森のかけら | 大五木材

★今日のかけら・#040 /クヌギ ブナ科コナラ属・広葉樹・愛媛産

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20110102 カブトムシの木物語・・・1① 

まだ残る雪の中から顔を出すのは『クヌギ』。椎茸(しいたけ)栽培の榾木(ホタギ)として伐採され積み上げられたクヌギの山を白く覆った小さな小山をあちこちで見かけます。「クヌギ」と聞いて思い浮かべるのは『カブトムシの木』でしょう。私も子供の頃はよく採ったものですが、その木がクヌギであったかどうかの記憶はありません。当時はカブトムシが集まっていたのはクヌギに限ったことではなかったように思います。普通にカブトムシもよく採れました。クヌギの樹液はドロリとした琥珀色で、手につくとなかなかのやんちゃぶりでしたが、それだけの価値はありました。

20110102 カブトムシの木物語・・・1②今から40年近くも前の話です。エコとか森林破壊とか環境問題などの言葉は子供の耳に届くほどメジャーなものではありませんでしたが、普通の大人にとってもそうだったかもしれません。まだ子供の頃の思い出が白黒フィルムだった、恐らく最後の世代としては、それから得たものと失ったものを見比べるとその大きさに愕然とします。ただ一方的に失った環境を嘆いたり、高度経済成長の弊害を指摘する気もありません。父母たち当時の大人達ががむしゃらに働いてもらったお陰で、物質的なモノ以外にも多くの豊かさを得ることが出来たのも事実ですし、逆説的に言えばそういう経済発展のために環境を省みなかった極端な時代があったからこそ、その反動から世界でも類も見ない、自虐的といえるほどの高い環境意識を手に入れたのかもしれません。

20110102 カブトムシの木物語・・・1③子供の頃に過ごした風景は、決して遠い過去ではないのに、今行ってみるとミニチュア・セットのように小さく感じられます。かつて、カブトムシがそれほど貴重な昆虫になるとも、森がこれほど小さくなるとも思ってもいませんでした。子供は大人が思う以上に残酷で独りよがりの行動をとるもので、私たちも大きな幹をナイフで傷つけたり、枝をバキバキに折ったりしたものですが、自然の復元力や恐るべし!人間の想像力を遥かに凌駕する逞しさがあるものの、度を越えるとその芽をも摘んでしまいます。

20110102 カブトムシの木物語・・・1④クヌギは、カブトムシやクワガタムシだけにとって恩恵があったわけではなく、アベマキと並んで日本最大とされるドングリは、森の多くの動物たちにとっても恵みを分け与えていました。それだけでなく我々子供たちにとっても、その大きさと量によって自己顕示欲を満たす重要なアイテムのひとつでもあったのです。弊社のすぐ裏の公園にも小さなクヌギ林がありますが、子供たちがそのドングリを競い合って集めている光景を目にすると、その変遷は脈々と受け継がれているようです。明日はその名前の由来などについて触れたいと思います。

カブトムシの木物語・・・2

1. 今日のかけら
20110103 カブトムシの木物語・・・2①さて、年明け早々から真面目にライフワークの『今日のかけら』に取り組んでおりますが、昨日に続いて「クヌギ」の話です。クヌギは、「」、「」、「」、「」、「」など多くの漢字で表されますが、漢名でも「櫟」と記されるこの漢字が一般的によく使われているようです。別名や俗名、またさまざまな漢字の多さは、その木が昔から日本人の生活に広く関わりがあったということの証明でもあるでしょう。そのクヌギという名前そのものの由来も諸説あります。その中の幾つかをご紹介します。

20110103 カブトムシの木物語・・・2②まず歴史的な逸話から、かつて景行天皇が筑紫の道後(みちのしり)の国を訪れた時に、長さ970丈(約300m)もの巨木に出会い、地元の老人からその名が歴木だと聞くと、その巨樹にちなんで、御木国(みけのくに)という国名を授けられた事から、この巨樹を国木と呼ぶようになり、そこから国木(クニギ)が転訛したという説。そしてもっとも有力とされているのが、朝鮮語でクリやクヌギの事をkulというらしいのですが、これが日本に伝わった時に、一方ではこれが「クリ」となり、他方ではこれに日本語の木が加わって「クヌギ」となった説。また、葉の形が栗によく似ている事から「栗似木(クリ二ギ」が転じたという説。ドングリの古名は「ツルバミ:橡」というのですが、これも朝鮮語のkul-bam(bamは堅果の意味)が転じたものだと言われており、この説を有力なものとしているようです。

 

20110103 カブトムシの木物語・・・2③今ではナラやカシ類の果実の事を総称してドングリとしていますが、そもそもドングリとは、クヌギの果実の事を指していたようで、「丸いクリ」の意味合いがあったとされています。その意味ではクリも広義ではドングリの仲間です。そういえばクリもクヌギも同じような所に生えています。クリもクヌギも食料としてのドングリから、薪炭材や、器具や柄、枕木や染料などに使われてきました。昨年はナラ枯れが深刻な問題となりましたが、クリやクヌギも減っているのでしょうか?

 

20110103 カブトムシの木物語・・・2④クヌギはあまり手入れをしなくとも、病気にも強く、成長も早い事から生産効率は高いのですが、重厚で乾燥すると割れたり暴れやすいので建築や家具用材としては使いにくい木です。そのため最近では椎茸の榾木か薪炭としての用途が中心となってますが、その需要も年々減少し、木の成長力に追いついていないため、愛媛の森でも大きくなりすぎたクヌギがあちこちで放置されています。大きくなりすぎると榾木としても適さなくなるため、成長しすぎたクヌギの「出口」を見つける事が出来れば、愛媛の森の大きな武器になると思うのですが、これも今年の課題です。




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