森のかけら | 大五木材


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以前に『都市林業』で手に入れたイヌマキ(犬槙)。地元の民家の庭に植えられていたもので、それほど大きなサイズではありませんでしたが、表面の凸凹が特徴的だったので、丸太を半分に割って皮を剥き剥きしました。伐採直後だったので面白いようにツルンと剥けるものですから、楽しくなって次々に剥いていたら結局全部剥いてしまいました。樹皮の下から小さくて鋭利な棘が沢山現れてなんともいえない趣きがあって独り悦に入っていました。他人がどう思うかではなく私がいかに楽しむか(笑)。

それが1年半ぐらい前の話で、イヌマキもすっかり乾いて軽くなりましたが相変わらずあれからずっと棚の中。オブジェとかにでも使っていただけるもの好きでも現れないかと思っていたら、遂にもの好き登場!船の模型を飾りたいので、海の波に見立てた木を探されているというお方。実際に模型を見せてもらったのですが、ご自分が所有されている船を友人が手作りしてくれたというものですが、これが緻密で精巧な出来栄えでディティールまで忠実に再現されています。

なるほどこれだけのクオリティであれば、波を模して飾りたくなる気持ちも分かります。という事で、それから小一時間ほど「雰囲気のある波の木」探しが始まりました。耳付きの板やら流木のような木、小枝の丸太、いろいろ出しては並べてみるもどれもなかなかシックリいかず。その中で波っぽさがあったのが、皮剥きのイヌマキ。端の薄いところでしたが凸凹感が面白かったので丁寧に剥いていたもの。船を置いてみると、荒れる波を乗り越えて走航しているかのような趣き。

今まで海とか波という見立てはしていませんでしたが、こうやって船を飾れば、今まで見えていなかった海感・波感が出現!飾られる船に相当引っ張られていますが、それまで迷走していたイヌマキに舞台背景としての役目を与えていただきました。見方によっては波のようにも海底のようにも見えますが、すっかり日も落ちて携帯のライトで照らせば更に雰囲気が高まったとご満悦の我々。この後、大工さんの手により微妙な調整がなされることになるのですが、イヌマキはこうして濤(なみ)になりました。




先日の『都市林業』で、松山市内の民間住宅の庭木として植えられたいたクヌギ(櫟)が伐採されたのでその一部を分けていただきました。クヌギの木とは結構ご縁も多くて、今までにも多くのクヌギの丸太が大五木材にやって来ました。その目的はもちろん『森のかけら』に生まれ変わるため。ですから小さなクヌギの丸太が1本もあれば十分に事足りるのです。足りるどころか1本の丸太から何百という「かけら」が取れれば、それだけで何年分もの「かけら」が確保できてそれ以上にクヌギの丸太は必要ないのです。

うまく取れればの話・・・それがうまく取れないから何本も何本も丸太がやって来るのです。まあとにかくクヌギは上手く乾燥させるのが至難の業。私に理論的な乾燥時術が欠如していて、経験と勘だけを頼りにしているというのが最大の問題なのですが、残念な結果を繰り返してきました。クヌギは乾燥に伴いねじれる性質があるのと、芯から放射状に深い割れが入ってしまうので、たかだか35㎜の「かけら」ですら取りかねるほどなのです。もちろん1個も取れないというわけではありませんが、歩留まりから言うと散々たる結果。

失敗の繰り返しの中で、45㎜ぐらいのオーバーサイズに挽いて乾かせるだの、先日の「カキ」のように小口に新聞紙を貼るだの、ボンドを縫っておくだのいろいろ試してみましたがどれもなかなか上手くいかず、どうにか「かけら」になった数倍、いや数十倍が無惨な結果となり、それは「夢のかけら」にすらなりえない代物でした。現在の『森のかけら』240種の中では、私にとって『もっとも乾燥させるのが難しい木』のひとつです。今回こそはといつも願うように乾燥させているのですが、どうしても上手くいきません。

