森のかけら | 大五木材


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今年の中学生の職業体験は、地元の鴨川中学校、内宮中学校、津田中学校の3校から延べ9人の生徒を受け入れさせてもらったのですが、そのうち1日は初めて顔を合わせた2つの学校の生徒が共同で作業に取り組んでくれました。ほとんどの中学生にとって馴染みがないであろう材木屋という職業に触れて、世の中にはこういう仕事もあるという事を知ってもらう事はとても意義があることだし、木のファンを増やすという弊社の命題に沿っても広義の意味での木のファンの種まき』になるとは思いますが、さすがにこのあたりが限界。

これ以上受け入れていると、何か別の組織でも立ち上げなくてはならなくなります(笑)。なので受け入れ数も、このあたりが限界かとは思いますがお礼の手紙とかもらうとついつい・・・。ところで、この職業体験については数年にわた受けさせていただいている事もあって、弊社の中である程度内容をマニュアル化しています。まずは早い段階で私の方から材木屋の仕事とか、大五木材が考えている事、そして大五木材という材木屋が業界の中でも特別で、この体験が決して材木屋のスタンダードの仕事ではない等の注意事項など説明します。

その後で彼らがどれぐらい木に興味があるのかを知るために、「今思い浮かぶ木の名前を挙げてごらん」という質問をするのが定番。今までの経験でいうと、スギ、ヒノキ、サクラ、マツ・・多くて7~8種類。まあ普通の中学生だとそんなものだと思います。一応、材木屋を選んで来てはいるものの、決して数ある職業の中からピンスポットで材木屋という職業を選んで来ているわけではなくて、建築とかものづくりに関する仕事というよな漠然としたイメージがあれば=何か関わりありそうだから大五木材に、という程度の理由なので特別木に対して興味があるというわけではありません。

ですから10種も出ればたいしたものだと思っていたのですが、今年の子どもたちにも同じ質問をしたら、意外や意外に木の名前が次々に!しかも『米ヒバ』だの『シラカバ』だの。えッ、もしや『さかなクン』的な人材の登場なのか?!一瞬驚きを覚えましたが、15種ぐらいで名前が出なくなりました。それでも十分凄いですが。よく知っているけど木が好きなのかと尋ねてみると、木が好きというわけではなくて、「ゲームで覚えた」との回答。詳しくは分かりませんが、木の素材を集めて家などを作るゲームアプリがあって、それで木の名前を自然と覚えたという事でした。

どうもそういうゲームが流行っているらしく、他の学校の生徒も同じような木の名前を出していました。バツが悪そうにゲームで覚えたんでと言ってましたが、それで十分!木に興味を持つ入口なんてなんだっていいのです!いろいろな種類の木があって面白いと思えば、もうそれで木の世界に入口に立っているのです。私もアカデミックな話は苦手で、桐は鳳凰の止まり木だと、お月様には500丈の巨大な桂の木が生えているとかいった伝説・伝承が大好き。面白そうと思った時、木の世界の扉は開かれる。そして一歩足を踏み出すのだ。気がついた時には、もう抜け出せない底なし沼に落ちている!

 




最近、地元の高校や大学と木の事で絡むことが多くなってきていますが、稀に県外からもお話をいただきます。先日は、東京の学校から弊社を見学したいとのご連絡をいただきました。このブログなどをご覧いただいての判断だと思われるのですが、たぶん100種を越えるような木材を扱っているという事でイメージとしては、地方で広大な敷地に膨大な在庫を持っている大きな材木屋とでも勘違いされているのかもしれません。以前なら現実をお伝えしてやんわりとお断りしたりしていましたが、勘違いだろうとそんな出会いでつながる縁だってあるかもしれませんので、ふたつ返事でお受けしました。

夕方に大型バスが到着。30数名の生徒がご来店。今回ご来店されたのは東京の『中央工学校』。問い合わせがあって、調べてみると明治42年(1909年)に設立され、今年で創立110年を迎える歴史ある学校でした。実務的な技術者を育てるという目的のために設立された学校で、建築やインテリア、家具、舞台TV美術、イベント設営、土木、測量、造園、CADなど学部も多彩でバリエーションに富んでいます。もし東京に生まれて、東京で少年時代を過ごしたら、もしかして私もこういう学校に進んだかもしれません。

むしろ今からでも社会人コースとして入学して舞台美術とか学んでみたいぐらい。自分の子どもが小さかった頃は、家族でよくいろいろなテーマパークに行ったりしましたが、そこで私は家族とは全く別の視点で華やかな施設を眺めていました。こういう華やかな舞台にも納品している業者がいて、その中にも材木屋がいるんだろうな。そしたらその材木屋は、今日は〇〇ランドとか〇〇スタジオなんて納品伝票も書くんだろうな~と。その当時は販売先がほぼ住宅分野にしかなかったので、そういう場所と繋がるのがとても羨ましく思えたのです。

