森のかけら | 大五木材

昨日、魚の種類と木の種類はどちらが多いのかについて書きましたが、日本における魚の種類と比べると決して木の数が膨大というわけではなかったものの、海外の種まで含めるとやはり木の数は多いようで、それでどうにか『プロが集まる木材市場でも名前の分からない(あるいは特定する決め手のない)木がある』という問題に対する言い訳ができたかもしれません。そもそも木を特定するのに決め手となる葉が失われているのと、表面が色ヤケしたりしていて削ってみないと分からないというのもあります。

また消費者と距離のある木材市場などでは樹種名などあまり重要視しないというか、材の特定は買う側の材木屋の目利きだろうという風潮があるのも事実で、皆が何の木なのか分からないという時に、「これは〇〇の木だ!」なんて断言する人がいれば、そのままそれが通ってしまうという事もあります。まだそうして不安定ながらも名前がついていれば、それは違うとか似ているなどなど樹種名を特定できるきっかけにはなるのですが、結局不明のまま「雑木」のままだと、買ったところで売りにくく非常に困るのです。

最近では廃業する材木屋から材が回ってくることも多いのですが、そいう場合はほとんど樹種名が記名されていないので、まずは樹種の特定が大きな仕事となります。広葉樹後進県の愛媛においては樹種をハッキリ断言できる人も少なく、特に昨今のように世界中からあらゆる種類の木が流通するようになると、針葉樹から広葉樹、日本から世界の木すべてに渡って知識のある材木屋さんなんて日本中で考えてみても何人もいないのではないかと思います。仕事が細分化されたことと、世代交代が進んだことで、今後ますます木の名前が分からなくなる状況が進行するのではないかと心配しています。

そういう意味からも国内外の240種を知ることのできる【森のかけら】は、継続していく意味があるのではなかろうかと自分を奮い立たせています。そういう業界の事情がある一方で、そんな我々をあざ笑うかのように、「木の名前なんてどうでもいいから形のいいものが好き!」という自由奔放に名もなき枝を使う現場に遭遇!それが先日道後の伊織さんで開催させていただいた『えひめのあるうれしい日』でのチッキーこと帽子千秋のブース。カメラを向ければすべてを理解したチッキーが完璧なポーズで応えてくれます。

日本どころか海外にまでフットワーク軽く飛び跳ねるチッキーの展示会では欠かせない謎の木。樹種名など何の意味もありませんけど何か?とばかりに素敵な洋服が掲げられた枝。名前は分からずともこういして晴れ舞台に立たせてもらえる木を見ると、樹種名に執着する自分が小さな人間のように思えてしまう。まあ用途次第ではあるものの、カタチにこだわり過ぎるのもどうなのかなと・・・。そんな事を考えている間にも「〇〇という木はありますか?」なんて問い合わせメールが。木の名前もいろいろ、使い方もいろいろ。




材木屋にとってもっとも困るのが木の名前が分からないという事。弊社のような小売店が木材を仕入れる方法としてはいくつかありますが主なものとしては、製材所で挽いた材を仕入れる、木材市場に出品された材を買う、原木市場で丸太を仕入れて賃挽きする、木材商社から仕入れる(特に外材の場合)などです。それらほとんどの場合、樹種名が明示されていて、それを確認してこちらも買うかどうか判断するわけですが、稀に樹種が分からないというケースがあって、そうい時は『雑木』と名付けられていたりします。

雑木(ざつぼく、ぞうき)』というのは、「この木の名前は分かりません」と言っているようなものですが、木材市場では時々こういう事もあります。一般の方の中には、「えっ、木材市場って木のプロの集まりなのに木の名前が分からないの?」と疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、恥ずかしながら事実その通りなのです。業界は違いますが、例えば市場などの場合どうなんでしょうか。恐らく一部の深海魚みたいな魚を除けば、名前の分からない魚なんてほとんどいないのではないでしょうか。

魚市場の場合は獲れるエリアが限定される(獲れる魚の種類がある程度限定される)のと、魚って特徴が分かりやすいので、最悪分からなくてもネットで調べれば大体分かると思うのです(実際は正体が分からない魚も獲れたりするものの、市場に出てこないのかもしれませんが)。それに比べて、木の場合は灌木などまで含めると種類が膨大なうえに、製品市場だと外材も混ざってきますので樹種の見極めは非常に困難、だと思い込んでいました。でもこれって実際に数字で見てみるとどれぐらい差があるのだろうか疑問が沸きました。

