森のかけら | 大五木材

このブログでは日本の木、世界の木、分け隔てなし、贔屓なしに取り上げているつもりですが、物語性や民間伝承のネタが多いのと立ち木を目にする機会が多い分、結果的に日本の木の方が比率的には多くなっているかもしれません。それに対して針葉樹広葉樹については、ついつい広葉樹に肩入れをしてしまいがち。これは私の、野球なら巨人よりも阪神、相撲なら千代の富士より大乃国、プロレスならジャイアント馬場よりジャンボ鶴田という反骨精神の現れでもあるのですが。という日頃の反省も含めて、少しの間針葉樹の話。

まずは、フローリングとして一時代を築いた(私の中ではやや過去形になりつつありますが、それはあくまでも個人的な意見ですので)『パイン』こと、北欧産の『レッドウッド』。そうは言いながらも最近でも問い合わせは少なくはないのですが、性格がひねくれているのでつい遠ざけてしまうのです。市民権を得たジャーな木は、私ごときが出る幕もないと思いながらも、現実的には倉庫の目につくところにあるので避けて通っていても仕方がないので、レッドウッドの出口を考えてみました。

 レッドウッドのフローリングは、北欧の現地工場で加工されたものが輸入されていて、弊社もそれを扱わせていただいているのですが、国内の商品視点で見ると、かなり基準が甘いというか、そもそも現地ではそういうものだと思うのですが、欠け節や割れ節、反り、ねじれなど結構ユルユルなものも混在しています。直せるものは直して出荷していますが、欠損していたり、ねじれの酷いものは弊社基準でハネます。そうしてハネ材、いわゆるB品がこれでもかというぐらい発生してしまうのですが、それを短くカットしました。

いわば『レッドウッド版モザイクタイル』なのですが、一応自分の中で(今のところは)『モザイクタイル』は『広葉樹の出口』という勝手なきまりを決めてしまっているので(針葉樹に比べて光の少ない広葉樹に思いっきり判官贔屓なので!)、同じ仕様にはしたくない!という悪あがきで、少し大き目なサイズに加工。節が大きいので、ハーフサイズはさすがに難しいので90✕90㎜、90✕180㎜の2サイズにしたもののやはり二番煎じ感は拭えません。ならばもっと手垢にまみれようとコースターに。

弊社のキャラクターマーク『だいごちゃん』をスタンプしてみました。一応オンラインショップにもあげてみますが、ここからまだ先に進化できるかもう少し悩んでみます。こうして小さなものに加工してみるとやはり針葉樹の軟らかさで、傷の洗礼を受けます。だから駄目なんて言う気は毛頭ないのですが、その軟らかさに特徴を持たすためにも、タイルやコースター以外のもうひとひねりエッジの効いた出口が必要。しかしこの軟らかい木で磨き作業していると、広葉樹に戻りづらくなってしまいそう・・・




例の『モミジバフウ』ですが、製材してから1ヶ月が経過。用材として使うのはまだまだ先の事なんですが、短いものや薄く挽いたものは形がいびつなんで桟を切って並べることが難しいんで立て掛けて乾かせていてこれでも結構乾きました。丸太に一番鋸を入れた耳付きの部分を『ガッパ』と呼びますが、さすがにそのあたりは弊社でも利用を悩むものの、だからといって捨てたりはしません。置いておけばそのうちいずれ「使い道」が発見されるのでなかろうかという「言い訳」でとりあえず一緒に乾かせたりしています

またそういうものから(辺材なので水分の多い赤身が含まれないこともあって特に)乾燥が進んでいくのですが、見た目はすっかり変わっています。製材直後は瑞々しかった材面もすっかりくすんでしまいましたが、それでもひと削りしてみると御覧の通りクリーム色の木肌が再生されます。今回ご縁があって大量にモミジバフウが入手できましたが、それまでこうしてまじまじとモミジバフウの材面を見ることもありませんでした。なにしろそれまで私にとってモミジバフウといえば【森のかけら】の材料。

その程度の認識しかなく、用材としての視点でモミジバフウを考えたこともなかったのですが、さすがにこれだけ大量に土場に積みあがると、真剣に【森のかけら】以外の出口も考えなければなりません。当然大きなものはカウンターやテーブルにも使おうと目論んでいますが、他でもあまり家具や内装などに利用されたという事例もないようなので、自ら試しながら出口を切り拓いていくしかありません。まあまだ完全に乾いたというわけではありませんが、こうしてみた感じでは十分家具としても使えそう。