当時は毎日毎日決まった取引先の大工さん、工務店さんに木材を販売する日々でしたので、そんなルーティンに飽きていたというか変化を求めてもいました。全然違う分野と繋がりたいという野望はあったものの、関わり方も作法も分らず悶々としていましたが、その後何がどう繋がってこうなったかもよく覚えていませんが、気が付いたら当時は思いもつかなかったような分野の、しかも遠方の方々と繋がってお仕事をさせていただいたりしているのですから不思議なものです。学生さんたちはそれぞれ倉庫の中や事務所を自由に見学。

中央工学校では、毎年全国のものづくりの拠点や産地などに見学に出かけられているそうで、今年は四国だったらしく、香川などを巡って弊社にもやって来られました。バスでの長旅と最後の見学場所という事で学生たちもかなり疲れている様子でしたが、いろいろ質問もあって興味深く木やクラフト細工を見てもらいました。いずれテレビや舞台を支える美術スタッフになる人もいるかもしれませんが、彼ら彼女らの目には木という素材はどう映っているのだろうか?ただのマテリアル(素材)としてではなく、そこに「生き物としても意味」まで見出してほしいなあ。

 




少し前に、地元の松山百店会発行の「松山百点」に、『森のかけら』など弊社の商品を掲載していただきましたが、その後冊子を読んだので来てみましたという方が結構ご来店いただきました。昨年、四国電力さんの広報誌『ライト&ライフ』に掲載していただいた後しばらくメディアの露出がなかったのですが、やっぱり時々はアウトプットして、木工ファンではない方へも「こんな事をしている会社がある」って事を知っていただかねばなりません。その「松山百点」のご縁で、株式会社えひめリビング新聞社大貝尚人社長からお声をかけていただき、久しぶりに講演をさせていただく事に。

全国に支店のあるような大手の大企や出先機関の支店長、所長の方々が愛媛に赴任期間中に親睦交流を深め、情報交換や人脈作りを目的として作られた愛媛県ふるさと会』という会があるのですが、そこで1時間程度『木の話』をさせていただく事になったのですが、その名簿を見せていただくと、誰でも知っているようなビッグネームがズラリ。こんな方々に対して、けもの道を往くような零細材木屋の話ってどうなんだろう・・・なんて事は微塵も感じません!そんな機会を与えていただいた事に喜びを感じながら、張り切って資料作り。

今まで学校などで木の話をさせていただきましたが、内容を既定の時間内でキッチリおさめて話すなどという芸当はとてもできない性分なので(というか原稿など書かない)、多めにネタを用意しておいていけるとこまでいくという無計画講演。パソコンやプロジェクターを使うと、操作に不慣れで気を取られてタイミングが変になるので、あまり使ってこなかったのですが、やはり木は五感で楽しむものですから、視覚からも知っていただかないと飽きるだろうと今回は写真を整理してスライドショーにして、レジュメもどきも作ってみました。

しかしながら結果的にはそのレジュメの半分もいかず途中で無念の降板となってしまいました。やっぱり脱線が多すぎて、考えてみればこの内容全部喋ろうと思うと2時間でも足りなかった!不慣れなスライドショーも手間取って話はガタガタでしたが、とっても熱心に耳を傾けていただき感謝しかありません。ほぼ笑いも反応も無かったのですが、それは真剣に聴いていただいていてのだと自分の中では理解。続く懇親会では一転して大いに盛り上がりまして、個人的にいろいろと木についてのご質問もいただきました。

こちらからしてみればこんな大企業の一支店だけでも何か木のモノを取り入れていただいたり、一緒に木のイベントをさせていただくだけでも反響は大きいと思うので、小さくてもいいので何か少しでも木に興味・関心を持っていただけないかと『誕生木ストラップ』をお配りしました。モノで釣るという嫌らしいおとなの作戦で少しは皆さんも木にご興味を持たれた様子(笑)。建築ではない木の出口に、そして吹けば飛ぶような例材材木屋にも少し風が吹き始めている気がします。本当に吹き飛ばされないように足を踏ん張っとかないと!!

 




私が陰陽師を意識するようになったのは大学生の時にある小説を読んでからです。その存在そのものが妖怪とも言われる知の巨人・荒俣宏が持てる知識を結集させ渾身の思いを込めて描いた小説デビュー作『帝都物語』。平将門の怨霊により帝都破壊を目論む魔人・加藤保憲とその野望を阻止すべく立ち向う人々との攻防を描いた壮大な物語です。昭和時代の最後に出てきたトンデモ小説に私の心は鷲掴みにされました。全巻揃えると背表紙に『帝都物語』という言葉が現れるのが楽しみで、勿論外伝も含めて全巻揃えて何度も何度も読み返しました。