そろそろ貴重なストックも残り少なくなってきたので、今回のクヌギには是非とも上手く乾いてもらいたい。そう思って準備をしていたら、言葉ではうまく表現できませんが、今回のクヌギは何か違う!というような感覚がありました。伐採した直後ではあるものの既に水分が少し抜けているというか乾燥が進んでいるというか、あくまで私の感覚ですが。それで触っていたら厚い鬼皮がポロリと剥がれました。それでちょっとノミを入れてみたら綺麗に剥がれたのです。これは何かの吉兆か~(笑)。鬼皮の無くなった姿がまるでブッシュ・ド・ノエルみたい!




どうも今年は『カキ(柿)』にご縁があるみたいで、またまたカキの木が弊社にやって来ました~!前回前々回のルートとは別の『都市林業ルート』から立派なカキの幹をいただきました。といっても庭木や街路樹の2次利用を考えている都市林業ルートなので、巨大なテーブルサイズの一枚板とか、銘木の誉れ高い墨流しのクロガキだとかいうものでもありません。量にすればわずかこれだけですが、こうしてご縁のあるところから少しずつ少しずつ集めていくというのが都市林業の本懐です。

活動の成果をすぐに数字で求めたがる傾向にありますが、植林された木を計画的に伐採する経済的な林業活動と違って、いついかなるタイミングで何の木がどれだけ伐採されるか分からない都市林業は、亀の歩みのごとく少しずつ少しずつです。それでもこうして材が集まり始めてきたという事は大きな前進です。私の場合は、『森のかけら』という出口があるので変わった木でも、それが少量でも受け入れやすいのですが、この出口を作るという事が材を集める以上に難しく、それこそがビーバーの使命。

このカキはいつもお世話になっている造園屋さんからいただいたのですが、どれぐらいのサイズをどれぐらいに伐っておけば加工しやすいかを把握していただいているのでとても助かります。しかもこのカキ、結構通直だったうえに伐採したタイミングがよかったのか、割ってもまったく挽き反りもなく、水分も適度に抜けていてコンディションも抜群!わずかな量ではありますが、今まで挽いたカキの中では最高によかった!「銘木的な価値」のよかったではありませんよ、あくまでも「かけら的価値」!

いろいろな樹種を扱うようになると、建築や家具的基準にでは見えない測れない価値が見えるように。今回は『森のりんご』サイズも確保出来ましたが今後の乾燥が重要という事でいつもは使わない「小口に新聞貼り」で割れないように願掛けをします。首位を独走するわが阪神タイガースにあやかり、デイリー新聞の佐藤と大山がアベックホームランを打った日の新聞を使用。これできっと上手く乾いてくれるはず。新聞を見て「これがOS砲の記念すべき1発目やったんだ~」と懐かしく思い返す頃が使い時です。




昨日に続いて危険な有毒植物キョウチクトウ(夾竹桃)のお話し。伐採して数時間というの新鮮なキョウチクトウの幹と枝をいただきましたが、結構な老木だったためか小口から樹液が滴り落ちるようなことはありませんでした。それでもよく見ると白い樹液が固形化したような跡が。この白い樹液が危険なのです!しかし、この木を『森のかけら400』にも加えるつもりならば、滴り落ちる「白い悪魔」の姿もカメラに収めたい!という事で会社に持ち帰って枝を切断。するとジワジワっと「白い悪魔」が樹皮の間から滲み出てきました。

その姿はしかとカメラに収めたものの、次はこれが本当にどれだけ強い毒性なのかを試してみたいという悪魔の誘惑が私の心を支配。だからといって直接触るのは危険すぎるので(造園屋さんは、伐採する時に多少腕とかにつくけど少し赤くなって痒くなるぐらいよ、と豪快に枝を掴んで渡していただきましたが、子供のころから「もち肌」で有名な私のデリケートな皮膚には脅威です。体に付着しないように切断面を下に向けて容器に「白い悪魔」を集める作戦を実行したものの、枝が小さかったせいか容器に貯まる前に樹液が固まってしまい計画失敗。

