森のかけら | 大五木材


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端材コーナーをリニューアルしたこともあってか最近少しずつ木を求めてご来店いただく一般の方が増えています。一般の方の中に混じって稀に『本物』な方がいらっしゃるので油断できません。ここで言うところの『本物』は、プロの建築家とか木材の専門家という事だけではなく、木の事を仕事にしているわけではないけれど木の事が好きで好きでたまらなくて、個人的にいろいろ調べて専門書なども読み込まれていて、誰に頼まれているわけでもなく、ひたすらに個人的な趣味で木の事に精通されている方。こういう人は怖い。

職業的に木の事を求めた来られる方は、それなりに『落としどころ』が分かっているのですが、趣味嗜好で木が好きな人はもっと深いところで木と繋がっていて、その思いもピュアで打算的なところがないので、上っ面の木の話では満足されなくて、こちらも数段階ギアをあげた超本気モードになれねばなりません。単なる知識や情報を超えた思いや愛情で木を求めらる場合、こちらも相応の覚悟を持って話さなばなりませんし。そういう人って何の予告もなくぶらりとやって来られて、最初は口数の少ないお爺ちゃんかなと思っていたら、ポツポツと木に対する思いを語り始め・・・

若い頃に行った御蔵島のツゲの木が・・・」とか「できれば綾のケヤキが・・・」なんて言われて、「しまった!本物や!」と気づくのですがで時既に遅し。本物相手にレベルの低い話をしてしもうた~と、こちらも自分の刀で心に深手の傷を負ってしまっています。本物のひとの言葉って飾り気が無い分、ひと言がひと言が重たい。決して知識をひけらかしたり、専門用語でごまかしたりせずに木への愛情を語られるのですが、嗚呼やっぱりそこが大事だよな~と反省させられます。と言いつつも緊張感漂うそんな抜き身のやり取りも楽しいところなのですが。

一方、その逆で「私、木の事にかなりうるさいんですけど、おたくにこんな木ってありますか?」なんてにやけた笑いをしながら来店される方もいらっしゃいます。(そのままズバリ書くとさすがにアレなので多少脚色しますが)そういう場合、こちらも「無謀な道場破りが来た~!(嬉)」と内心ニヤニヤしているのですが、必死に笑いをこらえて低姿勢でお話を伺います。恐らくネットや専門書を必死で齧ったと思われる専門用語を駆使されますが、少し話を訊けば底の浅さはすぐにバレます。それでもなるほど~とか、博識ですね~と心の無い相槌を打ちながら泳がせてどこまで語るのか聞き出します。

若い頃なら化けの皮が剥がれるまで相手にたっぷり喋らせて、ここぞとばかりに足腰立てないように論破することもしばしばでしたが、最近はすっかり寛容に受け入れることが出来るようになりました。こちらとて知識や情報のつぎはぎのあげ底で木を語っているに過ぎず、逆に本心を出していない相手に試されていて、心の底で笑われているかもしれません。進めば進むほどに木の世界は広くて深くて混沌としていてゴールが無い。私が一生かかっても知ることの出来るのは葉っぱ一枚にも満たない。だからせめてその葉っぱが、こちら側からだと怪獣の形にも見えたりするんですよ的な事でもお伝えできればなと。

 




シガーボックスの最高級素材として葉巻の愛好家にはよく知られている『セドロ』(センダン科)は、雑誌などでシガーボックスが取り上げられるたびにネットから材の問い合わせがあります。私自身は煙草を吸わないので、実はその特性を『読んで、聴いて知っている』だけで実感はないのですが、葉巻の愛好家に言わせるとシガーボックスはセドロ製でなければならないそうです。いろいろな特徴のある木を販売していながら、その効能や性質を直接体感・理解していない事も多くて恥ずかしいのです。そんなセドロですが、私には縁遠いもうひとつの有名な出口があります。

それは『楽器』。特にクラシック・ギターのネックとして有名です。私はギターの演奏はおろか音楽関係には非常に疎くて音痴なので、ここでもセドロでなければならな希少性がよく理解できていなくて申し訳ないのですが、その道の方なら誰もがセドロの名前はご存知だとか。楽器の分野では、セドロというよりも『スパニッシュ・シーダー』の名前で知られているかもしれません。前にも書きましたが、シーダー(スギ)の名前がついているもののれっきとた広葉樹。削るとスギに似た匂いがするのでそう呼ばれています。

セドロの産地は中南米、弊社の持っているセドロはブラジル産です。にも関わらず『スパニッシュ』と名前についているのは、この地がかつてスペインの植民地であったため。征服者たちの嗜好品として愛用されたことからその名がつき、世界に知られ使われることとなったのですが、現在ではほとんど流通していません。弊社の在庫も後わずかですが、そもそも建築資材としてもニーズはほぼ無いので、セドロ指定で問い合わせが入るのは、前述のシガーボックスか楽器材としてのみ。そのため出て行く量もわずかなので、どうにか今まで延命してきたというわけです。

