森のかけら | 大五木材

 

【ホンジュラスローズ】

 Honduras rosewood  

マメ科・ツルサイカチ属・広葉樹・中南米(ベリーズ)産

学名:Dalbergia stevensonii

別名:ニューハカランダ(NewJacaranda)

ノガエド(Nogaed)

 和名:*****

気乾比重:0.94

ホンジュラスローズの向こう傷*

2013年 4月 26日 金曜日 at 11:17 PM 1. 今日のかけら

 

弊社の近所で竣工したワンズ㈱さんの新居は、ふんだんに無垢材を取り入れていただきました。しかもレアな素材が多いので現場で撮らせていただく写真にもつい力が入ります。まずは玄関扉脇の飾り棚には、『ホンジュラス・ローズ』の耳付き板!【森のかけら】の中においては、『プレミア36』に分類している貴重で高価な木材。ギターなど楽器にも使われる装飾性の高い木ですが、実は原木の挽き材を持っていて、その端材を小出しにしているのですが、今回お眼鏡に止まりました。


ワンズさんでは、いろいろな樹種の端材を荒加工したものをショールームに置いていただいています。以前にもご紹介しましたが、委託で預けておいて使われた分だけを清算する『置き薬システム』なのですが、実際に削ったものを施主さんにも見ていただく、触れていただくことで、より現実的な提案ツールとして活用してもらっています。この『ホンジュラス・ローズ』も、その中の1枚。こういうレアな木には、虫穴や青染み、小傷、クラックなど天下御免の向こう傷も付き物です。

こればかりは実際に見ていただいて納得してもらわないと、言葉だけでは伝わらないことがありますので、荒材だけでなく「ほぼ完成状態」を見ていただく事が肝心です。特に『ホンジュラス・ローズ』のようなローズウッド系の木は、杢の具合や色合いの濃淡、辺材(白太)と赤身のバランス、節の位置、耳の形、エッジの角度などの微妙なディティール組み合わせが、そのモノの価値を左右する重要なファクターになるので、「大体こんな感じ」というイメージ・メッセージは自分の首を締めかねません

実は『ちょこっと端材』にアップしてもいいような『ホンジュラス・ローズ』の端材も沢山あるのですが、原木挽き材なので、そのほとんどが耳付き材です。その耳周辺には上述したような節や割れ、傷、青染みなどの『向こう傷』も多く、いくら接写で撮影してもなかなか細部の特徴が伝わりにくいのではという危惧もあって、今までネットでの販売どころか、店頭での荒材の販売も消極的でした。しかしこうして世に出た姿を見ると、そろそろその封印を解いてもっと知っていただく頃なのかも。この木の詳しい説明は後日・・・。

美しき「棘」ホンジュラスローズ①*

いろいろありましてようやく本命に辿り着きました。ホンジュラスといえば、そう『森の宝石』とも呼ばれるホンジュラスローズ!もし、【森のかけら】を作っていなかったら今でも巡り合うことはなかった樹のひとつだと思います。それぐらい通常の材木屋の業務では縁の無い木。たまたま市場に転がってたから、ちょっと気まぐれで買ってみては的な感じでは手に入らない木でして、こちらが強く意識して覚悟を持って買いに臨まねばならない木です(少なくとも私にとっては)。

私が初めてホンジュラスローズを手にしたのは、【森のかけら】に着手する1,2年前のことなので、もう10年近く前の話になるでしょうか。一般的にはなかなか入手しずらいレアで特徴のある個性的な樹でプレミアム36(あくまでも私の独断と偏見によるプレミア基準!)を作ろうという構想があったのですが、果たしてそれが集められるかどうかということで全国各地の情報を収集し、少しずつプレミアな材を揃えていく工程で、偶然ホンジュラスローズとの出会いもあったのです。

手に入った喜びでその時は気づかなかったのですが、それから何年も倉庫で寝かせていざかけらに加工しようとなった時、その木取りの困難さに直面。まあ、お金を出せばしっかり赤身の多い大トロのような材も手に入るのでしょうが、なにせ基本は端材が出自の【森のかけら】ですから、いかにプレミアシリーズといえども高額な材を使うのはご法度(当然経済的な理由も大きいのですが、精神的にもよろしくないということで)!図鑑に載っている特徴通り、廃材率が半端ではないっ

端材職人としては、少々のことであれば活かす手口は持っているものの、なかなかどうしてそんな私の手に余すようなところもあって、かけらを取るのさえひと苦労。いや、思い切って大胆に木取りすれば取れるのは取れるのですが、そこは貧乏性な性分と、端材職人としての意地もあります。モスキートコーストで未開のジャングルと格闘したハリソン・フォードよろしくここは私も格闘せねば!と妄想を巡らせながら、大割れや曲がり、虫穴、青染み等との格闘が始まるのです。続く・・・

 

美しき「棘」ホンジュラスローズ②*

ホンジュラスローズの話の続きです。ローズウッド、その名前から優美で麗しく高貴な貴婦人のようなイメージを抱かれるかもしれませんが、製材したり加工するときには、身に着けた香水のあまりのけばさに辟易するほど。素材がいいんだからそんなにどぎつい香水をふりかけなくとも十分でしょうと忠告したくなるほど強烈な匂いで、思わずよろめきそうになることもあります。何も気にならないという人もいらっしゃるので、多分個人的な相性の問題だと思うのですがちょっと苦手


そういう時には、「美しいものには棘がある」の言葉を噛み締めながら、加工後に現れてくるであろう優美で麗しきお姿を妄想するのです。さて、ローズウッドは非常に仲間の多い木で、私も全然把握できていません。建築や家具の分野においてはほとんど馴染みの無い木ですから(ローズを使うような高級家具の世界は弊社とは別物)、実際に使用した例も少なく、当社の場合は【森のかけらプレミア36】や小さなクラフトの分野に限られています。

その用途の有名なものとしては楽器があります。同じローズウッドでも、ブラジル・アマゾン河支流ハカランダ河流域に生息することからハカランダ』の別名もあるブラジルの至宝『ブラジリアン・ローズウッド』は、その中でも最高級材として知られ、ギターマニアにとって垂涎の的。楽器と家具、用途は違っても同じ木材なんだからよく知ってるだろうと思われるかもしれませんが、楽器に使う木材というのは通常の材木屋とはまったく別の特別なルートがあり私どもは門外漢。


それより実際にそれで音色を奏でる演奏者の方の方がはるかに詳しく、樹種の違いによる音色の違いなど、製材機の近くで作業していてだんだん難聴の傾向にある材木屋にとっては分かろうはずもありません。なので迂闊にこの分野の事を語ろうものなら、そちらの分野の方から厳しいご指摘が舞い込むのは必至!これから少しずつ学んでいきたいと思いますが、弊社にあるローズウッドはいずれも楽器に使えるような大トロではないので、今後も小さな「かけら」の世界の中で展開していきます

わずか35㎜の「かけら」の中においてさえもローズウッドは存在感を示します。特に小口面の手触りの滑らかさは特筆もので、いつまでもいつまでも触っていたくなるほど。また木目が複雑に交錯した時に現れる複雑緻密な杢は優雅で、それは小さな端材からでも十分に伝わってきます小さな端材においては、辺材の白身もいいコントラストになってローズの赤を引き立ててくれます。ただし、耳の部分はそげらが立ちやすく、刺さると痛さは半端ないので注意!美しいものには棘がある・・・




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