森のかけら | 大五木材

弊社もそうなのですが、今月が決算月という会社は多く、年度末ということもあって何かと慌ただしい3月ですが、それに伴って【森のかけら】への注文も増加しています。オンラインショップをリニューアルしたことで、そちらからの注文も順調に増えていますが、直接弊社に問い合わせ電話(またはメール)もそれに比例して増えてありがたい限りです。しかし油断していると、『かけら』の補充がおろそかになってしまい、いざ出荷しようとした時にそれに気づいて大慌てすることもしばしば、毎度毎度の繰り返し。

何度も何度もそんなタイトロープ(綱渡り)を経験してきたので、普段からきちんと整理しておけばいいだけの事なのですが、喉元過ぎれば熱さ忘れるという能天気な性格なもので、我ながら反省がない・・・。ちなみに【森のかけら】はどういう状況で保管しているかというと、240種+プレミア36+αの約280種ほどの樹種がそれぞれ10個ずつ収納できる専用の棚を作っていて、とりあえず急ぎの分はすぐに取り出せるようにしています。そこに収まらないものは樹種ごとに分けて別のところに保管しています。

なにしろ種類が多いので、1樹種100個の在庫(それだけで考えるとちょっとなんですが)で全種あるとすると単純計算でも3万個近いになります。実際には、品薄でわずか数個しかないものもあれば、数百個あるものもあって3万どころではないのですが・・・。もっと均等になるように在庫すればいいじゃないかと思われるでしょうが、基本的に『端材ベース』の商品なので、端材が発生した時にここぞとばかり作ってしまったり、原料の端材に節が多そうだから、多めに作っておこうかという老婆心が過剰に作用。

不足気味な樹種はその都度追加加工しているのですが、その整理がなかなか追いつかず。今日は久しぶりに自ら収納棚に「かけら」を詰めました。そうして時々はどれが多いか少ないかを目と体(触る)で体感しておかないと、倉庫を整理した時にたまたま出会った不足気味の『かけらの素材』とニアミスしてしまうことがあるのです。それぐらい覚えておけよと思うのですが、年々記憶があやふやになりつつあって、同じ木ばかり加工してしまうことがあって、網膜と脳髄にしっかり刻み込むためのトレーニングでもあります。




六甲山のアセビからは『森の毒りんご』が生み出されましたが、黒田慶子先生は神戸大学の構内で伐採された『エノキ(榎』を自分たちで乾燥させて、オーダーキッチンの突板にされました。その経緯については黒田先生のブログに詳しいのですが、樹木が材木になるまでの過程でかなりのご苦労がおありになったようです。木材の場合、伐採、製材、運搬、保管、加工などその工程において様々な専門業者が関わらねばなりませんが、それがうまく繋がっていないと信じられないくらい流れが停滞して物事が進んでいきません

我々業界ではその流れが仕組みとして確立されているので、SNSなどでアップされた丸太(ビフォー)と板(アフター)が並んでアップされたりすると、丸太がいとも簡単に板材になるかのように思い込まれるかもしれません。昔は製材所や材木屋だけでなく木材産業に携わる会社も人も多くいたので、一般の方が所有する山の木を伐って家を建てようと思っても、その流れに乗ることも難しくはありませんでしたが、ひとたびその流れが断ち切れてしまうと、丸太を板にすることがとんでもなく難しいことになります。

ここで言う板は、ただ丸太を挽いたという意味ではなく、乾燥などの工程を経て「住宅や家具などに使えるような資材としての板」の意味です。そういう現実を嘆いたり、新しいシステムの構築を叫ばれる人は沢山いますが、実際に経験してみなければ本当の問題は見えてこないと思います。黒田先生のえらいところは、それを実際に実践されているところ。そして幾多の葛藤がありながらも、もともと癖が強いエノキを突板にしてオーダーキッチンにまで仕上げられて結果を出されたとろこ、素晴らしいです。