シガーボックスとギターという用途には一見すると関連性が無さそうに思えますが、煙(香)と音に大切なのは優れた調質性、そして虫などに対する防虫性。古代のマヤ人は、この木でカヌーを作っていたそうですから、マヤでは古来からセドロの防虫性に気づいていたと思われます。それでも材を検品していると、ところどころに小さな虫穴を見つけますのでやはり蓼食う虫は好き好きなのでしょう。そのセドロに先日、音の分野からお声がかかりました。ギターのネックとして使うので探されていたとの事。

カウンターにするような大きめのサイズのセドロの板を一枚ご購入していただきました。お買い求めいただいたのは、兵庫県の篠山市でギターの製作販売をしていらっしゃる楽器工房Kiyond田中清人さん。ご指定サイズにカットしてお送りすると早速加工して画像をSNSにアップしてくださいました。セドロは軽いので結構大きなサイズでも宅急便で運べるのがありがたいところ。田中さんのお眼鏡にもかなったようで、倉庫で埃をかぶっていたセドロが、演奏会などの晴れやかな舞台に立つことが出来る日も近いかも。木を活かすには、活かせる人と繋がれるかどうかにかかっています。

 




最近よくご来店いただく若いカップル。いずれ大好きな木工の世界で生きていきたいという事で、おふたりで仲良く楽しそうに端材を物色されます。少し硬めで色味の濃い材を探していたようで、それで何を作られるつもりなのかと訊ねたら、ナイフの柄にしたいとの事。それならばとお薦めしたのが、弊社の誇る強烈個性軍団サッチーネパープルハートレースウッド。こんなの見たことない~!と、期待通りの反応を示して喜んで買っていただきました。最近、こんな感じで新規の一般の木工愛好家の方のご来店が増えております。

それから数日して再びそのカップルがご来店。前回買った材でこんなのが出来ましたよと見せていただいたのがこちら。これだけだと刃がついていないので分かりにくいかもしれませんが、ボルトを外して刃を中に仕込みます。かっちょいい~!ナイフやら刃物に疎いので詳しい事は分からないのですが、シルヴェスター・スタローンが『ランボー』で使っていたようなサバイバルナイフであることは分かります。実際に握らせてもらいましたが、これなら私でも『怒りの脱出』が出来そう!いつもの銘木も、こうして見ると別物のように見えます。

日頃から『新しい森の出口を探す!』なんて大仰な事を言っているのですが、悠久の歴史の中で試行錯誤を繰り返し、それぞれの分野の中で最適材を見出してきた先人たちの「見落とし」なんて、なかなかあるものではありません。まったく新しい出口というよりは、小さな出口を少しだけ広げる(流通や価格等の問題であまり試されていなかった材を試すとか)ことに自分がいかに関われるかという事が現実的だと思います。ナイフだっていろいろな木で作られていて、こういう銘木ナイフだって存在していると思います。要はいかにそこに大五木材が関わっていけるか。

今後建築材料としての木材が飛躍的に伸びていくことは考えにくいし、もしそうなったとしてもそこは魑魅魍魎のレッドオーシャン。スーパーニッチの材木屋が進む道はそこではなく、小さな離れ小島のブルーオーシャン。小さいながらもキラリト個性が光る木のものづくり世界こそが、スーパーニッチの生きる道。人も踏み込まないような世界だからこそ、まだ見ぬ恐ろしい獣たちと戦うためにもこんな切れ味鋭いサバイバルナイフが必需品となるのです。スタローン、銘木ナイフでもう一回老骨に鞭打って戦場に赴いてもらえないかしら。

 




そこから、まだ持っていそう製材所や問屋さんに手当たり次第連絡したもののどこにも無い!そして遂に弊社の『ロシアンラーチのかけら』も底を尽き、それから今日まで長い期間にわたって再会することがなかったのです。そしたら数か月前のこと、金沢の㈱ムラモトの営業の水野斉から、もしかしたらあるかもとの連絡がありました。さすがは業界有数の変態さん、マニアックなネットワークをお持ちです。水野君のお陰で数年ぶりにロシアのカラマツと感動の再会を果たすこととなりました。いや、正確に言えば、「数年ぶりにロシアのカラマツの野縁と感動の再会をした」のです。

というのも、ロシアカラマツロスト期間中もロシアカラマツのフローリングやパネリングなどは通常通り入荷していました。それを見ながら、あと数センチ厚ければと臍を噛んだものです。それはともかくこうして再会できたのは水野君のお陰。持つべきは変態友!入手できたとはいえ、生材ですのでこれからじっくり乾燥させてから加工しますので、【森のかけら】にロシアンラーチが復活するのにはもう少し時間がかかります。しかしこれからは第二、第三のロシアンラーチが出てくるのは間違いない。そこで頼りになるのは水野君のような変態仲間。【森のかけら】の半分は、マニアックな材木仲間の思いやりで出来ています

