森のかけら | 大五木材


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先日の『都市林業』で、松山市内の民間住宅の庭木として植えられたいたクヌギ(櫟)が伐採されたのでその一部を分けていただきました。クヌギの木とは結構ご縁も多くて、今までにも多くのクヌギの丸太が大五木材にやって来ました。その目的はもちろん『森のかけら』に生まれ変わるため。ですから小さなクヌギの丸太が1本もあれば十分に事足りるのです。足りるどころか1本の丸太から何百という「かけら」が取れれば、それだけで何年分もの「かけら」が確保できてそれ以上にクヌギの丸太は必要ないのです。

うまく取れればの話・・・それがうまく取れないから何本も何本も丸太がやって来るのです。まあとにかくクヌギは上手く乾燥させるのが至難の業。私に理論的な乾燥時術が欠如していて、経験と勘だけを頼りにしているというのが最大の問題なのですが、残念な結果を繰り返してきました。クヌギは乾燥に伴いねじれる性質があるのと、芯から放射状に深い割れが入ってしまうので、たかだか35㎜の「かけら」ですら取りかねるほどなのです。もちろん1個も取れないというわけではありませんが、歩留まりから言うと散々たる結果。

失敗の繰り返しの中で、45㎜ぐらいのオーバーサイズに挽いて乾かせるだの、先日の「カキ」のように小口に新聞紙を貼るだの、ボンドを縫っておくだのいろいろ試してみましたがどれもなかなか上手くいかず、どうにか「かけら」になった数倍、いや数十倍が無惨な結果となり、それは「夢のかけら」にすらなりえない代物でした。現在の『森のかけら』240種の中では、私にとって『もっとも乾燥させるのが難しい木』のひとつです。今回こそはといつも願うように乾燥させているのですが、どうしても上手くいきません。

そろそろ貴重なストックも残り少なくなってきたので、今回のクヌギには是非とも上手く乾いてもらいたい。そう思って準備をしていたら、言葉ではうまく表現できませんが、今回のクヌギは何か違う!というような感覚がありました。伐採した直後ではあるものの既に水分が少し抜けているというか乾燥が進んでいるというか、あくまで私の感覚ですが。それで触っていたら厚い鬼皮がポロリと剥がれました。それでちょっとノミを入れてみたら綺麗に剥がれたのです。これは何かの吉兆か~(笑)。鬼皮の無くなった姿がまるでブッシュ・ド・ノエルみたい!




先日の日曜日に広島からお客様がご来店いただきました。その数日前に会社に電話がかかってきていたのですが、家内が電話で話させていただいていたので、私はその日に来客があるという事しか知りませんでした。私はてっきり、日曜日なので観光かあるいはなにか用事があって愛媛に来るので、それならついでに前から気になっていた材木屋にでも寄ってみようか程度のノリだろうと勝手に思い込んでいました。遠方から『木のもの屋・森羅』で扱っているクラフト商品を求めてご来店される方も少なくないからです。

ところが約束に時間にやって来たのは、大工道具を積んだ仕事仕様の一台のワゴン車。中から出てこられたのは広島市内で建築の仕事に携わっておられるKさん。SNSで『森のかけら』の事を知って一目惚れして、どうしても現物が見たくなったので、そのためだけにわざわざ広島からご来店いただいたのでした。東日本の方とかは、広島と愛媛というと瀬戸内海を挟んで対峙している地図のイメージからなんとなく「近い」と思われている人が多いようですが、実は意外と遠いのです。

広島県庁から愛媛県庁までだと、しまなみ海道を通っておよそ200キロ弱。高速道路を使っても3時間はかかります。往復6時間かけて、『森のかけら』のためだけにやって来られたのです。しかもよく話を伺うと、今年はお勤めの建築会社の業績が良くて会社から臨時ボーナスを貰ったので、そのお礼に会社の社長に『森のかけら36』をプレゼントしたい、と仰るのです・・・号泣!ご本人も仕事ではそれほど多くの樹種を使うわけではないけど、知識・情報として知っておきたいので自分の分も買いたいと。