そういう経験をされたからこそ、各地で整備の進まない里山実情が本当に歯がゆく思われていることとお察しします。植林や伐採、加工、商品化などという各工程がぶつ切りでの里山整備ではなく、それがひとつの流れになれば、利用価値が無いと思われている里山の木の利用も進んでいくのではないかとの思いで、黒田先生と考え出したのが、『黒田慶子教授監修・日本の里山の木36(仮称)』です!森のかけら240種の中から、代表的な里山の木を36選んでいただき、里山の整備などに関する先生の手引書をセットにした新シリーズ

私にとって【森のかけら】は、端材から生まれた『出口』の1つですが、買っていただく方にとっては森や木の事を知るための『入口』だと考えています。同様に『里山の36』も、里山の事を考える『入口』や、里山整備に関われる方にとっての道しるべ(里山の多様性や材としての利用まで含めた)の1つになればと考えています。そんな話があまりに盛り上がりすぎて、帰りの電車の時間がギリギリになるほどでした。早速樹種の選定をしていただいていますが、新しい『かけら』の仲間が登場することになるかも?!これにて神戸大学かけら探検隊の話終了~、皆さんありがとうございました!




本日も黒田かけら探検隊御一行のお話し。後になると必ず忘れてしまうので、今回も早々にサインの儀式。『霧島栂』にお名前いただきました。先日少しだけ触れましたが、黒田先生は樹木組織の専門家ですが、同時に里山の管理や保全に関するスペシャリストでもありますが、地元神戸を代表する名山・六甲山の森林資源についても研究されていていらっしゃいます。その中で問題になったのが、『アセビ(馬酔木)』という木の存在。その名前からも分かる通り毒性を持つこの木が厄介者扱いされていました。

六甲山というと、阪神ファンの私としては阪神タイガースの応援歌『六甲おろし』しか思い浮かびませんが、神戸の人にとっては暮らしにも密接した自然のランドマークであり、市民の誇りでもあるとか。山に対する畏怖や畏敬の念tごいうと、正直なところ昔はあまり意識したこともなく、あって当たり前という空気のような存在でしたが、近年幾度となく登山するようになった霊峰・石鎚山に行くと、こんな私でも何か敬虔な気持ちになって、万物の気配に敏感になります。山岳信仰にはまる気持ち分からないでもないです。

六甲山はそういう類の山なのかどうかは分かりませんが、植林された山とはいえ100年もすれば立派な森が生まれていて独自の生態系が形作られているのだと思います。そういう中にあっても、毒性があって用材としての利用が未確立の木は手に余る存在で、伐採も進まず六甲山整備のための障害ともなりつつあったようです。山なんて自然なんだからそのまま放置しておけばよいとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、一度人の手が入った山はその後も人が責任を持って整備していかねばなりません

自然なんだから放っておくといずれ山は荒廃していきます。自然という言葉からアマゾンのようなジャングルと混同してしまいがちですが、そこは大きく異なるところ。勝手に適性の木が育って豊かな森を作ると思ったら大間違いなのです。黒田先生はそういう観点から六甲山の森林整備も考えられて、今はまだ利用価値のほとんど見出されていない(利用価値が無いのではなく)アセビにも何かの『出口』を与えられないかと案じられています。私もいまだ『森の毒りんご』しか思い浮かんでなくて歯がゆいところ。まだまだ続く・・・




黒田探検隊のその後の様子・・・続いて倉庫に移動。いつもは二階でお話をした後に倉庫に行くパターンですが、その流れだと話が盛り上がりすぎて実際に木を見る時間が無くなるという痛い経験をしてきたので、今回は素人の皆さんではないので、話よりも先にマニアックな木を見てもらうことに。すると皆さん興味津々で嬉々として木にカメラを向けられてるの図。こちらの認識不足もありましたが、木の事を研究しているとはいえ専門は細胞などのミニマムなので、こういう状態の木を目にする機会は少ないとの事

