではありません。家のニックネームです!)に、先日打ち合わせに伺うと、2階の天井が貼りあがっていました。この『dragon.house』を設計されている設計士の石村智子さん(イシムラトモコ建築設計から、「天井に50mmぐらいの幅の無垢を貼りたい」と聞いたとき、「何をっ?!」と思った物ですが、実際に貼りあがってみると綺麗です!この小幅が何とも独創的で、色の違いによる質感もこの幅がゆえに様になっております。樹種は『カランタス』Kalanyas 東南アジア原産のセンダン科の木です。別名スリアン。長さ3000mmの板を小割して、厚みも割り返して53×10mmに仕上げました。『カランタス』はとても軽軟な木で、机の引き出しの内部にも使われるようなデリケートな材です。軽い分だけ、加工すると逆目や毛羽立ちが出やすく、かなりロスも出ましたが、この貼り上がりを見ると大満足!さすがは挑戦士、いや設計士・トモコさん、お見事です!

DSCF0464 20100113 ドラゴンハウス③常日頃、『木は決して建築資材になるためだけに生まれてきたわけではない!』と語っておきながらも、住宅の部材として使った事のない所に初めての樹種を使う場合はやはり慎重になります。施工直後は別に問題はありませんが、経年変化による収縮や反り、環境へ順応しているか、例えば耐水性に優れた木を水周りに使ったけど大丈夫だったかとか、耐候性の強い材を外部に提案したけどどうっだったかなとか。そんな事を言うと、あなたも一応まともな感覚も持ち合わせているのですねと言われそうですが、そういう細やかな末梢神経もわずかには残っています。

DSCF0151ただすぐに忘れてしまうのは問題ですが・・・。それにしても、自分の所の自分で褒めるのも何だとは思いますが、カランタスの天井綺麗でした!幅が狭い材だったので、施工されたもみじ建築越智棟梁も大変だったと思いますが、実に丁寧に施工していただきました!普通こういう手間の掛かる材を提案すると、現場からは冷たい視線を浴びるものですが、越智棟梁は興味深々に乗ってきてくれたので感謝、感謝!こういう物は、楽しんでやってもらう人が集まらないと絶対面白くなりません!施主さん、設計士さん、工務店さん、材木屋の4つの信頼関係がないと、責任の擦り付け合いになるか、事前に回避するための後ろ向きな提案に終始してしまいます。そこには無垢材の入る隙間はありません。それじゃ、つまんないじゃか!という人間が集合したのがdragon.houseなのです。こういう仕事は楽しいですね。

 

DSCF0152更にいろいろな部材を使っていただきますので、これからおいおいとご紹介させていただきます。好奇心の旺盛な方々と仕事をさせていただくと面白いです。その分リスクもありますが、それを恐れていては変わった木など扱えません。いいんです、分かっていただける方だけで。結束力で勝負だ~!興味も関心もない畑に水を捲りよりも、どんどん水を吸収する畑に水を撒きたいです。水を撒く人が多くなればなるほど大きな木になります。ブランドはなくとも人のつながりがあれば、プラント育ちの木にも負けない木は育ちます!

 

マッキーの『MAKIコレ』!

メディアあれこれ

20100325-114429以前にラジオ『サンデー・ジャーナル ザ・VOICE』でお世話になった南海放送中塚眞喜子さんが、今春からテレビで新しい番組のパーソナリティを務められています。毎週木曜日の24:38~24:48に放送されている『MAKIコレ』です。マッキーこと中塚さんが、愛媛の街の新鮮な話題を徹底調査でご紹介するという番組です。南海放送さんとは不思議といろいろご縁があります。このご縁でいつか木材専門番組でも作っていただけないのかしら・・・さて、その番組の背景のセットで使われる木製のロゴを、弊社にご注文いただき製作させていただきました。