しかも、社長に贈るものと同じ樹種で揃えたい!初めてお会いしたので実態は存じ上げませんが、さぞかし雰囲気がよくて社員からの人望厚い社長が経営されていらっしゃるのでしょう。それでいつも以上に熱量を込めて木の話をさせていただき、二人でどれを入れる、どれを外すと36種のセレクトに喧々諤々。新広島市民球場の外野テラス席に使ってあるピンカドは外せませんぞ!厳島神社クスノキは必須などと作り手冥利に尽きる楽しい時間を過ごさせていただきました。頑張れ、カープ!




時々ですが、幅が1mぐらいある大きなサイズの一枚板のテーブルが欲しいという方が現われます。さすがにこのサイズになると国産材だと樹種がある程度限定されますし、節も無いような立派な一枚板ともなると、価格もそれなりに立派なものになっていきます。こう言っては材木屋としてどうなの?と思われるかもしれませんが、1枚で50万円するような木があるとしたら、私は1万円の木をいろいろ50枚買いたいという性分なので、1mサイズの銘木はありませんがこういう割れのある木ならあります。

アフリカ生まれの大木,ラボア(学名 Lovoa trichilioide)学名がそのまま名前になっていますが、まだまだ認知度は高くありません。この木については以前にブログでアップしましたが、生乾きの匂いに特徴があります。生木が徐々に乾いていくときの生乾きの時に匂いってこの木に限らず刺激的なのですが、その中でもラボアはゼブラウッドと同じくらい強烈!それもあってしばらくは放置していましたが、しっかり乾いてしまえば匂いはすっかり無くなりました。

この写真のラボアで、サイズが2200×1000×80㎜。耳付ですがほぼ寸胴です。1枚目の写真が仕入れた時の状態。かなりこげ茶色に見えますが、少なくとも製材してから3年以上経過しています。割れ止めのボンドが全身に塗られているので、その影響も多少あると思いますが、経年変化では最終的にこれぐらいの色に落ち着くと考えられます。とりあえず一旦ボンドを剥がして素顔を拝見したのが2枚目の写真。真ん中に大きく『アフリカの森の履歴』が残っていますが、これもこの木の個性なので尊重します。この時点で割れをしっかり埋めて、オイル塗装を施しらのがこちら→

濡れ色になって本来のラボア表情が蘇ってきました。ラボアは『アフリカン・ウォールナット』とも呼ばれますが、他にも『ストライプ・ウォールナット』の別名もありますが、その由来となる黒褐色の縞が確認できます。この見た目でかなり重たい木だと思われるかもしれませんが、実は意外なほど軽くて、試しに持たれた方は皆驚かれます。これはどなたかの注文ではなくて、仕上がり具合を見てもらうために加工しているのですが、このまま仕上げますので受け入れ先も募集中です!




昨日の森林火災で思う事の続きです・・・何十年、何百年と生きてきた大木がただ灰となってしまい消滅するのは虚しい事ですが、この山火事の件で思う事がありました。樹木は大きく育ったら伐って家や家具など何かに使わねばモッタイナイと考える人間の思い上がりなのかもしれないという事。人間が生まれる遥か太古の昔より、自然のシステムの中で世代更新は繰り返されてきました。いかに立派な大木といえども無限の命があるわけでなく老木は幼木に席を譲ってきました。そのタイミングはそれぞれの木によってさまざま。

落雷による火事、寒波や熱波などの急激な気候の変化、虫害、菌などさまざまな理由で、本来神から与えられた寿命を全う出来なかった木は沢山あったはずです。そこにモッタイナイという感情などは存在せず、ただ淡々と命の世代更新は繰り返されていました。焼かれたり、朽ちたり、老いたりしては、幼木にバトンを引き継ぎながら樹木という『種』が受け継がれてきました。そのサイクルの中に人間が割って入って来て、朽ちる前にそれを再利用しなければモッタイナイという感覚を持った。それを人工的に進めたのが植林であり木の産業化。

