森のかけら | 大五木材


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一緒に『誕生木・12の樹の物語』を作らせていただいた兵庫県明石市明石住建さんが今年も弊社にご来店いただきました。毎回新人さんを連れて来ていただき、木の話を聴いていただいております。いつもはもう少し早い時期に来られるのですが、今年は少し遅いなと思っていたら、勝美住宅住宅の横綱大和建設明石住建パル建設Laboの連結子会社5社の持ち株会社である㈱KHCを上場させられるのでその準備に追われていらしたとの事。今年の3月に無事に東京証券取引所第二部に上場されたました。おめでとうございます!

そんな上場企業が訪れるには場違いな材木屋だと思うのですが、代表の渡辺喜夫社長からして病的に木が大好きな木材フェチだから仕方ないのかも(笑)。弊社の場合は木の話といっても構造材にはほとんど興味も知識も無いので、もっぱらあまりスポットライトの当たらないマイナーな木の名前の由来であったり、それにまつわる(本当か嘘かよく分からないような)木の物語、またそこから生み出された『誕生木』のような背景のある木の商品についての話ばかりなので、果たして住宅営業の方たちにどれほど役に立つのかは皆目分かりませんが、こちらから出来る話はそれしかない。

話の後は恒例で倉庫の中を巡ってリアルな木を見て、触って、嗅いでいただきます。スギやヒノキの構造材の話なら聞けるところは他にもっといくらでもあるし、それにふさわしい会社があります。しかし、日の当たらないマニアックな木に関していえばそこそこお見せする、お話しするネタはあります。端材コーナーが出来たことで以前に繰られれば少し回遊しやすくなったとはいえ、サウナのような蒸し風呂の倉庫の中で、しかもスーツ姿で埃まみれになって長々とお付き合いいただくのは申し訳ないので早めに終わらそう。

と思っていたのは最初のうちだけ。最近は1対1とか1対2程度の少人数相手に話すことが多かったので、一度に7人もいらっしゃるとこちらのテンションも上がって、この木の事もあの木の事も話したくなって時間も忘れて延々としゃべり続けてしまいました。相手の額の尋常ではない汗の量で、ハッとしてようやく時間の存在に気付いた次第。仕事でいらしているとはいえ、皆さん聞き上手なのでつい調子に乗って喋りすぎましたが、木を売っている時よりも、木の話をしている時の方が数倍楽しい。これはこれで問題だとは自覚していますが・・・

 




12月、クリスマス、モミ(樅)とくれば、外せないのが『12月の誕生木の出口商品・スノーファーマン』!過去にアップの時期を逸してしまい後出しじゃんけんになること幾数年・・・ようやくその反省を生かして、今年は無事にクリスマス前にご紹介出来ます。と、時期を逸したことが売れなかった原因のような思いあがったようなもの言いですが、原因はそれだけではない事は作った本人が一番分かっています。だからといってここでなかなか売れない理由をあげつくろう気持ちなど毛頭ありません。

今までにさまざまなオリジナル商品を作ってきましたが、宮本武蔵先生の『我、事に於いて後悔せず』が私のものづくりの製作信条であります。うまく出来なかろうが、売れなかろうが、神の啓示を受けてそれを思いついてデザインしたり、物語を盛っている時の心の高揚感、捕らぬ狸の皮算用で妄想のそろばん勘定をした時の満腹感、材料が揃っただけなのに既に完成したような充実感、思い描いたモノが形となって出来上がった時の多幸感、もうそのプロセスだけで私の心は喜びで満たされているのです。

その商品の一番のファンであり続ける事こそが、作り主の責任と覚悟。いいのです、売れなくとも。その製作過程で得たノウハウ(私自身が加工しているわけではないけれど)、その木に与える事の出来た新しい出口(向こうも見えないけれど)、それを手にした人が嬉しそうにSNSにアップした時の嬉しそうな顔(まだスノーファーマンでは味わってないけれど)、そういうものが私の血となり肉となり、膝から崩れ落ちそうになる私を支えてくれているのです。だから決して諦めたりはしないのです。

売れていないのではなく、まだブームが来ていない、そういう事なのです。そうやって自分を奮い立たして魂を鼓舞し続けていかなければ、こんな事を続けていけません。「え~っ!12月の誕生木ってモミの木なんだ~。そのモミで作った雪だるまの形をしたディフューザーって、なんて可愛いんだろう少々お値段は高いけど気に入ったから、よし買っちゃえ!」こんなサンタクロースのような心優しい天使のような方がいつかきっと現れるはず・・・先日、その願い天に届き天使が御降臨なさいました




熟成モミジバフウからスポルテッドビーチを経由してのブルークリスマスと来ると、この流れの息つく先は勿論、12月の誕生木モミ(樅』の話です。現在、弊社には九州産のモミ愛媛県産のモミの板があります。いずれもたいした量ではありませんが、一枚板のダイニングテーブルには十分なサイズです。愛媛県産のモミについては、丸太で10数本仕入れて耳付きの板に挽いて、天然乾燥させました。こんな目の詰まった良質のモノが地元で採れるのかと思うほど良質な木だったので、手頃なサイズのモノから順調に売れていきました。

それで残ったのが、長さ4mで幅は1m超えの大きなモノばかり。さすがにこのサイズになると大き過ぎて逆に嫁ぎ先が決まりにくい。天然乾燥で8年ほど経過していますので乾燥は完璧で、節もわずかで木目も綺麗。ほぼ文句のつけようのない美材ですが、偏屈材木屋にはふさわしくないのかも。これ大丈夫なのかと思えるような大きな割れや、激しく穿孔された虫穴、天下御免の向こう傷、染みの向こうにロマンが見える青染みなどの問題児を売るのは得意なんですが・・・

