森のかけら | 大五木材


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さて、そういうわけで妖怪と精霊の棲む島パプアニューギニア(以下PNG)からはるばる日本にやって来てくれた南洋材の木の話です。先にお断りしておきますが、PNGの木の事でテンションが上がっているのは私だけで、木材業界的にはPNGの木が珍しいとか、プレミア感があるとか、高く売れるというわけではありません。むしろその逆で、今までも輸入され続けて来ているのですが、ほとんど注目を浴びる事も無くひっそりと流通されてきたというのが現状です。なので個別の名前で呼ばれる事すらなかったのです。

木材関係者の中でも南洋材を扱った事がない人は聞いたことがないかもしれませんが、南洋材には『M.L.H(エルエムエイチ)』という名前で呼ばれる木があります。これは特定の木を指し示す名前ではありません。Miscellaneous Light Hardwoodsの略で日本語に訳すと「雑軽軟広葉樹材」という意味になります。膨大な樹種を内包する南洋材において細かく樹種を分類することは非常に困難です。輸入された南洋材は、一般社団法人・日本貨物検数協会で1本ずつ計測され、樹種、グレード、欠点(損傷)が判定されます。

それを元に検量証明書が発行されて取引されることになります。その際に特徴が少なく樹種が特定できない木、樹種が確定してもあまり価値がない木については、まとめてmiscellaneous(種々雑多な)としてまとめられてました。当初は軽軟な木が対象だったので、light(軽軟)がついていましたが、その後重たい軽いに関係なく、ひっくるめて雑木という意味で名前の特定されない木、その必要が無い木を現わす名前としてM.L.Hという言葉が使われるようになりました。名前は特定されても取引上、それが求められない事も。

余程でない限り検数協会では樹種名はつくのですが、商取引の際には細かな名前は必要ない事があって、その場合はまとめて樹種名はM.L.Hとされます。例えば、梱包材やパレット材など一定の強度さえ確保できれば樹種にはこだわらないという場合、個別名は重要ではなく樹種名は記号的な意味合いしか持っていません。その出口においてはあまり価値がないかもしれませんが、別の出口に繋がれば、今まで気づかなかった違う価値が見つかるかも!ならばそれを見つけるのが、『かけらトレジャーハンター』である私の役目!




現在240種の『森のかけら』を世界最多の木材標本とすべく400種に増やす計画ですが、そのために踏み込んだのが、まだ見ぬつわものどもが数多く眠る禁断のエリア「パプアニューギニア(以下PNG)」!もちろん実際に行ったこともなければその文化や知識もほとんどありません。わずかに知っている事といえば、深い森の中にはいまだに妖怪や精霊が棲むと言われている事ぐらい。漫画家の水木しげるさんは若い頃に太平洋戦争に招集され、激戦地であったニューブリテン島(PNG)の最前線に送られ地獄を見ます。

そこで奇襲攻撃に遭い分隊は全滅。水木さんも左手を失いますが奇跡的に生き延びます。生死をさまよった日々の中で水木さんは魔訶不思議な体験をし、それが後に『ゲゲゲの鬼太郎』を生み出すファクターとなっていくのです。ニューブリテン島には沢山の精霊が宿っていて、現地の人々たちはその存在を信じていて(というかごく当たり前に共存していて)色とりどりの仮面や装飾具をつけて精霊たちの姿を表現し歌い踊る文化が根づいています。

私は木の話をさせていただく際に、単にその強度や比重、などの外的特徴だけを語るのではなく、その木がその地でどういう風に呼ばれ暮らしの中でどう関わってきたのか、加工され何にどう使われてきたのか、あるいはその木にまつわる伝承や逸話、そういった『その木から産み落とされたあらゆるモノ・モノガタリ』について語りたいし、なにより自分が知りたいのです。そういう記述には事欠かない日本の木に比べて海外の木はそういう話が少ないのですが、中でも東南アジアの南洋材はその辺りの情報がかなり少ない・・・。

これは東南アジアに限ったことでなくて、アフリカや中南米などでもそうです。硬ければハードウッド、やわらかければソフトウッドでいいじゃないかという文化と、桑は桑でも御蔵島の桑でなければ江戸指物とは呼べない!などとわずかな木の特徴の際に強いこだわりそこに価値を見出し連綿と継承してきた日本の文化の違い。世界的に見ても日本人の木に対する執着心は異常で、だから『森のかけら』のような変態的商品も生まれるのです。という事でこれから神秘的なPNG生まれの木たちを不定期で紹介していきます。




先日、数年ぶりに商品を海外に発送。すっかりEMS(国際スピード郵便)の書き方も忘れるぐらい久し振りの「輸出」でした(笑)。今回のお届け先はタイでしたが、送料¥2,400。EMSは、世界120以上の国や地域に低価格で迅速に荷物や書類を送れるありがたい国際郵便サービスですが、送れる上限があって、地域によって条件が異なります。タイは、縦×横×高さの三辺の合計が1m以内。送るモノのサイズにもよりますが、タイまで¥2,400って、考えたら相当安い。海外販売って大仰に考えがちですが、送料だけ考えたら案外ハードル低い。

 

EMSだと最大で30キロまで送れるので、【森のかけら】も問題なく送れます。今まで、通常の箱入りの状態の【森のかけら100】を海外に発送したことはなかったので、実際どれぐらい送料かかるのか計算してみました。中身のセレクトにもよりますが、桐箱に入れた状態で重量はおよそ2~3キロ。とりあえず2,500gで計算してみると、EMSで台湾、中国、ラオス、ベトナムまで¥3,800。ニューヨーク、ドバイ、ニュージーランド、アラスカまで¥5,200。イタリア、オーストラリア、ロシアまで¥5,800。南アフリカ、アルゼンチンまで¥8,800。

