森のかけら | 大五木材

森のしるしの足跡*

2017/08/14

戦国大名や動植物などの家紋をあしらった『森のしるし』ですが、もう少しで累計2万個に到達。もともと、小学校の出前授業で子どもたちに山に生えている木を伐ったらいくらすると思うという私の質問に対して、返ってきた「100万円!」という言葉に衝撃を受けて(実際には数千円にしかならないという惨状)、どうすれば子どもたちが本能的に100万円と感じる生命価値に近づけるかを考えて生み出されたものですが、その観点からすればもうすぐ100万円の木を4本ほど生み出したことになろうかと。

家紋だけではなく企業のノベルティやイベントなどにも利用していただいています。その中に、愛媛大学さんとのコラボがあって、愛媛大学の学章やブランドマーク・ロゴタイプ、マスコットキャラクターを作らせていただいています。もともとは学生たちが東日本大震災の際にボランティア活動に参加したことがご縁になって生まれた『陸前高田のしるし』が発端で、発売開始から5年経過しましたが現在もずっと継続させていただいています。ただかの地から届けていただいた「被災したマツ」もあと僅かとなりました。

一方で、学章やマスコットキャラクターをあしらったものは台木の樹種変更こそあれ、増産出来ます。先日もご注文いただきましたので、愛大ショップ『えみか』さんに納品させていただきました。今更説明もなんですが、台木の裏には磁石が入っており、冷蔵庫の扉などの金属にメモなどを挟んで留めるマグネットとなっています。一度に大量に売れるわけではないのですが、息の長い商品となっていてとても嬉しいです。ただ、その磁石の形状が変わるため一旦どこかのタイミングで仕様変更をしなければなりません。

愛媛大学さんとのコラボ分につきましては注文生産なので、余分な在庫はないのですが戦国大名や動植物家紋に関してはたっぷりと在庫もありますので、年内にはどこかのタイミングで仕様変更に伴うセールを行って一度全部売切ってしまわねばと考えています。そのため現在の仕様の台木の生産は中止しており、戦国大名家紋などにつきましても人気の高い家紋(徳川家康や豊臣秀吉など)は、基本の樹種ヨーロピアンビーチから違う樹種に変更されているものもあります。セールについてはこのブログでもご案内しますので、家紋マニアの方是非!

大学の眠れる資源*

2014/11/20

愛媛大学さんとのコラボして製作している木製マグネット「森のしるし」を納品するために『愛媛大学ショップえみか』さんを訪れたのですが、この時期当大学に行く楽しみは、色鮮やかに紅葉したモミジバフウの並木を見る事です。モミジバフウの大木がズラリと居並び、大振りな葉が赤や黄色に色づきカラフルなモミジバフウ・ストリートは、いつもながら惚れ惚れする美しさで、沢山の落ち葉が足元までも美しいモザイク模様に染め抜きます。カメラを構えるのは当然ながら、形のいい落ち葉は拝借させていただきます。

いつ頃から植えられていたのか知らないのですが、きっと私が隣の大学から時々遊びにお邪魔していたおよそ四半世紀前にも恐らく今と同じ光景がそこにはあったのだと思います。木の事には一切興味の無かった当時の私には、目には映っていたのでしょうが、モミジバフウのことなどまったく見えてはいませんでした。母校の松山大学(当時は松山商科大学)の校内にどんな木があったのかなんてさえ思い出せれませんし、まさか将来そんな事で母校の事を振り返るような日が来ようとは夢にも思いませんでした。

愛媛大学のキャンパスは多くの学生で賑わっていますが、その中のどれほどの数の学生が、目の前にある樹を見ているでしょうか。今の感覚のまま学生時代に戻れたら、まずは校内樹を1つ1つ写真に収めて手作りマップを作り、葉っぱや樹皮の観察、落ち葉を収集、剪定時には小枝を使って商品化と、大学の樹という素材を骨までしゃぶって味わい尽くす自信があるのですが・・・今にして思えば、随分とモッタイナイ事をした青春時代だったと思いますが、当時そんな感覚を持っていたら、友達のいない奴だったことでしょう。

