森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら・#031 【ヨーロッパビーチ】 European  Beech ブナ・広樹・スウェーデン産

20090903 ヨーロピアンビーチ

本日は、【ヨーロッパビーチ】の小割りをしています。【ビーチ】というと聞きなれないかもしれませんが、【西洋ブナ】のことです。今弊社に入荷しているのは、スウェーデン産のものです。個体差はあるのでしょうが、日本の【ブナ】に比べると少し重たいです。中には肩に担ぐとズシリと、肩に食い込んでくる重たいものもあります。データでみると、日本のブナは気乾比重0.62でブナの仲間ではもっとも軽く、ヨーロッパビーチは0.72という事のようですが、こういうのはあくまで統計的なもので、実体験としてはもっと差があるように感じます。『材木屋の肩量り』は結構正確ですぞ!

20090903 ヨーロッパビーチ重さのバラつきは乾燥具合によるところも多いと思います。ビーチはどちらかというと乾燥は速やかに出来る木だと思うのですが、しっかり乾燥させたと思っても収縮が出ることが多く、気の抜けない木です。厚みのあるものだと、よく乾いていると思って切断してみると、材の中央部の水抜けが悪く、淡い褐色に変色していたりすることもあります。外部から乾燥が進み、中央部に集まった水分がバランスよく蒸発しなかったのではないかと思います。小口が赤いのは目印として赤く塗っているだけです。

 

20090609 maruimori②20090903 ヨーロッパビーチ4ビーチはしっかり乾燥させれば非常に汎用性の高い木でもあります。有名な『ワイチェアー』の素材としても知られるように、蒸し曲げにはとても強い適性を発揮します。また仕上がると淡い乳白色なので、癖のない色合が人気で、家具のほかにも木製玩具ろくろ細工楽器日用品樽桶ブラシなどの柄化粧単板、そして勿論フローリングなどあらゆるものに対応可能です。その触感がツルツルしていて、レーザー印字との相性も抜群です。

20090903 ヨーロッパビーチ3森のかけら】や【円い森】では、数10種類もの木を加工していて、中には色合いや木目が似ているものもありますが、その中でビーチはかなり分かりやすい樹種です。全体的に小さな淡い胡麻塩模様が現れるからです。ビーチは、日本をはじめヨーロッパ、アメリカ、アジアや北アフリカなど北半球に広く分布している樹種で、産地の名前を冠につけて、『ヨーロッパビーチ』とか『アメリカンビーチ』、『スラブビーチ』などと呼ばれます。多少の違いはあるものの、どれも性質は似ています。見た目には、日本のブナよりは経年変化でやや赤褐色になる程度の違いがあります。また日本のブナよりははるかに通直で大径木が得られます。画像はラフ(荒)材ですので、少しくすんでいますが削ると美白に変身します!

 

 

20090903 ヨーロピアンビーチ2弊社ではよくキャビネットなどの家具の材料として使っていましたが、【森のかけら】を作り始めて以来、この木の汎用性の高さと相性の良さには改めて感心させられます。そう思って周囲を見回すと、ビーチは色々なところで使われています。100円ショップの木製品も白っぽいのはほとんどビーチです。弊社の【木の物屋・森羅】の陳列スペースに並んでいる外国産の玩具もやはりビーチが多かったです。今回も住宅とは関係のないところからのご注文です。ビーチの可能性はまだまだ広がりそうです。

 

 

ビーチブック「木の本、本の木」

2011年 7月 13日 水曜日 at 10:54 PM 2. 木のはなし

20110713 ビーチブック「木の本、本の木」①一昨日のブログで、本棚とビーチとの相性が良いのは、深いドラマがあるのですがそれは明日のお楽しみ!と謳っておきながら、その事をすっかり忘れておりました。如何に勢いだけで書いているかという事の実証です・・・。1日遅れになりましたが、本日こそはその話をさせていただきます。太古の昔、鉄器を手にするようになった人類は木の棒や小片に文字を書いて占いなどをするようになりました。それぞれ地域で、その地に生育する木を使い、占いの内容に合わせてさまざまな木が使われたそうです。

 

20110713 ビーチブック「木の本、本の木」②その中には当然、色目が淡白で肌が精な「ビーチ」も使われていました。かつて魔法の文字と見なされ、ゲンルマン民族の間で使われていた「ルーン文字」が、8世紀頃に言葉や文字を形成する「記号としてのアルファベット」に変化しました。占いや礼拝などに使われていた神聖なシンボルは記号と化し、その後多くの民族の間で使われるようになりました。「文字」を意味する英語の「レター/Letters」は、ラテン語の「リッテラ/Littera」から来ていますが、ドイツ語では「ブーフシュターベン/Buchstaben」といいます。それを英訳すると、「ビーチスティック/Beechsticks」となります。訳すると「ビーチの棒」という意味です。その後、文字を記したビーチの薄い板束ねて、大切な知識を保存する巻物のようなものが生まれます。つまり、それが「ブック/Book(本」になったというのです。

 

20110713 ビーチブック「木の本、本の木」③太古の昔より、ブックとビーチには切っても切れない深い関わりがあったのです。ゲルマン民族をはじめとすヨーロッパ人にとって、ビーチは建築や家具としての材を与えてくれる森の恵みとしてだけではなく、知恵や文化を育んでくれる側面もあったのです。またビーチの実は昔から、たんぱく質を豊富に含む貴重な食料としての役割も果たしてきました。海外でそれほど(文化的にも)高い評価を受けてきた木が、日本においては「木で無い」とまで卑下され「」という漢字まであてられたブナですが、もしかしたらその裏に隠されたエピソードがあるのではないかと考えております。木に深い造詣と愛情を持って接してきた我らが先人達の見識が、それだけではあまりにも狭いような気がするのです。何か秘められたサイド・ストーリーの影がちらついて仕方が無いのです・・・。

 

 

20110713 ビーチブック「木の本、本の木」④それはさておき、そういう訳ですから「ビーチと本棚」の相性が良くて当たり前!本来のあるべき姿に落ち着いたとも言えるのです。そう考えれば、ビーチ独特の胡麻塩模様がアルファベットのくずし字のようにも見えてきたりして・・・?単純に「材」として人間の暮らしに関わってきた木と、知恵や文化を育んできた木とでは歴史の重みが違う?いえいえ、ほんの少しだけ身が詰まっていて比重が高いだけです。人間の文化が始まるずっとずっと前から、ビーチは姿を変えてはいませんから。これからは、「本棚にはビーチを」!




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