普通の材木屋にあるような木をご覧いただいても仕方がないので、なるべくまともではないようなマニアックな木をお見したのですが、いちいち反応がこちらの想像以上に強くて偏屈材木屋冥利に尽きます。こちらは『ゼブラウッド』の端材を食い入るように見られている図ですが、普通はその芸術的な木目の美しさに惹かれるところですが、皆さんの興味はそこではなく、如何にしてこういう木目が形成されるのか?!う~ん、視点の違いでゼブラウッドの見方も随分変わるものです。

そのまま二階に移動して今度は、先ほど見てもらったマニアックな木から生まれた商品を見たもらいます。言い方は失礼かもしれませんが、既に黒田先生によって【森のかけらの洗礼を受けている「信者」たちばかりなので、何を喋っても打てば響きまくり!しかし商品を見る視点は、単なる面白いものへの関心や好奇心ではなく、原料の木がどういう特性を持ってこういう商品に加工されたのかとか、どういう樹種がどういうものに活用できるのかなど、あくまでも研究者的な立場。その根っこには木への深い愛があります

そういう場面であろうとも商売の事は忘れません。ちゃっかり【森のかけら】をはじめとする一連の商品のPRも怠りませんが、そこは黒田先生の洗脳が強く効いていて、その内のひとりはその場で【森のかけら】の購入を決断。いや、既にここに来る時点で買う気満々だったようで、買うか買わないかを迷っているのではなく、どれを選んでどれを外すかを思案中。洗脳がしっかり効いて完全に棺桶に片足を突っ込んでいる状態!結局、選びきれないので現在あるだけ全部のかけらを購入することになってしまいました、見事なマニアっぷり!かけら冥利に尽きる・・・涙。更に明日へ続く。




神戸大学大学院農学研究科教授黒田慶子先生御一行が先日ご来店いただきました。直接一度もお会いしたことの無い人とも気軽に日々やり取り出来るSNSのお陰で、全国の多くの木材ファン、木フェチとも楽しく交流させていただいていますが、黒田先生もそのうちのおひとりで、私にとっては直接お会いできるその日を夢描いておりましたが、その日は突然やって来ました。強く願うことはいつか実現するってヤツ。香川県で里山林管理に関するセミナーに来られるついでに弊社にまで足を延ばしていただけることになったのです。

黒田先生とゼミ生とOBの合計5名のかなりもの好きと思われる(わざわざここまでやって来られるわけですから相当でしょう!)皆さんがご来店。黒田先生は既に【森のかけら】をコンプリートされていて、授業でも学生たちに触らせたり観察させるなどしてご活用いただいています。黒田先生の専門は、森林病理学,樹木組織学で、ワークショップでは樹木組織を顕微鏡観察されたりするのですが、その際に【森のかけら】もしっかりと観察されています。こうなると【森のかけら】にも一気にアカデミックな色合いが!

黒田先生は神戸大学の前は森林総合研究所にお勤めで、以前に『才の木』でお世話になった京都大学の高部圭司先生とは京都大学の先輩後輩の関係。そのこともあってかねがねお噂はお聞きしていたのですが、それとは別にビーバー雑木隊武田製材(三重県多気郡)の武田隊長ルートから入った話が直接メールをやり取りすることになったきっかけです。それが『六甲山の森の毒りんご』!詳細については以前にその経緯について書かせていただきましたが、黒田先生は里山のスペシャリストでもあられます。

最近いろいろな方が全国各地からお越しになられるようになりましたが、今回のように目的がはっきりしている(マニアの巣窟探検!?)場合は話も早いので早速ご案内。と、思ったのですが、偏屈材木屋の「多様性」を知っていただくために『木のもの屋・森羅』にて木の玩具などを見ていただきました。皆さん木の事を真摯に学ばれる研究者ですが、無垢な木の玩具にあっという惹き込まれます。研究者すらも瞬時に虜にするのが木の魅力、いや魔力!明日に続く・・・




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