大きい材は乾燥までにもう少し時間がかあkりますが、小さなものはドンドン乾いていくので、物理的な問題(限られたスペースを有効に生かさないといけないという事情)もあって、早めに出口から出て行ってもらわねばなりません。当然そこには【森のかけら】とか『モザイクボード』という出口があるものの、素材自体がその出口に対象としてはやや大きいので、もう少し大きな出口を探したいのと、こういう骨に残った肉のような部位も何とかしたい。使えない?いやいや、世の中に使えない木なんてないっ




六甲山のアセビからは『森の毒りんご』が生み出されましたが、黒田慶子先生は神戸大学の構内で伐採された『エノキ(榎』を自分たちで乾燥させて、オーダーキッチンの突板にされました。その経緯については黒田先生のブログに詳しいのですが、樹木が材木になるまでの過程でかなりのご苦労がおありになったようです。木材の場合、伐採、製材、運搬、保管、加工などその工程において様々な専門業者が関わらねばなりませんが、それがうまく繋がっていないと信じられないくらい流れが停滞して物事が進んでいきません

我々業界ではその流れが仕組みとして確立されているので、SNSなどでアップされた丸太(ビフォー)と板(アフター)が並んでアップされたりすると、丸太がいとも簡単に板材になるかのように思い込まれるかもしれません。昔は製材所や材木屋だけでなく木材産業に携わる会社も人も多くいたので、一般の方が所有する山の木を伐って家を建てようと思っても、その流れに乗ることも難しくはありませんでしたが、ひとたびその流れが断ち切れてしまうと、丸太を板にすることがとんでもなく難しいことになります。

ここで言う板は、ただ丸太を挽いたという意味ではなく、乾燥などの工程を経て「住宅や家具などに使えるような資材としての板」の意味です。そういう現実を嘆いたり、新しいシステムの構築を叫ばれる人は沢山いますが、実際に経験してみなければ本当の問題は見えてこないと思います。黒田先生のえらいところは、それを実際に実践されているところ。そして幾多の葛藤がありながらも、もともと癖が強いエノキを突板にしてオーダーキッチンにまで仕上げられて結果を出されたとろこ、素晴らしいです。

そういう経験をされたからこそ、各地で整備の進まない里山実情が本当に歯がゆく思われていることとお察しします。植林や伐採、加工、商品化などという各工程がぶつ切りでの里山整備ではなく、それがひとつの流れになれば、利用価値が無いと思われている里山の木の利用も進んでいくのではないかとの思いで、黒田先生と考え出したのが、『黒田慶子教授監修・日本の里山の木36(仮称)』です!森のかけら240種の中から、代表的な里山の木を36選んでいただき、里山の整備などに関する先生の手引書をセットにした新シリーズ

私にとって【森のかけら】は、端材から生まれた『出口』の1つですが、買っていただく方にとっては森や木の事を知るための『入口』だと考えています。同様に『里山の36』も、里山の事を考える『入口』や、里山整備に関われる方にとっての道しるべ(里山の多様性や材としての利用まで含めた)の1つになればと考えています。そんな話があまりに盛り上がりすぎて、帰りの電車の時間がギリギリになるほどでした。早速樹種の選定をしていただいていますが、新しい『かけら』の仲間が登場することになるかも?!これにて神戸大学かけら探検隊の話終了~、皆さんありがとうございました!




えひめのあるうれしい日』で作った『愛媛県産スモモの木で作ったスモモのスプーン&スモモのジャム』の『スモモ(李)』の木については、昨年の3月頃に角材に挽いて上から重しを載せて乾燥させています。ご覧いただけば分かるように、径が小さいためこれぐらいのサイズで挽いても、オール赤身というわけにはいかず白太も含まれます。なるべく艶や光沢も保ちたいので天然乾燥させているところですが、実際に削ってみると『ヤマザクラ』というよりは『シウリザクラ』に似たような、ややくすんだ赤身を帯びています。

スプーンの加工そのものは職人さんにお願いしたのですが、最後の磨き部分は私も関わりました。写真では分かりづらいかもしれませんが、柄の部分がわずかに湾曲していて、スプーンの先端にくぼみがあるのため最終的な仕上げ磨きは手作業になります。昨日も書いたように皮膚感覚だと『ヤマザクラ』よりやや軟らかくしなやかに感じます。磨き始めると、磨けば磨くほどに彫り面がツルツルに滑らかになる感覚がたまらなず、どこで止めればいいのか終わりが見えなくなります。