(さらに…)




本日もオランダ生まれの木製バランス遊具『Wobbel(ウォーベル)』についてです。国内外のおよそ270種の木を扱っている(量の大小ははさておき)お陰で、それぞれの産地の事も調べたりするので、実際にはその地を訪れたこともないのに地図旅行ならぬ『かけら旅行』で、世界中を巡っています。国内の場合は仕入れも含めて主要な産地には足を運んでいるものの、海外となると恐らく今後も行ける機会はなさそうなので、【森のかけら】が私を世界と繋げてくれる貴重なツールなのです。

一般の方は意外に思われるかもしれませんが、ヨーロッパから日本に輸入されている木材も多くて、弊社の取り扱いがあるだけでもロシア、ドイツ、ウクライナ、クロアチア、スウェーデン、フィンランドなどがあり、それらの地域からオウシュウアカマツ、メープル、バーチ、ヨーロピアンビーチ、ドイツモミ、レッドウッド、ウォールナットなどが輸入されています。目の前には遥かヨーロッパから8500キロもの長旅に耐えてやって来た異国の木々が並んでいるわけですが、それが日常の光景なので、その距離感に思いを寄せる間もありません。

その国から産された木材を仕入れるという直接的な繋がりだけでなく、知人が居るとか、その国にうちの商品を届けたとか、ある木がその国と深く関わりがあるとか、そこまで幅を広げるとイタリアイギリス、フランス、ベルギーなど更に『かけら世界旅行』の中での「関係国」は増えるのですが、Wobbel(ウォーベル)発祥の地・オランダとは不思議とご縁がありませんでした。糸ほどの繋がりを考えてみても、行きつけの散髪屋さんにオランダの留学生が来ていたことぐらい(笑)で、オランダ産の木材というのにも今まで出会ったことがありません。

私のイメージがあまりに貧相ですが、オランダといえばチューリップと風車。木に絡むものでいえば、アルプスの少女ハイジに出てくる木靴。あまりオランダ=木というイメージが結びつきにくかったのですが、当然沢山木はあるわけで、こうして楽しい木製品も出来ているわけです。最近、何か1つの現象が現れると、それに引き寄せられるようにそれに関係した事象が集まることが多いので、もしかしてこのWobbelがオランダの木との呼び水となるのかも?!などと密かに期待しつつ今日も背中のストレッチに使わせてもらっています。

それにしてもこの商品は面白い!使い方自由というところが子どもに想像力を与えるし、やらされている感がまったく無いのもいい。乗ってバランスをとれば体幹が鍛えられるし、丸まって寝転がっても気持ちいい、裏のウールフェルトも色鮮やかなので置いておくだけでもインテリアにもなるという優れもの。いつも念仏のように『木の出口』と唱えていますが、こういう木の商品に出会うと既成概念でガチガチに凝り固まった自分の頭の固さが情けなくなります。誰もが無条件に楽しめてシンプルで可愛い木の出口、発想の柔軟さが素晴らしいです!!

 




この数日間、映画『シェイプオブウォーター』の事について書いてきましたが、本日は久し振りに木の話。この映画に登場する半魚人は、アマゾン川にいて、現地の人々から神のように崇められていたという設定でしたが、私は行ったことがないもののアマゾンにだったらこういう異形なるモノがいたって不思議ではないと思ってしまうほどに、アマゾンは大きくて深い(聞いた話ですが)。今の若い人だとアマゾンと聞くと、ネットのAmazonをイメージするでしょうが、昭和40年代男子は仮面ライダー・アマゾン

あの迷彩色のボディスーツにアマゾンの大密林を重ね合わせた小学生たちは数多い。そしてアマゾンの恐ろしさ、奥深さを頭に叩き込まれたのです。またあるいは久米明の重厚なナレーションが懐かしい「すばらしい世界旅行」。いずれにせよ、行ったこともない異国のブラジルに流れる巨大な川と、野生の動物たちが暮らす鬱蒼として広大なジャングルに我々の心は鷲掴みされ、いまだに人の目に触れることのない未確認生物がいたとしてもなんらおかしくないという確信が根付いたままに大人になっていったのです。

それから数十年、まさか自分がそのアマゾンから運ばれてくる木を買ったり売ったりするようになろうとは青天の霹靂。今弊社ではアメリカをはじめ沢山の国で採れた木を取り扱っています。『世界中の木を見てみたい、触ってみたい』という好奇心が、世界の国の木を手掛けるようになった理由ですが、なかでもとりわけ行ってみたいのがアフリカとアマゾン。リアル生物が苦手で暑さにも弱い者としては、どちらもかなり厳しい環境ではありますが、死ぬまでに、いやこの仕事をしている間に一度は行ってみたい場所。

今日もウッドデッキの注文が入り、アマゾン産の『マニルカラ』を動かしていたら、やっぱりこの木が実際に立っている場所でその姿を見ておかないと、簡単に曲がりがダメとか、反っていないモノを持ってこいという声に対して説得力のある言葉が出ない。資料や情報はあるので、言葉の上だけでならどうでも説明はできるものの、あの場所で生きてきたこの木に対してそれではあまりにも言葉が軽いのです。ボタン一つで届かないモノの中にこそ本当の価値がある。まずはリアル生物に馴れることから始めようかしら。




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