そこで調べてみることに。いろいろな統計調査があって、多少誤差はあると思うのですが、世界の海には約3万種の魚がいて、日本には約3千種。我々が日頃食するのはその内の約500種だとか。木の場合は植物園自然保護国際機構(BGCI)が加盟500団体が持つデータを集計した結果によると、全世界で6万65種に及ぶそうです。ちなみに世界でもっとも多様な樹種が存在する国はブラジルで、樹木の種類は8715種日本には約1500種の樹木があり、そのうちおよそ100種が比較的知られている木だとされています。

単純に数字で比較すると、魚は世界で3万種、樹木は世界で6万種。日本では魚が3千種、樹木が1500種、その中でよく知られているのが魚500種、樹木100種。こうして数字を並べると世界規模では樹木が圧倒的に多いものの、日本に限れば魚の方が多いことに。しかし日本でよく知られている木が100種となると、【森のかけら・日本の120】より少ないということになるのでちょっと基準が甘いようにも感じますが、「比較的知られている木」ということであればそれぐらいが妥当なのかもしれません。続く・・・




松山市堀江町にオープンした『遊食 晴』さんの話。店主の山口日出晴さんは以前は道後のホテルで料理長を務められていただけあって、出てくる料理にも品があって美味!白いモミのカウンターも料理の味を引き立てるのに少しは貢献出来ていたのではないかと思います。『目で味わう』ってありますから、やはりこういう和食でカウンターが黒かったり赤かったりしたらちょっと興醒めでは。まあものにはバラスンというものがありますから、あえてそれを外してバランスを整えるという技もありますが。

オープンしてすぐに駆け付けたかったものの仕事の関係で近いのになかなか行けずに、オープン後1,2週間ぐらいしてから伺いました。場所的には弊社よりも数キロ北部になり、飲食店をするにはご苦労されるのではと内心心配していたものの、行ってみるとそれもすっかり杞憂に終わりました。結構早い時間にお邪魔したつもりでしたが既に店内には数人のお客さんがいらして5人席のカウンターも3席埋まっていました。座敷も他のテーブルもまだ空きはあったものの、やはりここはカウンターに座らねばなるまいっ!

山口さんと親しそうにお話しされていたのでご友人だと思いましたが、割り込む形でお隣に席を取らせていただきました。既に日本酒と美味しそうな刺身を食されていたのですが、次のお酒に『城川郷 尾根越えて』を頼まれたことから、「こちらも同じものを」と横から話に加わらせていただきました。このお酒は、私の故郷・西予市野村町の隣町の城川町で造られているもので、すっきりした味わいのある銘酒です。隣町の人間としてはお隣でこれを飲まれてほおっておくわけにはいきません。

そんな事でお話しするようになって、お酒も入ったので図々しくあれこれ聞いていたら、山口さんが務められていたホテルで一緒に働かれていたお仲間の方たちで、今日はそのお祝いに駆け付けられたということでした。素晴らしき職場愛!そこで専門の方から、私が漠然と感じていた山口さんの料理の品などについての専門的な料理の解説をしていただきました。プロが頼む料理を真似てこちらも同じものをオーダーして解説付きで味わうという僥倖も味合わせていただきました。

そうこうしてる間にも次々とお客さんがやって来られます。中には、地元と思われる方が来週何かの会の打ち上げで使いたいので予約したいのだけれどと団体の申し込みに来られたり、予約の電話も入ったりと商売ご繁盛の様子。それもこうして前職のご友人の方々から聞いた山口さんのお人柄と絶品の料理があれば当然かと。少しでも関わらせていただいた店には繁盛していただきたいものですが、心配ないどころか次はカウンターに座れるのかそれが心配・・・ご商売繁盛を祈念しております!