これって単に職業柄というよりもこの年齢になって感じる感覚なのかもしれません。納品に行った日はちょうど耐震工事か何かの工事で業者さんの姿もありましたが、このモミジバフウも伐採される事もあるのでしょう。その時には、「産業廃棄物」などにはせずにしっかりと「大学の眠れる資源」を目覚めさせ骨の髄まで利用してあげて欲しいものです。いくら図々しくなったとはいえ、ビニール袋を広げて落ち葉を詰め集めるほどの図太さはありませんので心の中でモッタイナイを唱えながら名残惜しく大学を後にしたのです。

 

森のしるしルール

2014/07/03

Exif_JPEG_PICTURE以前にご紹介した陸前高田の倒壊したマツを使ったメッセージツール陸前高田のしるしの『愛媛大学ショップえみか』で販売していただいております。今回、品切れしたという事で追加のご注文をいただきました。この『森のしるし』も製作当初はどうやって大量の台木のセンターにきちんとスタンプを押そうか悩んで、専用の治具を作って試したりしてみましたが、均等に圧がかからないためうまくインクが付かず断念。OK品の1、2割ぐらいの失敗品を生み出しながら四苦八苦。

 

Exif_JPEG_PICTURE数千個というノベルティの註文の場合、納期の問題もあるので、結局最後は治具なしのフリーで押すようになったのですが、人間の感覚ってえらいもので、数千、数万個も同じ作業を繰り返し続けていると、台木の端から何㎜ぐらい余らせた位置にどれぐらいの圧をかけて押せば台木のセンターにうまく収まるのかが、体が覚えてしまい最近ではほとんどロスも出ないほど正確に押すことが出来るようになりました。これ、後4、5万個も押せば相当な技量が実に着くのでは?!

 

Exif_JPEG_PICTUREただしマツは油っ気の多い木なので、スタンプとの相性は決していいとは言えません。今までいろいろな樹種にスタンプを押してきましたが、私の肌感覚で言うともっとも押しやすかったのは日本の木ならばカツ』、世界の木ならば『ヨーロッパビー』。サクラケヤキなどもいいのですがあまり硬くて滑らか過ぎると押す時にスタンプが滑るので、案外難しかったりします。今までの経験では、カツラとビーチの2種がもっとも相性もよく押し疲れも少なく感じます。

 

Exif_JPEG_PICTURE会社の代表者たるものがそんな事に時間を取られていてどうすると仰る方もいらっしゃいますが、その作業を毎日しているわけでもありませんし、零細企業においては『空いている人間が動く』というのがルールです。慣れた人間がさっさとやってしまうにこしたことはないのです。大企業のルールを無理矢理零細企業でも準じようとする方もいますが、小さいな会社には小さな会社なりの使いやすく動きやすく恐ろしく効率のいい『ローカルルール』があるものです。

 

※『陸前高田のしるし』の売上金の一部は東日本大震災復興支援金として寄付させていただいております。

ハングリー・プラタナス!①

2012/10/21

20121021 1愛媛大学の『大学ショップえみか』で販売していただいている『森のしるし・愛媛大学バージョン』ですが、『陸前高田のしるし』ともに順調に販売していただいております。決して一度に大量に売れるわけではありませんが、学生達の陸前高田でのボランティア活動を知った方々からもありがたい支援が続いており、ありがたい限りです。本日もご注文をいただき、袋詰め作業に精を出しています。左端が『陸前高田のしるし』、その右隣がマスコットキャラクターの『えみか』、右端が『愛媛大学の学章』です。

 

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東日本大震災の大津波にも耐えた岩手県陸前高田の「奇跡の1本松」をモニュメントとして残すため、伐採し、特殊な防腐処理保存をする事になったのは先月の事。死にかけた松を人工的に残すことに賛否はあったようですが、1本の松の生命力は多くの人に勇気を与えたことと思います。一方その陰で、倒壊した7万本もの松についてはあまり省みられる事が少ないように思います。こういう小さなモノであればまだまだ利用価値はあります。今日もせっせとスタンプを押し続けるのです。

 

20121021 3それら商品を納品に行ったのですが、その時にキャンパスを車で通過する時いつも気になっていたあるモノをしっかり撮影してきました。運転しているとさすがに写真は撮れないのでいつも悔しい思いで臍(ほぞ)を噛んでいたのが、こちらの『ガードレールを食べるプラタナス』。樹勢の盛んなプラタナスを街路樹として植えた時によく見られる光景で、愛大前でも数本のプラタナスがガードレールを食べています。その噛み付き具合にはそれぞれ個性がありますが、こちらはかなり空腹だったと見えて豪快な食いっぷり!

