森のかけら | 大五木材


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松山市内の道後樋又にあった不思議なファンタジックなパン屋『雲珠(うず』さん。風の便りに東野方面に移転していたとは聞いていたものの、なかなか足を運ぶ機会がありませんでしたが、そんなファンタジックなパン屋のファンキーな夫婦の方からまさかこちらにやって来ようとは・・・!先日の昼前にあるひと組のご夫婦がご来店。たまたま勝岡の運転免許センターに免許の更新に行く途中、車窓から見えた耳付き板の山に惹かれて、吸い込まれるような勢いでハンドルを切られたのです。

最初は、木が見たいとにわか知識を振りかざしてやってくる冷やかし野郎かと思っていたら(失礼!)、これがとんでもない木材大好きフェチ夫婦でして、そこから昼飯もすっ飛ばして長くて熱い木トークが始まってのです。少し話せば本気がどうかはすぐ分かります。埃まみれの倉庫に案内すれば、オシャレな服が汚れるのもまったくお構いなしにズンズンと奥に入り、嘗め回すように木を選別。しかもむしろ奥さんの方が積極的なほどに!これこれ、こういう出会いがあるのが道路沿いの店の醍醐味!

聞けばご自分で加工もしたいとの事。それで道具はどれぐらいお持ちなのか、腕に覚えがあるのかなどと話していて、そこでようやく雲珠の店主夫婦であることが発覚!しかもお二人とも東京出身で、以前に松山に旅行した時の印象があまりによかったので、この地でパン屋を開こうと移住してきたという、やっぱり予想通りファンキーなご夫婦だったのです。奥さんの東京の実家の隣に材木屋があって、小さな頃からそこで遊んでいたので木の匂いや手触りが大好きなのだという、材木屋が泣かせの小ネタにも感激!


東京のひとだから木に触れる機会も少ないだろうなんて、私は自分の凝り固まった固定観念をハンマーで打ち砕きたい衝動に駆られたのです。あれもいい、これもいいということで結局その日は決められず、改めて後日再び店に来てもらい、ゼブラウッド楡(ニレの耳付き板をご購入いただきました!それで先日お店にお届けにいかせていただいたのですが、まじまじとお店を拝見・玄関には奈良の『徳田銘木』さんから買ったという変木が!まさかこういう形で徳田さんの商品と邂逅しようとは・・・!

移転前のお店も十分のファンタスティックでしたが、更にパワーアップ!パンの写真も撮らせてもらおうと思っていたのですが、社員のおやつのパンを買って帰るという使命も受けており、次々やって来られるお客さんに負けてなるかと買い漁っていたら肝心のパンを撮るのは忘れていました。店内至る所に木が使われていて、材木屋が始めたパン屋のようですらあったのですが、壁面に描かれた絵も自分たちで描いたということで、これはいずれコラボ商品開発の申し込みをせねばなるまい!年末の素敵な出会いに感謝!!




すっかり材としての説明ではなく、新商品開発の決意表明のようになってしまいましたので、改めて材としてのメープルについて。弊社では北米産広葉樹などの平板(挽き板)に関しては、厚みが30~33㎜で仕上げる方が主流なので、基本的には厚みが6/4inch(約38㎜)のものを購入しています。ただしハードメープルに関しては、家具というよりは造作に使っていただくケースが多くて、それに対応するため少し厚めの8/4inch (役51㎜)のものを仕入れています。ただでさえ北米産広葉樹の中では重たい木なのですが・・・

しかし重たい木を動かしていると、「俺、今働いてる~!という実感があって、自己満足の世界観に浸ることができます。こうして梱包された板材が入荷すると、弊社はみぎひだりで卸すような会社ではないので、すべて梱包をさばいて1枚ずつ倉庫に立て掛けます。その際に、幅で分けたり、検品も兼ねて行って、現在どういう材を在庫しているのかということを頭と体に叩き込みます。ハードメープルは重たいものの(8/4なので猶更)肌触りが滑らかなのと、そげらも少なくて担ぎやすい木のひとつです