私の周囲のSF好きはみんな読んでいました。男の子がはまる要素が至る所に散りばめられていて、陰陽師という言葉も、風水師水虎、式神なんて言葉もこれで覚えました。魔人・加藤保憲と戦うのが、スーパーマンみたいな超能力者ではなく渋沢栄一、寺田寅彦、幸田露伴といった実在した人物という設定も面白かったです。小説は大ヒットして、しばらくしたら映画化されることになりました。それがまた更に私の心を揺さぶることになるのです。話があまりに壮大なため、映画化されたの前半部分だけでしたが、脚本を手掛けたのは当時新進気鋭の映像作家、林海象。

『夢見るように眠りたい』というモノクロのサイレントムービー(部分的には台詞あり)を作った新世代の映像作家。イラストレーターの和田誠さんが描かれたチラシも素敵でした。さらに監督は、かの実相寺昭雄!子供向け番組のウルトラマン、ウルトラセブンに斬新なカメラアングルと哲学を持ち込んで当時の少年たちを理解不能なワールドに迷い込ませた張本人(賛辞です!)。キャストも勝新太郎、嶋田久作、原田美枝子、坂東玉三郎、平幹二朗、宍戸錠、中村嘉葎雄、大滝秀治、西村晃など豪華!製作費も当時破格の10億円。これは一体どんな作品になるのだろうか?!と観る前から否が応にも期待感のハードルが上がります!唯一不安だったのは魔人・加藤保憲を演じる嶋田久作という俳優がこの作品が映画デビューだったということ。ところが映画を観たら、その独特の風貌はもうこの役のために生まれてきたのではないかと思うほどのはまり役でした。

その後もしばらくはその印象が強すぎて何の役をしても加藤保憲にしか見えませんでした。映画では平幹二朗が雰囲気のある陰陽師を演じていましたが、他にもオカルティスト大集合の忘れらない異色作品となりました。このあたりから、全体的にバランスのいい映画よりも、何か一点突破で突き抜けたような映画に惹かれるようになりました。おお、ここにも今の変態材木屋の種があったか!学生時代の思い出をこんな形で綴れるなんて、材木屋は素敵な商売(^^♪ これも陰陽師のお導きかもしれません!?

 




昼休みを紫電改展示館で過ごしたので、少し遅めの昼食を、県道沿いの飲食店に入ったところ、たまたま隣の席に座った二人連れのうち、年配の方が話しかけてこられました。「おたくら材木屋さん?」私たちが大五木材の社名の入った3t車から降りて来るところを見られたので、木工好きで話好きな人かなと思って、こちらも軽い気持ちで受け答えしていると、この人が実はとんでもない方だったのです。ご自身は高知県の大工さんで以前は松山にもよく仕入れや現場で来ていたとのこと。今日は体調がすぐれないので病院に行った帰りだという事。そんななんでもない話が続いていました。


まあ、この辺りの方だとご縁もなさそうだけど折角なんで名刺でも交換させていただこうとしたら、その人が「大工とは別にこういうこともやってるんよ」とある名刺を差し出されました。その名刺に書かれていて肩書は、「陰陽師」!知らない人がいらっしゃるかもしれないので軽く説明すると、陰陽師(おんみょうじ)とは、古代日本の律令時代に陰陽道に基づいた呪術や占術を行い、国の祭祀を執り行ったり、未来を占ったり、願望成就や厄災祓いを行ったりする職に就いていた人を指します。後には陰陽道に関する行事をつかさどる職の人後に、民間にあって加持祈禱(じきとう)を行う者もそう呼ばれるようになります。平安時代の陰陽師・安倍晴明は、映画や小説にもなっていてよく知られた存在です。

小説や映画では陰陽師が、呪文を唱えれば超人的な能力を発揮能力者として描かれることが多いので、こういう話ってどうしても眉唾な話として語られることが多いのですが、私はそういう話が大好きなので名刺を見て一気にテンションが上がりました!現代においても陰陽師の肩書を持つ人がいらっしゃる人がいるのは知っていたものの、実際にこうしてお会いするのは初めてだったので、木の話の時以上に興奮しながら、矢継ぎ早に質問を浴びせ続けました。その方の家がもともと高知で由緒ある神社で、跡継ぎになり修行をして陰陽師になられたのだとか。

それで大工にもなりたかったので、大工兼陰陽師となり、その関係で神社などの建築にも数多く携わってこられたそうです。それほど信仰心が無いような人でも、家を建てる時には風水や鬼門を気にされるように、昔から日本人はここ一番という大切な時は見えざる神力に頼ってきました。なので陰陽師が大工さんで家を建てるというのは理に叶っているし最強の組み合わせだと思います。にも関わらずどこか怪しげに聞こえてしまうのは、やはり小説や映画の超人的能力を持つ陰陽師というイメージのせいだと思われます。いろいろと実に興味深いお話を聞かせていただきました。続く・・・




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