森のかけら | 大五木材

Exif_JPEG_PICTURE以前にもご紹介させていただいた燻煙処理木材(弊社の場合は、北米産のイエローポプラに水と蒸気の熱で高熱処理した燻製高熱処理したサーモ・ポプラになります)ですが、焦げたようなその独特の香りがあるにも関わらず、少しずつ現場で受け入れられていただくようになりました。ホームページでその色合いや特徴はお伝えできても、香りや質感は伝える事が出来ないのがもどかしいのですが、実際に手にしてもらい、香りも「体験」してもらえばその『個性』をご理解いただけると思います。

 

Exif_JPEG_PICTUREさて今回作らせていただいたのは、サーモポプラを使っての床の間の地板です。6枚の材を使って幅剥ぎ加工しています。画像はまだ塗装前の状態ですが、この後で塗装すると更に色合いが濃くなります。 同じ材料に燻製高熱処理したとしても、仕上がりの色調にムラは出来ます。それこそが塗装では表現できない、材の内面から生まれた色調。実際削ってみないと、加工後にどれぐらいの濃さになっているか分からないところも、ある意味で面白さの1つだと思います。

 

Exif_JPEG_PICTURE今回はたまたまポプラの燻煙処理剤が手に入ったわけでせが、そもそもイエローポプラは年輪も不明瞭でどちらかというと淡泊な部類に入る木です。白い下地の中に淡い緑色が縞状、帯状に現れるため、着色して使われることも多い木で、強烈な個性が出る木ではないのですが、サーモすることで淡い年輪が鮮明になり、まるでスギに古色の塗料で塗装したような趣きすら感じます。材を和風、洋風と限定するのは好きではありませんが、これならば和風に使っても無理なく馴染みます。

 

 

Exif_JPEG_PICTURE仕入れた直後は、どういう提案で勧めるのがよいものかと悩んだこともありましたが、実際にこうして幅を合わせて仕上げてみると家具材としての姿も見えてきました。衣服を入れる場合は、この匂いがどこまで匂い移りするか考えないといけませんが、この地板だけで随分提案の幅が広がったような気がします。木が好きで、遊び心があって、同じ感覚で同世代の計士さんが近くにいるのはありがたい。サーモに共感いただいたのは、違いの分かる設計士、ジューサンケンチクセッケイ石村隆司さん!

パフューム・オブ・ササフラス①*

今日のかけら・♯156【ササフラスSassafras クスノキ科・広葉樹・北米産

本日は『ササフラス』を加工しました。余程北米材に精通された方でなければ聞き慣れない名前かもしれません。クスノキ科の広葉樹で独特の芳香がある木として知られています。ササフラスという名前は、近縁関係のない種々の木材にも使われていて、有名なのはオーストラリア産の『タスマニアン・ササフラス』。『サッサフラス』と表記されることもありますが(発音上はその方が正しいのかもしれませんが)、弊社では『ササフラス』に統一させていただいています。

弊社が在庫しているのは、北米東部原産のもので、その強い芳香から『シナモンウッド』の別名もあります。木目の雰囲気はホワイトアッシュに非常によく似ていて、色あいはアッシュよりもくすんだ灰褐色、私には淡くにぶい緑色も混じっているように感じます。雰囲気はアッシュに似ているものの木目そのものは凡庸で、アッシュよりもやや柔らかく、あまり強度を必要とする用途には使われない傾向にあります。ただ加工性は非常によくて扱いやすい木の1つです。

ササフラスについては、クスノキ科に多い傾向ですが、その材よりも香りの方で有名かもしれません。原産国のアメリカにおいては、乾燥した根皮から抽出されるササフラス油が、香料として利用されています。また、その葉を粉末にしたフィレ・パウダーは、アメリカの伝統的なケイジャン料理にも使われています。他にも薬用とかアロマセラピー用のフレグランス、エッセンシャルオイルなどにも生成されていますが、加工するだけでも工場に妖しげな大人の香りが漂います。

製材したおが屑やプレ―ナー屑からも、鼻にツンとする香りがして、捨ててしまうにはモッタイナイ!ただ今のところそういったいい香りの木粉を利用できるアイデアがないので仕方なく焼却処分していますが、特にクスノキ科やバラ科の木を加工した時は、そのおが屑やプレ―ナー屑すらなんとも愛おしく感じてしまうのです。かといって、いつか何かに使えるだろうとビニール袋に溜めた「香りのいい材」も既に数10袋にもなっていて、結局香りは煙になってしまっています(汗)。

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