4,5年前までは無垢の白っぽいフローリングというとメープル(チャイニーズ・メープル)が主流でしたので、それに伴う玄関の框(かまち)もメープルで作らせていただいていました。今はフローリングも茶系から黒系が主流になっているので、出番としては枠材敷居鴨居、額縁、カウンターなどに加工させていただいています。チャイニーズ・メープルに比べると、俗に『カスリ』と呼ばれる緑~黒の筋が出にくいのと、木そのものが大きいので挽き割っても挽き反りしにくく、弊社においてはロスが少ない木です。

ハードメープルの魅力は、ツルツルした滑るようななめらかさと、美しく多彩な杢の表情です。中でも、1万本に1本現れるとも言われる『鳥眼杢(バーズアイメープル)』はその代表格で、まさに銘木の風格(プレミア36の1つです)。また、緩やかに流れるようなカーリー杢や小さな波状の縮み杢(キルテッドメープル)をはじめ、杢が鱗状になったり玉状になったりと、芸術的な表情を見せてくれます。梱包をさばいていて不意にそんな杢が現れたりすると、途端に肩に乗せた材が軽く感じてしまうのです。この項完了。




その日も重たいハードメープルをあっちこっちに動かしたり担いだり、短くカットしたり削りしながらも頭の中で考えていたのは、言葉としてのメープル、イメージとしてもメープル、物語としてのメープルをいかにして商品化して売ろうかという事ばかり。昨日、『カタチなきモノ』と表現しましたが、例えばカナダの国旗のメープルのようにデザイニングされたものであれば、実際にはデータとしてやり取りされるものに対価が発生するわけで、そこには材としてのメープルは存在しないモノの、メープルは存在しています。  


そういうのはデザイナーやアーティストの仕事で、材木屋の仕事ではないと言われるかもしれませんが、リアルな材を売るにあたってもそういう付加価値につけ方が重要であり、住宅部材の絞り込みが一層強くなり、価格の決定権がこちら側の手に無くなっていくことを考えれば、そういう形で『モノ+物語性』を付加したものでなければ差別化も図れず勝負が出来なくなると思っています。例えばその1つとして、兵庫県の住空間設計Laboさんと共同で『誕生木(たんじょうもく)』という物語を考え出しました。

ただこちらは一般の方にも馴染みのあるようなメジャーどころの日本の木で1年12ヶ月にその季節の行事などに当てはまるような木を選んで作っているので、外材は含まれていません。私は日本の木でも外国の木でも同じように好きなので、外国産の木にもこういうような物語性を付加してみたいと考えています。以前、外国の方から「誕生木の外国版は無いのか?」と訊かれたこともあありましたが、誕生月以外の構想もあります。世界の木となると、色合いもカラフルになるし物語の幅もかなり広げられます。


まあ弊社の場合は、100発撃って1発仕留められるぐらいの商品開発精度なので、いつ形に出来るか分かりませんが、そのためにもせっせと端材をストックしておかねばなりません。そんな事を妄想していると、つい顔がにやけてしまって気持ち悪いのですが、そういう発想も主体たる材があってこその話。割合こそ高くなっていくだろうと思いつつも、肩にズシリと食い込む長尺のハードメープルの重さこそが弊社の本道であり商売のネタ。そこのところをはき違えないようにと今日もまた木を担ぐのです。続く・・・




★今日のかけら・#188 【ハードメープル Hard maple カエデ科・広葉樹・北米産

本日はハードメープルの木取り。ブラック・ウォールナットブラック・チェリーホワイトオークホワイトアッシュとなどと並んで弊社の有力な北米産広葉樹の主力商品で、今までに何度もこのブログでも登場してきたと思うのですが、気がつけば未だに『今日のかけら』には取り上げていませんでした。今更ながらですが、ここでハードメープルをご紹介。あまたある外材の中でも、名前だけならもっともポピュラーな木のひとつではないでしょうか。用材としてだけではなく、デザインや食材としても人気があります。


カエデ科の木は、世界中(主に北半球の温帯)におよそ150種も分布していて、園芸品種まで加えると200種にも及ぶ多品種ですが、その中でも用材としてもっとも多く使われているのがこのハードメープルではないでしょうか。堅牢で衝撃性にも優れているのと触感が滑らかで表情も多彩なことから、住宅の床材(フローリング)としても人気がありますが、体育館やダンスホールの床やボーリング場のレーンなどにも使われているのは有名な話。野球のバットドラムの胴などにも使われたりとその用途も広いです。