私があまりにヘタレすぎると思われるでしょうが、その毒にまつわる事故を挙げれば私の警戒心が少しはご理解いただけるかも。古くはアレキサンダー大王の軍が野営をした際に、この木の枝を串にして肉を食べたところ多くの兵士が死亡したという逸話に始まり(イメージをイラストにしてみました 笑)、1975年にはフランスで枝をバーベキューの串にして死亡する事故、1980年には乾燥したキョウチクトウの葉が牛の飼料に混入していて、それを食べた20頭の牛が9頭毒死した事故などがあります。日本でも西南戦争の時代には官軍の兵士がこの木の枝を削った箸で弁当を食べたら集団食中毒を起こしたという記録があります

ミステリー小説にもトリカブトと並んで、植物による殺人凶器として描かれることもあるほど恐ろしい植物なのです。そんな危険な木を学校教材にも使われる『森のかけら』に加えてもいいのかと思われるでしょうが、液汁は幹全体から出てくるわけではなさそうだし、完全に乾燥してしまえば大丈夫なのではないかと考えています。実際に乾かして様子をみてから最終結論は出しますが、木からすれば外敵からはわが身を守るための武器であり、その毒も使い方次第では薬にもなる(強心剤や利尿剤)ので、悪い先入観を捨ててフラットな気持ちで向き合ってみます。




念ずれば花開く」は、愛媛県の偉人・坂村真​民さんの言葉ですが、まさに思いは願っていれば叶うという事を実感する事がありました。いま取り組んでいる、世界一の多樹種の木カタログ『森のかけら400』に是非とも加えたいと思っているのが、国内最毒樹木ともいわれる『キョウチクトウ(夾竹桃)』。400種になるとかなりマニアックな木も含まれてくるのですが、その中でも強い毒を持つ木・キョウチクトウは話題性抜群。数年前にたまたまその端材を手に入れたのですが、その時からずっと思っていました、「いつかはクラウン、いや、いつかはキョウチクトウ。」

森のかけら』では、それぞれの木の解説文の原稿を書いているのですが(全400種を新たに書いてます)、背景の逸話には事欠かない木もあれば、わずか200文字を埋めるにも頭を悩ませるようなネタの少ない木もあります。そんな中でキョウチクトウは特集ページを組みたくなるぐらいエピソードも豊富で、どうやって200文字に凝縮させるかで苦労します。なのでここで説明する間でもなくご存知の方も多いと思います。問題は安定的に材を確保できるかどうか!ダメもとで造園屋さんにお声がけをしていたら・・・キョウチクトウ伐ったから取りにおいでと神の声!

今持っている端材では、かけら20個分もありませんので、さすがにいつか手に入るだろうの見切り発車は危険すぎて踏み切れませんでした。今回分けていただいたのは、個人の庭にあったのですが根が張りすぎて塀を倒しそうなので伐採したというものですが、根元の方だと直径300㎜を越えます。内部には多少腐りもあるものの、これだけの大きさがあれば『森のかけら』を作るには十分。注意しなければならないのはその毒性!心臓に作用を及ぼす強心配糖体という物質が植物全体に含まれています。

もっとも多く含まれているのがオレアンドリンという成分で、致死量わずか0.3mgという非常に強い毒性を持っています。インドや中近東原産の植物で江戸時代中期に中国から長崎に渡来しました。赤と白の花が美しく公害にも強いことから街路樹工場地帯の緑化樹としてあっという間に全国各地に広がりました。愛媛県内でもよく植えられていて、いつか伐採しないかと目をつけている場所はあるのですが、とても自分では伐採する勇気がありません。あまりの及び腰具合に、伐採された造園屋さんからは「樹液にさえ触れなければ大丈夫よ」と笑われましたが・・・




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