※ 『遊食 晴』 松山市堀江町甲640-2 定休日:火曜日 営業時間:17:30~23:00 

                        電話:089-909-8667




モミ(樅)はマツ科の針葉樹で決して堅い木ではありませんが、通直で長尺の幅広の一枚板が取れます。クリスマスツリー卒塔婆、蒲鉾板などに利用されるため軽くて軟らかい木というイメージがあるかもしれませんが、しっかり乾燥すれば堅く締まり強度が増します。そのため容易には釘が打てないことから、一度錐(キリ)で下穴を開けなければならず、「キリでも揉む」の「揉む」が「揉み」→「モミ」に転化したのが名前の由来とする説もあるほどです(半島から来た言葉が語源という説など諸説あります)。

カウンターの板を決める際に傷がつくのを心配されて必要以上に「堅さ」を重視する方がいらっしゃいます。お気持ちは分かるものの、あまりに堅さを求められると、材全体が重たくなってしまいます。一概には言えませんが、軟らかい材は軽く、堅い材は重たいというのが一般的な傾向です。また堅く重たい木ほど、反ったり暴れたりしやすいので、反り止めや補強、脚材の工夫等が必要になってきます。高いお金を払って傷がつくのは耐えられないという気持ちは分かるものの、全体のバランスを考えることも大切です

遊食 晴』さんは和食のお店という事で、カウンターも和風で軟らかく明るめの木ということで、モミをご提案したところ気に入ってくださいました。施工中の様子は見ていたものの、こうしてお店がオープンされて見るのは初めてでした。久しぶりのご対面でしたが、提案が間違っていなかったことを確信しました。モミは同じマツ科の木や通直に伸びる針葉樹のスギやヒノキと比べて大きく異なる特徴は、赤身が出にくい、少ないという点で、ほぼ全体が白身で純白の板が取れます

経年変化でやや灰褐色にやけてきますが、それでも白身の世界の中にくっきりした年輪がまるで地図の等高線のように際立ちます。早速少し傷がついちゃいましたと山口さんが苦笑われていましたが、大切に使っていただいていることはすぐに分かりました。やがて沢山の傷や輪染みも出来てくることでしょうが、それもお店の勲章です。森で成長したのと同じぐらいの長い時間をかけて、『遊食 晴』さんの顔となれるように頑張って欲しいと思います。肝心のお料理とお酒の話は明日・・・。




半年ほど前にこのブログでちらっとだけ紹介していましたが、某飲食店に納めさせていただいたホワイトアッシュのハイチェアー。珍しく座面を布張りしたもの(座面布張製作はTOWER室さん)開業までに少し時間がかかったもののようやく晴れて開業されましたので、早速お店に伺いました。場所は、弊社から車で5,6分の距離にある松山市堀江町。お店の名前は『遊食 晴』さん。お店の名前は店主の山口日出晴さんの名前に由来しています。実はその山口さんが凄い技を持つ人なのです。

こちらは昨年の夏に松山市内で開催された氷彫刻夏季展四国大会の様子ですが、炎天下で氷柱を削っているのが店主の山口さん。山口さんが造られているのは夏空を泳ぐ2匹の金魚。見事に大会の最優秀賞に選ばれました。このイベントは、NPO法人日本氷彫刻会四国地方本部が主催し、四国四県から腕に覚えのある調理師などが参加して行われましたが、山口さんは氷彫刻の大会としては、日本国内で唯一実施される北海道は旭川の公式国際大会にも参加されていて、そこでも辣腕を振るわれています。弊社のお店のカウンターをお求めに来られた際にはその事には一切触れられませんでしたので、まさかそういう特殊な技をお持ちの方だとは知りませんでした。

そんな山口さんは道後のホテルで料理長を務められていましたが、このたび独立して堀江でお店を出されました。弊社とのご縁は、お店兼住居を手掛けられたミセスホームさんを通じてです。耳付きの一枚板のカウンターを所望されていらして、ならば大五木材へという事でミセスさんが山口さんを連れて来ていただきました。ご要望は和風の耳付きで幅広の一枚板。そこでご提案させていただいたのが、久万高原町で仕入れて来た『モミ(樅)』の一枚板。

珍しく原木で数本仕入れて、耳付きのまま賃挽きしてもらい、弊社で大切に自然乾燥させてきたうちの一枚です。まだ小学生だった頃の長女が両手を広げてその大きさを確認する手伝いをしてくれました(嗚呼、思えばこの頃はまだ喜んでモデルを演じてくれたものです・・・)。そこからもこのモミの大きさが分かっていただけると思います。和風のテイストで長尺の幅広の一枚板っていろいろあるようで案外樹種が絞られるものです。スギ、ヒノキ、トチ、イチョウ、モミ等々。明日に続く・・・




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