森のかけら | 大五木材


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昨日のブログで書いたように、弊社の特徴は多樹種少量の在庫があること。それぞれの樹種はわずかしかありませんが、とにかく種類だけはやたらとあります。なので特定樹種だけで造作から柱、カウンター、家具まで何もかも統一して揃えて欲しいと言われると対応が難しいのですが、いろいろなところにいろいろな木を少しずつ使いたいというリクエストはお手のもの。そんな感じに多樹種を用途に合わせて使いわける提案というのが弊社の雄一のストロングポイント。先日、まさにそれを地で行く現場がありこのたび無事に竣工されました。

松山市の旧北条市にある農産物用や雑貨用を中心とした軟包装資材のコンバーター企業のオフィスですが、オーナーが木が大好きという事で沢山の木を取り入れていただきました。施工は、センス溢れる商業店舗を手掛ける『すずかけ商会』さん。担当の犬伏君とは何度も入念な打ち合わせを繰り返し、あれでもないこれでもないと悩んで用途に合わせて樹種をピックアップ。最初、企業事務所と聞いていたので、ペンキ塗りの枠材ぐらいだろうと勝手に思い込んでいたのですが図面を見てビックリ!

その象徴ともいえるのが、2階のこの4m超のアフリカ産のパドックの耳付カウンター。弊社のとっておきの6m超えのバリバリに乾いたパドックのパドックを大胆にカットして使っていただきました。壁は石貼りで、どこかのオシャレなカフェかと見まがうばかり!長いカウンターが要るのって商業店舗ぐらいで、話もそんなに多いわけではないのですが、いざ話があった時には納期や乾燥も含めて在庫がないとどうにもならない。今回も在庫あったからこそ対応出来たのですが、無理に長さを切ったのではなくて、元の方だけが極端に膨らんでいたので、ちょうどそこでカットして有効めいいっぱいに使っていただき一切に無駄が出ていません。こういう使い方していただくと長年在庫していた「前の持ち主」としても非常に嬉しいのです。

ストリップ階段には、堅牢なヒッコリーを使っていただきました。多少の節や入皮はあるものの幅剥ぎせずにすべて一枚板の段板です。ヒッコリーはクルミ科なんですが、軽軟なクルミの仲間とは思えないほど重硬で、ストリップの階段など強度が求められる用途にはまさにうってつけな素材といえます。弊社ではあえて節や入皮があり、白太も含んだ板目・柾目込みの表情豊かなラスティックグレードのヒッコリーを仕入れています。ヒッコリーのような木はこれぐらいの荒々しい杢が出たり、白太が混ざってワイルドな雰囲気がある方が魅力が発揮される木だと思います。最近では日本への輸入量が少ないみたいで、しばらくの間弊社でも在庫を切らしていましたが、入荷してからはその癖の強い個性が人気となっています。

一方で室内の装飾のルーバーはスッキリ見せるために、節が少なくて年輪の詰まったロシア産のオウシュウアカマツを使っています。全部で100本以上使ってもらったのですが、これでほぼ弊社の在庫ゼロ。造作などに使える無節のオウシュウアカマツの平板も以前はよく入ってきていましたが、昨今はこちらも入荷が乏しく、さて次の現場に備えて何かしら集めておかないと。このほかにも枠材にはヒノキ、玄関カウンターにはダイオウショウ(大王松)、手洗いカウンターにはグランドファー(米樅)など用途に合わせて使い分けてもらいました。こういう現場が一番オモシロイのですが、こちらも手持ちのカードも種類こそあれ枚数が少ないので、量の見極めが重要で必要量と在庫量とのギリギリの駆け引き!そのスリル感にアドレナリン出まくりです!




またまた本日も愛媛県歯科医師会館の『愛媛県産広葉樹のモザイクボード』の話なのですが、書き残しておきたい事がいっぱいありまして3日連続となりました。今回建物の設計を担当された矢野青山建築設計事務所矢野寿洋さん、青山えり子さん、から最初にお話をいただいたのは、今年6月頃のことでした。その段階で家具の納品は9月末頃ということでしたので、およそ3ヶ月半ぐらいは期間がありました。こんなに納期に余裕があることは珍しく、だいたいが「なぜもっと早く発注してくれなかったんですか~!」という事が多いのですが、余裕のある発注は本当にありがたい!