カラマツという木そのものについて言うと、数年前に初めて愛媛にもカラマツが生えているのを知ったぐらいで自生していることを知ったぐらいで、愛媛においてはカラマツはほぼ認知されていない木でした。10数年前に木童さんと出会い、長野県産のカラマツに出会い、経年変化で飴色に変化していく姿に魅了されました。それから5,6年ぐらいしてからフリーリングやパネリングとしてロシア産のカラマツを知ることになります。調べてみると、北洋材の基地と呼ばれた富山県では、昭和和30年に初めて北洋材を輸入されたようです。もっとも早くロシア材(当時はソ連)を輸入したのは静岡県の清水港

最初の富山の入荷量は約4千m3。その後、富山新港が新たに整備されたことなどから、ロシア材の輸入量は大幅に増加して、昭和48年には180万m3を越えるほどになったようです。なので東日本においては昔から馴染みがあった樹種だと思いますが、運賃の問題もあって、瀬戸内海が橋で繋がるまでは四国にはほとんど入って来ませんでした。初めてカラマツを見た時は、節の大きさこそ小さいモノの、どんだけ節のある木やねん!って印象でした。それはお客さんも同様で、カラマツを認知してもらうまでに随分時間がかかりました。今でも初めてカラマツを使っていただいた現場の事は経緯も含めてよく覚えています。

何はともあれ、しばらくの間「欠品」していたロシアンラーチのかけらが補充された事はありがたい。ときどき、【森のかけら】をコンプリートしたいという猛者が現れるのですが、そのたびに「申し訳ないのですが、ロシアンラーチだけは入荷見込みが無くて・・・」とお断りを入れるのが辛かったのですが、ようやくそれからも解放されます。世界の240種はこれで、供給不安のある木はあと数本になりました。いずれそんな木たちにも、「あなたが失った木はこれではないですか?」なんて樹神(水野君?)が湖から現れるのではないかと妄想の日々。

 




先日、神戸の娘のところに行った際、道路の混んでいない早朝に出発したこともあり、早々に予定よりもかなり早めに到着して用事も早々に終了。用事が済めば家内は娘と神戸市内にショッピングに出かけるので、私には自由時間が与えられることになり、京セラドームで開催される阪神VSヤクルトの開幕カードの第三戦に行けるチャンスが突如巡ってきたのです4月16日に松山の坊ちゃん球場で開催される阪神VSヤクルト戦(残念ながら今年は1試合のみ)のチケットは当然抑えているものの、まさか京セラの開幕カードに行けるとは思ってもいなかったので、これはまさに僥倖!

浪速のなぐり王子』こと橘明夫君(橘商店)たち大阪の材木屋の虎党が開催している、開幕カードを京セラで応援する会に毎年声をかけてもらっているものの、その時期に泊りがけで大阪に行く都合がつかずいつも断念していました。今年も羨ましく参加状況を眺めていたのですが、まさかの「神戸に日帰りで行かねばならない状況」が発生。ただし、既にそちらの方は既に定員となっていたので、個別にチケットを手配。今時なんで、ドタキャンした人がネットでチケットの売り買いをしているので、1人席ならどうにでなるのがありがたいところ。運よく前列の内野席を確保!

これはもう、最近心を入れ替えて倉庫の掃除をまめにするようにしているので、かけらの神のお導きに違いない!いや、これこそ長女からの少し早めの誕生日プレゼント!そう言い聞かせて、早朝より車を走らせてきたのです。家内と長女と一緒に神戸市内で昼食を済ませた後、私は独り電車で京セラドームへ移動。大阪に来た際にはその独特の球場の屋根を横目に見ていましたが、入城するのは初めて。地方から野球観戦に来る者にとっては、4時間かけて大阪まで来てからの試合中止はかなりのショックですから雨でも試合が流れないドーム球場は本当にありがたい。

今年は西ガルシアなど協力投手陣の補強に成功したものの、相変わらず糸井福留頼りの打線が心配ですが、勝ち負けだけにこだわらず1年間ゲームを楽しみ、仕事をする張り合いにしたいと思っています。野球界でもいろいろと移籍がありましたが、身近な木材業界内でも違う会社に移った人、退職された方、新しく仕事を初めた人、違い職種に畑替えした人などさまざま。それはうつものことながら、今年は長女の就職の事もあって、「新しい舞台に立つ」人の事が特に気になります。どんな場所にもよき友、よき理解者は現れる。人生到るところに青山あり

 




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