むしろ一般の方がメープルと聞いて思い浮かべるのは床材ではなくこちらのメープルシロップの方かもしれません。樹液からはほのかに甘い香りのメープルシロップが採取できます。そのため『シュガーメープル』とも呼ばれます。日本語では『サトウカエデ』。日本の『イタヤカエデ』に比べるとハードメープルの方が白っぽい(淡いクリーム色?)です。データとしての気乾比重はどちらも同じくらいですが、弊社にあるイタヤカエデは耳が変形しているものが多く、持ちにくいこともあってイタヤカエデの方が重い印象。

メープルシロップと同様に認知度が高いのがその葉のデザイン。もっともメジャーどころとしてはカナダ国旗ですが、その国旗を見るたびに、フローリングや造作材、テーブルなどの『材として売る』ことも重要ですが、『デザインとして売る、ストーリーとして売る』ことの大切さも考えさせられるのです。材木屋としては今まで目の前の『カタチあるモノ』をいかに加工するとか、いかに適材適所のタイミングで売るかということばかり考えてきましたが、『カタチなきモノ』を売れるかというのがこれからの命題。続く・・・




近くのミウラート・ヴィレッジ(三浦美術館)で開催されている『愛媛大学教育学部卒業制作展』に家内と二人で出掛けてきました。私の家から車で4,5分の所に位置するミウラート・ヴィレッジは、小型貫流式蒸気ボイラーのシェアで日本国内トップを誇る東証一部上場の三浦工業グループ創業者・三浦保氏が生前に造られた美術館です。地方の企業が運営する美術館として、地域の埋もれた芸術家の作品展示や、ワークショップなどにも熱心で、私も今までに2,3度行ったことがあります。そこで開催されているが、愛媛大学の学生たちの卒業制作展なのですが、教育学部の学校教育教員養成課程美術教育専修・芸術文化課程造形芸術コースの生徒たち、つまり将来学校の美術の教諭のたまごたちの作品。

そこで教鞭を執られる福井一真先生とは、木材教材繋がりでいつもお世話になっているのですが、その関係で福井先生が指導されている学生・関家美絋さんの卒業制作の材料を納めさせていただいたご縁で、今回卒業制作展に来させていただきました。木を曲げて作品を作るということで、選ばれたのが北欧産の『ヨーロッパビーチ』。日本で言うところの『』ですが、世界でもっとも売れた椅子として知られる『Yチェアー』などでも知られるように、弾力性があって「曲げる」ということに適性のある木材のひとつです

木材を納めに大学を訪れた際に、その工程は目にしていたものの、果たしてそれがどういう作品に生まれ変わるのか、正直さっぱり見当もつきませんでしたが、実際に完成品を見てビックリ!ビーチを煮沸し軟らかくしてから、鉄の曲型に合わせて曲げてクランプで押さえつけて形を作り上げるのだそうです。理屈としては分かっているのですが、日頃は重たいビーチを担いでいて、その重さは文字通り肩身しみて分かっているので、会社の倉庫にあったビーチがこうして曲げられている姿を見ると不思議な感覚になります。

ビーチの気乾比重は資料によれば0.6~0.72ぐらいまでばらつきがありますが、弊社の倉庫にあるのは全部重たい方ではなかろうかと思うぐらい、自分の中ではビーチは重たい木という印象しかありません。弊社では板材など直線的な加工しかしないので、しなやかな木ということは分かっていても、それを実感する機会はないのですが、こうして今にも踊りだしそうな形に曲げられたビーチの姿を見ると軽い感動すら覚えます。『群生』と名付けられた作品ですが、私的には作りかけの梯子がある日突然に意思を持って動き出したのだが、それを作者が瞬間的に固めてしまった、『梯子の反逆』あるいは『意思を持った梯子』みたいでとっても面白く感じました

これってちょっとアレンジして手を加えれば家具とかの装飾にも活用できそうな匂いがします。私も昔(中学~高校生頃)絵を描くのが大好きで、将来美術関係の大学に行って、そういう世界で生きていけたらいいのになんて甘い夢を抱いていましたが、それは素敵な美術の先生との出会いがあったから。私の場合は絵画のほうで、このような立体造形ではなかったものの、もしもその当時にこういうモノづくりに触れていたら、道を踏み外して(?)材木屋にならずに、そちらの世界に行ったかも?!作品展は今月21日まで




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