しかし実際は余裕があり過ぎると油断したり、その間に他の急ぐ仕事を入れ込んだりして結局最後は慌ただしくなるのはなるのですが(笑)、それでも事前に余裕を持って準備が出来たり、作り方を検討できる時間があるというのは非常に助かります。今回のソファーは完成した姿を見るとシンプルな箱型に見えますが、座面部分はすべてスノコになってして調湿効果を得られるようにデザインされています。スノコにも愛媛県産のヒノキを使うという徹底ぶりです。更に脚部分にはこちらも愛媛県産のクスノキ

クスノキにはタンニンが含まれ耐湿性にも優れている木です。そういい見えない分部にもこだわって材料を選ばせていただきました。また今回はソファーという事で、布地部分の制作はTOWER(タワー)室愛彦さんにお願いしました。室さんにはいつもは家具の木材を買っていただいているのですが、今回はソファー制作の過程も知れて勉強になりました。弊社の場合は家具を作っているといっても、材料の供給とプロデューサー的な役割で実際には善家君や室さんたち職人さんが作っていただいています。

それでも従来の、木材市場から仕入れてきた材を現場に持って行くだけの流通仕事に比べると、毎回悩んだり考えたりすることばかりで大変ではありますがとてもやり甲斐を感じます。私自身はモノ作りはできませんが、選ぶ木材に意味を持たせたり、名前の由来や特徴などの木の背景を織り込んでモノガタリ作りという側面から家具作りに関わりたいと思っています。最近では、門前の小僧習わぬ経を読むスタイルで、ごくシンプルなものであれば弊社でも製作するようになりましたが、やっぱり作るって楽しい!




本日は昨日に続いて愛媛県歯科医師会館が作らせていただいた愛媛県産広葉樹モザイクボードの家具、応接室の大きなテーブルについてです。このテーブルのサイズは2000☓1200㎜で、中央部に愛媛県産のトチ(栃)の板を挟んでいます。こちらも矢野青山建築設計事務所矢野寿洋さん、青山えり子さんによるデザインですが、すべてモザイクでなく無垢板を一枚挟むことで全体的に落ち着いた印象になりました。自分でデザインするとついついモザイクボードを目立たせねば~と、過剰に露出させようとしてしまい使い過ぎる事が多いので勉強になります。

間に挟む木の種類は一任していただきましたので、私の判断でトチ(栃)にさせていただきました。モザイクとの色のバランスを考えて落ち着いた色合いの木ということも在りましたが、何よりも考えたのはこの建て替えられた会館の「地域の方々や県民の方々に開かれた活動をしていく」というコンセプト。そこで選んだ木がトチ(栃)。今までにも何度か紹介させてもらいましたが、トチは大きな葉や実が沢山つくことから、「十(とう)も百も千(せん)も葉や実が付く縁起の良い木」とされています。それで昔は十千と書いてトチと呼んでいました。

そこから十☓千(10×1,000)=万(10,000)で、木偏に万を付けて「栃」になったとされています。多くの実がつくことから縁起の良い木としても知られ、白星を招くという意味でも大相撲のしこ名にも使われるなどしています。より多くの市民・県民に親しまれる建物になってもらえばという思いも込めてトチの木を使わせていただきました。そもそもトチは大きく成長する木ですのでテーブルなどの一枚板としても人気があり、広めの材が得やすいという物理的な理由もあります。誰にも分っていただかくてもいいのです、自分が納得する理由が欲しいだけなのです。

こういう大きなテーブルを作るにあたってはモザイクボードの特徴を最大限に活かせます。今回は長さが2,000で、間に板を挟んだ事でその必要はありませんでしたが、もしもこれがすべてモザイクボードだけで作ったとしても、500幅なり600幅の規格サイズを幅剥ぎすれば問題なくワイドサイズのテーブルが作れます。製造能力の問題で、現場ごとのフルオーダーというのはまだ難しいのですが、幅方向については対応力のある商品だと考えています。そういう事もこういう事例を経験させていただきながら考えるところ。明日はその「見えざる部分」について。