あまりに整いすぎて優秀な材となると、こちらの方が気後れしてしまいます。丸太を仕入れて挽いてみたら見事な良材が取れましたというもので、木材市場で板の状態で見たならば、まず手を出すことはないでしょう。偏屈材木屋としては、普通の人からは見向きも評価もされないような木に、新たな出口を見出したり、背景の物語と結びつけて新たな価値を生み出すという事に情熱を傾けているので、あまりに整いすぎる木というのは、私流の腕の振るいどころがないのです

まあ、いわゆる銘木屋さんで扱うような木なので、偏屈零細材木屋ではなかなか良縁に恵まれません。まだまだ婚期を逸したような先輩たちが倉庫の奥には居並んでいるものの、これだけ容姿端麗なモミですから、それにふさわしい相手を見つけてやりたい。これ以上手元に置いておくと情が移って手放したくなりそうだし。12月の誕生木『モミ』の木言葉は『向上なのですが、もうひとつ木言葉もあって、それは『』。時間がかかるのは生まれ持っての運命かも・・・




森のたまご」の裏面に「森のかけら240」の3桁のリストナンバーを彫っているという事で、弊社にもレーザー彫刻機があると思われて何件かそういう問い合わせもありました。残念ながら弊社にはレーザー彫刻機ありませんが、周辺で持っている仲間が沢山おりまして、形状やサイズ、納期等に合わせていろいろな所にお願いして加工してもらっています。時系列的ではありませんが、そこは多めに見ていただいてご紹介させていただくと、『森のりんご』にレーザーで言葉を彫って欲しいというご注文がありました。完成品がこちらです。

ベースは『ケヤキのりんご』です。ご友人の方がパン屋さんを開店されるという事で、お店のオープン月の8月の『誕生木』である『ケヤキ』を選んでいただきました。『誕生木のりんご』という商品があるわけではないのですが、お客様が誕生木というエッセンスを『森のりんご』に振り掛けていただきました。お~ッ、これぞ待ち望んでいた『創作合体商品』!自分が蒔いた小さな種に誰かが水をかけていただいたような気分でとっても嬉しかったので、張り切ってレーザー彫刻してもらいました。

お店は2018年の8月に静岡県富士市でオープンされたパン屋『Pain de kafuu(パン・ド・カフー)』さん。そのお店の名前とお店の開店月をレーザーで彫らせていただきました。リンゴが球体なのであまり長い文字だと字がよれてしまうため3段組みにさせていただきました。オプションですがこういう事も出来ます。お店の名前の『Kafuu』というのは沖縄の言葉で、果報・幸せを表すそうで、『幸せのパン』という意味。富士市生まれで、大好きな沖縄に移住してたまたま務めてパン屋さんで虜となって、地元の富士市でパン屋さんを開くことになられたそうです。

沖縄のパンの酵母の中には人を虜にする秘薬が入っているようです。こういう人が作るパンって美味しいにきまっています。商売は扱うモノに惚れ込んだ者の勝だと思っています。いや、自分が売るモノに惚れ込んでもいないなら、それを売ったりしてはいけないのです。木の事を悪く言ったり卑下する材木屋がいるのは本当に情けない話です。店を支えるのは、これが好きだ~!という主人の一途で熱い思いで、それが商品にも必ず現れると信じています。Pain de kafuuさんの商売繁盛を、『ケヤキのりんご』ともども祈念しております。

 

Pain de kafuu(パン・ド・カフー)

定休日   日曜・第4月曜

 




すっかり材としての説明ではなく、新商品開発の決意表明のようになってしまいましたので、改めて材としてのメープルについて。弊社では北米産広葉樹などの平板(挽き板)に関しては、厚みが30~33㎜で仕上げる方が主流なので、基本的には厚みが6/4inch(約38㎜)のものを購入しています。ただしハードメープルに関しては、家具というよりは造作に使っていただくケースが多くて、それに対応するため少し厚めの8/4inch (役51㎜)のものを仕入れています。ただでさえ北米産広葉樹の中では重たい木なのですが・・・

しかし重たい木を動かしていると、「俺、今働いてる~!という実感があって、自己満足の世界観に浸ることができます。こうして梱包された板材が入荷すると、弊社はみぎひだりで卸すような会社ではないので、すべて梱包をさばいて1枚ずつ倉庫に立て掛けます。その際に、幅で分けたり、検品も兼ねて行って、現在どういう材を在庫しているのかということを頭と体に叩き込みます。ハードメープルは重たいものの(8/4なので猶更)肌触りが滑らかなのと、そげらも少なくて担ぎやすい木のひとつです

4,5年前までは無垢の白っぽいフローリングというとメープル(チャイニーズ・メープル)が主流でしたので、それに伴う玄関の框(かまち)もメープルで作らせていただいていました。今はフローリングも茶系から黒系が主流になっているので、出番としては枠材敷居鴨居、額縁、カウンターなどに加工させていただいています。チャイニーズ・メープルに比べると、俗に『カスリ』と呼ばれる緑~黒の筋が出にくいのと、木そのものが大きいので挽き割っても挽き反りしにくく、弊社においてはロスが少ない木です。

ハードメープルの魅力は、ツルツルした滑るようななめらかさと、美しく多彩な杢の表情です。中でも、1万本に1本現れるとも言われる『鳥眼杢(バーズアイメープル)』はその代表格で、まさに銘木の風格(プレミア36の1つです)。また、緩やかに流れるようなカーリー杢や小さな波状の縮み杢(キルテッドメープル)をはじめ、杢が鱗状になったり玉状になったりと、芸術的な表情を見せてくれます。梱包をさばいていて不意にそんな杢が現れたりすると、途端に肩に乗せた材が軽く感じてしまうのです。この項完了。




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