20100410 マキコレ②

おおっ、これは観ておかねばと思いながら、ついつい見逃してしまっていて・・・本当に申し訳ありません!今週は必ず観ます!番組の画像が撮れてなかったので、中塚さんからいただいた画像をお借りしてご説明しますと、左の画面の背景のセットの棚の上に置いていただくというものです。タイトルの『AKIコレの『AKI』のアルファベットを、4種類の木で作ってくださいという事で、1文字150㎜程度ですが、テレビ映えしそうな、削りやすそうな材を選ばねばなりません。 

20100411 マキコレ2何でもいいじゃないかなどと言ってしまっては実も蓋もありません。こういうディテールにこだわるからこそ面白いのです。『神々はディテールに宿ると言われるように、こういう小さなこだわりの積み重ねが奥行きのある物語を作るのです。きっとこういうものにもあなたはこだわるのでしょうと、中塚さんは思われた(そうでもない?)に違いないと、勝手に解釈してあれこれ考えました。背景が赤いのでなるべく色目がはっきりしたモノをと思うのですが、濃い色目の木は概して硬くて重いので、丸く削るのは難しいのです。それで選んだのがこの4樹種。

201004111 マキコレ3

」がラック・ウオールナット」がオウシュウアカマツ、「」がカランタス」が黄櫨(はぜ)です。本当は、血のように鮮烈な赤味の『ッチーネども使いたかったのですが、あまり硬いと曲線の加工で弾けてしまいそうだったので諦めました。加工は『ッドワークかずとよの池内君にお願いしました。ロゴを拡大して、木に貼り付けルーターで削って、サンドペーパーで磨いていくのですがいい感じに仕上げてもらいました。番組のロゴは繋がっているのですが、4樹種使うので独立した4文字にしました。

20100410 マキコレ

20100411 マキコレ1

植物性オイルを塗って、濡れ色になり色目がより鮮明になりました。この4文字を背景にセットに立てて使っていただけるという事ですが、チラッと映るかどうかでしょうが、それでもいいんです。南海放送のスタッフの方でも十分に作れたであろうに、ラジオ番組でお会いしただけのご縁を覚えていてもらって、わざわざ弊社に依頼していただいた事が嬉しくありがたいです。小さな仕事にも、人の縁や思いはたっぷり詰まっています。南海放送を受信できる皆さん、是非『MAKIコレ』ご覧下さい!マッキーこと中塚さんのご活躍と番組の視聴率アップも祈念しています!

※『MAKIコレ』は、南海放送テレビで毎週木曜日の24:38~24:48放送中!

 

「住み継ぐ家」を語り継ぐ・・・2

3. 木の仕事

20101213 「住み継ぐ家」を語り継ぐ・・・2①本日は、改めて『住み継ぐ家』のディティールに迫ります。このお家は、施主さんの祖父母が長年暮らした思い出がたっぷり詰まっていて、その思いを留めたまま住み継ぎたいというのが根本にありました。かといって、普通の古民家再生にしてしまっては、「イシムラトモコ」の名前が泣きます。また、そうであれば施主さんも彼女に依頼したりはしません。その辺りは、家がご近所という事もあって、以前に建てたドラゴンハウス・ファミリーとお友達という事もあって、イシムラトモコの家の見学会の常連という事もあって、お互いよ~くご承知!最後に施主さんが引渡しを惜しむ光景(それはこの素晴らしく楽しい家造りが終わってしまうからなのですが)は、彼女の家造りにとっては最後の儀式のようになってきました。それはイシムラトモコ・ファンクラブの正会員会員証の授与式でもあります。

 

20101213 「住み継ぐ家」を語り継ぐ・・・2②今回は時間の都合で最後までご一緒できなかったのですが、もみじ建築・チームと施主さんご家族が万感の笑顔で映ったこの1枚を見ると、その絆がどれほど強い信頼関係で結ばれていたかを物語っています。いくら設計士と施主さんの関係が良好でも、それを具現化していく棟梁はじめ業者との息が合っていなければ良い仕事は出来ません。中でも、乗松社長率いるもみじ建築の真摯で前向きな姿勢にはいつも頭が下がる思いです。社員教育もしっかりされていて、今回の窪田棟梁も実に爽やかでアグレッシブ。智ちゃんの無理難題(?)にも愚直なほどに前向きに取り組まれます。最後に写したこの1枚を撮ったファインダー越しの彼女の目には涙が浮かんでいたかどうかは定かではありませんが(負けず嫌いなので、きっと人前では涙など流さないのでしょうが)、心の中では大粒の涙を流していたに違いありません。

