森のかけら | 大五木材

★今日のかけら・#083 【苦木/ニガキ ニガキ科ニガキ属・広葉樹・宮崎産

20101116 鹿をも殺す苦木の黄色 

 

20101116 鹿をも殺す苦木の黄色①苦木』、聞き慣れない名前どころか、初めてこの名を訊く方も多いと思います。建築材など主要な木材を取り上げた木材図鑑でも取り上げられる事がないうえ、生育量も多くないので、実物を見かける事もほとんどないと思います。最近も木材市場でこの木が並んだのですが、木のプロの材木屋ですら「これ、何の木?」「何か塗ってるの?」という言葉が交わされたほどマイナーな木です。高さはせいぜい10~15mで、それほど大きな木にはならない雌雄異株の落葉高木です。

 

20101116 鹿をも殺す苦木の黄色②この変わった名前は、枝や葉に強い苦味がある事に由来しています。樹皮を乾燥させたものは煎じて、苦味健胃薬にも使われます。生薬名の『苦木・クボク』から、この木の事を「クボク」と呼んだり、葉の形が『栴檀(センダン』に似てることから、海岸近くに生育する栴檀に対して、『ヤマセンダン』と呼ばれることもあります。私がこの木を初めて知ったのは、愛媛大学の樹木博士講座の時に、試験林で実際に苦木の葉を噛ましてもらい、その苦さを実体験してからです。葉を噛むと本当に苦味がありました。

 

20101116 鹿をも殺す苦木の黄色③濃い黄褐色ですが、一切着色もしていません。これだけ濃厚な黄色が出るのは、日本の木では、苦木か黄櫨(ハゼ)のいずれかでしょう。画像では耳の部分が取れていますが、樹皮はコルク質で厚みがあり、材としての苦味はその樹皮と材にあります。この材の用途としては、その黄色味を活かして、染料や木工や木象嵌などの寄木細工などに利用されます。この樹皮を煎じた汁で衣服を洗うとノミやケジラミが付かないという事で、かつてはその除去にも使われました。

 

20101116 鹿をも殺す苦木の黄色④またアイヌ語では、ユクライケニ(鹿を殺す木)という別名もあるのですが、この木の皮を剥いで樹液を溜めて、鹿狩りに使う毒を精製したそうです。生薬に使う一方で鹿を殺すのにも使われるということですが、毒と薬は紙一重という事ですから、使い方内には注意しなければなりません。もっぱら宮崎あたりから産出される材を仕入れているのですが、それほど大きな材が出るわけではないので、もっぱら幅剥ぎして家具材やクラフト材などに使っています。 

 

20101116 鹿をも殺す苦木の黄色⑤プレーナーで削ると当然その削り屑も材同様に鮮やかな黄色です。この削り屑を見ていると、鹿はこの木の毒性で死んだのではなく、自然界にありえないような鮮烈な色合いに驚きショック死したのではなかろうかと疑いたくなるほどの強烈な原色の真っ黄色です!見れば見るほど、捨てるのが勿体ないので、いずれ何かに有効利用できないかと思ってストックしています。染料として使われるような材は、うまく使えば骨までしゃぶれます。現在在庫にある苦木はいずれも小幅な板物ですが、うまく使えば他の木の色をうまく引き立てるコントラストになります。国産の天然木でこれだけの色合いを持つ木は大変貴重です。しなやかな発想で有効に使わせてもらわなければもったいなさ過ぎるでしょう。大きい木には大きいなりに、小さい木は小さいなりに使い方はいくらでもあります。やらねば!




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