柄の部分は結構細いのでどんどん磨いていると、そのまま無くなってしまうのではないかなんて考えてしまうほど磨きが癖になります。通常よりも柄が細い分、固まったバターなどを救うには強度の点で不安が残りますが、ジャムであれば問題ないのではないと思います。最後は木製食器専用のオイルを塗って仕上がり。そうして完成したのがこちら㊨。このスモモのスプーンは、『朗-Rou』さんのお店で美味しいスモモのジャムと一緒に販売していただいています。木製スプーンそのものは珍しくもないでしょうが、愛媛県産のスモモのジャムと一緒にすることで新たな価値を作り出そうというもの。

お陰で出口を思案していたスモモにも1つの出口が生まれました。今までほとんど関わりの無かった『食』の分野で木を使うことで、いろいろな発見もありましたし、これから作り始めようと思っていた『フルーツウッド』(果実系の木)についても、出口のヒントになりそうです。フルーツウッドの特徴として、木は小さいけれど材が非常に緻密で滑らかということがあり、触ってその肌触りを楽しめる小モノに仕上げたいという考えがあったのですが、まさにスプーンなどの食器はうってつけの組み合わせ。こちらは『桜のシロップジュレ』。

この黄金の輝きは『金木犀と柊木犀のシロップジュレ』。もはや食べてしまうのはモッタイナイと感じてしまうほどの美しさ!今まで「材」としてしか見えていなかったフルーツウッドの、「実」の部分と繋がることで途端に発想が豊かになります。更に物語性も付加されるとなると、フルーツウッドの出口としては理想的。どうにも『かけら』だけに留めておくにはモッタイナイ、けれども『森のりんご』にするには大きさが足りないなど、いまひとつ活かしきれてなかったフルーツウッドの出口に光明が差してきた思いです。




端材から作ったDIY商品『モザイクタイル』は、自分で自由に壁面をアレンジできるという思惑で作ったのですが、それとは別の用途で人気が出て、ある特定のパーツのみが品切れ状態となっています。もともとは、フリーリングを扱っていると意図せず発生してしまうB品(傷や節、割れ、虫穴、欠損等々)の有効利用も目的に生まれた商品で、80✕80✕10㎜を基本モジュールとして、その倍や半分のサイズに加工して、それを好みによって自由に組み合わせられるというものです。

なるべくいろいろな樹種があった方が面白いので、フローリングのB品だけでなく、端材なども利用するようになり樹種の幅が広がりました。しかもこの大きさになると、節や割れ、虫穴など表情のあるモノの方が圧倒的に魅力的なことから、あえてそういうところのある端材や釘穴のある梱包材なども利用するようになりました。挙句の果てには、ブラジルから来た商品の梱包材には結構レアな木も使ってあったりするので、そちらを手に入れるのが目的になってしまったりする始末。

ところでその中で、基本モジュールの1/2にあたる40X80X10㎜サイズだけが圧倒的に減り方が早いのです。何故かというと、家内がこの商品に興味を持って、本来の目的とは別のあるモノに転用したためなのですが、それが何かというとこちらの『音板(おんばん』。木琴のように音階で並べて木製のマレットで叩いて音色を楽しむというもの。厳密には木琴というより叩いて音を楽しむ楽器もどきですが、木の種類によって音色が違うのでそれを聞き比べるだけでも結構楽しいです。

こちらは音階など意識して作っているわけではないのですが、材質によって高音から低音まで音の幅があるようで、ひとつひとつ実際に叩きながら音の高低を聞き分けて、その順番で並べるとそれなりに楽器っぽい感じで楽しめるようです。バットなどにも使われるほど硬くて、更にサーモ処理した『サーモアッシュ』や、ウッドデッキに使われる硬質のアイアンウッド系の木はかなり高い音、アカシアクルミなどやや軽軟な木は低く軽い音と、今まであまり考えなかった『森の出口』です。

これとは別に、音による商品の開発は考えていたものの、思わぬ形で音が商品化できる可能性を感じているところです。今まではどうしても、建築用材からの延長という視点でしか木を見ていなかったため、材質の硬軟だけに目がいきがちでしたが、『』や『香り』という視点で木を捉えると、今までフローリング材としてはほとんど評価されなかった木にもスポットライトが当たり、いかに自分が今まで木の上っ面しかみていなかったのか痛感させられます。森を見て木を見ず・・・今年のテーマは『木を叩く!』。




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