 

 

20101213 「住み継ぐ家」を語り継ぐ・・・2③その思いは彼女だけではありません。初日の終わり間近、玄関に佇み感慨にふける窪田棟梁の姿をこっそり後から撮影。あえて声は掛けませんでした。この家に関わった皆の胸によぎる思いはそれぞれ・・・。1日目は、智ちゃんと長棟さん(トーヨーキッチンと私が主に中で喋らせていただいて、もみじ建築さんは会場設営から備品の手配、初日が雨だったので足元もビニールシートからテントなど、とにかく見学会の準備などを一手に引き受けられていて、当日は駐車場の案内や受付など縁の下の力持ち的な地味で大変な仕事をされているのに、私は当日ひょいと出かけて好き勝手な事を喋らせていただく・・・申し訳ない気持ちです。 見学会のエンディングは、さぞかし感動のセレモニーが繰り広げられたのではないかと思います。あ~、立ち会えなかったのが残念!

 

 

20101213 「住み継ぐ家」を語り継ぐ・・・2④今日こそはご使用いただいた各木材のディティールに迫るつもりで書き始めましたが、毎度の事ながら前振りの話で筆が乗って(キーボードがリズミカルに打てて!)、これから始まる始末!とりあえず、このお家が歴史を積み重ねたという事を言いたかったのですが横道に逸れました。解体してみると立派な梁が現れたので、何とかこの梁を活かそうという所から、彼女の苦心が始まるのです。そのあたりのエピソードは『はたらく石』にお任せして、その梁が映える天井をどうするか?

 

20101213 「住み継ぐ家」を語り継ぐ・・・2⑤彼女が選んだのが【カランタスの小幅パネリング】!もはや『トモコ・スペック』と呼んでもいいとさえ思えるこのシャープな小幅サイズ。 当初『カランタス』をこの幅で料理するというのは、正直どうなのかと戸惑いもありました。内心、無理に小幅にしなくてもいいのに、というジレンマもありました。それが貼ってみたらどうでしょう!この質感、色合い、存在感。この材を活かす「出口」はここにもあったかという思いです。今回も多くの皆さんに天井の事を尋ねられ、そして気に入っていただけました。

 

20101213 「住み継ぐ家」を語り継ぐ・・・2⑥しかしこれは有効幅で50数㎜程度しかありませんので、実際に施工するとなると、その手間は大変です。いくら設計士さんや施主さんの了解を受けているとはいえ、実際に納品する際に施工する大工さんから嫌な顔をされると辛いものがあるのですが、窪田棟梁は、 「これですか~!」と腕を振るうのを待ちかねた様子で受け取ってもらいました。実はそれってとっても嬉しいことなんです。経験上、現場で働く人間の気持ちがひとつになる現場って物凄く良い家が出来上がります。

 

20101213 「住み継ぐ家」を語り継ぐ・・・2⑦窪田棟梁からカランタスがまだ足りないと連絡があったので、少し多めに入れたのに・・・と思っていたら、天井照明の内側までびっしりとカランタスが貼ってありました。この徹底したこだわりが美しい空間を生み出すんでしょう。一見均質に見えますが、ある程度幅のある板を小幅に再割りしますので、板目柾目が混在します。折角の幅の板を割るのだから、なるべく無駄なく使いたいということで、板目柾目、色ムラや小さな節、カスリなども大胆に取り入れていただいています。決してトロだけ使って後は捨てているわけではありません。小幅にする事で、木の色ムラや木柄の癖が分散するという効果も生まれています。こういう効果は計算してというよりは、感覚的なものが結果的にそういう効果も生み出すのだと思います。それほど彼女の感覚には秘めたる力があります。恐るべし、センス・オブ・ワンダー

 




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