2020年末に解体され建て替え工事が進められていた愛媛県歯科医師会館が先日無事竣工しました。その中の応接室に弊社のテーブルとソファーに『愛媛県産広葉樹のモザイクボード』を使ったいただきました。建物の設計を手掛けられた矢野青山建築設計事務所矢野寿洋さん、青山えり子さんが、家具の素材として選んでいただき作らせていただいたものです。小口方向のブロックピースを化粧面に露出させるなどこだわりにこだわられた理由は完成品を見れば分かるデザインの説得力。

通常はフィンガージョイントしている継ぎ手方向が小口に出るか、あるいはブロックピース面とが混合してしまうのですが、それをあえて小口面はすべてブロックピースで統一させることで、ブロックピースに囲まれた家具のような面白い印象を受ける造りになっています。ただしこれはワンピースが正四角形ではないため継ぎ手の細工などは結構大変な作業でもありまして、製作してくれて善家君ZEN FURNITURE)が苦心しながら頑張ってくれました。

愛媛県産広葉樹モザイクボードは、現在愛媛県の『新たな県産材利用促進事業補助金』の採択を受けて、専用サイトやパンフレットなどの制作も行っているところですが、活用事例の扉に最高の実例となりました。愛媛県産の広葉樹だけに限定して、その時々に入手できた20~25程度の種類を使って製作しています。そもそも愛媛県の広葉樹の供給が不安定で、その集材や乾燥期間も試験的な段階で大量注文に応えられるだけの対応力はまだありませんが、今回の実績は大きな自信となりました。

愛媛県産の広葉樹のみで製作しているため、弊社の既存商品である『モザイクボード』に比べるとどうしても地味な印象はありますが、かえって落ち着いているとか派手すぎなくていい(店舗向きと思っていたがこれだと個人の家でも使える)などの肯定的な意見も多くいただいて、今後はワールドワイド版と愛媛版をTPOに合わせて使い分けていこうと考えています。納品後にこっそり座らせていただきましたが、『モザイクの王』になった気分で独りニンマリと気持ち悪い笑みを浮かべていました。明日はこちらのテーブルについて。

 




さて、今回のお客さんは初めてのご来店ではなく以前にモザイクボードもご購入されていて「免疫」はお持ちの方でいつものセレモニーは不要です。このラボアをお見せしても引くどころか、第一声が「いいじゃないですか~!サイズも問題なし!」だったので、私もすっかり気分をよくして、仕上げ磨きのサンダーにもいつも以上に力が入りました。茶褐色の木肌に黒い筋が現われる事から、『ストライプ・ウォールナット』とか『タイガーウッド』などの別名もありますが、オイルを塗るとその特徴が際立ちます。

この端材を倉庫に長い間放置してると経年変化でブラック・ウォールナット並みに黒くなっていました。これは割れ止めのボンドも塗ってあったのでその影響もあると思いますが、これを見たら『アフリカン・ウォールナット』の異名もさもありなんと思いますが、黒いのは表面だけでひと皮削れば茶色の肌が現われます。木材市場で初めてこの木を仕入れた時は、てっきり黒い肌を期待していたのですが、削ってみて不意打ちをくらったような気持ちになりました。時間とともに表面が黒化していきます。

さて、今回は凄く木の事が好きな方(造園関係のお仕事)だったこともありスペシャル価格でお売りさせていただきました。木は喜んでいただける方のところで愛でていただいてこそです。そのままのサイズで事務所のテーブルに使っていただきました。中央部にバックリと大きな割れも入っていたのですが、これぐらいのサイズにまで大きくなったんだからそれぐらいの事もあるでしょう。全然問題ないし、むしろ面白い!とギニア湾よりも広い寛容な心で受け入れていただきました

ちなみにラボアは、アフリカのシエラレオネからアンゴラ東北部の熱帯雨林やギニア湾沿いの多湿地帯などに分布します。ところでこんな木を買う方ってどんな人がいるのかって話になって後から分かった事なのですが、前にほぼ同サイズのラボアを買っていただいた方が実はたまたまお知り合いだったという奇遇!趣味嗜好の近い方は好みの木も似てくる傾向にあるのかもしれません。あるいはこのラボアにコアな木ファンを引き寄せる強い磁力があるのか?ほぼ同サイズのラボア、あと3枚ほどありますので次はどなたが引き寄せられるか?!




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