 

20121021 4このまま成長が進むと、すっかりガードレールを体内に取り込んケロッとしているものもいます。プラタナスは、痩せた土地や湿地でもよく成長し、公害にも強く刈り込みにも耐える(この季節、よく丸裸に剪定された痛々しいプラタナスを見かけますが)事から、銀杏と並ぶ街路樹の代表格です。愛媛大学の正門通りに植えられているのは、その花言葉が『天才』である事にも関係があったりするのでしょうか?かつて古代ギリシャで哲学者たちが、枝振りのいいこの木の木陰で哲学を説いた事がその由来だとか。

宗教サミット・6000個のメッセージ①

2012/10/04

20121004 18月の話になりますが、『森のしるし』が思わぬ形で世界へ飛び出していきました。最初にお話を伺った時には我が耳を疑いましたが、納品先は京都と滋賀の県境にあり、ユネスコ世界文化遺産にも登録された、あの天台宗総本山・比叡山延暦寺!8月3日、4日の両日当地において、比叡山宗教サミット25周年記念『世界宗教者平和の祈りの集い』という平和を祈り、平和について考える世界規模の式典が開催され、世界の宗教指導者が集われたのですが、その記念品に採用いただきました。

 

20121004 2この宗教サミットは、1987年に開催されて以来、四半世紀にわたり連綿と受け継がれてきたものだそうです。近年世界各地で大規模な自然災害が発生し、家や家族、財産などを無くし極限状態の中で、精神的な心の支え、拠り所として宗教の果たすべき役割が問われています。そんな中、25周年を迎える今年のサミットのテーマは『自然災害の猛威と宗教者の役割~3・11大震災と原発事故への反省と実践~』。東日本大地震の被害に加えて、福島の原子力発電所の事故は、物質的な豊かさの中に幸福を追求する現代社会のあり方を考えさせる大きな契機となりました。そして多くの日本人が、ボランティア活動や寄付などを通じて、何らかの形で日本を襲った未曾有の災害に向き合う事になりました。私は募金程度の協力しか出来ていませんでしたが、インターンシップを受け入れた大学生の陸前高田でのボランティア活動を通じて、その過酷な災害状況を知る事になりました。

 

20121004 3その後、インターンシップ生と大学関係者の皆さん、現地の村上製材所さんたちのご協力で、陸前高田の倒壊した7万本の松原の松を使った木製マグネット『陸前高田のしるし』を製作し、愛媛大学のえみかショップで販売。その売上げの一部を寄付させていただいています。直径わずか50㎜足らずの小さな商品ですがこれが完成するまでには沢山の人の手を経ています。最終の磨き上げ工程は、『どうぞのいす』でもお世話になっている障害者支援施設福祉工房いだい清風園さん。1個ずつ丁寧に手磨きをしてもらっています。

20121004 4磨き上げた後は、手作業で1個ずつ私が腱鞘炎と格闘しながら(!)スタンプを押していくわけですが、そのスタンプを製作していただいているのが、昨年の『東京ギフトショー』でご縁をいただいた滋賀県の㈱ハン六・本店の平井常務。創業はなんと安政5年(1858年)!正真正銘の老舗。滋賀県文化功労賞(平成23年度)などを受賞されるなど文化活動にも大変ご熱心な会社です。ハンコやスタンプのスペシャリストであるハン六さんが弊社に関心を寄せていただいたのは、スタンプや軸木の素材として。

 

20121008 5ところがお話をするうちに、ただの素材としてではなく『木の物語』に対して強い関心を持っていらっしゃる事が分かり、熱心に私の拙い木の話にも耳を傾けていただきました。ハン六さんとのご縁で、アイデアだけで盛り上がっていた『森のしるし』が急速にカタチとしてまとまり、木の物語を素材に押し込む事についても、平井常務との話の中で加速度が増したように思います。TPO に合わせて、イベントや主旨に添った素材を選び出し、物語や逸話の味付けをする事にも共感していただきました。明日に続く・・・

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