私もその中に身を置く者ですが、毎年世界中で発生する大規模な火災を見ながら、モッタイナイといつも思っています。100年生きた木は、伐採して100年使えるものにする、というのは木を使う者にとっての命題ですが、それは命をいただく木への免罪符のようなもので、人間側からの勝手な解釈に過ぎません。木からすればいかなる理由であろうと、いかに高邁な理念であろうと、わが身を切り倒されバラバラに鋸を入れられ鉋で削られ釘を打たれることなど許せる話であるわけないのです。

炎に包まれ灰となってしまうおうとも、そこに次に種が育ち新たな命が継承できるのであれば、それは種として立派に目的を遂げたのであり、100年残る家具にされたとしても、種が継承されなければ意味がないことなのかもしれません。いやむしろ、人間に役に立つ素材としてわが身を提供してやるから、植林して一族を絶やすなと、花粉を運ぶ虫と花のような共存関係を狙った献身的で高度な戦略なのかもと思ったりしたら、『人間よ、もっと大きな俯瞰で見よ!種の継承のためなら個の犠牲など厭わぬわ。だからわれら種族は今まで地上で繁栄したきたのだ!』なんて笑われそう。




この数年で中学、高校や大学などの学校との距離が急激に縮まっていて学生の体験学習や授業に使う教材、工場の見学、あるいは校内の木の伐採などいろいろな形態で学校と関わらせていただく機会が増えてきています。こちらから何か働きかけているとか特別に営業しているというわけではないのですが、ご縁が出来たご来店された先生や生徒が、学校の友人・知人に「いろいろな木の端材を売っている変な材木屋がある」と口コミで広げていただいた結果だと思います。転勤や卒業、就職でそのネットワークは徐々に県外にも広がりつつあります。

営業力の無い弊社としては願ったり叶ったり。しかもそうやって噂を聞いてご来店される先生や生徒は、「少し変わっている」とか「偏屈な」という注意事項を理解したうえで来られるので、「スギやヒノキの板が欲しい」なんてノーマルな問い合わせはほとんどありません。これがまた嬉しいというか、説明手間が省けて凄く助かるのです。「ちょっと変わった木を探しに来たんです」なんて声を聞いちゃうと、どれどれなんて身を乗り出してしまって余計なサービスまでしてしまいそうになります。まあ、そういう気持ちでしているのが、『学生はいつでも端材20%OFF』。

好みの端材探索もいいのですが、学校の授業で使う教材としての活用もありがたいです。その中でも弊社の持ち味がもっとも発揮できて、私としてももっとも嬉しいのは、「国内外のいろいろな樹種で揃えて欲しいのですが、樹種の選択はお任せします」というご依頼。OOとOOの木という条件が入ってくると、取扱樹種数こそ多いけれど、量はたいして持っていない弊社としては、端材といえども同じサイズである程度量を揃えようと思うと端材(赤身)だけでは足りず、本体(トロ)にも手をつけずにはいられなくなります。当然のことながらトロはお高い!

個人が趣味嗜好品として買い求められるものならば、少々お高くてもいいモノ使いましょうとお薦めもしますが、学校となると予算も決まっているのであまり高いものになると、量が抑えられ1人あたりの使える量が減るのも忍びない。なので、こちらの都合を優先させていただく『お任せ』であれば、多樹種でご用意できるのです。今回ご注文いただいたのは、技術の授業で「木のスプーン」を作るための端材。一応何の木か分かるように樹種ごとに分けて名前を書いてます。本当はそれぞれの物語まで書き添えたいところですが、まずは森の入口に一歩足を踏み入れてもらってから!

 




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